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中谷防衛大臣が記者会見 トランプ新政権発足や米国の拡大抑止などの質問に回答(1月21日)

  • 日本の防衛

2025-1-23 11:37

 令和7(2025)年1月21日(火)10時52分~11時09分、中谷元(なかたに・げん)防衛大臣は、防衛省A棟11階第1省議室において閣議後会見を行った。
 内容は、以下のとおり。

大臣からの発表事項

トランプ新政権の発足について

大臣 :昨日夜、トランプ新政権が発足をいたしました。会見と就任式見させていただきましたが、感想といたしまして、やはり日米同盟の強化というのは、石破政権における外交・安全保障の最優先事項であるということ。そして、現在、我が国及び国際社会を取り巻く安全保障環境が厳しさを増す中でですね、日米同盟の重要性、これは益々高くなっておりまして、日米同盟の抑止力及び対処力、更なる強化に向けた取組を、引き続き継続をし、これにより、地域、そして、世界の平和と安定に大きく寄与していくということが大変重要であると思います。

記者との質疑応答

トランプ新政権発足に対する大臣の受け止めについて

記者 :20日、米国でトランプ大統領が就任し新政権が発足しました。大臣の受け止め、お話ありましたけれどもお願いします。
 今後、防衛政策を進める上でどのような影響があると考え、どのような対応をしていく考えか、また早期の訪米の可能性も含め、防衛相会談について時期などの見通しあればお聞かせください。あわせて、会談が実現した際には、どういった点を特に重視してトランプ新政権に伝達したいとお考えでしょうか。

大臣 :お尋ねの点につきましては、防衛政策を進めていく上で、大変重要でありまして、この影響については、予断をすることを差し控えるわけでございますが、防衛省としては、こうした問題意識の下に、新国防長官を含め、トランプ政権との間でも強固な信頼・協力関係を構築をいたしまして、引き続き日米同盟の抑止力・対処力、これの一層の強化を図るための協力を進めていくべく、新政権と密接に意思疎通をしていく考えであります。
 また、お尋ねの防衛相会談につきましては、現時点で決まった予定があるわけではありませんけれども、新国防長官の就任の後、早い時期に会談の機会を持ちまして、日米同盟の重要性についてしっかり確認をした上で、日米同盟の抑止力・対処力の強化に資する内容とすべく検討したいというふうに考えております。

トランプ第二次政権の誕生で生じる変化について

記者 :関連して伺います。日本はこれまで、アメリカを含めて同盟国・同志国による多層的で重層的な関係構築を柱とした安全保障政策を進めてきましたが、今回はトランプ第二次政権の誕生で、変化は何か生じると考えますでしょうか。
 また、大臣は、トランプ氏や国防長官最有力のヘグセス氏、それぞれについてどのような印象をお持ちで、今後、どのように渡り合っていきたいとお考えでしょうか。

大臣 :これまでアメリカを含めて、同盟国・同志国の多層的・重層的な関係構築、これを資とした安全保障政策を進めてまいりましたけれども、今後とも、引き続き大変厳しく複雑な安全保障環境、これに直面をいたしたしておりまして、同盟国・同志国間のネットワーク、これを有機的・重層的に構築をするとともに、これを拡大して、抑止力を強化をしていくということは大変重要であります。
 昨年、私は防衛大臣に就任以来ですね、NATOの国防相会合、G7の国防相会合、いずれも初めての参加をいたしました。また、ADMMプラスにおきましては、東南アジア諸国の国防大臣との会合、日中防衛相会談、また、日米豪比韓、この防衛相会談といった多国間の協議、また、様々な二国間協議を行いまして同盟国・同志国との協力・連携を確認をしてまいりました。
 このトランプ新政権に関しまして、引き続き注視をしていきたいと考えますが、その上で、防衛省としては、トランプ新政権をはじめ各国のカウンターパートと緊密に意思疎通を図りながら、引き続き同盟国・同志国等との協力・連携を強化をして、我が国の平和・安全、さらには地域と安全な関係を構築すべく、国際社会の平和と安定及び繁栄、これを確保していく考えでございます。
 また、お尋ねのトランプ大統領に対する印象につきましては、第一次政権に引き続き、第二次政権においても「米国を再び偉大にする」との基本方針のもとに、様々な施策に取り組んでいかれるものと理解をいたしております。昨日の演説も聞かせていただきました。
 そして、ヘグセス氏につきましては、米国の連邦上院、これの承認を要する過程におきまして、昨夜、軍事委員会で採決がございまして、賛成14、反対13で承認をされました。今後、本会議のプロセスがまだございますので、これを注視をしてまいりますが、ヘグセス氏につきましては、これまで、米軍人、その陸軍における勤務経験、これを有しておりまして、支援団体を率いるなどして、退役軍人等のために尽力をしてきた方だと認識しております。
 いずれにしましても、トランプ政権との間で強固な信頼・協力関係を構築をしまして、引き続き日米同盟の抑止力・対処力の一層の強化を図るための協力を進めていくべく、新政権と緊密に意思疎通していく考えでございます。

トランプ大統領の国防費増額を求める考えについて

記者 :関連で伺います。トランプ大統領はNATO加盟国にGDP比5%の国防費を求める考えを示しています。日本に対しても増額を求める可能性がありますけれども、政府としてどのように対応するお考えか、お聞かせください。日本政府としてはGDP比2%を目指す考えを示していることも踏まえて、御回答いただければと思います。

大臣 :トランプ新政権における新しい政策につきましては、防衛省としても注視をしてですね、しっかりとこれは必要な議論、これを行っていきたいと考えております。その上で、我が国は、国家安全保障戦略によりまして、2027年度において防衛力の抜本的強化とそれを補完する取組をあわせまして、そのための予算水準、これがGDPの2%に達する所要の措置を講じるということにいたしております。
 これは、我が国自身の主体的な判断として必要な防衛力の内容を積み上げた上で決定をした結果でありまして、これは数字ありきではありませんが、今後の予算措置の水準についても、我が国自身の判断で行っていくということは言うまでもありません。
 そこで、アメリカに対してはですね、在日米軍駐留経費、これの問題がございます。この同盟の強靭化予算(HNS)については、日米両政府の合意に基づいて適切に分担をされていると考えておりまして、その上で、現行の特別協定期間、これはホストネーションサポートですね、その終了以降の経費負担の在り方については、予断すべきではないと考えますが、今後とも、日本側の適切な負担の在り方については、不断に検討してまいりたいと考えております。

米国が提供する拡大抑止について

記者 :拡大抑止について伺います。初めて閣僚級の会合の開催やガイドラインの策定など拡大抑止についてはバイデン政権で大きく進展しました。
 アジアへの安保の関与低下の可能性も指摘されているトランプ政権ですが、先ほど大臣、抑止力・対処力の強化について引き続き進めていくともお話しされていらっしゃいましたけれども、今後、拡大抑止を継続・強化するために、どのように会談などで意思疎通して進展をさせるお考えでしょうか。教えていただけますでしょうか。

大臣 :北朝鮮の核開発や、またミサイルの発射等がありますけれども、今は戦後ですね、最も激しく、そして複雑な安全保障環境に直面しております。現実に核兵器などの日本に対する安全保障上の脅威が存在をするという中で、こうした脅威に対応するためには、米国が提供する核を含む拡大抑止、これが不可欠であります。
 御指摘のとおり、こうした中で、日米間におきましては、まず、定期的に実施している拡大抑止協議、そして、昨年7月に実施をした拡大抑止に関する日米閣僚会合、これを含む様々なハイレベルでの協議、そして、昨年12月には「日米の拡大抑止に関するガイドライン」、これを作成をするなどですね、拡大抑止の強化に向けた取組を進めてきたところでございます。
 防衛省としましては、今後とも、我が国自身の防衛力を強化をしていくとともに、トランプ政権との間で緊密に意思疎通を図りまして、拡大抑止の核抑止力を含む米国の、この拡大抑止の信頼性をこれまで以上に強化をしていくという考えであります。

在沖米海兵隊による物資投下訓練中の事故について

記者 :16日に在沖米海兵隊が、伊江島補助飛行場でオスプレイからの物資投下訓練中に誤って物資を海上に落下させました。今回は人的被害は確認されていませんが、物資投下訓練をめぐっては、60年前に民家のそばにトレーラーが落下するなど過去に悲惨な事故も起きています。また、伊江村長、物資投下訓練を容認できないと中止を求めています。
 今回の事故に対する防衛省の対応、有人島で物資投下訓練をすることの危険性をどう捉えているのか大臣の見解を教えてください。

大臣 :お尋ねの事案につきましては、1月の16日の夕刻、在沖米海兵隊が、伊江島補助飛行場において、MV-22オスプレイによる物資投下訓練を行っていたところ、食料が入った、この投下物が風に流されたということによりまして、提供施設区域外の洋上に落下したという報告を受けております。現時点において、人的・物的被害があったとの報告は受けておりません。
 本件を受けまして、防衛省より、速やかに関係自治体等に情報提供を行いました。防衛省としては、米軍の活動に関しては安全の確保が大前提と考えおりまして、今回の事案は、周辺住民の方々に影響や不安を与えるものでありまして、誠に遺憾であります。米側に対しては、安全管理に万全を期すとともに、再発防止の徹底について強く申し入れをしたところでございまして、引き続き米側に対して安全管理に万全を期すように求めてまいります。
 このパラシュート訓練につきましては、根拠といたしまして、この伊江島補助飛行場について、沖縄における米軍施設・区域の使用目的の使用条件などが定められました、昭和47年5月15日の日米合同委員会の合意、いわゆる「5.15メモ」におきまして、周辺に設定された水域で重量物投下を含むパラシュート訓練を行うということが認められているところであります。米軍はこうした日米合意に基づきまして、訓練を行ってきたところでありますが、防衛省といたしましては、訓練実施にあたりましては、周辺の地域の皆様の安全を第一にすること、これは大前提と考えておりまして、米側に対しては、安全確保はもちろんのこと、地元への影響が最小限になるように、引き続き求めてまいりたいと考えています。

海上自衛隊の長浜射撃場で発生した火災について

記者 :先週、海上自衛隊の長浜射撃場で発生した訓練場の火災について伺います。今回の火災について、射撃場周辺で確認された山火事との関連についての見解と、当時射撃場で具体的にどのような訓練を行っていて、火災の発生を防ぐための十分な措置がとられていたのかどうか、現在分かっていることを教えてください。
 また、一時、付近の特別養護老人ホームの入居者などが避難する事態となりましたが、大臣の受け止めをお願いします。

大臣 :今月の17日の金曜日、広島県江田島市に所在する海上自衛隊第1術科学校の長浜射撃場において発生した火災につきまして、関係各所による消火活動によりまして、昨日、20日月曜日、午後3時頃に鎮火するに至ったと承知をいたしております。
 この火災発見当時、長浜射撃場において海上自衛隊の第43掃海隊が、地上で爆破訓練を実施をしておりました。当該の訓練において火災発生を防ぐためにとっていた措置について、火災の原因については、消防当局、また警察において現在調査中であります。防衛省としては、消防関係者の現地検証、また警察の事情聴取に応じるなど、調査に協力をいたしているところでございます。
 付近の特別養護老人ホームの方々におきましては、避難をされたということも含めまして、周囲の市町村、また、住民の皆様には大変な御迷惑をおかけをいたしました。自衛隊の射撃場が火元となりまして、周辺住民の皆様をはじめとして、多大な御迷惑をおかけしたこと、大変申し訳なく思っております。
 防衛省といたしましても、今回の火災につきましては、佐世保総監部に事故調査委員会を設置をいたしまして、関係機関について協力をしながらですね、原因究明・解明に努めてまいりたいということでございます。

(以上)

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