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日米安全保障協議委員会(「2+2」)を実施(7月28日)

  • 防衛省関連

2024-7-31 10:10

 防衛省は令和6(2024)年7月28日(日)18時45分、同日、木原稔(きはら・みのる)防衛大臣、上川陽子(かみかわ・ようこ)外務大臣、オースティン国防長官、ブリンケン国務長官が、日米安全保障協議委員会(「2+2」)を東京において実施したことを公表した。
 内容は以下の通り。

日米安全保障協議委員会(日米「2+2」)(概要)

 7月28日午後3時15分から約1時間20分、日米安全保障協議委員会(日米「2+2」)が開催され、日本側からは、上川陽子外務大臣及び木原稔防衛大臣が、米側からは、アントニー・ブリンケン米国国務長官(The Honorable Antony Blinken, Secretary of State of the United States of America)及びロイド・オースティン米国国防長官(The Honorable Lloyd Austin, Secretary of Defense of the United States of America)がそれぞれ出席したところ、概要以下のとおりです(また、今回の会合後、共同発表(仮訳/英文)が発出されました。)。

総論

(1)冒頭、日本側から、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を揺るがす動きが続いており、我々の今日の決定が将来を決定づける重要な局面にある、既存の国際秩序を守り抜くために、同盟を絶え間なく強化し、抑止力を高めていかなくてはならない旨発言しました。米側は、自由で開かれたインド太平洋地域を維持する我々の能力を支える同盟の役割、任務及び能力の強化における並外れた進展を祝福しました。

(2)日米双方は、4月の岸田文雄内閣総理大臣の米国公式訪問が、日米同盟をかつてない高みに到達させる歴史的な訪問であることを確認した上で、同訪問を受け、未来のためのグローバルなパートナーシップを築くというビジョンと共に、同盟の指揮・統制の向上、防衛産業及び先端技術協力の深化並びに領域横断作戦の強化を含む、新たな戦略的イニシアティブを実現する意図を再確認しました。

(3)米側は、核を含むあらゆる能力を用いた日米安全保障条約第5条の下での日本の防衛に対する米国の揺るぎないコミットメントを改めて表明するとともに、日米安全保障条約第5条が尖閣諸島に適用されることを改めて確認しました。日本側は、平時から緊急事態に至るあらゆる状況への切れ目のない対応により、インド太平洋地域の平和及び安全を維持していく上での自らの役割を再確認しました。

地域情勢

 四閣僚は、地域の安全保障環境について率直な意見交換を行い、認識のすりあわせを行いました。

(1)日米双方は、中国の外交政策が、自らの利益のために国際秩序を作り変えようとしているとの見解で一致しました。日米双方は、中国が国家、企業及び市民社会に対し政治的、経済的及び軍事的な威圧を用いていること、また、目的を達成するために、技術の転用を通じて軍事上の近代化を促進していることを強調しました。日米双方は、このような行動は、同盟及び国際社会全体にとっての深刻な懸念であり、インド太平洋地域及びそれを越えた地域における最大の戦略的挑戦であるとの認識で一致しました。

(2)日米双方は、尖閣諸島に対する日本の長きにわたり、かつ、平穏な施政を損なおうとする行為を通じたものを含む、中国による東シナ海における力又は威圧による一方的な現状変更の試みが強まっていることや、南西諸島周辺でのエスカレートする行動に対し、強い反対の意を改めて表明しました。

(3)日米双方は、台湾に関する両国の基本的な立場に変更はないことを認識するとともに、国際社会の安全と繁栄に不可欠な要素である台湾海峡の平和と安定の維持の重要性を改めて表明し、両岸問題の平和的解決を促しました。

(4)日米双方は、北朝鮮による弾道ミサイル発射の継続を強く非難しました。日米双方は、北朝鮮による継続する核兵器・ミサイル計画及び核のレトリックを非難し、北朝鮮の完全な非核化へのコミットメントを改めて確認しました。また、拉致問題について、米側から引き続き全面的な支援を得ました。

(5)日米双方は、ロシアによるウクライナ侵略を強く非難しました。日米双方は、ロシアによる中国との増大する挑発的な戦略的軍事協力や、中国によるロシアの防衛産業基盤への支援について懸念を持って強調しました。日米双方は、露朝軍事協力の深化を強く非難し、大量破壊兵器や弾道ミサイルに関連する技術等の北朝鮮への移転の可能性について深い懸念を表明しました。

同盟の現代化

 四閣僚は、同盟の抑止力・対処力を一層強化する方策について議論を行いました。

(1)日米双方は、演習及び協議を通じてあらゆるレベルでの同盟の政策及び運用に関する調整を強化し、平時から緊急事態に至るまでの同盟のプロセスに関する共通の理解を醸成する必要性を確認し、二国間でそれぞれの指揮・統制の枠組みを向上させる意図を再確認しました。その上で、既存の同盟調整メカニズム(ACM)が、平時から緊急事態までの全ての段階における自衛隊及び米軍によって実施される活動に関する、二国間の政策面及び運用面での調整を促進するメカニズムで在り続けることを確保することを原則の一つとしつつ、作業部会を設置し、自衛隊の統合作戦司令部(JJOC)と米軍のカウンターパート関係等について議論を進めていくことで一致しました。

(2)日米双方は、日本のスタンド・オフ防衛能力の構築における進捗を歓迎しました。日米双方は、米国との緊密な連携の下での日本の反撃能力の効果的な運用に向けた日米協力の進展を強調しました。

(3)日米双方は、日本の南西諸島における二国間のプレゼンスを向上させるという同盟の目標を再確認しました。日米双方は、同盟の活動の重要性に関するコミュニケーションの強化を通じて、地域社会との強固な関係を支えていくことを含め、これらの取組のための地域社会との継続的な協調の重要性を強調しました。

(4)日米双方は、同盟の抑止力の信頼性を支える同盟の即応性を維持・強化するため、実践的かつ領域横断な訓練及び演習の範囲の向上・拡大といった二国間の取組を確認しました。日米双方は、将来の戦闘機パイロットの教育と即応性のためのワーキンググループ(WG-FFTR)の第一回会合を歓迎しました。

(5)日米双方は、情報収集、警戒監視及び偵察(ISR)協力の着実な進歩を確認しました。また、日米共同情報分析組織(BIAC)の成果を歓迎し、今後の協力取組に関する継続的な議論を通じてBIACを強化・拡大することに合意しました。

(6)日米双方は、サイバー、宇宙、電磁波、情報戦を含む領域横断作戦に関する二国間協力の強化にコミットし、これら全ての領域が将来の抑止力及び対処力の概念にとって重要であることを認識しました。

(7)日米双方は、サイバーセキュリティおよび情報保全は同盟の基盤であることを強調し、同盟の抑止力向上のためのサイバー領域における対処力強化に向けた協力の推進を議論しました。

(8)日米双方は、イノベーションを促進し、産業基盤を強化し、強じんで信頼性のあるサプライチェーンを促進し、将来戦略的に重要となる産業を構築するために、我々の経済、技術及び関連する戦略を最大限に整合させるという日米両首脳の目的を再確認しました。その観点から、日米双方は、日米防衛産業協力・取得・維持整備定期協議(DICAS)の初会合を歓迎しました。日米双方は、AMRAAM及びPAC-3MSEの生産能力拡大のために、互恵的な共同生産の機会を追求するという優先度の高い取組を歓迎しました。また、日本側から、共同生産を進めるに当たっては、米側からの更なる技術開示等、互恵的な協力となることが必須である旨発言しました。

(9)日米双方は、日米同盟が、豪、韓、比、ASEAN、太平洋島嶼国、NATOといった国や国際機構との多国間協力を深化・拡大するための両国の取組の中核であることを再確認しました。

米軍の態勢

 四閣僚は、日米同盟の抑止力を維持しつつ、沖縄を始めとする地元の負担軽減を図る観点から、米軍の態勢について議論しました。

(1)日米双方は、地域における安全保障上の課題の増大に対処し、将来これらの課題に対処するためにより適切な態勢をとるために、同盟の戦力態勢を最適化することの重要性を強調しました。この目的のため、日米双方は、日本全土で戦術戦闘機を近代化する米国の計画を歓迎しました。

(2)日米双方は、抑止力を維持し、地元への影響を軽減するため、沖縄における代替施設の建設及び土地返還を含む、沖縄統合計画及びその他の既存の二国間取決めに従った在日米軍再編の着実な実施への確固たるコミットメントを改めて表明しました。日米双方は、普天間飛行場の可能な限り早期の全面返還に向け、辺野古における普天間飛行場代替施設の建設を含む二国間の取組を加速化させる重要性を強調しました。日米双方は、沖縄からグアムへの海兵隊要員の移転が2024年に開始されることを確認しました。

(3)日本側から、地元への影響に最大限配慮した安全な運用、早期の通報を含む事件・事故での適切な対応、環境に係る協力などについても米側に改めて要請し、日米双方は緊密に連携していくことを確認しました。日米双方は、同盟協力の精神に基づき、容認することのできない事件や行為を防ぐために、在日米軍によって実施される取組を前向きに評価しました。

写真:防衛省
写真:外務省
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