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政府が「骨太方針2026」を閣議決定 5年以内に防衛力を変革へ(7月22日)

  • 日本の防衛

2026-7-28 13:30

 政府は令和8(2026)年7月21日(火)、「経済財政運営と改革の基本方針2026」(骨太方針2026)を閣議決定し、内閣府の公式サイトに特設ページを公開した。
 この方針で外交・安全保障分野については、我が国を取り巻く安全保障環境が複雑・深刻になっているとの認識のもと、新たな戦略三文書の検討を加速し、「新しい戦い方」に対応すべく5年以内に防衛力の変革を実現するとしている。具体的な施策としては、データ・AIの活用、無人アセットの導入、スタンド・オフ防衛能力の強化から、自衛官の処遇改善・人材確保、サイバーや宇宙の安全保障、さらにシェルターの確保や先島諸島の住民避難訓練まで幅広い。
「経済財政運営と改革の基本方針2026 政策ファイル」と「経済財政運営と改革の基本方針2026について」から、外交・安全保障に関する部分を以下に転載する。全文は記事末のリンクから参照されたい。

経済財政運営と改革の基本方針2026 政策ファイル(一部抜粋)

出典「経済財政運営と改革の基本方針2026 政策ファイル」
出典「経済財政運営と改革の基本方針2026 政策ファイル」

(以上)

経済財政運営と改革の基本方針2026について(一部抜粋)

「第2章 日本の成長力強化と安全・安心の確保」 2.強い外交・安全保障の確立

 法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序が流動化するとともに、中国の一層の軍事力強化や北朝鮮の核・ミサイル開発の継続等によって、我が国を取り巻く安全保障環境は加速度的に変化し、複雑かつ深刻になっている。ロシアによるウクライナ侵略等の教訓は、「新しい戦い方」への対応や持続的な対応能力の確保の重要性を浮き彫りにした。平素からの安全保障上の課題も多様化している。米国は同盟国に対してより大きな役割を求めており、NATO諸国、韓国、豪州等は、中長期的に国防費を増額する目標 73 を掲げるなど、安全保障関連の取組を強化している。こうした中、我が国としては、第一に外交力を強化し、主体的に防衛力を強化するとともに、外交力、防衛力、経済力、技術力、情報力、人材力を有機的に連携させ、総合的な国力を強化していく必要がある 74
73 NATO諸国は2035年までに中核的国防支出を対GDP比3.5%とする目標(2029年に見直し予定)に合意し、韓国は可能な限り早期に国防費を対GDP比3.5%に、豪州は2033年度までに国防費を対GDP比3%に引き上げる旨を表明した。 74 連立政権合意書(令和7年10月20日)を踏まえた施策の在り方についても検討していく。

(1)外交力・安全保障・情報力の強化
 前述の認識の下、新たな「国家安全保障戦略」、「国家防衛戦略」及び「防衛力整備計画」(以下「三文書」という。)の検討を加速し、5年以内に防衛力の変革を実現する。その際、我が国の独立と平和を守り抜く上で必要不可欠な経費を積み上げて「防衛力整備計画」を作成し、その実現に向けた財源の確保と併せて、国民に対して丁寧に説明する。また、海上保安能力、研究開発、公共インフラ整備、サイバーセキュリティ、我が国及び同志国の抑止力の向上等のための国際協力、エネルギー・食料等国民生活を支える基盤の戦略的強化 75 を始め、政府横断的な取組 76 を明確にする。このような様々な取組を積み上げ、将来にわたり我が国を守り抜くための抑止力・対処力を総合的に強化し、我が国の安全保障に万全を期す。同時に、安全保障の礎である経済・金融・財政の基盤強化に不断に取り組む。
 本年中に改定する三文書を踏まえて編成される令和9年度予算については、同文書に係る議論を経て結論を得る必要があることから予算編成過程において検討し、必要な措置を講ずる。
75 エネルギー・食料等国民生活を支える基盤の戦略的強化に向けた関係閣僚会議。 76 経済安全保障上特に重要な分野の危機管理投資・成長投資等の扱いについても引き続き検討を行う。
(外交力の強化)
 外交と防衛を車の両輪として、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化を図り、分断と対立の進む世界を開放と協調へ導くため、「平和と繁栄を創る『責任ある日本外交』」を展開 77 し、外交力を抜本的に強化する。日米同盟を基軸に、G7、ASEAN、豪、印、韓、EU、NATOを含む同志国・機関等、また、グローバル・サウスとの連携を強化する。あわせて、進化した「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の取組を推進する。政府安全保障能力強化支援(OSA)及び安全保障・経済安全保障に資するODAの規模を拡大し、地域の平和と安定に貢献する。
 経済外交では、ルールに基づく自由貿易体制の維持・拡大 78 に取り組むとともに、「信頼できる経済圏」を構築する。CPTPPの国内対策を進めつつ、締約国の拡大及び協定改定、価値を共有する域外パートナーとの連携強化、体制・機能強化を進める。グローバル・サウスを始めとする地域に、インフラシステム 79 を含め、企業の海外展開支援を進める。日米間の合意の一環として、日米の戦略的投資イニシアティブを着実に実施するため、国際協力銀行・日本貿易保険に必要な措置を講ずる。
 ウクライナ支援及び対露制裁を継続する。国際協力については、JICA海外協力隊等の活用、人道危機と復興ニーズへの対応、地球規模課題の解決に向け、国際金融機関との連携も含め、様々な形でODAを拡充する。また、「核兵器のない世界」に向けた取組、安保理改革・邦人職員増等の国連機能強化、文化外交の充実、和平調停機能の強化等に取り組む。日朝平壌宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して、国交正常化を実現する。外交・領事実施体制の抜本的強化のため、合理化・効率化を図りつつ人的体制の強化、在外公館の強靱化等に取り組む。
77 令和7年10月28日の日米首脳会談において、両首脳は、「自由で開かれたインド太平洋」を力強く推進するために、緊密に連携していくことを確認。中国をめぐる諸課題について意見交換を行い、力又は威圧による一方的な現状変更の試みに反対し、日米で緊密に連携していくことを確認し、台湾海峡の平和と安定の重要性を改めて確認。 78 EPAやWTO改革の推進を含む。 79 「インフラシステム海外展開戦略2030」(令和6年12月24日経協インフラ戦略会議決定)。
(安全保障の強化)
 高度に自律的で強靱な能力の発揮のため、装備・体制の両面で5年以内に防衛力を変革する。データとAIの活用、無人アセット導入、反撃能力にも活用し得るスタンド・オフ防衛能力の強化等により、「新しい戦い方」に適応する。激化する人材獲得競争も見据え、給与体系の改定を始め、自衛官の処遇改善や長期活用等を推進するとともに、退職自衛隊員・家族への支援について、新たな庁の設置を含め取組の強化を検討する。また、防衛省の組織を抜本的に強化する。
 持続的な対応能力の確保に向けた取組を強化し、それを支えるため、防衛生産基盤強化法 80 の見直しも視野に、安定供給が困難な重要装備品のGOCO 81 等による国の関与、平素における民生品や装備移転での活用を前提とした増産能力強化等の検討を行う。装備移転において、官が正面に立つ移転 82、融資、伴走支援等の検討や関係機関との連携を進める。スタートアップの更なる活用を進めるとともに、国研・大学等への防衛研究基盤整備等を通じ、防衛力を支える研究開発を促進することで、最先端技術を迅速に取り込む。これらを一体的に推進するため、国の関与を担保した法人の設置の検討を進める。
 日米同盟の抑止力と対処力を高めるとともに、実効性の高い形で同志国等との連携を強化する。在日米軍再編及び基地対策等を推進し、地域社会の理解等を得る施策を推進する。
 あわせて、海上保安庁の巡視船等の増強更新、運航費の確保、情報通信機能強化、無人機・無人船等の新技術の活用推進、国内外機関との連携、人材確保や処遇向上等を進める。
「シェルター方針」83 に基づき様々なシェルターの確保を図るほか、先島諸島の住民避難に係る国民保護訓練を実施し受入れ基本要領を作成する等、国民保護の体制を強化する。
 宇宙安全保障の強化に向け、衛星コンステレーションの構築等に取り組む。
 サイバー対処能力強化法等 84 を着実に実施するための体制整備 85 を行うとともに、国家安全保障の観点からサイバー空間での情報収集や対処の在り方を検討する。AI性能の高度化を踏まえ、政府内の情報セキュリティ体制を強化する。自律的な運営・管理を確保した上で、機密性の高い情報を扱うために必要な情報保全・秘密保全措置を講じたクラウドの導入を進める。そのため、2026年中に最適な調達方法等について一定の結論を得る。国家安全保障戦略の改定に係る議論を踏まえ、所要の措置を検討する。
80 防衛省が調達する装備品等の開発及び生産のための基盤の強化に関する法律(令和5年法律第54号)。 81 Government-Owned, Contractor-Operated(国有施設民間操業)の略称。 82 移転時における独自収入の確保を行うことを含む。 83 「緊急事態を想定した避難施設(シェルター)の確保に関する基本方針」(令和8年3月31日閣議決定)。 84 重要電子計算機に対する不正な行為による被害の防止に関する法律(令和7年法律第42号)及び重要電子計算機に対する不正な行為による被害の防止に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(令和7年法律第43号)。 85 内閣官房・内閣府、警察、防衛省・自衛隊が三位一体となって中核的な機能を担う体制整備を行う。
(情報力の強化)
 戦後最も厳しく複雑な安全保障環境の中、健全な民主主義の維持、政府の円滑な意思決定、対外発信を支えるインテリジェンス機能を抜本的に強化する。
 国家情報会議・国家情報局の設置に伴う情報収集・分析能力の強化のため、対外情報収集機能の充実強化、AI等を活用した情報通信基盤の整備、人材育成等を推進するとともに、人的情報の収集体制を含めこれら活動を支える関係省庁の体制を可及的速やかに強化する。対外情報を収集するための有効な組織の在り方について検討を進める。情報収集衛星の機数増を着実に実施することで、更なる機能の拡充・強化を図る。
 選挙の公正や自由な報道といった民主主義の根幹を脅かす、偽情報の拡散を含む外国からの影響工作に関する情報収集・分析能力を強化する。
 認知戦対応のためにも、多言語による正確な発信や国内外の有識者・有力シンクタンク等と連携した効果的で戦略的な発信を抜本的に強化する。歴史認識や領土・主権の調査研究・内外発信を抜本的に強化する。
(2)経済安全保障の強化
 経済安全保障は、危機管理投資・成長投資と表裏一体である。「成長戦略」を大胆に推進し、経済安全保障を確保する。加えて、国家及び国民の安全を経済面から確保すべく、我が国経済社会の自律性の向上、優位性・不可欠性の確保、国際秩序の維持・強化を図る。これらのため、国家安全保障局を司令塔とする政府全体の推進体制を強化する。
 経済安全保障上の面から懸念されるあらゆる事態を念頭に、エネルギー・食料・医薬品・医療機器・生活必需品等の国民生活・産業活動の維持に必要な物資、海上輸送等の物流も含めた社会インフラ基盤についてリスクの総点検を包括的なアプローチで行い、その結果明らかとなる脆弱性を解消するための措置を講ずる。我が国のサプライチェーン・製造基盤を上流から下流まで強靱化するため、汎用品も含む重要な基盤的物資や、将来更に重要性が高まる物資を支える部素材、資源循環等へ支援対象を拡大するとともに、包括的な取組を進める。経済合理性に委ねると安定供給確保が困難な領域については、国による更なる支援の方策について検討する。
 改正経済安全保障推進法及び国際協力銀行法 86 に基づき、重要な物資の供給に不可欠な役務への支援を含めた重要物資の安定供給確保、経済安全保障上重要な海外事業への支援(OESA 87)に取り組む。OESAは国際秩序の維持・強化を主導していく上で重要であることも踏まえ、JBICの財務基盤・専門人材の確保を含む体制強化に取り組む。人材確保及び環境整備を進め、2026年度中の総合的な経済安全保障シンクタンク機能の構築を目指す。特定重要技術 88 の研究開発を促進すべく「経済安全保障重要技術育成プログラム」の強化に向けた制度設計を進めるとともに、国際共同研究を推進する。
 安全保障上重要な個人機微データの防護に関する法案の早期提出を目指すとともに、データセンター・クラウドの安全性等を確保するために必要な措置を講ずる。AI性能の高度化を踏まえ、重要インフラ事業者等のサイバーセキュリティを強化するとともに、ベンダによるソフトウェアの脆弱性に対する早期発見・対応能力を向上させる。
 機微技術流出等の経済安全保障上のリスクへの対応を強化するため、対日外国投資委員会を通じた省庁横断的な審査体制の抜本的強化を始め、改正外為法 89 に基づく投資審査の高度化に取り組む。経済安全保障の観点から重要な技術の管理を強化すべく、制度的措置を講ずる。研究セキュリティ・インテグリティの確保、留学生・外国人研究者の受入審査を強化する。経済的威圧や各種制裁への対応を強化する。輸出管理の強化に取り組むとともに、貿易救済措置の実効性向上のため、迂回防止や手続迅速化等の不当廉売関税制度の高度化、調査体制の強化等を図る。
86 経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律及び株式会社国際協力銀行法の一部を改正する法律(令和8年法律第38号)。 87 Overseas Economic Security Arrangement。 88 将来の国民生活・経済活動の維持にとって重要なものとなり得る先端的な技術のうち、その技術が外部に不当に利用された場合等において国家・国民の安全を損なう事態を生ずるおそれがあるもの(経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律(令和4年法律第43号)第61条)。 89 外国為替及び外国貿易法の一部を改正する法律(令和8年法律第30号)。

「第2章 日本の成長力強化と安全・安心の確保」 3.国民の安全・安心の確保

(1)防災・減災・国土強靱化の推進
(令和の国土強靱化対策、防災対策の推進)
 激甚化・頻発化する自然災害やインフラ老朽化等の危機から、現在と未来の国民の生命・財産を守り抜き、強い経済を下支えするため、令和の国土強靱化対策を断行する。
 「国土強靱化基本計画」90 が示す基本的方針等を踏まえ、「国土強靱化実施中期計画」91 及び「国土強靱化年次計画2026」92 に基づく施策を『「強く豊かな日本」投資枠』を活用して推進し、テクノロジーを駆使してハード・ソフト両面の対策を強化する。
 防災庁を設置し、徹底的な事前防災の推進及び発災時から復旧・復興まで一貫した政府全体の司令塔機能を強化する。併せて設置する地方機関の防災局により、地域の防災力向上を支援する。また、シミュレーションを通じた災害リスク評価を活用するなど、企業や地域の防災力を強化する。
 迅速な初動体制の確保に資する緊急参集職員の処遇改善を含む防災分野の人材確保・育成に関する検討、危機管理用宿舎の整備を始め、地方支分部局等を含む国の災害支援体制・機能の充実・強化を進める。船舶活用医療の提供体制の整備を推進する。災害廃棄物処理体制を充実させる。
 千島海溝地震、日本海溝地震、首都直下地震及び南海トラフ地震の対策を推進するとともに、富士山噴火等の火山災害への対策や、火山調査研究推進本部における調査研究、人材確保・育成に取り組む。
 衛星・AI技術による消防・防災DX、防災気象情報の高度化を推進する。林野火災対応を始め消防防災力の充実・強化を進める。危機管理投資・成長投資を活用し、防災技術の研究開発及び防災産業の育成・海外展開を促進する。
 被災者支援体制を強化し、避難生活環境を抜本的に改善する。官民連携による担い手確保や物資・資機材の整備・運用体制確保を進める。被災者の心のケア、避難所等の耐災害性の強化や有事の際の機能発揮にも取り組む。
 防災・減災には、災害教訓の伝承による行動変容やフェーズフリー 93 の取組が重要である。防災教育を推進し、実践的な普及啓発を推進する。
 首都直下地震を始めとした大規模災害時においても政府が必要な意思決定機能を維持し、経済安全保障上のリスクを始め災害時の諸課題に適切に対応するため、政府の代替拠点及び首都中枢における防災性能を強化するための環境整備を進める。その際、新たな財政負担が生じないよう、官民連携・規制緩和により民間資金・民間活力を最大限活用する。
90 令和5年7月28日閣議決定。 91 「第1次国土強靱化実施中期計画」(令和7年6月6日閣議決定)。高規格道路のミッシングリンクの解消、無電柱化、大雪対策等を含む。 92 令和8年7月3日国土強靱化推進本部決定。令和8年度与党税制改正大綱では、道路関連インフラ保全の重要性等にも留意しつつ、いわゆるガソリン暫定税率廃止の財源確保について令和9年度税制改正において結論を得るとされていることも踏まえる。 93 平時と災害時の境界をなくし、平時の生活を充実させることで災害時の生活も充実させるという考え方。

(4)外国人政策の推進
(前略)
 安全保障等の観点から、外国人の土地取得等のルールの骨格を2026年夏に取りまとめるとともに、土地等の調査・利用規制等を図る重要土地等調査法 111 の執行体制を強化する。地下水の適正な保全・利用を確保する仕組みや、土地の取得・利用に関する情報把握強化と監督のための制度について、法制化を含め検討する。
111 重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律(令和3年法律第84号)。

(以上)

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