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[国会答弁]沖縄における過重な米軍基地負担に関する質問答弁

  • 日本の防衛

2025-7-1 10:30

 防衛省は令和7(2025)年6月27日(火)10時44分、第217回国会における閣議資料のうち、「沖縄における過重な米軍基地負担に関する質問に対する答弁書」を報道に公開した。
 その質問主意書と答弁書を以下に転載する。

質問主意書

令和7年6月16日提出
質問第292号

沖縄における過重な米軍基地負担に関する質問主意書

提出者 山川 仁

 国土面積の約0.6%しかない沖縄に、全国の約70.3%の在日米軍専用施設・区域が依然として集中している現状は、異常としか言いようのない過重な基地負担を抱えているといえる。
 この点に関し、以下の事項について質問する。

一 米軍普天間飛行場の返還の目処が立たないなか、政府が辺野古新基地建設を強行するのはなぜか。沖縄県ホームページなどによれば、「本土の理解が得られない」という理由で移設先が沖縄県内に限定されてしまっているが、沖縄県の過重な基地負担は合理的根拠のない差別に該当し、憲法第14条第1項の平等原則に違反するのではないか、政府の見解を示されたい。

二 平成31年2月に実施された、辺野古米軍基地建設のための埋立ての賛否を問う県民投票において、投票総数の約72%が反対の民意を示した。沖縄県はいわゆる県民投票条例に基づき、その結果について、日米両政府に通知し、辺野古移設断念と対話による解決を求めたが、日米両政府は「辺野古が唯一の解決策」との姿勢を変えず、県民の思いを顧みることなく工事が強行されている。
 1 これだけの民意が示されているのに、対話すら応じない理由を説明されたい。
 2 「唯一の解決策」の「唯一」とはどのような意味で用いているのか。将来にわたり、他の選択肢について一切の考慮をしないということなのか、政府の見解を示されたい。
 3 「唯一の解決策」としている理由について、受け入れる自治体がほかにないからなのか、政府の見解を示されたい。
 4 沖縄県民も反対の民意を明確に示しており、「本土の理解が得られない」というのであれば、沖縄県民の理解も得られていないと考えるが、政府の見解を示されたい。

三 令和6年11月、日米の軍事関係者が集まるシンポジウムで、自民党の小野寺政調会長は「日米両政府は北マリアナ諸島テニアンで共同使用する訓練場の整備を計画する」「初めて逆の意味での日米地位協定を求めることになる」などと述べ、常駐の部隊を米国に置く意思を表明したとされる。
 1 政府は同じ考えなのか。見解を示されたい。
 2 自衛隊が米国に駐留することで、日本における米軍基地負担が縮小されると考えているのか、政府の検討状況と今後の方針について、それぞれ具体的に説明されたい。
 3 米国領における自衛隊の駐屯を足掛かりに、いわゆる日米地位協定を改定することは可能と考えるのか、政府の見解を示されたい。

四 公明党の山口那津男元代表は、令和6年8月、多国間の安全保障対話の枠組みとして欧州安保協力機構のアジア版の創設とその本部を東京に設置することを提言した。同組織は潜在的に対立関係にある国も参加し、戦争を起こさないような予防外交を行う仕組みの一つであり、NATOのような軍事同盟とは違う性格を持つものであると承知している。抑止力のみに依存するのではなく、地域の安全保障環境の不安定化を避けるためにも、沖縄にそのような信頼醸成を図ることができる機関を設置することを国際社会に呼びかけるべきと考えるが、政府の見解を伺いたい。

 右質問する。

答弁書

衆議院議員山川仁君提出 沖縄における過重な米軍基地負担に関する質問に対する答弁書

一の前段について

 御指摘の「米軍普天間飛行場の返還の目処が立たない」の意味するところが必ずしも明らかではないが、政府としては、住宅や学校で囲まれ、市街地の真ん中にある普天間飛行場の固定化は絶対に避けなければならないと考えており、同飛行場の一日も早い移設・返還の実現に向け、普天間飛行場代替施設建設事業を進めているところである。

一の後段について

 お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、沖縄の基地負担の軽減は、政府の最重要課題の一つとして、引き続き、全力で取り組んでいく考えである。

二の1及び4について

 御指摘の「県民投票」の結果について、政府として真摯に受け止めている。その上で、お尋ねの「対話すら応じない」の意味するところが必ずしも明らかではないが、政府としては、普天間飛行場の移設については、キャンプ・シュワブ辺野古崎地区及びこれに隣接する水域に代替施設を建設する現在の計画が、同飛行場の継続的な使用を回避するための唯一の解決策であると考えており、様々な機会を通じ、地元の皆様に対し、こうした政府の考え方を丁寧に説明してきたところである。政府として、今後とも、丁寧に説明を行いながら、同飛行場の一日も早い移設・返還の実現に向け、引き続き、普天間飛行場代替施設建設事業を適切に進めていく考えである。

二の2及び3について
 お尋ねについては、普天間飛行場の移設について、過去に、沖縄県外を移設先とする様々な案を含め検討を行ったが、我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、沖縄に駐留する米海兵隊を含む在日米軍全体のプレゼンスを低下させることはできないこと、米国本土、ハワイ等と比較して、東アジアの各地域に近い位置にあると同時に、我が国の周辺諸国との間に一定の距離を置いている等の沖縄の地理的優位性があること、司令部、陸上部隊、航空部隊及び後方支援部隊を統合した組織構造を有し、優れた機動性及び即応性を備える米海兵隊の特性及び機能を損なうことができないこと、同飛行場の危険性を一刻も早く除去する必要性があること等、様々な点を総合的に勘案した結果、キャンプ・シュワブ辺野古崎地区及びこれに隣接する水域に代替施設を建設する現在の計画が、同飛行場の継続的な使用を回避するための「唯一」の解決策との結論に至ったことを踏まえたものであり、御指摘の「受け入れる自治体がほかにない」との趣旨ではないが、いずれにせよ、政府としては、同飛行場の一日も早い移設・返還の実現に向け、引き続き、現在の計画に基づき、普天間飛行場代替施設建設事業を適切に進めていく考えである。

三の1について
 お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、御指摘の小野寺五典自由民主党政務調査会長の発言については、政府としては、令和6年11月17日の記者会見において、中谷防衛大臣が「自衛隊の能力や練度の維持・向上のために必要な訓練基盤の確保、また、自衛隊・米軍の相互運用性の向上などの在り方につきましては、日米同盟の抑止力・対処力を強化するとともに、その強靱性・持続性を高めていくとの観点から、政府としては不断に検討をしてまいります」と述べたとおりである。

三の2について
 お尋ねの趣旨が明らかではないため、お答えすることは困難である。

三の3について
 御指摘の「米国領における自衛隊の駐屯を足掛かりに」の意味するところが必ずしも明らかではないが、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第6条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定(昭和35年条約第7号)の在り方については、日米同盟の抑止力及び対処力を強化するとともに、その強靱性及び持続性を高めていくという観点から検討していく考えである。

四について
 お尋ねの「沖縄にそのような信頼醸成を図ることができる機関を設置する」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、アジアの国及び地域における信頼醸成の促進については、国際情勢や地域情勢を見極めながら検討を行ってまいりたい。

(以上)

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