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DSEI Japan 2025 短報──サーブ

  • 日本の防衛

2025-5-25 14:00

2025年5月22日から21日まで、千葉県の幕張メッセで開催された、日本で唯一の統合型防衛・セキュリティ展示会「DSEI Japan 2025」。主要な出展ブースの展示内容を、個別にお届けする。竹内 修 TAKEUCHI Osamu

 サーブ(Saab)は、1937年に設立されたスウェーデンのメーカーだ。第二次世界大戦中は航空機の開発と製造を主事業としていたが、戦後は事業の多角化を進め、同社と共にスウェーデンを代表する防衛企業のボフォースや、造船企業のコックムス、エリクソン・マイクロウェーブ・システムズなどを買収して、総合防衛企業に成長した。

 日本との縁も深く、ベストセラーの対戦車兵器「カールグスタフ」は、陸上自衛隊に「84㎜無反動砲」および「84㎜無反動砲(B)」として採用されているほか、海上自衛隊のそうりゅう型潜水艦に搭載されているスターリング機関や、あわじ型掃海艦の船体で使用されているFRP(強化プラスチック)は、同社の技術支援を得て開発されている。

 サーブは今回のDSEI JAPANに、カールグスタフの訓練システムのほか、軽量電子戦用パッシブセンサー「シリウス・コンパクト」、精密誘導爆弾投射システム「GLSDB」(Ground Launched Small Diameter Bomb/地上発射型小直径爆弾)などを出展した。

 シリウス・コンパクトは、同程度の能力を持つ既存のパッシブセンサーに比べて小型(全高30cm/直径14cm)かつ軽量(3kg以下)で、かつ消費電力も少ないため、三脚への設置やドローンへの搭載も行える。カバーしている周波数帯は2〜18GHzで、360度の全周の電子情報を収集できる。

 システムはモジュール式で拡張性を備えており、単体としてはもちろん、センサーネットワーク、既存センサーの補完としても使用できる。また、レーダーやデータリンクで使われる電磁波の検出だけでなく、その分類と脅威の優先順位付けをする能力も備えており、センサーに機密データを保存することなく、状況認識情報の同化と編集を行うこともできる。

レーダー波や赤外線などによる探知を困難にするカモフラージュネットに覆われた「シリウス・コンパクト」写真:竹内 修

 GLSDBはロッキード マーティン製のM26ロケット弾のロケットモーターに、ボーイングが開発したGBU-39B SDB(小直径爆弾)を組み合わせたもので、サーブはシステムにとって重要な接続部分の開発を担当している。

 誘導は全地球測位システム(GPS)と慣性航法装置(INS)の組み合わせで、命中精度(CEP)も3mと極めて高い。弾体背部に展張式の主翼を備えている。主翼を開いて滑空に入ると、自動操縦装置により最大5Gの旋回も可能とされており、また高々度からの投下ならば最大で75km先の目標を攻撃できることが可能で、鋼鉄製の弾頭部には19kgのトリトナルが収容されており、従来では破壊に900kg級の爆弾を必要とした固定陣地やミサイル・サイト、橋などといった目標の破壊も可能とされている。

精密誘導爆弾投射システムGLSDBの3分の1スケール模型。陸上自衛隊の装備ではMLRSからの発射が可能となっている 写真:竹内 修
竹内 修TAKEUCHI Osamu

軍事ジャーナリスト。海外の防衛装備展示会やメーカーなどへの取材に基づいた記事を、軍事専門誌のほか一般誌でも執筆。著書に『最先端未来兵器完全ファイル』、『軍用ドローン年鑑』、『全161か国 これが世界の陸軍力だ!』など。

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