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木原防衛大臣が記者会見 無人機の試験運用、中国軍機による領空侵犯についての質問などに回答(8月27日)

  • 防衛省関連

2024-8-29 11:00

 令和6(2024)年8月27日(火)10時57分~11時25分、木原稔(きはら・みのる)防衛大臣は、防衛省A棟11階第1省議室において閣議後会見を行った。

大臣からの発表事項

なし。

記者との質疑応答

鹿屋航空基地での無人機シーガーディアンの試験運用について

記者 :先月まで、鹿児島の海上自衛隊鹿屋航空基地で無人機のシーガーディアンを試験運用されていた関係で質問です。
 今後も試験運用を鹿屋でやる可能性があるのかということと、南西諸島の警戒監視に活用できるかどうかのために試験運用をされていると伺っていますが、今後、それを踏まえて鹿屋で運用する可能性というのが現時点、どのくらいあるのか伺えたらと思います。

大臣 :海上自衛隊では、昨年の5月より八戸航空基地を拠点に、滞空型の無人機(UAV)でありますシーガーディアンの試験的運用を行ってきております。その中で、本年の7月には、御指摘のように鹿屋航空基地への離着陸や、また、鹿屋航空基地を活用した東シナ海での模擬的な警戒監視による運用の検証を行いました。試験的運用は本年9月、来月に終える予定であるところ、現在、この試験的運用で得られた知見等も活用し、将来の滞空型無人機の導入に向けて、機種選定に係る作業を進めていると、そういう段階であります。
 将来の東シナ海での警戒監視におけるUAVの活用の可能性であるとか、あるいは具体的な配備先であるとか、そういったことは、今般の試験的運用で得られた知見や選定機種等も踏まえて検討を進めていきたいと、現時点ではそういう考えでございます。

中国軍のY-9情報収集機による領空侵犯について

記者 :昨日の午前ですが、中国軍機の情報収集機が長崎沖の日本の領空に一時侵入したという事案が発生しております。中国軍機による日本の領空侵犯が確認されたのは初めてだということですけれども、防衛省の受け止めと対応についてよろしくお願いいたします。

大臣 :昨日8月26日ですが、11時29分頃から11時31分頃にかけて、中国軍のY-9情報収集機1機が長崎県男女群島沖の我が国領海上空において領空侵犯していることを確認しました。これに対して、自衛隊は、航空自衛隊西部航空方面隊の戦闘機を緊急発進させ、通告及び警告を実施する等の対応を実施したところです。
 中国軍所属航空機による我が国領空の侵犯は、我が国の主権の重大な侵害であるだけではなく、安全を脅かすものであり、全く受け入れることはできません。同日中に中国政府に対して外交ルートで極めて厳重に抗議するとともに、再発防止を強く求めたところです。
 当該中国軍機の行動の意図・目的について、事柄の性質上、確たることをお答えすることは困難でございますが、いずれにしましても、防衛省としては、中国の軍事動向に対し、引き続き強い関心をもって注視するとともに、警戒監視及び対領空侵犯措置に万全を期してまいります。

記者 :今の関連で、中国軍機の領空侵犯を受けて、例えばアメリカ側と電話会談を行うですとか、アメリカ側と何かやり取りを行ったり、今後やる予定があるかどうか、そのあたり教えていただけますでしょうか。

大臣 :日米間では、平素から様々なやり取りというのを行っておりますが、具体的なやり取りについてお答えすることは差し控えさせていただきます。相手、先方もあることであります。いずれにしましても、防衛省としては、中国の軍事動向に対しては引き続き強い関心をもって注視するとともに、引き続き米国とは緊密に連携をしてまいります。

記者 :関連して伺います。今回の事案を受けて、日中防衛当局間ホットラインなど含める海空連絡メカニズムは活用されたのでしょうか。教えていただければと思います。

大臣 :ホットラインという話でありますが、具体的な使用状況といいますのは、これも事柄の性質上、お答えすることは差し控えたいというふうに思います。申し訳ございません。

普天間飛行場の名護市辺野古移設について

記者 :普天間飛行場の名護市辺野古移設について伺います。20日に着工されましたA護岸を含む護岸工事4件の契約について、入札から約4か月で変更契約をし、約170億円増額されています。増額理由について、変更契約調書では、計画調整というふうにされていますが、この4件について、それぞれこの計画調整の内容を具体的に教えてください。公表できないのであれば、その理由も併せて教えてください。

大臣 :御指摘の4件の契約についてですが、普天間飛行場代替施設建設事業における大浦湾側の護岸工事の準備のため、沖縄防衛局において、昨年12月5日、それぞれの受注者との間で締結したものと承知しております。その上で、工事に向けた準備の過程において、当初契約に関連する作業の追加が必要になったことから、沖縄防衛局において、契約変更を行ったものという、そういう報告を受けております。

記者 :作業の追加はどういったものなのかというのは、お手元にございますでしょうか。あるいは、事務方の方に、またお尋ねした方がよろしいでしょうか。

大臣 :そうですね、詳細については、事務方に聞いていただきたいのですが、例えば、私が把握しているものでいうと、台風シーズンに施工する場合にも備えまして、今もそういう状況でありますが、台風対策に資する作業を前倒しするなど、施工内容の追加を行っていると、そういう報告が一つの例でございます。

記者 :ちょっと政務になるんですけれども、自民党の総裁選についてお伺いします。現時点で10人以上出馬意欲を示していますが、大臣としては、次期総裁どのような方が望ましいとお考えでしょうか。また、あわせてですね、どなたを支持するお考えか、現時点で対応が決まっていれば教えてください。

大臣 :ここの場は防衛大臣会見ということでございますので、自由民主党の総裁選挙、9月の27日に行われるという、日程は決まったわけですが、その総裁選についてのコメントは差し控えたいと思います。私自身は現在、岸田内閣の閣僚の一人として、内閣の一員として、総理をお支えしながら、防衛大臣という、私自身の責務、危機管理対応なども含めて緊張感をもって職務に当たっていかなきゃいけないと、それが私の第一の使命だというふうに思っております。

領空侵犯機に対して武器を使用しなかったことについて

記者 :話題移りまして、中国軍機の領空侵犯の関係で1点お尋ねします。今回、航空自衛隊の戦闘機ですが、武器を使用しなかったことについてネット上で賛否両論が渦巻いておりますが、今回使用しなかったことについて大臣はどのようにお考えでしょうか、教えてください。すみません。武器を使用しなかったことについて伺います。

大臣 :今回の中国軍機の領空侵犯についてでございますが、先ほど申し上げたとおり、外交ルートでの抗議、そして今般の事案の公表などを含めて、私ども防衛省、それから外務省、そして内閣官房の間で緊密に連携してですね、これまで対応をしてきたところであります。近年、中国による我が国周辺における軍事活動がますます拡大、活発化の傾向があります。中国軍機の意図、目的など、こういったことを分析する必要があると思っておりますが、防衛省・自衛隊による警戒監視を含めて、我々としては、今の時点では引き続き対応に万全を期していくということ、そのことに尽きると、そういう考えであります。

記者 :重ねてお尋ねしますが、武器を使うことによって、当然ながらエスカレーションラダーが上がるという懸念もあるわけですけれども、今回使用しなかったことについては適切であったと大臣はお考えでしょうか。その辺りもう一度お尋ねします。

大臣 :まず、中国軍機の意図、目的、こういったことを、やはり我々は分析をしなきゃいけないのだろうと思っています。現時点で確たることをお答えするということは困難でありまして、私どもは常に警戒監視を含むそういった対応に万全を期すということに尽きます。

逮捕された陸自隊員の氏名が非公表だったことについて

記者 :昨日ですね、陸上自衛隊の方から警務隊の逮捕の広報がなされました。このケースでは、容疑者の氏名が公表されておりません。一方で、8月1日の海上自衛隊の警務隊が逮捕した事案では、実名が公表されております。防衛省として、警務隊の公表については原則公表するという方針を大臣が示されているわけですけれども、この容疑者の実名を公表するかどうかについては、防衛大臣としてはどのようにお考えでしょうか。教えてください。

大臣 :公表の仕方の違いという御質問ですけれども、先般の海上自衛隊による潜水手当不正受給事案がございました。これに関しては、逮捕の公表への着意が欠けたものであったことの教訓を踏まえて、警務隊が隊員や元隊員を逮捕した場合、逮捕の事実が社会に与える影響を踏まえて、私が申し上げたのは、特段の事情がない限りですね、原則として、氏名も含めて事実関係を可能な限り、そして速やかに公表することとしたところであります。
 そういう原則の話を今いたしましたが、その上で、個別に見ていきますとですね、昨日の陸上自衛隊第122地区警務隊による陸上自衛隊員の逮捕についてお知らせしたところですが、本事案についてはですね、被害者が女性でありました。そして、わいせつ目的の可能性があるということから、被疑者が特定されることで被害者が特定されるおそれがある、つまりその被害者女性が特定されるおそれがあるという、ある意味、この点がですね、特段の事情であるというふうに判断をした、そのため、被害者保護の観点から、被逮捕者の氏名については公表しないということにしたものであります。
 今後もですね、警務隊による逮捕等が発生した場合には、可能な限り速やかに国民の皆様への正確な情報発信に努めていくという、その方針にはですね、変わりはございません。ただし、個別具体的にしっかりと見ていくということでございます。

韓国軍による竹島での防衛訓練とその影響などについて

記者 :日韓関係についてお尋ねをしたいんですけれども、韓国軍、今月の21日に、島根県の竹島で防衛訓練を行ったという報道がありました。日本政府として外交ルートで韓国側に抗議をしているということなんですけれども、この件について大臣の受け止めをまずお尋ねをしたいと思います。
 それを踏まえてですね、大臣が訪韓について先月の末に間を置かずに訪韓したいというふうにぶら下がりでおっしゃっているわけですけれども、今回のこの件の訪韓への影響とですね、現時点で大臣の訪韓に対する思いを改めてお尋ねしたいというふうに思います。

大臣 :今般の竹島に関する訓練の実施というものは、竹島が歴史的事実に照らしても、かつ、国際法上も明らかに日本固有の領土であるということに鑑み、我が国として到底受け入れることはできません。極めて遺憾でございます。このため、外交ルートでの抗議に加えて、防衛省としても、8月22日に国際政策課長から在京の韓国大使館の国防武官に対して、強く抗議した上で、今般類似の訓練を一切行わないよう強く求めたところであります。
 その上で申し上げれば、北朝鮮の核・ミサイルをめぐる状況を含め、我が国や地域を取り巻く安全保障環境が引き続き厳しさと不確実性を増す中にあって、日韓、そして日米韓の連携は重要であるというふうに考えておりまして、以前もこの点申し上げておりましたけれども、日韓防衛当局の相互信頼の強固の観点から、私の訪韓についても間を置かずに実施することが重要であるというふうに申し上げてきました。今もその考えは変わりません。
 現時点で具体的な訪韓の日程というのはありませんが、その考えに基づいて、これからも日韓の防衛協力・交流というのは強化していきたいというふうに考えております。

大臣の靖国参拝と今後の日韓関係について

記者 :関連でお尋ねをしたいんですけれども、今の御発言を踏まえてですね、一方で大臣、今月の15日の終戦の日に靖国神社を参拝をされました。それについて、韓国側は同日外交ルートで抗議の意を示しているわけでありますけれども、その事実関係をお尋ねしたいのですが、当時、その記帳した際の肩書は防衛大臣なのか、衆院議員としてなのか、その事実関係をお尋ねした上で、日韓関係、レーダー照射問題再発防止に合意をしていて、今もおっしゃられたように、防衛協力はますます重要だという認識で一致しているわけでありますけれども、この間、双方が抗議をし合うような事態にある中で、両国の信頼関係と防衛協力の在り方について、どのようにあるべきかというお考えをお尋ねできたらというふうに思います。

大臣 :まず、事実関係として、肩書は防衛大臣木原稔であります。記帳にあたって、その私の現在の地位を示す肩書、これを付すということはですね、その地位にある個人を表す場合に、慣例としてしばしば行われておりまして、防衛大臣の肩書を付したからといって、これは私、私人の立場で参拝しましたから、その立場を離れるものではないというふうに考えております。
 靖国神社の参拝は私人として毎年ではないですけどね、東京にいる場合には靖国神社、地元にいる場合には、私地元が熊本県ですから、熊本の護国神社に必ず、終戦の日には参拝をしているわけでありますが、私も身内が戦死をしている遺族であります。我々、遺族にとりましてですね、靖国神社というのは、ある意味、戦没者追悼の中心的な施設であるというふうに、遺族を含めて、私は国民の多くがそういうふうに認識しているというふうに思っておりますから、その靖国神社に対しまして、いかなる理由があれですね、尊い命を犠牲にされた方に対して手を合わせて、そして哀悼の誠を尽くすということは当然のことだというふうに考えております。
 同時に靖国神社とあわせて、その後、千鳥ヶ淵の戦没者公園にもですね、参拝をしております。御承知の通り、海外で戦死された方、残念ながらですね、その御遺骨が御家族のもとに届かなかった、そういった方々の御遺骨をですね、納めた墓苑でございます。そこに対してもですね、参拝をいたしました。そして、日本武道館における戦没者追悼式、両陛下をお迎えしてですね、その式典にも参加をさせていただいたということであります。

記者 :お考えありがとうございます。そのお考えを踏まえた上で、一方で外交的にこの間ですね、お互いに抗議をし合うという事態になっているということを踏まえて、防衛協力を進めていかなければいけないという現実がある中で、日韓関係の信頼関係というか、あり方をお尋ねできればと思います。

大臣 :私は、今申し上げたように、遺族としてですね、そういった考え方に基づいて、ずっと参拝をですね、続けている、議員になる前からのことであります。
 ですので、そのことは日本の国内にある施設に、日本人である私がですね、遺族である私が参拝をするということについてですね、極めて内政の問題でもあり、その点については、私自身はその考えを変えるということはございません。そのことは、しっかりと理解していただいた上でですね、そして日韓関係については、またそれはその問題としてですね、協力をしていただくように、これもお互いに連携を取っていくということになります。

米海軍オスプレイの岩国基地への配備について

記者 :山口県の岩国市長が米海軍のオスプレイの岩国基地への配備容認を表明されました。これについて大臣の受け止めを教えていただけますでしょうか。

大臣 :山口県岩国市の福田良彦市長、常に情報交換をして、情報を共有しながらですね、防衛省・自衛隊に対しても、あるいは米軍施設に対してもですね、大変な理解をいただいているところであり、感謝をしているところであります。今、岩国市長とはそういったコミュニケーションを取っておりましてですね、市長の発言の内容について、その詳細をですね、今確認しております。
 防衛省としては、日米同盟の抑止力・対処力に対する米国の揺るぎないコミットメントを示すものというふうに考えておりまして、今般の岩国市長の受け入れの表明というのはですね、有り難く、また感謝を申し上げたいと思います。引き続きそういった岩国市長に限らずですね、それぞれ関係自治体につきましては、地元の御意見、御要望をしっかりとお聞きしながら、各種施策に取り組んでまいりたいと思っております。

逮捕した被疑者の氏名の公表について

記者 :前の質問の関連で、陸上自衛隊の警務隊の逮捕した被疑者の氏名の公表についてですが、今回は窃盗と建造物侵入ということで、狭い意味での性犯罪そのものには当たらないと思うんですね。性犯罪ですと刑事訴訟法の規定に基づいて裁判を開くときにも、被害者の特定に当たらないようにすると、配慮する旨が定められていますが、今回はそういった罪種でないにも関わらず、逮捕した被疑者の氏名を公表をしない、この判断については大臣は問題ないというふうにお考えでしょうか。

大臣 :直接的、間接的というのがありますが、しかし、今回そういう意味でいうと、わいせつの可能性というのは否定することはできません。その可能性がある限りですね、被疑者が特定されることで被害者が特定される可能性も当然ございます。我々としては、その点をですね、特段の事情というふうな評価をですね、しましたので被逮捕者の氏名を公表しないということにいたしました。
 ですから、これは防衛省の判断でありますので、いわゆる刑法上の判断とはちょっと別のものになるかもしれませんが、しかし、いざ公表され、つまり被害者が特定されてしまったあとはもう取り返しがつきませんので、そういった意味で少し慎重に対応しているということであります。

記者 :関連して、被疑者の氏名を公表するかどうか、被害者保護のために非公表にするかどうか、というのは被害者の意向も尊重した上で判断をしている、そういうことになりますでしょうか。

大臣 :これ一般論としてですね、被害者側からそういう御意向を伺うこともあるし、そういう状況じゃない場合もあります。まだ精神的に安定をされてないとか、あるいは御家族、その身内の方々のですね、家族環境などによって色々ケースはありますが、そういう場合にも我々防衛省としてですね、判断をする場合、一般論としてはその両方あるかというふうに思います。

記者 :関連して、そうすると、被疑者にとってはですね、被害者が公表しないでくれと言えば、自分の名前は被疑者側も出ない。被害者の意向にかかわらず防衛省として逮捕という司法警察権限を行使するにあたっては、原則公表するということの方が望ましいように思うのですが、大臣のお考えを改めて聞かせてください。

大臣 :これは、今回の自衛隊員の事案にかかわらずですね、一般のそういった犯罪事案についてもいえると思いますけれども、今、被害者の人権保護という観点というのは十分配慮しないといけないんだろうというふうに思っております。警務隊もある意味、司法警察職員としてですね、そういった権限、実力行使をできる、そういう組織でありますから、その点は十分に被害者の人権に配慮しながら、日ごろの業務というのは適切に行っていかなきゃいけない中でですね、個別の案件をしっかりと一件一件見ていく中で、今回についてはわいせつ目的の可能性が否定できないということもあってですね、この後、取り調べの状況によってはですね、もしくは事情の変更があるかもしれませんし、現時点では慎重に対応をしていくという、そういうことであります。

(以上)

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