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DSEI Japan 2025 短報──エアバス(ディフェンス・アンド・スペース、ヘリコプターズ)

  • 日本の防衛

2025-5-25 13:00

2025年5月22日から21日まで、千葉県の幕張メッセで開催された、日本で唯一の統合型防衛・セキュリティ展示会「DSEI Japan 2025」。主要な出展ブースの展示内容を、個別にお届けしよう。竹内 修 TAKEUCHI Osamu

 ヨーロッパの総合航空宇宙防衛企業のエアバスは、同社の航空宇宙防衛部門のエアバス・ディフェンス・アンド・スペース(以下エアバスD&S)と、ヘリコプター部門のエアバス・ヘリコプターズが、別々のブースで展示を行った。

 エアバスD&Sは、同社の戦術輸送機A400Mの開発・製造を行うため設立された「エアバス・ミリタリー・カンパニー」を前身とする企業だが、現在の同社はA400Mだけでなく、A330MRTT空中給油・輸送機や各種UAS(無人航空機システム)、人工衛星システムなど、防衛航空宇宙事業を幅広く手がける企業へと進化している。

 今回のDSEI JAPANでは、上記のA400Mのほか、高高度長時間滞空型UAS「ゼファー」、中高度長時間滞空型UASの「MALE RPAS」(愛称:ユーロドローン)、スペイン海軍の強襲揚陸艦「ファン・カルロス1世」で運用試験が行われるUAS「SIRTAP(サータップ)」や、イギリス向けの軍事通信衛星「スカイネット6A」の模型も展示された。

高高度長時間滞空型UAS「ゼファー」の模型。眼下に広がるのは東京・渋谷の市街地。携帯通信大手のNTTドコモは「ゼファー」を上空の携帯基地局として使用するため、早期商用化を目指して資本提携を行っている。右手前はA400M輸送機の模型 写真:竹内修
日本が開発にオブザーバーとして参加する「MALE RPAS」(ユーロドローン)の大型模型。その下にあるのが、スペイン海軍の強襲揚陸艦で運用試験が行われる「SIRTAP」の大型模型 写真:編集部

 DSEI JAPANに先駆けて来日した、エアバスD&Sのマイケル・ショホローンCEO(最高経営責任者)は、日本がオブザーバー参加するMALE RPASの開発において日本に期待する役割について、開発する4か国は半島国家と大陸国家だ。一方日本は島国であり、航空機の洋上長時間飛行のノウハウを豊富に保有しており、日本の意見はMALE RPASの洋上運用の実用性を高める上で有益であるとの見解を示した。

 海上自衛隊にはUASを対潜戦に使用する構想が存在しており、そのUASについては、洋上哨戒能力強化のために導入するシーガーディアンよりも大型のUASの方が望ましいという声もある。日本のMALE RPASの開発参加は議決権のないオブザーバーという立場だが、ジョロホーンCEOは「早く手を上げた(開発への関与を決めた)国の意見は反映されやすい」と述べており、仮に海上自衛隊がMALE RPASを導入して対潜戦に活用することになれば、日本の要望を反映したUASにできるのではないかとも考えられる。

 エアバス・ヘリコプターズは、仏エアロスパシアルと独MBBを統合したユーロコプターを前身とする、エアバス社のヘリコプター部門。軍民を問わずあらゆる用途のヘリコプターを主に西側の国々に供給している。日本においても60年以上の歴史があり、50%以上のシェアを有する。今回は、回転翼無人機のVSR700と垂直離着陸/水平飛行の機能を持つ無人機「フレックスローター」を展示した。

こちらはエアバス・ヘリコプターズの展示で、回転翼無人機のVSR700。有人機であれば操縦士が乗るコクピットには、センサーや荷物を搭載できそうだ。奥のマストのようなものは垂直離着陸が可能なテイルシッタータイプの固定翼無人機の「フレックスローター」。いずれも2024国際航空宇宙展で展示されていたものだが、今回は異なるアングルで眺めることができた 写真:編集部
竹内 修TAKEUCHI Osamu

軍事ジャーナリスト。海外の防衛装備展示会やメーカーなどへの取材に基づいた記事を、軍事専門誌のほか一般誌でも執筆。著書に『最先端未来兵器完全ファイル』、『軍用ドローン年鑑』、『全161か国 これが世界の陸軍力だ!』など。

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