中谷防衛大臣、沖縄出張に伴う臨時会見(6月23日)
- 日本の防衛
2025-6-25 12:05
令和7(2025)年6月23日(月)18時22分~18時36分、中谷 元(なかたに・げん)防衛大臣は沖縄防衛局4階の講堂1において、沖縄出張に伴う中谷防衛大臣臨時会見を行った。
大臣からの発表事項と記者との質疑応答は以下のとおり。
大臣からの発表事項
大臣 :
本日、沖縄は戦後80年となる慰霊の日を迎えました。私も追悼式に出席をさせていただき、戦没者の御霊に哀悼の誠を捧げるとともに、国の安全保障を担う責任者として、戦争の惨禍を二度と繰り返さないということを誓いました。先の大戦における凄惨な歴史を踏まえまして、防衛大臣として、沖縄を始め、日本の平和と国民の安全を守るために全力を尽くすことが、私の使命であるという認識を新たにいたしました。
追悼式に先立ちまして、在沖米軍ターナー四軍調整官とお会いしました。私からは、日米同盟の抑止力・対処力、これの強化のための取組を推進をする一方で、在日米軍の安定的なプレゼンスを確保する観点から、住民生活への影響を最小限にするように努めるということ。そして、そのバランスを保っていくことが何よりも重要であると、そうしたことを申し上げました。そして、米軍人による事件・事故についても、綱紀粛正と再発防止を改めて申し入れたところでございます。
追悼式に参列した後、かねてより視察をしたいと考えておりました嘉手納飛行場に行きまして、第18航空団のエバンス司令官にお会いしました。私からは、日米合意である航空機騒音規制措置を引き続き遵守をするということ、第2に、米軍による騒音軽減のための取組を継続して実施をするということ、第3に、旧海軍駐機場は、騒音軽減イニシアティブの趣旨に基づいて使用をするということ、第4に、米軍人による事件・事故については、綱紀粛正と 再発防止に取り組むこと、これら4点を申し入れをいたしました。
また、嘉手納弾薬庫において、日米共同で使用している弾薬庫を視察するとともに、陸上自衛隊の第15旅団長から、先般の不発弾処理における事故に係る報告を受けたところでございます。
その後、先ほど、當山嘉手納町長、花城沖縄市長、渡久地北谷町長、石嶺読谷村長にお会いをいたしました。まず、私から、先日の不発弾処理における事故について、皆様に御心配をおかけしたことについて、御詫びをするとともに、事故調査を徹底的に行い、原因究明と再発防止に全力を挙げていくということをお約束をいたしました。そして、皆様からは、米軍機による騒音問題などの解決に向けて、引き続き、取り組むよう要請をいただきました。防衛省としては、引き続き、米側に対する働き掛けも含めまして、地元の影響が最小限になるように全力で努めてまいりたいと思っております。
記者との質疑応答
米軍基地関連市町村長との面談と普天間・辺野古問題について
記者 :
大臣は、今日、基地関連市町村長と面談しました。面談では、市町村長からどのようなことを求められましたでしょうか。また、米軍普天間飛行場の辺野古移設計画をめぐっては、宜野湾市長が普天間所属機の段階的移駐などを求めていますが、この実現性を含め、今後の具体的な負担軽減策について伺います。また、軟弱地盤の改良工事などが進む中、沖縄県内でも辺野古の是非が議論されにくくなっているとの指摘がありますが、辺野古に対する地元の意識の変化について感じることはありますか。あわせて、読谷村のアメリカ軍基地の敷地内にある施設で不発弾が爆発した事故の原因について、新たに分かっていることや、再発防止策について具体的にお伝えしたことはありますでしょうか。
大臣 :
嘉手納町、沖縄市、北谷町、読谷村の各首長にお会いした際に、私から、先日の不発弾処理における事故について、皆様に御心配をおかけをしたということについて、御詫びをするとともに、現在、事故調査を進めているところでありまして、今後、事故原因の究明、再発防止に全力を挙げるということをお約束しました。そして、皆様からは、米軍のですね、航空機による騒音問題などの解決に向けて、引き続き、取り組むように御要請をいただきました。この点につきましては、しっかりと受け止めて、基地負担の軽減を全力で努めてまいります。
また、本日の基地視察の際に、司令官に対して、このことを申入れをいたしました。この指摘のあった佐喜眞市長のお考えにつきましては、普天間飛行場の具体的な負担軽減について、普天間飛行場の返還までの間の危険性の除去、また、騒音軽減、これらを着実に進めていくことにあるものと受け止めております。
そして普天間飛行場の代替施設につきましては、辺野古の移設が普天間飛行場の固定化を避けるための唯一の解決策であり、現在、計画に基づいて、着実に工事を進めていくことが、普天間飛行場の一日も早い全面返還、これを実現するものであると考えております。
その一方で、これまでの間においても、基地負担軽減を一層進めていかなければなりません。米側に対しては、航空機騒音規制措置の遵守、これを始め、安全面に最大限配慮しつつ、周辺地域に与える影響を最小限にとどめるように、引き続き、粘り強く働きかけてまいります。また同時に、訓練移転を着実に実施をしまして、地域社会との調和に係る各種施策にもしっかり取り組んでまいります。
この辺野古に対する県民意識の変化につきましては、この普天間飛行場の辺野古移設についても、色々と地元では御意見があるということは承知をしております。今後とも、地元の皆様に丁寧な説明を行いながら、辺野古への移設工事に対して御理解いただき、そして、その工事を着実に進めてまいります。不発弾処理の原因、再発防止につきましては、先ほども申し上げましたけれども、現在、事故調査を進めておりまして、事故の原因と再発防止策については、事故調査委員会での検討を行っているところでございます。今回、事故を受けて、同種の作業停止をしておりますが、発見された不発弾の回収、自衛隊による処理等については、引き続き、安全管理を徹底をした上で、確実に実施するように指示をいたしました。
記者 :
自民党の西田参議院議員が、5月3日に那覇市で開かれたシンポジウムで、ひめゆりの塔や、ひめゆり平和祈念資料館の展示内容に関し、歴史の書き換えなどと発言して以降、歴史認識に関する議論があります。沖縄戦は県民の生命財産を守るためのものではなく、戦略持久戦を展開するものであったことは、日本軍が残した資料や米軍側の資料などからも明らかにされており、実際に県民の4人に1人が犠牲となっています。今日、平和祈念資料館も視察されていますけれども、捨て石だという認識はないというお考えにお変わりはないでしょうか。また、軍隊は住民を守らないという教訓については、どのように認識されていますでしょうか。
大臣 :
本日、追悼式典の出席に先立ちまして、平和祈念資料館、これを視察をさせていただきました。沖縄は、先の大戦において、県民を巻き込んだ凄惨な地上戦が行われ、軍民あわせて20万人もの多くの尊い命が失われる、そして筆舌に尽くし難いですね、苦難を経験をされたという展示もございました。これをしっかり認識をいたしております。今年は、戦後80年という節目を迎えます。追悼式典におきましては、防衛大臣として、戦没者の御霊に哀悼の誠を捧げるとともに、戦争の惨禍、これを二度と繰り返さないということを固くお誓をいたしました。沖縄の歴史をしっかりと心に刻みながら、沖縄を始めとした国民の命と平和な暮らしを守るために、防衛省・自衛隊は、引き続き、我が国の防衛を全うするとともに、沖縄の基地負担軽減、これに全力で取り組んでまいります。
アメリカによるイランの核施設攻撃について
記者 :
アメリカによるイランの核施設への攻撃について伺います。防衛省として最新の分析状況と、日本の安全保障について、どういう影響が出るかということを防衛省として分析しているかお聞かせください。また、ジブチに派遣した輸送機を含め、今後の邦人の安全確保に向けて、どのような対応をしていくお考えかお聞かせください。
大臣 :
6月22日の朝でありますが、トランプ大統領が、イランにおける3か所の核施設に対する攻撃を実施した旨を発表をいたしたと承知をいたしております。また、その日の夜に行われました、ヘグセス国防長官とケイン統合参謀本部議長による記者会見において、イランの核施設に対して、B-2爆撃機によって攻撃したことなどを公表したということを承知をいたしております。防衛省としましては、緊迫した中東情勢を踏まえて、中東地域の情報収集、在外邦人等の安全確保、我が国周辺の警戒監視活動などに万全を期するように、私から指示を発出するとともに、防衛省におきまして、関係幹部会議、これを招集をいたしました。そして、現下の情勢、そして今後の対応について、確認を行ったところでございます。現在、緊迫の度合いを深めております中東情勢に鑑みまして、私からは、防衛省の中の統合作戦司令官に対して、自衛隊の輸送機、これをジブチ共和国まで移動させることを命じて、昨日、C-2輸送機、2機、これがジブチに到着をいたしました。現在、防衛省・自衛隊としては、引き続き、高い緊張感をもって関係省庁等と緊密に連携をし、在外邦人の安全確保を始め、情勢の推移にしっかりと対応すべくですね、全力を挙げてまいりたいと考えております。
(以上)
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