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中谷防衛大臣が記者会見 令和6年度の部隊改編、大規模災害や認知戦への対応などについて回答(3月11日)

  • 日本の防衛

2025-3-13 11:00

 令和7(2025)年3月11日(火)08時59分~09時09分、中谷 元(なかたに・げん)防衛大臣は、参議院 本会議場議員食堂側で閣議後の記者会見を行った。
 内容は、以下の通り。

統合作戦司令部新編など令和6年度の部隊改編が閣議決定

 本日の閣議において「防衛省組織令等の一部を改正する政令」、「防衛省設置法等の一部を改正する法律の施行期日を定める政令」が閣議決定をされました。統合作戦司令部、自衛隊海上輸送群及び海上自衛隊大湊地区隊の新編を含む令和6年度の部隊改編を3月24日に行うことを決定をいたしました。
 閣議では、あわせまして、統合作戦司令部の初代司令官として、南雲憲一郎空将を充てる人事についても承認をいたしました。南雲空将におかれては、統合幕僚副長として自衛隊の統合運用を支えてきており、今後は統合作戦司令部の初代司令官として、これまでの経験や、また、これまで培った見識を活かして、リーダーシップを発揮されることを期待をしております。
 今般の部隊改編は、統合運用実効性の向上、また、島嶼部への機動展開能力の向上、そして、海上自衛隊の警備実施体制の強化などに資するものであります。いずれも我が国の防衛上、大変重要な意義を有するものと考えておりまして、いかなる事態におきましても国民の命や暮らしを守り抜くことができるように、引き続き防衛力の抜本的強化を推進をしてまいります。

記者との質疑応答

統合作戦司令官の人事について、また司令官への期待、米国との連携について

記者 :今、冒頭でもありました統合作戦司令官の人事について伺います。
 南雲憲一郎空将を起用する理由を改めてお願いいたします。また、空自出身者を充てる理由があれば、あわせて伺います。また、司令官に期待する役割や、統合作戦司令部への期待、指揮系統を巡る今後の米国との連携の在り方についてのお考えを教えてください。

大臣 :統合作戦司令部の新設によりまして、自衛隊の運用に関して、平素から部隊を一元的に指揮できるようになります。事態の状況や推移に応じた柔軟な防衛態勢を、より一層迅速に構築することが可能となります。また、統合による作戦や同盟国・同志国の司令部との情報共有、運用面での協力を一元化できるために、統合運用の実効性を向上するものと考えております。あわせて、日米間においても、平時、緊急事態における相互運用性及び日米間の共同活動に係る協力の深化が促進されるものと期待をしております。
 人事におきましては、正に適材適所で考えておりまして、南雲空将は、統合幕僚副長として自衛隊の統合運用をこれまで支えてきております。今後は、陸・海・空自衛隊を一元的に指揮する統合作戦司令部の初代司令官として、これまでの経験や培った見識を活かして、今申し上げました統合運用の実効性の向上や日米間の連携の促進にリーダーシップを発揮されるということを期待をいたしております。このような観点で司令官に指名したということです。

東日本大震災から14年を迎え、自衛隊としての大規模災害への対応、役割は

記者 :今日で東日本大震災から14年ですが、受け止めをお願いいたします。また、防災対策に力を入れる石破政権ですが、南海トラフなど次の大災害への懸念がある中、防衛省・自衛隊としてどのように役割を果たしていくお考えでしょうか。また、安全保障環境が厳しさを増す中、現状の災害対応と、防衛や警戒監視といった任務とのバランスが適切なのか、今後、どのように取っていくのかお聞かせください。お願いします。

大臣 :東日本大震災によりまして、かけがえのない多くの尊い命が失われました。また、国民生活に甚大な被害をもたらしました未曾有の大災害である東日本大震災でありました。本日で14年目ということでありますが、改めて亡くなられた方々の御冥福を謹んでお祈りを申し上げますとともに、御遺族の皆様、また、今なお避難生活を余儀なくされている皆様に心よりのお見舞いを申し上げる次第でございます。
 防衛省・自衛隊としましては、今後、大変高い確率で発生が予想される南海トラフ巨大地震、これをはじめとする大規模災害への対応に当たりまして、東日本大震災を含むこれまでの災害対応を通じて得られた教訓を踏まえ、被害の拡大を抑え、一刻も早く、一人でも多くの方に救助や支援の手が届きますように、対策を講じてまいります。そして、毎年大規模地震を念頭におきました実効性の高い防災訓練、これを実施することに加えまして、自治体主催の防災訓練へも積極的に参加をしてまいります。関係省庁や自治体と緊密に連携をして、災害対応に万全を期してまいります。
 そして、我が国は戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面しておるわけでございますが、自衛隊による災害派遣活動は、近年大規模かつ長期化、多様化をしていく傾向にあります。自衛隊の災害派遣に関しましては、発生当初は人命救助活動に全力をもって対処しつつ、生活支援については自治体や関係省庁等と適切な役割分担を行いまして、平素の訓練や警戒監視活動を含めて、各種事態の即応、対応に支障が生じることがないよう留意をしてまいりたいと考えております。

防衛省・自衛隊としての認知戦への対応について

記者 :偽情報を含む認知戦への対応について伺います。
 ロシアのウクライナ侵略のほか、中国は軍事的圧力を強める台湾に対して認知戦を仕掛けているとされております。防衛省・自衛隊として、認知戦にどのように対応していくのか、自衛隊の組織体制や正確な情報発信の重要性を含めてお聞きします。

大臣 :これはやはり、偽情報にですね、惑わされないように、自衛隊としては健全な意思決定、これができるようにしておくことが最も大事でありまして、国際社会におきましても、紛争が発生していない段階から、偽情報、あるいは戦略的な情報発信等によって、他国の世論・意思決定に影響を及ぼし、また、自らに有利な安全保障環境の構築を企図する情報戦に重点が今置かれている傾向があります。
 こうした中で、我が国の防衛において、情報戦としましては、まず第1に、多様な情報収集能力を獲得をするということ。第2に、偽情報の流布等の脅威に関しては、その意図等を見極め、第3に、同志国・同盟国との連携の下に、適切な情報を発信するといった手段を通じまして、我が国の意思決定を防護しつつ、力による一方的な現状変更を抑止・対処し、より望ましい安全保障環境の構築に取り組むことが重要であると考えております。
 こうした考えの下で、情報戦の対応の中核を担います情報本部、そして各自衛隊において情報戦に関する情報収集・分析・発信体制の強化に取り組んでいるところであります。今年度には情報本部に情報戦業務を担う情報官及び専門部署を新設をしまして、令和7年度予算案におきましては、陸上自衛隊情報作戦隊や海上自衛隊情報作戦集団を、いずれも仮称でありますけれども、新編するということといたしております。引き続きまして、防衛省全体で緊密に連携しつつ、取組を加速をさせてまいります。また、3文書に書かれております情報に関して、戦略的コミュニケーションを図っていくということで、特に認知戦の領域、認知領域を含む情報戦への対応についてもしっかり取り組んでまいります。

(以上)

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