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中谷防衛大臣が記者会見 T-4練習機墜落事故、広島県呉市に整備する複合防衛拠点案などの質問に回答(5月20日)

  • 日本の防衛

2025-5-22 10:00

 令和7(2025)年5月20日(火)9時33分~9時44分、中谷元(なかたに・げん)防衛大臣は、参議院本会議場 議員食堂側において閣議後会見を行った。
 大臣からの発表事項はなく、以下のとおり記者との質疑応答が行われた。

記者との質疑応答

T-4練習機墜落事故から1週間 捜索の進展や事故原因、今後の対策等について

記者
T-4練習機の墜落から1週間となります。これまでに搭乗者とみられる体の一部等見つかっておりますが、捜索・人定等で進展があればお聞かせください。また、原因や今後の対策についても、新しいことがあればお聞かせいただけますでしょうか。

大臣
現在、警察・消防とともに、現場周辺の捜索活動を行っております。16日の捜索活動においては、搭乗員と思われる体の一部を発見及び収容し、航空自衛隊小牧基地に搬送いたしました。現在、関係機関と所要の確認を行っているところでありまして、これ以上の詳細につきましては、お答えを差し控えさせていただきます。本日の自衛隊の部隊の活動状況でありますけれども、人員約700名、航空機2機態勢をもって、地上、水上及び水中の捜索活動を実施しており、引き続き、捜索活動に全力を尽くしてまいります。また、墜落をめぐる詳細な状況や事故原因につきましては、現時点において明らかになっておりません。引き続き、これらについては究明をしてまいります。

T-4練習機の後継機について

記者
T-4の関連でお尋ねします。2024年4月の日米首脳会談の共同声明で、日米共通のジェット練習機の共同開発・生産の機会を追及すると発表し、T-4練習機も後継機の対象になっていたと思いますが、現在の状況を教えてください。後継機はいまだ決まっていませんが、今後、選定をどのように、いつ頃までに進めるべきか、考えを聞かせてください。

大臣
T-4練習機の後継機につきましては、現時点で具体的な取得計画、これは決まっておりません。防衛力整備計画におきましては、最先端の戦闘機パイロットの効率的な育成のため、あるべき教育体系について検討した上で、必要な措置を講じるとされておりまして、中等練習機(T-4)後継機及び関連するシステムとの整備等を実施することとされております。その上で、T-4につきましては、耐用年数が確定しておりませんが、最先端の戦闘機パイロットの効率的な育成の観点から、機体更新について検討しているところであります。いずれにしましても、重要なことは、運用上の要求を満たす機体を取得をするということであり、これからの航空自衛隊の練習機に求められる機能・性能、これを実現するとともに、競争力のある防衛産業の構築という観点も踏まえて、後継機の検討を深めていく考えであります。

相次ぐ自衛隊機の事故の要因、住宅密集地で発生した場合の影響について

記者
T-4の関連で質問させていただきます。今回の事故は、住宅密集地の近くで発生し、住宅だったり、観光施設などに墜落するというような危険性もありました。地元で取材を進めると、こうした地域で事故が起きたことに対する不安の声というのも少なくありません。地元との今後の協働関係について、どのような影響があるというふうに、大臣御自身、考えているのか、また、そうした影響を避けるために、大臣自身が現地を訪れて地元自治体に説明するお考えがあるかを含めて、基地周辺の自治体との関係構築や情報共有をどのように進めていくのかを教えてください。また、自衛隊機の事故が毎年発生していて、隊員が亡くなるというような事案が相次いでおります。こうした事故が相次いでいる要因について、大臣、どのように分析しているかをお聞かせください。

大臣
T-4練習機の墜落事故につきましては、地元の皆様を始め、国民の皆さんに御心配と御迷惑をおかけしていることを心からお詫びを申し上げます。その上で、地元の皆様への対応としましては、事故発生後、私からの指示によりまして、速やかに関係自治体に対して情報提供を実施をいたしました。その後も、得られた情報につきましては、継続的に関係自治体に対して情報提供を行っております。また、事故発生の翌日には、金子防衛大臣政務官を現地に派遣をしまして、愛知県知事、そして犬山市長と面会をいたしまして、地元の御不安や御要望をお聞きをいたしました。その際、田植えの時期を前に、農業用ため池である入鹿池の水質調査の要望があったことを踏まえ、昨日19日に、調査を行うために専門の民間会社との契約を行ったところであります。防衛省としましては、今後とも、あらゆるレベルで、地元の皆さんの声に真摯に耳を傾け、地元の皆様とともに、誠実に、そして丁寧に、今般の事故に係る対応に当たってまいりますが、今後の必要に応じて、私自身の現地訪問についても検討してまいります。そして、このような事故が発生したことを重く受け止めまして、私の方から同日に、全自衛隊の全ての航空機に対して飛行前後の入念な点検、そして各自衛隊の全ての操縦者に対して安全管理や緊急時の手順についての教育について、指示を発出をし、改めて、陸・海・空全ての自衛隊における安全管理に万全を期することを徹底したところであります。その上で、今般の事故原因は、現在も調査中でありますが、一般に自衛隊機の事故はそれぞれの背景、事情が異なるものであるために、一概に比較をするということは困難であります。飛行の安全を確保して航空機を運用することは当然の大前提であります。引き続き、今般の事故の原因究明を進めるとともに、安全管理の一層の徹底を図りまして、同種の事故の再発防止に取り組んでまいります。

広島県呉市に整備する複合防衛拠点案について

記者
広島県呉市に防衛省が整備する複合防衛拠点案について伺います。呉市が16日に受け入れ方針を示したことへの大臣の受け止めを伺います。また、有事の際に標的になるとして反対する住民の声もありますけれども、どう不安払拭に努めるお考えでしょうか。加えて、広島県、呉市、日鉄、防衛省で整備案を話し合う4者協議について、防衛省側は役割を終えたとの立場ですが、県は民間誘致が具体的に発表されていないとして存続する考えを示しています。どう対応するお考えでしょうか。

大臣
呉地区といいますと、護衛艦隊、潜水艦隊、輸送隊所属の多くの艦艇が所在する海上自衛隊の重要拠点の一つであります。そして、南西方面、また日本海へのアクセスも良くて、加えて、海上輸送群も配備されるなど、今後、同地域の重要性は更に高まっていくと考えております。このような中で、非常に大きな場所を有しております日本製鉄瀬戸内製鉄所 呉地区跡地の活用といたしまして、同地区に多機能な複合防衛拠点を整備したいと考えておりまして、それによって、装備品の維持整備・製造、訓練、補給等を一体的に機能させることで、部隊運用の持続性、これを高めることが可能となります。今後とも防衛力の抜本的強化に資するものが出来ますように、と考えております。これまで、防衛省としましては、呉市、広島県、日本製鉄、防衛省、いわゆる4者協議を通じて、ゾーニングを作成して、丁寧に説明してきたところであります。今回、呉市議会において、新原呉市長さんから御理解をいただけたということは、大変ありがたいことであると考えております。また、地元におきましては、様々な御意見があるということは承知をしておりますが、お尋ねのいわゆる4者での協議につきましては、ゾーニングをお示しするということを目的として開催をしてきたものでありまして、その役割は終えたものと認識をしておりますが、防衛省としては、引き続き、地元の皆様に対して、また丁寧な説明に努めてまいりたいと考えております。

馬毛島(鹿児島県西之表市)の自衛隊基地整備、工事中断中の隊員宿舎について

記者
西之表市馬毛島の自衛隊基地整備に関連して質問です。西之表市で工事中断中の隊員宿舎に関して、2日前、自民党の森山裕幹事長から今の建設予定地に造るのは無理があるとして、防衛省に対応を求める発言がありました。発言について、大臣の受け止めをお伺いたします。

大臣
森山幹事長が今の建設予定地に造るのは無理があると、対応を急いでもらいたいという発言がありましたことは、承知をいたしております。この宿舎に関しましては、令和6年3月に工事契約をして、工事を進めてきたところでありまして、工事をしている途中で、区域内で大きな石が出てきたり、また空瓶、古タイヤなどといった地中障害物、これが確認をされまして、対応を検討する必要があるということから、昨年11月1日から、工事を一時中止をしております。お尋ねにつきましては、現在、西之表市との間で様々な調整を行っているところでございます。幹事長の発言は、重く受け止めていきたいと思っております。

(以上)

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