海上幕僚長が記者会見 令和8年度第1回米国派遣訓練などについて説明(9月8日)
- 日本の防衛
2026-9-10 13:45
防衛省 海上幕僚監部は令和8(2026)年9月8日(火)、同日13時30分~13時49分に防衛省A棟10階会見室において行われた齋藤 聡(さいとう・あきら)海上幕僚長の記者会見の要旨を以下のように発表した。
海幕長定例記者会見要旨
海幕長 :
本日、私から2件、発表します。
1件目、令和8年度第1回米国派遣訓練についてです。潜水艦「はくげい」は、9月10日(木)から12月2日(水)までの間、ハワイ諸島周辺において実施する令和8年度第1回米国派遣訓練に参加します。本訓練では、米海軍の協力を得て、施設利用訓練や対潜戦訓練等を実施します。潜水艦の米国派遣訓練は、昭和38年から毎年実施しており、リムパックへの派遣を含めて今回で91回目となります。なお、ハワイ諸島周辺で実施する米国派遣訓練に、「たいげい」型潜水艦を派遣するのは今回が初めてとなります。
2件目、防衛大臣の呉・江田島・岩国方面視察についてです。
昨日9月7日、小泉防衛大臣が日本製鉄呉地区跡地、海上自衛隊江田島地区及び岩国地区を視察され、私も防衛大臣に随行して、現地の状況を確認しました。
呉地区は、海上自衛隊の主要な拠点が所在する我が国の安全保障上極めて重要な地域です。この地に多機能な複合防衛拠点を整備することは、安全保障上重要な意義を有するものと認識しております。また、海上自衛隊の教育の中核である幹部候補生学校及び第1術科学校に加え、特別警備隊、そして岩国航空基地を訪問し、学生の教育や任務に当たる状況を確認するとともに、学生や隊員を激励しました。
令和8年度第1回米国派遣訓練について
記者 :
潜水艦の米国派遣訓練は、今年で91回目ということですが、改めて潜水艦を米国に派遣して訓練を行う意義や前回の米国派遣訓練との違いや特徴について教えてください。
海幕長 :
今回の米国派遣訓練は、米海軍の協力を得て各種訓練を実施することにより、海上自衛隊潜水艦部隊の戦術技量を向上させることを目的としています。
潜水艦は海上自衛隊の抑止力・対処力を支える重要なアセットであり、対潜戦に係る技術や運用環境は絶えず変化しておりますので、こうした知見を継続的に取り入れるため、毎年米国に潜水艦を派遣し訓練を実施しています。米海軍は潜水艦戦術に関して最先端の知見を有しており、施設利用訓練や対潜戦訓練等を実施することは、海上自衛隊の潜水艦運用に係る戦術技量の向上を図る上で極めて有意義であると認識しています。
今回の訓練に関して、これまでの米国派遣訓練との大きな違いはありませんが、特徴的な点として、幹部を含む5名の女性隊員が乗艦しています。
米海軍の新型フリゲートについて
記者 :
先日、アメリカ海軍協会のUSNIニュースが、アメリカ海軍の新型フリゲートに日本の新型FFM、韓国及びトルコのフリゲートが候補として検討されていると報じておりますが、海幕長としてどのように受け止めていますでしょうか。
海幕長 :
米海軍の艦艇建造計画に関して、一つひとつお答えする立場にはありませんが、米国やその他の国が海上自衛隊のビークル導入に向けて検討しているというのであれば、我が国の優れた技術を結集した装備品に対する高い信頼と評価の表れと認識しておりますので、率直にうれしく思っております。今後、協力の要請があれば、積極的に対応していきたいと思っております。
米海軍関係者との懇談について
記者 :
昨年4月、当時のフェラン米海軍長官が来日して海幕長と懇談されたほか、日本のJMUを視察されて、アメリカの造船所への投資を促したとニュースサイトが報じています。これまで、フェラン氏含むアメリカ海軍関係者との懇談の中で、日本のもがみ型や新型FFMについてアメリカから高い評価や関心を示す意見はありましたでしょうか。
海幕長 :
これまで、私のカウンターパートあるいは関係者との意見交換や懇談はその都度実施しており、さまざまなことについて議論しております。その細部については、相手国との関係がありますので、お話することはできませんが、装備品、防衛力強化や運用協力について幅広く議論し、意見を交わしています。これ以上は差し控えます。
防衛大臣の広島視察について
記者 :
昨日の広島への視察について、視察の中で学生や若い隊員との意見交換があったと思いますが、具体的にどのような意見が出たのか、伺える範囲で教えてください。
海幕長 :
先ほど申し上げたとおり、昨日、防衛大臣と隊員や家族との懇談の機会を設けました。
隊員は当初、緊張した面持ちでしたが、防衛大臣の話し方に引き込まれ、積極的に発言する姿が印象的でした。私が各部隊を回って懇談する際には、緊張を和らげるまでにかなり時間がかかりますが、大臣との懇談では、すぐに率直な意見が出てきました。
話した内容については、大臣も会見で述べられているとおり、隊員から手当のこと、処遇全般のこと、最新の装備に関する要望等がありました。また、一部の隊員からは、第一線救護員について細部の要望がありました。このほか、訓練教育に使用している訓練装置に関する要望や、古くなっている官舎に関する意見がありました。また、部隊から参加した女性隊員からは、所属部隊の充足率が若干低く、もう少し充足率を高めることはできないかという要望がありました。また、体育をしっかり行っている隊員からは、週に3時間、体育を行うこととされているものの、仕事の途中で体育のために抜けることは周囲に気を使い、実施しにくいという話があり、改善できないかとの要望もありました。
細部について海上幕僚監部でしっかり分析し、隊員の要望に応えられるようにしていきたいと思っています。
海上自衛隊のSNS広報について
記者 :
省内外でも注目されておりますが、海上自衛隊のSNSで発信している「きょうのかいばくちょう」シリーズについて、最近、更新が滞っているのではないかと指摘させていただきます。一方で、マスコットキャラクターの「カイジョウジエイ鯛くん」を活用した広報は、防衛省・自衛隊の各SNSにも広がっているように見受けられます。
海幕長は、特に海上自衛隊では人材確保のために「尖った広報」が必要であると述べられてきましたが、これまでの実際の効果をどのように実感していますでしょうか。また、今後、SNS等で取り組みたいことがあれば教えてください。
海幕長 :
「きょうのかいばくちょう」については、現在、若干お休みしているところもありますが、いろいろなアイデアを基に発信の幅を広げていきたいと思っています。ただし、これは単なる楽しみのためだけに発信するものではないと考えています。その先に、海上自衛隊に対する理解の促進や、隊員の募集への良い効果がなければ意味がありませんので、しっかりと進めていきたいと思っています。
こうした「尖った広報」にどのような効果が表れているかについては、今得られている情報からは、募集に若干良い影響を与えているという分析があります。まだ少ないデータですので、より多くのデータでしっかり分析したいと思っています。また、入隊した隊員への聞き取りなども行い、どのような方法が効果的であったのかを確認し、次の施策につなげていきたいと思っています。
米国派遣訓練に参加する女性隊員について
記者 :
冒頭発言にあった米国派遣潜水艦訓練について伺います。女性隊員が5名乗艦するとのことですが、例年の同訓練に比べても多いのではないかと思います。女性隊員に期待することがあれば教えてください。
海幕長 :
米国への派遣訓練で過去に女性隊員を派遣したのは、令和6年のグアムへの派遣ですが、今回、ハワイへ派遣するのは初めてであり、5名の隊員を乗艦させています。近年、女性隊員の配置制限が撤廃され、女性の活躍の機会はさらに広がっていると思っています。海上自衛隊としても、女性隊員を含め、全ての隊員がしっかりと仕事に就けるよう、様々な環境の改善に努めていきたいと思っています。また、女性隊員の更なる活躍に期待しています。
チリへの護衛艦移転について
記者 :
スペインの防衛専門サイトが、日本とチリが、海上自衛隊の「むらさめ」型、「たかなみ」型及び「あきづき」型護衛艦の移転について協議・検討していると報じ、インターネット上で話題になっています。実際に、チリへの護衛艦移転について検討や協議をしているのでしょうか。それとも、根拠のない報道なのか教えてください。また、なぜチリなのかという点も驚きをもって受け止められていますがどのようにお考えでしょうか。
海幕長 :
チリに限らず、他国海軍との調整や議論の中身について、細部を明らかにすることは差し控えます。
一方、チリ海軍は西太平洋海軍シンポジウム、WPNSに参加しています。チリは西太平洋諸国ではありませんので、当初はオブザーバーでしたが、毎回積極的に参加していたことから、メンバー国から、チリをメンバー国として加えてはどうかとの意見があり、ある時期からメンバー国となり、毎年積極的に参加しています。遠い国ではありますが、太平洋を通じて隣り合う国であり、頻繁に意見交換を行っている国です。西太平洋に非常に関心があり、海軍力をしっかりと整備している国でもあります。機会があれば意見交換を行っており、近いうちに幕僚協議も実施されると聞いていますので、両海軍の関係をしっかりと構築していきたいと思っています。ただし、先程のご質問の内容については差し控えます。
第一線救護員の能力強化について
記者 :
先ほど、昨日の江田島での隊員との懇談において、第一線救護員の能力の強化について要望があったとのお話がありました。一般論で結構ですが、海上自衛隊員が第一線で負傷した場合に必要とされる救護能力とは、例えばどのようなものがあると認識していますでしょうか。
海幕長 :
艦艇を想定してお答えすると、各艦艇には准看護師の資格を持つ衛生員が1名乗艦しています。その衛生員がさらに高度な処置、例えば止血や医師から指示された処置を行うなど、高いレベルの処置を実施するためには、第一線救護員の資格が必要であると認識しています。前線の部隊が戦いを継続するためにも必要な能力であると考えていますので、海上自衛隊としては、第一線救護員の増員や能力強化に継続して力を注いでいます。今後も引き続き取り組んでいきたいと思っています。
日本製鉄呉地区跡地への企業誘致について
記者 :
呉の日本製鉄跡地について、企業誘致の募集がすでに始まっていると承知していますが、具体的に、どのような業種の企業に進出してほしいと考えていますでしょうか。呉周辺には造船会社が集中していることから、護衛艦や潜水艦の修理を行いやすくするための溶接、板金等の関連企業が考えられる一方、海上自衛隊が力を入れている無人潜航機やAI等のハイテク関連企業も考えられます。呉という立地も含め、どのような業種に期待するか、お考えを教えてください。
海幕長 :
私の立場で、どのような業種に期待するかをお答えすることは極めて難しいため、その点については回答を差し控えます。ただし、昨日の大臣の記者団に対する回答の中に、地域の活性化にもつなげるとの趣旨の発言がありましたので、そういった方面の企業が進出することは非常に良いのではないかと思っています。また、昨日、私も大臣に随行しましたが、民間企業を誘致する区域については、すでにきれいになっている状況でした。
9月1日に民間企業の誘致に係る募集が開始されていますが、多くの企業から積極的な応募があることを期待しています。
(以上)
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