中谷防衛大臣が記者会見 昨年の日米共同統合演習やオスプレイ配備などについて(7月29日)
- 日本の防衛
2025-7-31 10:55
令和7(2025)年7月29日(火)09時54分~10時07分、中谷 元(なかたに・げん)防衛大臣は防衛省A棟10階会見室において閣議後会見を行った。
大臣からの発表事項はなく、記者との質疑応答が行われた。内容は以下のとおり。
大臣からの発表事項
なし
記者との質疑応答
2024年2月の日米共同統合演習でのやり取りについて
記者 :
昨年2月に実施された日米共同統合演習「キーン・エッジ」の中で、仮想敵国が核兵器の使用を示唆する発言をしたという設定に対し、自衛隊が米軍に「核の脅し」で対応するよう求めたと報じられています。大臣に事実関係を伺います。また、日本は戦後80年の節目を迎えておりまして、被爆国として核の恐ろしさを訴えていることと相反するのではないかと思いますが、御見解をお願いいたします。
大臣 :
昨年の2月に、令和5年度の日米共同統合演習、これ「キーン・エッジ」と申しますけれども、実施をいたしました。お尋ねの一部の記事におきまして、報じられた当該演習における日米間の議論につきましては、事実無根であります。記事にあるようなやり取りは行われておりません。これ以上の演習内容の詳細につきましては、事柄の性質上、お答えを差し控えさせていただきます。
現下、国際情勢の下、「核兵器のない世界」に向けた道のりというものは一層厳しいものになっております。そうであるからこそ、我が国は、唯一の戦争被爆国としまして、核兵器国と非核兵器国の双方と連携をしながら、「核兵器のない世界」に向けた唯一の普遍的な枠組みであります核兵器不拡散条約(NPT)の体制の下、現実的かつ実践的なアプローチで「核兵器のない世界」の実現に向けて全力で取り組んでまいりたいと考えております。
佐賀駐屯地へのオスプレイ配備について
記者 :
佐賀空港へのオスプレイ配備の関連で4点伺います。昨日28日からオスプレイの飛行訓練が現地で始まりました。このことへの大臣の所感を伺いたいというのがまず1点です。
加えて、夜間訓練や低空飛行訓練の開始時期の検討状況、こちらが2点目。
3点目が、全17機がそろう配備完了の時期が8月中旬とのことでしたが、昨日までに15機の移駐が終わっておりまして、かなり順調に進んでいる印象です。移駐完了時期の前倒しの可能性について伺えますでしょうか。
最後、昨日陸自オスプレイのうち1機が徳島の北徳島分屯地に予防着陸する案件が発生いたしました。注意灯の点灯ということが原因ということですが、どのような点検を促すものだったのか伺います。
大臣 :
佐賀駐屯地移駐後の陸上自衛隊オスプレイの訓練につきましては、昨日28日に、佐賀駐屯地周辺における基本操縦訓練などを開始をいたしました。安全面に十分配慮をし、住民の皆様への影響が最小限にとどまるように努めて、訓練を実施をしてまいります。
夜間飛行訓練、そして低空飛行訓練の具体的な実施時期については、まだ決まっておりませんが、訓練を実施する場合には、訓練の規模や地域の実情を踏まえ、地元の皆様には適切に情報提供を行っていく考えであります。
そして、木更津駐屯地から佐賀駐屯地への移駐につきましては、これまでに15機、これを移駐をしたところであります。引き続き、8月中旬までの完了に向けて、飛行の安全を最優先としまして、残り2機の移駐を進めていく考えであります。地元に対する情報提供もしっかり行いながら、着実に取り組んでいく考えでございます。
そして、昨日28日、12時26分頃、佐賀駐屯地への移駐のために木更津駐屯地から飛行中でありました陸上自衛隊オスプレイ2機のうち1機において、点検を促す注意灯が点灯をしたために、徳島県に所在する陸上自衛隊北徳島分屯地に予防着陸をいたしました。北徳島分屯地において機体の点検を実施をしたところ、問題なく飛行することが可能と判断したところから、昨日の15時25分頃、佐賀駐屯地に向けて飛行を再開をし、16時26分頃、同駐屯地に着陸をいたしました。今回の予防着陸におきましては、機体の損傷もなく、そして民航機の運航も含めまして周辺地域への影響は確認をされておりません。
防衛省としましては、引き続き、飛行の安全を最優先といたしまして、8月中旬の移駐完了に向けて、しっかりと取り組んでいきたいと考えております。
記者 :
注意灯の点灯理由をもし伺えればお願いします。
大臣 :
これにつきましては、佐賀駐屯地へ移駐のための飛行中に機体に電力を送るための発電機について、点検を促す注意灯が点灯したというところから、念のため予防着陸を実施したものでございます。着陸後、点検を終えまして、問題なく飛行することが可能と判断したところから、佐賀駐屯地に向けて飛行を再開して着陸をしたということであります。
12式地対艦誘導弾能力向上型の配備予定について
記者 :
2025年度末に、12式地対艦誘導弾能力向上型を熊本県の健軍駐屯地に配備するとの方針を固めたという一部の報道がありますけれども、事実関係をお伺いしたいと思います。
大臣 :
地上発射型の12式地対艦誘導弾能力向上型につきましては、今年度、2025年度から配備をするということといたしておりますが、具体的な配備先については、引き続き検討中でありまして、まだ決まっておりません。防衛省としましては、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境を踏まえまして、より迅速にスタンド・オフ防衛能力を構築できるように、取組を進めてまいりたいと考えています。
参院選の結果に対する石破総理の責任について
記者 :
昨日、自民党の両院議員懇談会が開かれ、首相退陣を求める声が多く出ました。石破首相は直後に改めて続投の意欲を示した一方で、自身の責任について、国民世論と我が党の考え方の一致が大事だと、そういうことも総合的に踏まえて適切に判断したいと述べられました。
中谷議員は、参院選の結果に対する石破首相の責任との向き合い方について、どのように考えられるかお聞かせください。
大臣 :
石破総理は、昨日の両院議員懇談会において、国家、国民に対して、決して政治空白を生むようなことがないように責任を果たしていく旨を申し述べられたと承知をしております。
今我が国を含む、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面する中、防衛大臣としましても、防衛省・自衛隊の取組が停滞をしていくということは許されないと認識をしておりまして、防衛大臣の職にある以上ですね、石破内閣の一員としまして、引き続き、その職務を全うし、石破内閣を支えていくということは、当然のことであると考えております。
記者 :
近くですね、議決権のある総会を開く方向で調整していると森山幹事長が話されているのですけれども、昨日の懇談会でも、党内で意見が対立してましたが、こういった状況で総会が開催されるとすれば、そういった場に期待することがあれば教えていただけますか。
大臣 :
党内において、先の参議院選挙においての総括とか、反省の会、これは続いていくようでですね、月末をめどに、8月中に結論を得るという作業は続いていくと思います。やっぱり大事なところは、どこのところが悪かったのか、そして、どのところを変えていかなければならないのか、そういったことをですね、しっかり議論をして、しっかりとした総括をですね、行うべきではないかなというふうに思います。
日米共同統合演習の質問に対する中谷大臣の回答について
記者 :
冒頭の幹事社質問の関係で、大臣先ほどの事実無根だとおっしゃった部分、これは核による脅し、記事のところなのですけれども、核の脅しで対抗するよう求めたっていうそこの部分なのか、どこの部分で大臣おっしゃってるのか、そこを伺えますでしょうか。
大臣 :
その部分におきましては、特に自衛隊が米軍に核の脅しで対応するように求めたという報道がありますが、そのところは事実無根であってですね、記事にあるようなやり取りというのは行われていなかったということであります。
記者 :
細かいのですけれども、設定としては仮想敵国が核の使用を示唆する発言をしたという、こういう設定で行ってはいたけれども、核の脅しで対抗するよう求めていなかったと、そういう理解でいいでしょうか。
大臣 :
この演習自体はですね、我が国防衛のための日米共同対処、また自衛隊の統合運用に係る指揮幕僚活動を演練するものでありまして、特定の国、また地域を念頭に置いたものではないということです。
12式地対艦誘導弾能力向上型の配備先について
記者 :
先ほどの12式の長射程ミサイルの話に戻るんですけれども、配備をめぐってはですね、相手からの攻撃の標的になるのではないかとの懸念が根強くあります。配備に先立って、配備先の地域住民の方に計画やその目的などについて説明するお考えは大臣はお持ちでしょうか。
大臣 :
具体的な配備先につきましては現在検討中でありまして、引き続き検討は続いていきますし、また地元の方にもですね、それが必要であれば、調整は行っていく必要があると思います。
(以上)
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