小泉防衛大臣が新田原基地視察後に臨時会見 F-35B運用と騒音対策、世論調査結果への受け止めなどに言及(1月9日)
- 日本の防衛
2026-1-14 09:45
令和8年(2026)1月9日(金)17時26分~17時40分、小泉進次郎(こいずみ・しんじろう)防衛大臣は、航空自衛隊新田原基地視察後の臨時会見を同基地で行った。
大臣からの発表事項と記者との質疑応答は以下のとおり。
大臣からの発表事項
新田原基地を視察 F-35Bの運用と騒音負担への認識
本日、航空自衛隊新田原基地を視察いたしました。ここ新田原基地は、空自の最新鋭ステルス戦闘機F-35Bが配備されている日本で唯一の基地です。F-35Bは、他の戦闘機と異なり、短距離での離陸や垂直での着陸を行う機能を持ち、様々な事態において柔軟な運用が可能です。我が国が戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面する中、F-35Bの早期戦力化は、日本の空を守るに当たって非常に重要です。
本日は、F-35Bの最大の特徴であるスローランディングや垂直着陸を視察し、その性能をこの目で確認することができました。また、大嶋司令以下、第5航空団の隊員一人一人が、パイロットの育成をはじめとするF-35Bの早期戦力化に全力を挙げている旨報告を受け、大変頼もしく感じました。
一方で、F-35Bによるスローランディングや垂直着陸は、F-15と比べると、発生する音が大きく、長時間にわたるものであることも実感しました。周辺地域の御負担を軽減できるよう、次の2点について、先ほど、大嶋司令に指示をいたしました。
まず1点目、訓練で行うスローランディングのうち、一部については、降下時の旋回を海上で行うよう飛行ルートを調整すること。2点目は、スローランディングを実施する曜日・時間帯について、新田原基地関係自治体である、新富町、西都市、宮崎市、高鍋町、木城町に事前に通知すること。これらの措置について、できるだけ早期に準備を整え、実行してまいります。
次いで、新田原基地関係自治体の皆様、そして新田原基地の隊員を支えてくださっている御家族と協力団体の皆様とお会いさせていただきまして、日頃からの御支援に心からの感謝をお伝えし、率直な意見交換を行うことができました。御家族の皆様とは、この後お会いをし、皆様が安心して生活し、隊員の帰りを安心して待つことができる環境作りに全力で取り組んでいくことを、私からお伝えしたいと思います。
本日の視察を通じて、自衛隊の部隊運用上の必要性と、自衛隊の活動を受け入れていただいている周辺地域の住民生活、これをしっかりと両立することが必要であり、そのための努力を尽くしていかなければならないとの思いを新たにしました。今後とも、現場の隊員や地元の皆様の声に耳を傾け、きめ細やかなコミュニケーションを図っていく考えです。
世論調査速報を紹介 自衛隊への関心・好印象が過去最高
もう1点こちらから報告がありまして、本日、昨年末に実施された「自衛隊・防衛問題に関する世論調査」の速報が内閣府から公表されました。
本世論調査は概ね3年ごとに実施されているものですが、速報結果について、私から2点御紹介をしたいと思います。1点目は、全般的な傾向としては、引き続き、自衛隊に対する国民の関心や、自衛隊に対する肯定的な評価が増加し、高い水準を維持しているものと受け止めております。特に、「自衛隊に関心がある」が前回から4.4%ポイント増えまして、82.6%。そして、「自衛隊に良い印象を持っている」が前回から2.9%ポイント増の93.7%と、それぞれ過去最高の結果となりました。
本日、視察したここ新田原で任務に当たる隊員をはじめ、全国各地で24時間365日の態勢で国民の皆様の命と我が国の平和を守る任務に当たっている隊員に対し、国民の皆様から高い評価をいただいたことは、防衛大臣として大変ありがたく感じるとともに、国民の皆様からの御期待に応えるべく、身が引き締まる思いです。
2点目はですね、初めての調査となった、「一定のルールに基づきながら防衛装備の海外への移転を推進すること」については、およそ7割(68.3%)が「肯定的」な回答となっております。今般の世論調査の結果も受け止めつつ、防衛装備移転三原則運用指針の見直しを早期に実現すべく、関係省庁とともに、検討を進めてまいります。
防衛省として、今回の結果を参考とし、我が国の平和と安全の確保、国民の安全・安心の確保に万全を期すとともに、防衛省・自衛隊自らが変革しながら、より一層、国民の皆様からの御理解をいただけるよう、迅速かつ分かりやすい情報発信に努めてまいります。
記者との質疑応答
F-35Bの騒音を大臣自身が体感 住民負担への認識と追加対策
記者 :
F-35BはF-15よりも騒音が大きく、時間も長く、深刻な状況だと住民が訴えています。実際に大臣が現場でその音を聞いて、どのように感じたのかという点と、先ほどお話された、指示された対策以外でまた何か考えてることがありましたら教えてください。
大臣 :
本日の視察を通じて感じたF-35Bの騒音については、先ほど冒頭で申し上げましたが、F-15と比べると発生する音が大きく、長時間にわたるものであって、周辺住民の皆様には相当な御負担をいただいているものと受け止めているところです。
実際に小嶋町長からの「大臣が直接感じてほしい」と、こういった昨年のこの声を受けての今日の視察になりましたが、やはり私自身も実際にその体感を持ち帰ったことで、実際に司令に指示を出すことに繋がるという。この住民の皆さんが感じていることを受けて、今後しっかりと現場では対応してまいりたいというふうに思いますし、地域住民の皆様におかれましても、こういった中でも自衛隊の活動に御理解をいただいてることを、改めて感謝の気持ちを強くしております。
こうした周辺地域の御負担を少しでも軽減できるように、F-35Bの運用に当たっては、一部訓練の飛行ルートを調整するなどの方策をできるだけ早期に実行する旨、現地部隊に指示をしました。
また、できる限り早期に、F-35Bの配備も踏まえた騒音対策を実施するため、住宅防音工事の対象区域を見直すための騒音度調査を昨年末に着手し、真に騒音の御負担を受ける住民の方々に対して、より充実した防音工事を実施する考えであり、地元自治体の御意見も伺いつつ、丁寧に対応してまいりたいと思います。
垂直着陸訓練を巡る不信感への対応 訓練回数は増やさない方針
記者 :
緊急時を除き垂直着陸訓練を行わないとしていた方針を一転させて今の訓練を開始し、地元住民がそのため不信感を募らせています。大臣として、その不信や懸念をどう受け止め、払拭していくのかという点に加えて、安全保障環境が厳しさを増す中、今示している訓練回数よりも負担が増える可能性というのはあるのかということを教えてください。
大臣 :
今、御指摘がありましたような、地元の声をしっかりと受け止めて、周辺地域の御負担を軽減する対策を取りまとめた上で、昨年10月、関係自治体の首長の皆様、そして住民の皆様に対して丁寧に御説明をさせていただいたところです。
F-35Bによる訓練については、昨年11月から開始させていただいたところですが、地元の皆様の御懸念を払拭できるように、防衛省としては、お約束した負担軽減策を着実に実行していくことが何よりも大事であると考えています。
昨年10月にお示しをした垂直着陸訓練の回数は、最大限の低減を図ったものですが、安全な飛行、そして、日本を守るために必要不可欠なものは含まれているため、これを超えて訓練を行う考えはありません。新田原基地の運用に当たっては、地元のご協力が不可欠であります。引き続き、部隊運用上の必要性と住民生活とのバランスを図るための努力を積み重ねるとともに、地元の皆様に対する丁寧な説明と適切な情報提供をしっかりと行ってまいります。
世論調査で中国への関心が最上位に 大臣の受け止め
記者 :
大臣冒頭で述べられました、内閣府の世論調査について伺います。内閣府の調査では、これまで防衛問題についての関心事項という項目について、北朝鮮による弾道ミサイル開発などの活動が最も関心を集めていましたが、今回の調査では中国の軍事動向への関心が、初めて北朝鮮に関する関心の数値を上回り、最も関心を集めた結果となりました。中国の軍事動向が国民の関心を最も集めていることについての背景をどのように考えているか、大臣の受け止めとあわせて教えてください。
大臣 :
この世論調査の結果について、背景要因をこれだというふうに一概に申し上げることは困難ではありますが、やはり国民の皆さんが、今、安全保障環境が極めて厳しくなってきていることを肌で感じている結果が出ているというふうに考えていますし、今、御指摘があったように北朝鮮を越えて、中国という関心事が上回ったということでありますが、昨日、私が沖縄で、レーダー照射を30分以上にわたって受けたパイロットや地上クルーと直接お会いをして、その隊員が感じたことを、今、もう様々な形で御紹介をさせていただいたりしていますが、やはり、国民の皆さんも、この今日本を取り巻く環境の中で、特に中国関係の話題がかなり多いのは事実でありますから、そういったことをそのまま受け止めていただいているというのも、やはり一つの、私は要因だろうと思います。このことを、国民の皆さんと安全保障に対する認識をできる限り我々と共有することに繋げていかなければいけないと思います。
特に今年は、防衛省にとっては非常に大きな年で、戦略三文書の見直し。そして、自衛隊の独自の給与体系を作る、この俸給表の改定。こういった、極めて今後の安全保障や自衛隊の在り方に関わるような政策を前に進めていく年でありますので、なぜそれだけ安全保障政策を強化するのか。そして、なぜ自衛官に、そして御家族の皆さんに、これだけの思いを持って待遇を用意したいと思っているのか、こういったことについても、国民の皆さんとの認識を合わせていく上で、私はこの世論調査の結果は、今の御指摘のあった北朝鮮を中国が上回ったという点だけではなくて、今までも相当に高い自衛隊への信頼が、更に上がったということを政策への理解という形に繋げていくように、防衛大臣として全力で努力をしていきたいと思っています。
騒音対策を巡る地元理解の手応え 「不断の努力」を強調
記者 :
F-35Bの騒音対策について、今日、大臣、自治体の方々と意見交換されて、先ほども対策をこのように取り組んでいくと述べられましたけれども、今日のこの懇談と意見交換をもって、地元から理解を得られたという感触をもっていらっしゃるんでしょうか。
大臣 :
地元の自治体の、特に新田原のお膝元でもある小島町長から、大臣がまず直接来てもらいたいと、そういった声にお答えをする形で今日来たこと。そして、そのことで、私自身も直接感じることが多かったわけでありまして、それを受けて、基地司令に二つの指示を出して、少しでも住民の皆さんの負担軽減に繋げたいという形で、今後その指示を形にしていくこと。そしてですね、これは基地の皆さんとの関係を、いかに円滑に、そしてまた自衛隊の隊員や家族に対して、温かい眼差しを向けていただけるような関係構築をするかは、この努力に終わりはないと思っています。
なので、今日をもって今までやってきたことが全てであって、これからはそういった追加のことがありませんということは、全く私は言うつもりはありません。今後も、基地の状況と、そして地元の在り方っていうのは、私も生まれ育ったのが横須賀ですから、様々、その基地があれば、いろんな課題も出てくるっていうことはよく分かります。そういったことに、しっかりと対応する努力をしていくこと。そして、それをできる限り円滑にするために、自衛隊が、時にはお祭りとかも行ったり、地域住民の皆さんと様々な関係構築に汗をかいたり、そういったことが重要であると思いますので、今日は団体の皆さんとお会いをして、もう、今まで代々にわたって、この自衛隊を支える団体を繋いでくださっていることや、正直私も驚いたのは、こんなに関係団体が多い地域ないですよ。
今まで各部隊で視察をしていて、あれだけ多くの団体の皆さんが一堂に会するというのは、やはり新田原の皆さんが繋いでくれた先人たちの積み重ねと、それを決して崩してはならないという今の皆さんの努力の結晶だと思いますので、今回、町長の声にお応えして、少しでも御理解を得られるようにと。そして、これからも御理解を得られ続けるような、不断の努力は止めないと。そういった想いだと御理解いただければと思います。
(以上)
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