DSEI Japan 2025 総括──5年後、10年後の自衛隊の姿を予想しやすい展示会(竹内 修)
- 日本の防衛
2025-6-9 11:59
2025年5月下旬に千葉県の幕張メッセで開催された、日本で唯一の統合型防衛・セキュリティ展示会「DSEI Japan 2025」。イベントレポートのまとめとして、速報・短報を担当した竹内 修による総括をお届けする。
期待されたトレードショーへの進化
2019年11月に開催された第1回「DSEI Japan」では、陸上自衛隊に装輪装甲車「AMV XP」を提案していたことから、AMV XPに関する展示にフォーカスしていたパトリアなどを除くと、出展した企業の多くは個別の商品やサービスにフォーカスせず、「弊社にはこんな商品があります。こんな事ができます」という、企業紹介のような展示が多かった。
国際航空宇宙展のような、一般の方も来場する展示会であれば、それは正しい手法なのだろうが、事前審査をクリアした自衛隊(軍)関係者や企業関係者が商談目的で訪れるDSEI Japanのような「トレードショー」の展示のあり方としては、望ましいものではなかったと感じた。
今回のDSEI Japanでは、各社とも遠からず政治のテーブルに上がるであろう、航空自衛隊のT-4練習機やKC-130H空中給油・輸送機、陸上自衛隊の89式装甲戦闘車、軽装甲機動車などの後継装備の調達案件にフォーカスした展示が行われており、ようやく企業が売りたいもの、アピールしたいことを見せられる、トレードショーらしい展示会になったと言える。
新たなパートナーシップの可能性
今回展示された商品の中には、陸海空自衛隊で採用されるチャンスのあるものが多く見受けられた。その意味において今回のDSEI Japanは「5年後、10年後の自衛隊のショーケース」とでも言うべき、日本で開催されるトレードショーになりえたのではないかと思う。
前述したT-4などの後継装備や、新規導入が検討されるであろう装備への採用を狙った展示は、自衛隊の採用実績のある欧米の主要企業だけではなく、韓国やポーランド、ブラジル、トルコなど、これまで日本ではあまり馴染みがなかったが、世界的に見ればメジャーな企業も行っていた。
日本は防衛装備品を極力国産し、国産が不可能な装備品はアメリカから購入するか、アメリカと共同開発するという手法を長期に亘って採用してきたが、予測困難な速度で変化する安全保障環境の変化や、第二次トランプ政権誕生に伴うアメリカの変質などにより、前述した手法だけで日本の安全を担保することは困難になりつつある。この状況を打開するためには、アメリカ以外の国々との積極的な防衛協力を進めていくべきだと筆者は思うし、DSEI Japanは日本の政官財の関係者が、防衛協力を深化していく新たなパートナー候補を探すうえで、恰好の場になったのではないかと思う。
インタラクティブ化し始めた展示方法
筆者が海外の防衛装備品展示会の取材を始めた2000年代後半、出展企業の展示は実物かその模型、テスト風景などの映像の放映が一般的だったが、今回のDSEI Japanではボーイングやロールス・ロイスなどが模型の展示をごく少数にとどめ、代わりに来場者が関心を持っている商品やサービスを指定すると、その商品の詳細な情報が得られるインタラクティブ(双方向)表示システムを採用していた。
一般の方々が多く来場する展示会であれば、やや味気なく見えてしまうが、来場者があらかじめどの商品やサービズの詳細な情報を取得したいのかを決めているトレードショーでは、この展示の方が適しているのかもしれない。
ところで、大学生は来場していたか?
前述したようにDSEI Japanは各国の政官財やプレス関係者だけが入場できるトレードショーで、原則一般の方々は入場できない。ただ、防衛省・自衛隊や航空宇宙防衛産業を将来の選択肢として検討している大学生は、審査をパスすれば見学できる。
フランスで開催されている防衛装備展示会「ユーロサトリ」なども大学生の見学には門戸を開いており、こうした取り組みは行っていくべきだと筆者は思う。これはたまたま筆者が遭遇しなかっただけなのかもしれないが、今回のDSEI Japanで見学に来たと思しき大学生の姿をあまり見かけなかった。
これは主催者はもちろん、筆者を含めたプレスの告知が不十分だったためではないかとも思えるし、再来年(2027)年に予定されている次回への宿題のひとつなのかもしれない。
◎JディフェンスニュースでDSEI Japan 2025の速報・短報を担当した、井上孝司、稲葉義泰による総括も、以下のリンクからぜひご覧ください。
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