中谷防衛大臣が記者会見 佐賀駐屯地の開設や中東情勢など(6月24日)
- 日本の防衛
2025-6-26 10:45
令和7(2025)年6月24日(火)11時00分~11時20分、中谷元(なかたに・げん)防衛大臣は、防衛省A棟10階会見室において閣議後会見を行った。
内容は、以下のとおり。
大臣からの発表事項
佐賀駐屯地の開設およびオスプレイ移駐について
本日の閣議において、「自衛隊法施行令の一部を改正する政令」が閣議決定をされました。これにより、正式に佐賀駐屯地が7月9日に開設をされるということになりました。現在、木更津駐屯地に所在をし、V-22オスプレイの運用を行っております輸送航空隊は、同日7月9日をもって佐賀駐屯地所在の部隊となります。
V-22オスプレイにつきましては、飛行の安全を最優先に、天候等の状況にもよりますが、駐屯地の開設にあわせて、まず1機程度を佐賀駐屯地に飛来をさせる予定であります。残りの機体についても、佐賀駐屯地での受け入れの状況を踏まえつつ、複数回に分けて、順次飛来をさせる予定です。
また、移駐の完了後、9月7日をめどに、地元自治体を始めとする関係者の皆様方を招待をし、佐賀駐屯地の開設式典を実施することを計画をしております。事情が許しますと、私も参加をしたいと思っております。
V-22の佐賀駐屯地への配備は、相浦駐屯地等、近傍に所在する水陸機動団の部隊と一体的に運用できる体制を構築をしまして、南西地域を含む島嶼防衛能力の強化、これを実現する上で、極めて大きな意義をもつものであります。また、災害救援、また急患輸送の観点からも有益であります。
私自身、以前防衛大臣として在任をしていた10年前から、本件に深く関わってきておりまして、今回の佐賀駐屯地の開設及びV-22の移駐は、大変感慨深いものがあります。防衛大臣といたしまして、関係者の皆様方の対応等につきまして、改めて感謝・御礼を申し上げます。また、佐賀駐屯地の開設及びV-22オスプレイの移駐、また安全な運航等につきましては、しっかりと取り組んでまいります。
記者との質疑応答
中東情勢および日本の対応について
記者 :
中東情勢に関して伺います。米国のトランプ大統領が、自身のSNSにイスラエルとイランが停戦することで合意したと投稿しました。イスラエル、イラン両国からの公式な停戦発表は現時点でありませんが、日本政府として把握している事実関係と大臣の受け止めを伺います。また、復興支援を含め、今後、日本としてどう関わるのかお考えかもあわせてお聞かせください。
大臣 :
米国のトランプ大統領が、米国現地時間の23日午後6時過ぎ、これ日本時間24日午前7時過ぎでありますが、自身のSNSにおいて、イスラエルとイランの間において停戦合意がなされ、イランが停戦を行い、イスラエルが停戦した後、24時間後には公式な終戦を迎える旨、投稿していると承知をいたしております。
防衛省・自衛隊としましては、引き続き高い緊張感をもって、情勢の推移を注視をする考えであります。いずれにせよ、関係省庁等と緊密に連携をし、在外邦人の安全確保を始め、情勢の推移にしっかりと対応すべく、全力を挙げてまいりたいと考えております。
記者 :
今停戦のお話がありましたが、関連して今回の米軍によるイラン攻撃に関する国際法上の根拠が乏しいとの指摘があります。防衛省・自衛隊もこれまで法の支配に基づく国際秩序を提起してきましたが、今回の攻撃をどのように評価されますでしょうか。
また、既に停戦合意が発表されましたが、仮に今後再び事態が深刻化し、同盟国として米国の行動に支持や行動を求められた場合、防衛省・自衛隊としてどのようなことができるとお考えでしょうか。
大臣 :
我が国にとりましては、事態を早期に沈静化をするということが、何よりもまず極めて重要であると考えております。同時に、イランの核兵器保有、これは阻止されなければなりません。イランの核兵器を取り巻く状況が極めて困難である中で、米国はこれまで対話を真剣に追求をしてきておりまして、我が国としては、今回の米国の対応は、事態の早期沈静化を求めつつ、イランの核兵器保有、これを阻止するという決意を示したものであると承知をいたしております。
また、我が国が米国とイランの協議を通じたイラン核問題の解決に向けた努力によって、対話の道が再開されることを引き続き期待をいたします。いずれにしましても、防衛省・自衛隊としましては、引き続き高い緊張感をもって、関係省庁等と緊密に連携しまして、在外邦人の安全確保を始め、情勢の推移にしっかりと対応すべく、全力を挙げてまいりたいと考えております。
記者 :
イランに関係する方をお尋ねしたいんですけれども、停戦という話題も出ておりますが、そもそもホルムズ海峡封鎖という話もこのイランの中ではありました。仮になんですが、平和安全法制の審議では、存立危機事態に認定されるケースとして、このホルムズ海峡の封鎖というのが以前ありました。
今回、存立危機事態に該当し得るかどうか見解や、また、そういった場合の自衛隊派遣などについての検討状況とかはどうだったのか教えていただければと思います。
大臣 :
仮定の状況を前提としたお答えはですね、差し控えなければならないということで御理解いただきたいと思います。
日本の防衛費増額について
記者 :
米国防総省の報道官が21日、トランプ政権が日本を含むアジア太平洋地域の同盟国に対して、防衛費をGDP比5%に増額すべきだとの認識を示していました。政府はこれまでですね、金額ありきではないと、大臣含めて主張してきたわけでありますけれども、米政府が公式に5%という数字を迫ってきたことをどう受け止めるか、本件に関して米側から通告があったのか。
またですね、「2+2」が延期された原因として、防衛費の増額が議題になるためという一部報道もありました。事実関係についても教えてください。
大臣 :
まず、我が国の防衛費について、そのような事実はありません。また、次回の日米「2+2」の日程は決まっておりません。その上で、政府として大事なのは金額ありきではなくて、防衛力の中身であると考えていることにも変わりはありません。まずは、国家安全保障戦略等に基づきまして、防衛力の抜本的強化を着実に進めてまいります。
また、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境の中で、我が国としては、主体的に抑止力・対処力を強化するための取組、これを不断に検討し、進めていくことも当然であります。いずれにしましても、政府としては、引き続き、日米同盟の抑止力・対処力の一層強化を図るべく、日米間で緊密に連携をしていくという考えであります。
記者 :
大臣、今、そのような事実はないとおっしゃったのは、「2+2」の延期の原因ではないということについておっしゃったという理解で良いでしょうか。
大臣 :
報道があるようにですね、金額が出てきたり、増額するように要求されたというような事実はないということです。
記者 :
5%という数字についても、何らか米側から通告はなかったという理解で良いでしょうか。
大臣 :
そのような事実はありません。
記者 :
大臣、米側から3.5%とか5%とかですね、数字の目標が非常に上がってますけれども、同盟国に対して数値を突き付けて要求するということに対して、他国でも反発出ているわけですけれども、大臣は数字目標を突き付けられているという状況、これはどう受け止めているかも伺えますでしょうか。
大臣 :
これは総理も言われておりますけれども、アメリカとの間におきましては、これまでも我が国の防衛力の抜本的強化の取組については説明をしてきております。引き続き、意思疎通を綿密に図っていきたい。その上で、大事なことは、その時点における安全保障環境等を踏まえて、何が必要かということを検討して、我が国を将来にわたって守り抜くため、必要な防衛力をしっかり整備をしていくということであります。
したがいまして、我が国の防衛費の在り方につきましては、我が国自身が主体的に判断すべきものであります。ということは当然でありますが、こうした考え方について、丁寧に、そして粘り強く米側に説明をしていく考えでございます。こういった観点から、石破総理も御指摘の会見でですね、必要なものを我が国の判断として積み上げていくということが重要であるというふうに述べておられます。
日中防衛当局間ホットラインの使用状況について
記者 :
話題変わりますが、先日、海上自衛隊のP-3C哨戒機に中国空母艦載機が異常接近した事案について、一部報道で、日中ホットラインを使用せず、緊急時の機能不全ではないかという指摘の記事が出ておりましたが、使用の事実関係と、ホットラインの機能の活用に向けた態勢について教えてください。
大臣 :
日中防衛当局間のホットラインにつきましては、2023年5月にその運用を開始して以降ですね、円滑に意思疎通が行われる状態を確保してきております。昨年11月に行われた日中防衛相会談、私、出席をいたしまして、中国の国防相とですね、会談をいたしましたが、その際に、引き続き、ホットラインを適切かつ確実に運用をしていくということを確認をしたところであります。
その上で、個別の事案におけるホットラインの使用状況につきましては、相手国との関係もありまして、円滑な意思疎通をしっかり確保していくという観点によりまして、お答えをすることはできないということを御理解いただければ幸いであります。
そして、日中間において、不測の衝突を回避すること、また、そのために日中防衛当局間において、適時の意思疎通を確保していくということは極めて重要でありまして、かかる観点からも、ホットラインの適切かつ確実な運用を中国側との間でですね、しっかりと確保していくという所存であります。
旧日本軍、牛島司令官の辞世の句について
記者 :
沖縄戦を指揮した旧日本軍第32軍のですね、牛島司令官の辞世の句の関係でお伺いしたいと思います。大臣、先日の国会でですね、平和を願う印象だというふうに述べられていたと思いますが、この辞世の句がですね、実は大本営によって内容が書き換えられていたということが、沖縄戦研究者の調査で分かりました。
大臣が国会で述べられた際にですね、こういった内容の書き換えというものを認識されていたのかどうかという点について教えてください。
大臣 :
牛島司令官の辞世の句の評価につきましては、様々な御意見があるということは承知をいたしております。その上で、御指摘の答弁は、牛島司令官の辞世の句についての評価を述べたものではなくて、当時HPにおける歌のことが質問にありましたので、第15旅団のHPに記載されている、臨時第1混成群の初代群長である桑江1佐の訓示について述べたものでありまして、当該訓示はですね、沖縄県の本土復帰に伴う部隊発足時のものであり、沖縄県の発展、また沖縄県民の平和な明るい生活・福祉の向上に寄与したいという決意が示されておりました。
この中で記載をされておりました牛島司令官の辞世の句、これはこの訓示の一部を構成するものでありまして、御指摘の私の答弁は、訓示における桑江群長の平和にかかる決意も踏まえて、戦争の惨禍を二度と繰り返してはならないとの考えの下で、防衛大臣として、我が国の平和への願いを述べたものでございます。
記者 :
そうすると、書き換えられていたという点については、大臣は御認識されていたのでしょうか。
大臣 :
この点につきましては、防衛省として直接的な確認をとることができない状況におきまして、お答えすることが困難でございます。
記者 :
陸上自衛隊第15旅団はですね、この書き換えについては、一部書き換えがあったというのは承知しているというふうに取材には回答されていると思うのですけれども、防衛省として直接的な確認が取れないといのとは、答えが全然違うのかなと思うのですが、改めてどういう認識なのか教えてください。
大臣 :
これは防衛省としてですね、直接的な確認をとるということはできない状況でありまして、この点につきましてはお答えすることは困難でございます。
記者 :
大臣としては、書き換えを把握していたというわけではなかったということで良いのでしょうか。
大臣 :
書き換えについて、直接その事実を確認をとるということはできない状況でありました。
中東情勢を受け、ジブチに派遣されている輸送機の運用について
記者 :
中東の関連で、トランプさんが停戦合意に向かっていると表明したことによって、ジブチにいる輸送機の運用にですね、どういった影響があるというふうにお考えでしょうか。
大臣 :
私のほうから安全確保、そして状況把握など指示を出しまして、現時点におきまして、しっかりと高い緊張感をもって事態の推移に対応するということで、関係省庁とも緊密に連携をしてですね、目的であります在外邦人の安全確保、これの対応等については情勢の推移をしっかり見ながらですね、対応せよという指示を出しておりますので、こういう方針でですね、全力を挙げてまいりたいと考えております。
記者 :
その指示は今回の停戦の話を受けて出しているのではなくて、日曜日の幹部会議で出したという認識でよろしいでしょうか。
大臣 :
基本的にその時点で出しております。
中東で活動している海自の部隊について
記者 :
中東情勢の関連でお伺いします。現在、中東では海上自衛隊の部隊が海賊対処等、情報収集活動をしていますが、活動に影響は出ていないのか、まず教えてください。
大臣 :
この点につきましては、先ほどですね、お話をしたとおりですね、こういった事態を受けて、緊急に幹部会議を招集しまして、今後につきましては、引き続き高い緊張感をもって、情勢の推移を注視をしてもらいたいと、そして関係省庁と緊密に連携して在外邦人の安全確保並びに、こういった与えられた任務が遂行できるようにですね、してもらいたいという大臣の要望を出しまして、それに従って現地において状況を見ながらですね、適宜適切に判断しながら対応しているというふうに思っております。
記者 :
イランがカタールの空軍基地を攻撃したわけですが、中東にはバーレーンの米海軍の基地にも海上自衛隊の連絡官が派遣されていると思いますが、安全確保の措置等について見解がありましたら教えてください。
大臣 :
この点については、防衛省・自衛隊としては、引き続き高い緊張感をもって、現在の情勢の推移を注視してもらいたいと、そして関係省庁とも連携を取りながらですね、それぞれの任務が遂行できるようにですね、指示を出してきておりますので、より緊張感をもって対応してもらいたいということです。
(以上)
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