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中谷防衛大臣が5月5日に臨時会見 日印防衛相会談の概要を報告

  • 日本の防衛

2025-5-9 11:04

 令和7(2025)年5月5日(月)15時03分~15時20分(現地時間)、中谷 元(なかたに・げん)防衛大臣はインドのザ・リーラパレス・ニューデリーにて、日印防衛相会談後の臨時会見を行った。
 内容は、以下のとおり。

大臣からの発表事項

日印防衛相会談の報告

 先ほど日印の防衛相会談を実施をいたしました。その内容等について、記者発表させていただきます。
 本日、シン・インド国防大臣との間で、昨年11月以来となります日印防衛相会談を実施をしました。今回の会談には、インド各軍の参謀長が同席をされまして、非常に充実した議論となりました。
 まず、私から4月22日にカシミールで発生しましたテロについて、犠牲となられた方々へ心からの哀悼の意を表するとともに、テロはいかなる理由をもっても正当化できず、日本はインドをはじめ、国際社会と手を携えて、テロと断固として戦う決意であるという旨を伝えました。
 その上で、南アジアの平和と安定のため、関係国が責任ある行動をとることを期待する旨を述べました。現在、日印両国を取り巻く地域情勢及び国際情勢は急速に複雑化をしておりまして、不確実性が高まっております。それに伴い、法の支配に基づき、平和で繁栄したインド太平洋地域を目指すとの理念を共有する日印両国が、防衛面で協力と連携をさらに強化をしていく重要性と必要性が増しております。
 今般の会談におきましては、このような認識を踏まえまして、インド太平洋地域において、日印が防衛面でそれぞれ、主体的取組の間の連携を強化をし、大きな相乗効果、シナジーを生み出すことで、両国のみならず地域全体に新たな価値と利益をもたらしていくことが重要であるという点で一致をいたしました。

「インド太平洋地域における日印の防衛協力」(JIDIP)について

 その上で、日印の防衛当局間において、このような方向性を「インド太平洋地域における日印の防衛協力」(JIDIP)、これはJapan India Defense cooperation in the Indo-Pacific regionと言いますけれども、JIDIPと位置付けまして、その下で具体的な協力・連携を、スピード感を持って具体化をしていくことを提案をし、先方からこれを歓迎し、今後、中身について具体的に議論をしていきたい旨の発言がありました。
 その上で今後、日印における様々な軍種間の具体的協力や連携を抜本的に充実していくことを確認をするとともに、日印間の協力・連携を包括的・統合的観点から調整・進捗管理する協議体、これの設置を提案し、この方向で調整をしていくということで一致をいたしました。

共同訓練の拡大・深化等について

 また、二国間訓練の「ダルマ・ガーディアン」等を含め、日印で実施される共同訓練を拡大・深化させていくということで一致をいたしました。また、日印両国のみならず、地域及び国際社会にとって死活的に重要なシーレーンの安全確保に向け、海上交通保護の面においても日印間で引き続き連携をしていくことを確認をいたしました。
 また、東南アジアにおいて、日印間の両国で連携を深めていくということで一致をしまして、今後、具体的に議論をしていくということになりました。
 今回の訪印の成果に基づき、今後もインドとの関係をより一層強化をし、インド太平洋地域の平和と安定、そして繁栄の確保に向けて、引き続き、日印間で具体的な協力や連携の深化に取り組んでまいりたいと思っております。

記者との質疑応答

日印の連携強化の狙いについて

記者
 東南アジア地域における防衛協力で、日印の連携を強化していくことの狙い、意義は何でしょうか。最近では4月中旬に習近平国家主席がベトナム、マレーシア、カンボジアを訪問、下旬には石破首相がベトナム、フィリピンを訪問するなど、双方が取り込みを図っているとみられます。アジアとの連携を進めていく上で、日本として活かせる知見やインドに期待することがあれば教えてください。また、中国が軍事活動を活発化させるなかで、共同訓練を拡大していくことへの狙い、意義について教えてください。

大臣
 インドはですね、我が国と中東、アフリカを結ぶシーレーン上のほぼ中央に位置をしておりまして、基本的価値を共有をするとともに、インド太平洋地域及び世界の平和と安定、繁栄に共通の利益を有する極めて重要な国であります。本日の会談におきましては、シン国防大臣との間で、日印防衛協力の新しい方向性を「インド太平洋地域における日印の防衛協力(JIDIP)」と名付けまして、その下で具体的な協力・連携を、スピード感を持って具体化していくということを提案をし、先方からこれを歓迎するとともに、今後、その中身について具体的に議論をしていくということでございます。
 このJIDIPというのは、Japan India Defense cooperation in the Indo-Pacific regionということでございます。ここにおきまして、今後、双方の経験や知見も活かしつつ、この関係の下でですね、軍種間の協力・連携、日印両国のみならず、地域の国際社会にとって死活的に重要なシーレーン保護の面においても、引き続き、連携をしていくということについて一致をいたしました。
 また、東南アジアについても、日印両国で連携を深めていくということでも一致をいたしました。こうした日印間の連携強化の取組は、特定の国を念頭に置いたものではなく、日印両国を含む、インド太平洋地域全体の平和と安定と繁栄の確保のために行っていくものでございます。

インド、パキスタンの関係の緊張状態について

記者
 インド、パキスタンの係争地カシミール地方をめぐって両国の緊張が高まっています。本日の会談で、何か言及はありましたでしょうか。大臣が伝えた内容や先方の反応を教えてください。

大臣
 本日の会談におきまして、私から4月22日にカシミールで発生をしましたテロについて、犠牲になられた方々への哀悼の意を表するとともに、テロはいかなる理由をもっても正当化できない、そして、日本はインドをはじめ、国際社会と手を携えて、テロと断固、戦うという決意である旨を伝えました。その上で、南アジアの平和と安定のため、関係国が責任ある行動をとることを期待する旨を述べました。

ワンシアターについて

記者
 今日の会談でですね、ワンシアターについて言及されたのでしょうか。また、冒頭でシンさんの方からはですね、防衛産業、技術面での協力を得たいというふうに明言ありましたけれども、インドは現在、戦闘機や戦車の開発していますが、日本が持つエンジン等のですね、技術の輸出といったものは話題に出たでしょうか。

大臣
 ワンシアターについては、我が国としては、これまでも我が国の平和と安全を保つためには、この地域の安全保障環境を一つのものとして全体を俯瞰的に捉える必要があると考えております。
 この観点から、同盟国である米国のほか、地域の様々なパートナーとの間で、地域における共通の課題について認識を共有するとともに、情報面や運用面を含む広範な分野における協力を進めているところでございます。
 本日の会談におきましては、こうした考え方に立ち、私から、日印は法の支配に基づき、平和で繁栄したインド太平洋地域を目指していきたいという理念を共有をしているということ、そして、この共通の基盤の上に、双方の利益となる形でそれぞれの主体的な取組の間の連携を強化をし、そのことによって大きなシナジー、相乗効果、これを生み出して両国のみならず地域全体に新たな価値と利益をもたらすということ、そして、この新しい方向性を「インド太平洋地域における日印の防衛協力(JIDIP)」と名付けることとし、その下で具体的な協力・連携を、スピード感を持って具体化をしていくということについて提案をしまして、先方からこれを歓迎をするとともに、今後、その中身についてよく議論をしたいとのお答えがあったところでございます。
 また、お尋ねの航空機、戦車のエンジンにつきましては、本日の会談におきましては、インド側の要望も踏まえて、まずは事務的にしっかりと検討していくことで一致をしました。そして、インドとの防衛装備・技術協力は、日印両国のみならず、地域の平和と安定に資する上で重要であり、引き続き、各種案件の推進に取り組んでまいります。

記者
 今のそのインド側の要望というのは、具体的にどういったことを指すのでしょうか。

大臣
 色々と内容については、具体的にも話をいたしましたけれども、この内容につきましては、二国間の協議の内容でありますので、この場において明らかにするということは控えさせていただきます。

記者
 要望に基づいてとおっしゃっている、その要望が何だか分からないと全然話が分からないんですけれども。

大臣
 航空機や戦車のエンジンについては、インド側から要望がありました。これは、事務的にですね、しっかり検討していくということで一致をしたということです。

記者
 幅広い意味で、技術供与、装備品輸出の要望があったという認識でよろしいでしょうか。

大臣
 お尋ねのありましたエンジンについてですね、それは航空機や戦車のエンジンについては、話をいたしました。その内容、その他、装備技術協力につきましては、二国間の協議でありますので、具体的に明らかにすることは控えさせていただきたいということです。

東南アジアの国々との戦略・運用の協議の枠組みの構築について

記者
 それともう一つですね、これまで戦略・運用についての協議の枠組みというのは、大臣、今年に入って訪問された東南アジアの国々でも、作ることで一致してこられました。こうしたものを設置を重ねていることの狙いについてお聞かせいただけますでしょうか。

大臣
 今回の会談におきましては、私から今後ですね、日印の間の軍種間の協力や連携を更に拡充していくとともに、個々の取組を包括的・統合的観点から調整、進捗管理していくための協議体、これを日印の統幕の間でですね、設置をするということを提案をして、この方向で具体的に今後調整をしていくということで一致をいたしました。
 私、就任後ですね、同盟国・同志国との間で、一層緊密で実効的な連携に向けまして、この会談の機会を捉えて、米国・豪州との間で日米豪防衛協議体(TDC)、また、インドネシアとの間では海洋安全保障に係る対話、また、フィリピンとの間では運用部局間の戦略的対話の設置で一致をしてまいりました。
 このように、二国間で色々と取極を決めたわけでありますので、防衛省としましては、こうした様々な対話の枠組を通じまして、包括的・統合的な観点から同志国との具体的な協力・連携を強化することで、引き続き、インド太平洋地域の平和と安定に貢献してまいりたいと考えております。

日英伊で進める次期戦闘機の共同開発への言及について

記者
 政府がイギリス、イタリアの3か国で進めている次期戦闘機の共同開発をめぐって、本日の会談では、インド側や日本側も含めまして、次期戦闘機に関して議題に上がりましたでしょうか。また、インド政府はどのようなものに関心を示し、日本政府としてどのように対応していくか、お考えをお伺いします。

大臣
お尋ねの点につきましては、本日の会談におきまして議題にあがりませんでした。

日印両国の東南アジアでの協力深化について

記者
 冒頭で、日印両国が東南アジアでの協力を深めていくというふうにおっしゃいましたけれども、具体的にどういうことをしていくことが念頭にあるんでしょうか。なかなかエリアも、そこに両国があるわけではないので、イメージしづらいんですけれども、どういったことをしていきたいということなのでしょう。

大臣
 これにつきましては、今日は日印両国のみならずですね、地域や国際社会にとって死活的に重要なシーレーンの安全確保に向けてですね、海上安全保障の面においても、日印で引き続き連携をしていくということを確認をいたしました。東南アジアにつきましても、日印間の両国で連携を深めていくことで一致をしました。
 具体的に議論をしていくということはありますが、このインドとASEANの関係ももちろん、非常にインドとしても関心があるところでもありますし、我が国におきましても、このシーレーン、これを確保するということは大切なことでありますので、当然、このASEANもこのシーレーンの一部を成しているところでありますので、そういう点で、インドは非常に関心を持っているということです。

(以上)

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