小泉防衛大臣が記者会見 中露爆撃機の共同飛行や中国艦艇レーダー照射事案について見解(12月16日)
- 日本の防衛
2025-12-18 11:38
令和7年12月16日(火)8時43分~8時50分、小泉進次郎(こいずみ・しんじろう)防衛大臣は、議院別館3階防衛省政府控室において閣議後会見を行った。
大臣からの発表事項はなく、以下のように記者との質疑応答が行われた。
記者との質疑応答
中露爆撃機の四国沖共同飛行と意図の分析
記者 :
中国軍とロシア軍の動向についてお伺いします。9日に中国とロシアの爆撃機などが四国沖を共同飛行した際に、東京方面に向かうルートであることが分かりました。大臣の受け止めと、防衛省として中露の意図をどのように分析しているかお聞きします。
大臣 :
12月9日、中国軍とロシア軍は、昨年11月以来、今回で9回目となる爆撃機による共同飛行を実施しました。
今回、中露の爆撃機は、沖縄本島と宮古島の間を通過して四国沖の太平洋にかけて長距離にわたり飛行しましたが、中露の爆撃機が共同で四国沖まで進出したのは今回が初めてであります。
中露両国の意図については、確たることはお答えできませんが、両国による度重なる爆撃機の共同飛行は、我が国周辺における活動の拡大・活発化を意味するとともに、我が国に対する示威行動と捉えざるを得ないものです。これに対して自衛隊は、戦闘機をスクランブル発進させ、対領空侵犯措置を厳正に実施しました。度重なる共同飛行の実施をはじめ、中露両国は、我が国周辺において活発な活動を行うとともに、その連携を強化する動きもみられます。
こうした点を踏まえ、防衛省・自衛隊は引き続き、警戒監視等を粛々と行い、冷静かつ毅然と対応していきたいと思います。
中国海軍艦艇によるレーダー照射事案と中国側の反論について
記者 :
レーダーの関係で2点伺います。まず、1点目なのですが、中国側がですね、改めて日本側の主張に反論する形で、昨日、コメントを出しまして、時間と場所を事前に通報したと申しております。それに対する受け止めを大臣お願いします。
大臣 :
本件における中国国防部の発表などありますけれども、今回の問題の本質は、我が方が対領空侵犯措置を適切に行う中において、中国側が約30分にわたる断続的なレーダー照射を行ったことであります。これは、明らかに航空機の安全な飛行に必要な範囲を超える危険な行為であります。
中国側が様々な指摘を行ってきていることは承知をしていますが、こうした本質から目を背けないことが重要でもあります。
その上で、これまでも一貫して申し上げてきているとおり、レーダー照射事案があった12月6日、中国海軍艦艇から海上自衛隊の護衛艦に対して連絡がありましたが、その中には訓練場所の緯度・経度を含め、空母「遼寧」の艦載機が、どのような規模で、どのような空域において訓練を行うのかという具体的な情報は含まれていませんでした。このような事案が発生したことは極めて残念であり、中国側に対して、外交ルートと防衛ルートを通じて強く抗議するとともに、再発防止を厳重に申し入れました。
今、連日色々な情報戦の中にいるような状況でありますから、この本質である中国の軍隊による約30分にわたる断続的なレーダー照射、これがあったこと自体が危険なことなわけですから、そこからずらされない、こういった我々の構えというのは必要ですから、一貫した説明をしっかりと行っていきたいと思います。
レーダー照射事案を受けた同盟国・同志国との連携と電話会談
記者 :
関連で2点目なのですけれども、小泉大臣、先週からですね、こういった問題を受けて、各国との電話会談等、相次いで実施されてますけれども、改めてその狙いと、同盟国・同志国との連携の重要性をどのように考えていらっしゃるか。また、今後どのようにそれを広げていきたいとお考えでしょうか。
大臣 :
アメリカを含む同盟国・同志国等との間では、日頃から緊密なやり取りを行っていますが、今般のレーダー照射事案についても、我が国政府の立場について、各国の理解を得ることは極めて重要だと考えています。
今までも、オーストラリアのマールズ副首相兼国防大臣、そして、イタリアのクロセット国防大臣、NATOのルッテ事務総長、そして、ヘグセスアメリカ戦争長官との電話会談、こういった機会を通じて、レーダー照射という危険行為や、それに続く中国、ロシアによる共同飛行を含め、急速に厳しさを増すインド太平洋地域の安全保障情勢について、率直な意見交換を行いました。
そして、それぞれの会談では、日本の立場への理解が示されるとともに、個人的な信頼関係を強化する機会となっています。お話した方々とは、可能な限り早いタイミングで、実際に対面で会談しようという話になっていますので、同盟国・同志国との連携をむしろ強化する機会となっているともいえると思います。
今週も複数の会談が予定されていますので、決まり次第、正式に発表したいと思いますが、このように、国際社会の理解を得ていく努力も、防衛大臣としても取り組むべき一つの職責であると思いますので、しっかりと努めてまいりたいと思います。
佐賀駐屯地オスプレイの夜間飛行訓練拡大と安全確保
記者 :
佐賀駐屯地に配備されているオスプレイの夜間飛行訓練の拡大についてお尋ねします。15日から熊本を含む施設に訓練を拡大するという発表がありましたが、実施状況を教えてください。あと、オスプレイに関しては事故の懸念があるのですけれども、安全性をどういうふうに確保していくのか、考えを教えてください。最後に、熊本県内の住民の方から不安の声も挙がっているのですが、説明会の実施などを考えていらっしゃるか、あわせてお願いします。
大臣 :
昨日、15日より佐賀駐屯地周辺以外における陸上自衛隊オスプレイの夜間飛行訓練を開始しており、熊本県内では、高遊原分屯地において、夜間飛行訓練を実施いたしました。
夜間飛行については、夜間の特性下で操縦を実施するための知識、技能及び判断を習得することを目的としており、実際の飛行に当たっては、高度300メートル以上、そして、場周経路外は500メートル以上を確保しつつ、地域の実情を踏まえ、可能な限り、住宅地、市街地や病院等の上空の飛行を避けるといった措置を講じ、安全面に十分配慮しつつ、住民の皆様への影響が最小限にとどまるように努めて訓練を実施してまいります。
また、夜間飛行訓練について、現時点で説明会を開催する予定はありませんが、防衛省としては、陸自オスプレイの運用について、引き続き、地元自治体ともよく相談しながら様々な形で情報提供をさせていただきたいと考えています。
(以上)
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