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中谷防衛大臣が5月4日に臨時会見 スリランカ首相表敬と国防副大臣との会談を報告

  • 日本の防衛

2025-5-9 10:46

 令和7(2025)年5月4日(日)12時15分~12時29分(現地時間)、中谷 元(なかたに・げん)防衛大臣はスリランカのゴール・フェイス・ホテルにて、スリランカ首相表敬及び国防副大臣との会談後の臨時会見を行った。
 内容は、以下のとおり。

大臣からの発表事項

スリランカ首相への表敬について

 本日は、まず、アマラスーリヤ・スリランカ首相への表敬を行いました。
 アマラスーリヤ首相との間では、現在、両国を取り巻く地域情勢、また国際情勢が急速に複雑化をし、不確実性が高まっている中で、日本とスリランカが包括的パートナーとして更に緊密に協力をし、地域と国際社会の平和と安定に貢献をしていくために、防衛面での協力と連携を強化をしていくということで一致をいたしました。
 ものすごい歓迎を受けまして、これまで日本の貢献について、深い謝意がありました。そして、日本に対する深い信頼感を感じることができました。

国防副大臣との会談について

 その後、ジャヤセーカラ国防副大臣との会談を行いました。ともに以前、歩兵の普通科小隊長を経験したということで、ジャヤセーカラ国防副大臣は、34年間、軍で勤務をした後ですね、現職にあられますけれども、非常に部隊の状況がよくわかった方でございました。
 本会談においては、まず、両国間の防衛面を含むパートナーシップの強化は、両国の繁栄にとってのみならず、インド太平洋地域の平和と繁栄にとって不可欠であるという認識で一致をいたしました。この共通の認識に基づきまして、今後、二国間の防衛協力を活発化をさせ、更なる高みに引き上げるため、陸・海・空の全軍種にわたった協力と連携を深化させることで一致をしました。
 具体的には、陸軍種間におきましては、実動防災演習にスリランカをオブザーバーとして招待をし、人道支援・災害対処に係る知見を相互に共有をするということで一致をいたしました。海軍種間では、海洋安全保障に係る協力を深めるため、自衛隊の艦艇の寄港の機会を捉え、海洋法に関するセミナーを開催することで一致をいたしました。空軍種間におきましては、航空救難と航空医療搬送を組み合わせた能力構築支援を新たに実施をし、運用上の知見共有を図るということで一致をいたしました。
 これに加えて、両国防衛当局間の相互理解の基盤を強化をするため、将来の国防を担う人材の交流など、重層的な人的交流を新たに実施をするということでも一致をいたしました。
 また、東シナ海、南シナ海を含む地域情勢についても率直な意見交換を行いました。私から、力による一方的な現状変更の試みについて重大な懸念があるということを説明をいたしました。

今回のスリランカ訪問の振り返り

 今回のスリランカ訪問を通じまして、我々を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増している中で、インド太平洋地域の平和と安定を維持していくため、包括的なパートナーである両国が防衛面での協力と連携を強化をしていくということでスリランカ側との間で一致をしたということは大きな意義がありました。
 今後、防衛大臣としても、スリランカとの防衛協力を深化をさせ、地域の平和と安定を確保するために尽力をする次第でございます。なお、国防副大臣と私との会談におきましては、大統領が国防大臣を兼務をしております。今日会った副大臣がですね、実質的な国防の責任者でありまして、防衛次官も今日は来ておりましたし、陸・海・空の司令官も同席をし、それぞれ発言をされたわけでございますので、非常に実のあったですね、会談になりました。
 非常にいろんな課題を挙げて、今後スリランカとの間の防衛協力を進めていこうということで話をしましたので、非常に来てよかったなと、成果があったというふうに思いました。

記者との質疑応答

今回のスリランカ訪問の狙い、意義、成果

記者
 日本とスリランカとの間で会談をこのタイミングで実施した狙いや意義、成果について教えてください。また、中国が近年、インド洋への進出を加速させている中、我が国の戦略的に重要なシーレーンの要衝に位置しているスリランカに対して、防衛省・自衛隊としてどのように関係を深めていくか、大臣の考えをお願いします。

大臣
 地図で御覧になって分かるように、スリランカというのは、シーレーンの要衝に位置をしておりまして、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた重要なパートナーであります。また、法の支配や民主主義といった基本的価値を共有をしておりまして、同じ海洋国家でもあります。
 地域の情勢及び国際情勢がますます複雑化をしておりまして、この不確実性が高まっている中で、本年10年を迎えた両国間の包括的パートナーシップの下で、防衛交流・協力を更に強化をするということは、両国の繁栄にとってのみならず、インド太平洋地域の繁栄にとっても不可欠であります。
 会談では、こういった問題意識の下で、日本とスリランカ双方の努力で、陸・海・空の全軍種にわたって協力を深化させるということ、また、人的交流を通じて相互理解の基盤を強化をしていくことで一致をいたしました。
 今回の訪問は、日スリランカの二国間協力を更なる高みに引き上げるための大きな意義があったというふうに考えております。その上で、今述べたような情勢認識と目標を両国間で共有をしているということを確認をし、具体的には以下の取組を開始するという点で一致を見ました。
 まず第1に、陸軍種間では、実動防災演習にスリランカをオブザーバーとして招待をし、災害対処に係る知見を相互に共有をするということで一致をいたしました。第2に海軍種間では、海洋安全保障に係る協力を深めるために、自衛隊艦艇の寄港の機会を捉えて、海洋法に関するセミナーを開催するということで一致しました。第3に空軍種間におきましては、航空救難と航空医療搬送を組み合わせた能力構築支援を新たに実施をし、運用上の知見共有を図るということで一致をしました。
 これに加えまして、両国防衛当局間の相互理解の基盤を強化をするため、将来の国防を担う人材の交流及びPKO分野等の講師派遣による重層的な人的交流を新たに実施をするということで一致をいたしました。
 我が国としましては、包括的パートナーであるスリランカとの間で、防衛面の連携と協力を様々な分野で強化をし、地域の平和と安定を確保するために今後とも努力をしてまいりたいと考えております。

中国の影響力、インド太平洋地域の平和と安定、ワンシアター構想について

記者
スリランカにおいてはですね、中国がハンバントタの港の借用権99年を得るなど、影響力を強めています。今回の会談で中国についてはどのようなやり取りをされたのでしょうか。
 また、今日おっしゃったようなですね、能力構築支援であるとか海洋セミナーの実施といったことが、この地域の平和と安定にどのように資するとお考えなのか。また、大臣、今回の会談でワンシアター構想についてはどういった説明をされたのか、またしているのか、していなければ、その理由についてもお聞かせください。

大臣
 中国との影響力のやり取りにつきましてでありますが、まず、スリランカはシーレーンの要衝に位置をしており、そして、我が国とスリランカが防衛分野において関係を強化をしていくことは、両国のみならず地域全体の平和と安定、繁栄に寄与するものであります。
 本日の会談におきましては、こうした観点から、東シナ海、南シナ海における力による一方的な現状変更の試みも含めまして、両国を取り巻く地域情勢についても幅広く意見交換を行いました。
 その上で、本日の会談では、先ほど御紹介をしましたように、全軍種にわたった部隊間協力と人的交流の取組を実施していくということで一致したところでありまして、こうした取組をしっかり進めていくことが重要であると考えております。
 この能力構築支援や寄港が地域の平和にどう寄与するかについてでありますが、現在の安全保障の課題は、海洋安全保障を始めとして、一国のみで対応することは極めて困難であり、そのために、地域の平和と安定を確保していくためには、同盟国・同志国との間で能力構築支援や寄港を含め幅広く防衛協力を推進をし、様々な分野における各国の能力向上や、防衛当局間の連携強化を図る必要がございます。
 ワンシアターについてお尋ねがありましたが、これは会談の中でですね、我が国の平和と安全を保つとともに、「自由で開かれたインド太平洋」を実現するためには、この地域の安全保障環境を一つのものとして全体を俯瞰的に捉える必要があるということを考えております。この観点から、同盟国である米国、スリランカ・インドを始めとする地域の様々なパートナーとの間で、地域における共通の課題について認識を共有をするとともに、共同訓練等の運用面を含め広範な分野においての協力を進めています。
 防衛省としましては、今後とも、二国間における取組にとどまらず、多国間のものも含めまして、同盟国・同志国との連携を発展をさせて、インド太平洋地域の平和と安定に貢献をしてまいります。

スリランカは同志国か?

記者
 確認ですけれども、スリランカは同志国という認識でよろしいでしょうか。

大臣
 はい。非常に共通の課題に対処するという意味においても、同志国であると考えておりますし、また非常にシーレーンの要になるところでありまして、我が国にとりましては、食料や石油を中東から輸入しておりますが、その間のシーレーンの中間地点でもあるし、非常に日本の防衛、また安全保障にとりましても、このシーレーンの確保という点においては非常に重要なところでございますので、そういった点での防衛協力という面におきましては、パートナーシップを結んでおりますので、同志国というふうに位置付けをしております。

(以上)

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