[国会答弁]陸上自衛隊オスプレイの佐賀空港への配備に関する質問答弁
- 日本の防衛
2025-7-1 10:15
防衛省は令和7(2025)年6月27日(火)10時44分、第217回国会における閣議資料のうち、「陸上自衛隊オスプレイの佐賀空港への配備に関する質問に対する答弁書」を報道に公開した。
その質問主意書と答弁書を以下に転載する。
質問主意書
令和7年6月16日提出
質問第288号
陸上自衛隊オスプレイの佐賀空港への配備に関する質問主意書
提出者 田村貴昭
政府は、陸上自衛隊V-22オスプレイ(以下、「陸自オスプレイ」)について、現在、木更津駐屯地に配備している全17機を、本年7月9日に佐賀駐屯地(仮称)を開設のうえ、8月中旬までに順次移駐させる計画を進めていると承知している。
そこで以下、政府に対し質問する。
一 陸自オスプレイに関し、航空法第81条ただし書の規定による最低安全高度以下の高度での飛行(以下、「低空飛行」)を許可している区域がある場合、飛行許可年月日、飛行許可期間、飛行可能区域、飛行目的、飛行時間をそれぞれ可能な限り明らかにされたい。
また、このうち、以前に低空飛行許可の実績がなく、本年に初めて許可した区域があれば、併せて示されたい。
二 木更津飛行場区域では、陸自オスプレイの佐賀駐屯地への移駐完了後も低空飛行訓練を実施するのか。低空飛行訓練を行う場合、その理由を具体的にお示しいただきたい。
三 陸自オスプレイを除く自衛隊機が、九州地方において、現在、低空飛行を行うことが可能な県別の訓練区域を具体的に明らかにされた上で、これらの区域で、陸自オスプレイが、今後、低空飛行訓練を実施する可能性はないのか示されたい。
四 佐賀駐屯地に所属する陸自オスプレイの航空部隊が行う訓練内容を明らかにされたい。
五 陸自オスプレイは2024年10月、日米共同統合実動演習の訓練中に陸上自衛隊与那国駐屯地で機体損壊事故を起こしている。また、米軍オスプレイも国内外で墜落事故等を繰り返しており、同機に対する国民の不信感は非常に強い。そのうえ、低空飛行訓練を行うとなれば、墜落の危険性、騒音・低周波被害が一層拡大することになると考えるが、政府の認識を伺いたい。
右質問する。
答弁書
衆議院議員田村貴昭君提出 陸上自衛隊オスプレイの佐賀空港への配備に関する質問に対する答弁書
一について
お尋ねの「陸自オスプレイに関し、航空法第81条ただし書の規定による最低安全高度以下の高度での飛行(以下、「低空飛行」)を許可」した事例のうち、現在、お尋ねの「飛行許可期間」中である事例について、お尋ねの①「飛行許可年月日」、②「飛行許可期間」、③「飛行可能区域」、④「飛行目的」及び⑤「飛行時間」を事例ごとにお示しすると、それぞれ次のとおりである。
①令和7年3月18日 ②同年4月1日から令和8年3月31日まで ③木更津飛行場を中心として半径4キロメートル以内、東富士演習場、北富士演習場、相馬原飛行場を中心として半径2キロメートル以内及びその他相馬原飛行場周辺 ④試験飛行及び操縦訓練 ⑤夜間
①令和7年3月24日 ②同年4月1日から令和8年3月31日まで ③十文字原演習場周辺、日出生台演習場、大矢野原演習場及び大野原演習場 ④試験飛行及び操縦訓練 ⑤夜間
①令和7年3月26日 ②同年4月4キロメートル以内、東富士演習場、北富士演習場、相馬原飛行場を中心として半径2キロメートル以内及びその他相馬原飛行場周辺 ④試験飛行及び操縦訓練 ⑤昼間
①令和7年3月28日 ②同年4月1日から令和8年3月31日まで ③十文字原演習場周辺、日出生台演習場、大矢野原演習場及び大野原演習場 ④試験飛行及び操縦訓練 ⑤昼間
また、お尋ねの「このうち、以前に低空飛行許可の実績がなく、本年に初めて許可した」事例については、大矢野原演習場及び大野原演習場である。
二について
陸上自衛隊の輸送ティルト・ローター機V-22(以下「V-22」という。)に関し、佐賀駐屯地への移駐完了後における御指摘の「木更津飛行場区域」での低空飛行訓練については、現時点において具体的な計画はない。
三について
お尋ねの「県別の訓練区域」の意味するところが必ずしも明らかではないが、現時点で、九州地方の上空において、国土交通大臣の許可を受けて、V-22を除く陸上自衛隊の航空機による低空飛行が可能となっている区域の名称について、都道府県別にお示しすると、次のとおりである。
福岡県 小倉駐屯地富野分屯地、曽根訓練場、小倉駐屯地、飯塚駐屯地、西山訓練場、福岡駐屯地、小郡駐屯地、久留米駐屯地、鷹取山、高良台演習場、高良山、筑肥山地、英彦山山系周辺、福岡北方海上、大牟田西方海上及び北背振
佐賀県 目達原駐屯地、天山、北背振、背振山地、壱岐水道周辺及び大野原・大多武東部
長崎県 対馬、相浦駐屯地、崎辺、大野原演習場、大村湾川棚海域、大多武演習場、大村駐屯地、大蟇島、春日基地福江島分屯基地、津多羅島、壱岐水道周辺、大野原・大多武東部、宇久島及び橘湾
大分県 十文字原演習場、別府駐屯地、湯布院駐屯地、玖珠駐屯地、筑肥山地、英彦山山系周辺、日出生台演習場周辺及び九州山地
熊本県 竜門ダム、鞍岳、高岳、烏帽子岳、熊本空港、健軍駐屯地、北熊本駐屯地、黒石原演習場、菊池川河川敷、緑川河川敷、筑肥山地、橘湾、日出生台演習場周辺、九州山地、大矢野原演習場周辺、中部国有林、大築島、上天草、長島西方海上、中部国有林南部及び国見山地
宮崎県 えびの駐屯地、都城駐屯地、九州山地、大矢野原演習場周辺、国見山地及び霧島演習場
鹿児島 県国分駐屯地、福山演習場、川内駐屯地、川内演習場、野島、下甑分屯基地、長島西方海上、国見山地、霧島演習場、奄美大島、種子島、徳之島、臥蛇島及び那覇基地沖永良部島分屯基地
また、V-22が、今後、これらの区域において、低空飛行訓練を実施する可能性はある。
四及び五について
佐賀駐屯地に所属することとなるV-22の訓練の具体的な内容は現在検討中であり、これによる周辺環境等への影響を含め、確たることをお答えする段階にない。
(以上)
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