森田空幕長が定例会見 航空宇宙自衛隊への改編、中露共同飛行について説明(6月30日)
- 日本の防衛
2026-7-2 20:41
令和8(2026)年6月30日(火)14時30分~14時41分、森田雄博(もりた・たけひろ)航空幕僚長は記者会見を行った。
空幕長からの発表事項と記者との質疑応答は以下のとおり。
空幕長からの発表事項
「航空宇宙自衛隊」への改編
6月26日、防衛省設置法等の一部を改正する法律案が国会において可決・成立したことを受けまして、令和8年度中に、航空自衛隊は「航空宇宙自衛隊」となります。改編に先立ちまして、航空宇宙自衛隊の略称等について定めましたので、お伝えいたします。
まず、航空宇宙自衛隊の略称は、現行の略称である「空自(くうじ)」を維持いたします。また、英語名称につきましては、「Japan Aerospace Self-Defense Force」としまして、英語略称については、これまで同様、各語の頭文字を用いることにより「JASDF(ジャスダフ)」とこれを維持いたします。
今後とも、「空」そして「宇宙」において、国民の命と平和な暮らし、我が国の領土・領海・領空を守るという使命を果たすべく、「航空宇宙自衛隊」への改編に向け、航空自衛隊一丸となって準備に万全を期す所存であります。
記者との質疑応答
宇宙領域に活動を拡げることの意義
記者 :
冒頭でありました、航空宇宙自衛隊への改編について、宇宙領域へ任務を広げる意義について、空幕長のお考えを伺います。
また、今後どのような課題や任務に焦点を当てて取り組んでいくのか、その点も合わせて伺います。
空幕長 :
宇宙領域へ任務を拡大する意義といたしましては、宇宙の利用が国民生活と自衛隊の任務遂行を支える不可欠な基盤となっている中で、国民の皆様の命と平和な暮らしを守るため、我が国全体における宇宙空間の安定的利用の確保、そして我が国の抑止力・対処力の強化に大きく貢献するものと考えております。
宇宙領域における作戦は陸・海・空の領域における作戦と同等の重要性を有しておりまして、航空宇宙自衛隊の改編はその任務を果たすためのものであります。
この宇宙領域での任務といたしましては、宇宙領域把握SDAや、宇宙領域における相手方の指揮統制・情報通信等を妨げる能力の運用などを宇宙作戦集団が担う予定であります。
空及び宇宙の領域において、国民の皆様の命と平和な暮らし、我が国の領土・領海・領空を守るという使命を果たすべく、航空宇宙自衛隊の名にふさわしい組織として、さらなる能力の強化に努めてまいりたいと考えています。
記者 :
続けて質問なんですけれども、宇宙空間は、いわゆる、航空領域や海と違って領域がないとされている中で、その空自としては今後どういう基準で宇宙で活動する領域といいますか、活動する基準、活動の根拠を考えていくのか教えてください。
空幕長 :
今、ご指摘のとおり、宇宙空間には、国境の概念はございません。また、宇宙空間については国際法上、明確には定義されていません。その範囲についても国際的に様々な議論があります。
例えば、宇宙物体の通常の衛星軌道飛行が大気との摩擦によって不可能となるような高度、100km前後と言われていますが、それ以上から宇宙空間が始まるとするといった考え方もあると承知をしています。
その上で申し上げれば、各国は各種衛星が周回している軌道を主に念頭において、宇宙空間の安定的利用等について議論していると承知をしています。防衛省としましてもそのような認識のもと、宇宙にかかる各種施策につき説明してきているところであります。
宇宙空間につきましては、自衛隊による活用のみならず、通信・観測・測位等の面で、今や国民生活の基盤となっています。カーナビや地図アプリ、天気予報など、もはや宇宙利用なしに国民生活は成り立ちません。また、安全保障面でも宇宙空間の利用につきましては、指揮統制、それから情報収集といった軍事作戦上の基盤をなしています。
こうした中にありまして、宇宙領域における我が国の防衛能力を強化するということは、陸・海・空を含むオールドメインにおける自衛隊の能力を増幅させるとともに、宇宙空間の安定的な利用の確保につながるものだと考えています。
防衛省・自衛隊としましては、SDA能力をはじめとする宇宙領域において防衛能力を強化し、国民の皆様の平和な暮らしを支える基盤の守りを固めてまいりたいと考えております。
半年ぶり、10回目の中国軍・ロシア軍機共同飛行
記者 :
話変わりまして、中露共同飛行についてお伺いします。27日、中国とロシアの爆撃機が東シナ海上空や四国沖の上空などを共同で飛行したと発表がありました。
共同飛行が確認されたのは昨年12月以来とのことですけれども、今回の共同飛行について空幕長の受け止めお聞かせください。
空幕長 :
共同飛行の細部につきましては、統合幕僚監部から公表がありましたとおりですが、今ありましたとおり、6月27日土曜日の午前から午後、日本海から四国沖の太平洋にかけまして、中国とロシアの爆撃機、並びに、ロシアの哨戒機が長距離にわたって共同飛行したことを確認いたしました。
また、この際、中国及びロシアの戦闘機が飛行したことを確認しております。これらに対しまして、航空自衛隊の西部航空方面隊等の戦闘機が緊急発進して対応いたしました。
我が国における中露両国の爆撃機によるこのような長距離にわたる活動は、只今ご指摘にありましたとおり、昨年12月以来でありまして、今回で10回目となります。
両国による度重なる爆撃機の共同飛行につきましては、我が国周辺における活動の拡大、活発化を意味するとともに、我が国に対する示威行動を明確に企図したものでありまして、我が国の安全保障上、重大な懸念と考えております。
また、度重なる共同飛行の実施をはじめとしまして、中露両国は我が国周辺において活発な活動を行うとともに、その連携を強化する動きも見られております。
航空自衛隊といたしましては、我が国の領土・領海・領空を断固として守り抜く決意のもと、警戒監視に万全を期すとともに、国際法をはじめとする関係法規に基づきまして、冷静かつ毅然と対領空侵犯措置を行ってまいりたいと考えております。
「JASDF」と「くうじ」がそのまま採用される理由
記者 :
航空宇宙自衛隊の関係で、素朴なところで大変恐縮なんですけれども、英語表記と略称が従来どおりということは、これは何でなんでしょうか。
空幕長 :
先程ご説明をいたしましたところと重複をしますが、航空宇宙自衛隊をそのまま英語にいたしますと「Japan Aerospace Self-Defense Force」となります。
それぞれの各語の頭文字をとると「JASDF」となります。
記者 :
日本語の方は従来どおりというのはどうしてなのでしょうか。日本語の略称はどうして従来どおりなのでしょうか。
空幕長 :
日本語の方の略称「空自(くうじ)」を使用するとしたことでありますが、略称につきましては、日常的に口語でも呼称されるものであります。自衛隊の現場において、混乱なく受け入れられて、それから国民の理解を得られるものとする必要があると考えております。
また、陸上自衛隊、海上自衛隊の略称がそれぞれ陸上なら「陸(りく)」、海上なら「海(かい)」の一文字を用いて構成されているところから、航空宇宙自衛隊のみ「航空」と「宇宙」への双方から一文字を用いて二文字とするのではなく、自衛隊としての統一性を持って一文字を用いることが適当であると考えました。
これらを踏まえると、航空宇宙自衛隊の略称は従来どおり「空(そら)(くう)」の一文字を用いて「空自(くうじ)」という呼称を用いることが適切であると考えた次第であります。
(以上)
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