小泉防衛大臣が記者会見 自衛官の中国大使館侵入、護衛艦「ちょうかい」、陸自健軍駐屯地への長射程ミサイル配備ほか(3月27日)
- 日本の防衛
2026-3-31 10:13
令和8(2026)年3月27日(金)9時51分~10時05分、小泉進次郎(こいずみ・しんじろう)防衛大臣は、参議院別館3階防衛省政府控室において、閣議後の会見を行った。
大臣からの発表事項と記者との質疑応答は以下のとおり。
大臣からの発表事項
○ 今日は冒頭3点あります。まず1点目が、自衛官が在京中国大使館の敷地内に侵入し逮捕された事案についてです。
3月24日、陸上自衛隊えびの駐屯地所属の自衛官が、在京中国大使館の敷地内に侵入し、建造物侵入の容疑で逮捕されました。実力組織である自衛隊において、規律の維持は大変重要です。法と規律を遵守すべき自衛官が、在京中国大使館の敷地内に侵入し、建造物侵入の容疑で逮捕されたことは、誠に遺憾です。なお、公館警備については、警察において、関連施設の警戒警備の徹底の指示をするなど、所要の警備強化の措置を講じているものと承知しています。
今回の事案については、現在、捜査機関による捜査が行われており、防衛省としては、これに全面的に協力しています。また、防衛省としても事実関係が明らかになり次第、厳正に対処してまいります。
○ 2点目は、護衛艦「ちょうかい」トマホーク発射能力の獲得についてです。
本日、防衛省から護衛艦「ちょうかい」のトマホーク発射能力の獲得について、お知らせを公表しました。改めて私から、今回の能力獲得の意義について説明したいと思います。
防衛省・自衛隊では、平成29年にスタンド・オフ・ミサイルの導入を決定し、令和4年策定の国家防衛戦略でも、重視する7つの能力のうちの1つとして、スタンド・オフ防衛能力を強化することとしていました。このうち、アメリカ製のスタンド・オフ・ミサイルであるトマホークは、既に自衛隊への納入が開始されていますが、このトマホークの発射機能を付加するため、護衛艦「ちょうかい」は、昨年10月から、アメリカにおいて、艦艇の改修や乗員訓練を実施してきました。私の1月のアメリカ出張の際、ロサンゼルスにおいて「ちょうかい」の乗員と懇談し、艦船の改修や乗員の訓練が順調に進んでいる旨の報告を受けました。
本日、「ちょうかい」はこれらの改修や訓練を完了し、トマホーク発射能力の獲得を確認しました。その際「ちょうかい」艦上において、日米関係者が臨席の下、発射能力獲得にかかる記念行事が行われたと報告を受けています。「ちょうかい」は今後、本年夏頃までにアメリカで実射試験等を行った上で、9月頃に帰国する予定です。こうした能力の強化は、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面する中で、国民の皆様の命と平和な暮らしを守り抜くために必要なものです。スタンド・オフ・ミサイルを含め、我が国が保有する防衛力が、相手から武力攻撃を受けた場合に初めて行使される、自衛のための必要最小限の防衛力であることに変わりはなく、他国に脅威を与えるようなことはありません。
引き続き、国民の皆様の命と平和な暮らしを守り抜くため、防衛力の一層の強化と変革に取り組んでまいります。
○ 最後3点目、これは硫黄島の出張についてであります。
明日28日、土曜日、私は防衛大臣として、硫黄島を訪問し、硫黄島協会が主催する「硫黄島戦没者慰霊追悼顕彰式」及び、同協会とアメリカ硫黄島協会が共催する「日米硫黄島戦没者合同慰霊追悼顕彰式」に参列する予定です。防衛省としては、これまでも、式典の調整を担当する外務省より依頼を受け、会場の準備や音楽隊の派遣などを支援するとともに、省代表として政務三役を参列させてきたところです。硫黄島は、先の大戦で極めて苛烈な戦闘が行われ、2万人を超える方々が命を落とされた地です。私としても、かつてかの地で激しく戦火を交えた日米両国が、今や固い友情と絆で結ばれた唯一無二の友人となった歴史の重みを踏まえ、その一つの象徴として、長年実施されてきたこれら式典に是非とも参加したいと強く願っていました。当日は現地で、防衛大臣として追悼の言葉を述べる予定です。
平和国家としての歩みを揺るぎなく貫き、国際社会と連携しながら、安定した世界の実現に貢献していくとの想いを胸に、先の大戦において尊い命を捧げられた日米双方全ての戦没者の御霊に対し、謹んで哀悼の誠を捧げてまいる所存です。
記者との質疑応答
健軍駐屯地へのミサイル配備と住民説明について
記者:
陸上自衛隊健軍駐屯地への長射程ミサイル配備について伺います。26日の記者会見で、熊本県の木村知事が一般住民向けの装備品展示会を開いて説明するよう重ねて求めました。大臣は知事からの要望を真摯に受け止め、検討すると述べています。配備は31日に迫っていますが、配備までに開く予定はあるのでしょうか。仮に配備後となれば、住民の納得を得られないまま配備することにならないでしょうか。見解を教えてください。
大臣:
熊本県知事、そして熊本市長からは一般の方に向けた装備品展示の実施について、御要望をいただいており、防衛省として、これを真摯に受け止めております。その上で、12式地対艦誘導弾能力向上型の健軍駐屯地への配備については、現在、3月31日に向けて、最終的な準備を進めているところです。装備品の展示については、配備後においても、部隊として与えられた任務を確実に遂行できるように、まずは、練度向上に努めていく必要があるため、3月31日よりも前に行うことは困難ですが、実施時期を含む装備品展示の在り方については、引き続き検討を進めていきたいと思います。
海上自衛隊の機雷掃海能力と日米協力
記者:
話題変わりまして、機雷掃海についてお伺いしたいと思います。
海上自衛隊は、現在20隻近い掃海艦と掃海艇を運用しています。過去には湾岸戦争の終結後に機雷除去の実績もありますけれども、改めてまず、大臣は、この海自の機雷除去の能力をどのように評価しているか、お伺いしたいと思います。
そして2点目が、同盟国であるアメリカが、2027年までに全ての掃海艦艇を退役させる計画を示しています。アメリカは、その後、沿海域戦闘艦LCSというもので機雷対応を担う方針ですが、日米同盟において、この機雷に特化して技術を磨くという点では海上自衛隊の技術の重要度が高まると思われますが、大臣はどのようにお考えかお聞かせください。
大臣:
四方を海に囲まれた海洋国家である我が国においては、海上交通の安全確保は極めて重要であり、優れた掃海能力を保有することが不可欠です。このため、海上自衛隊では、従来から掃海能力の保有・強化に取り組んできています。過去には、1991年に湾岸危機における停戦が成立した後に、掃海艦艇をペルシャ湾に派遣し、機雷の除去、そして処理に当たりました。そして、先日、海上自衛隊の掃海能力を向上させるために、全ての掃海艦艇18隻を集約し、水陸両用戦機雷戦群を新編しました。また、平素から様々な掃海訓練を実施するなど、より安全な機雷除去のための能力と練度の向上を図っているところです。
その上で、海上自衛隊の掃海艦艇部隊は、例えば、機雷除去等を内容としたアメリカとウクライナの共催による多国間演習「シーブリーズ」に招待を受けて参加していることや、能力構築支援事業として、ベトナム海軍への水中不発弾処分に対する指導及び助言をしていることなどから、各国から評価を得ていると考えています。また、アメリカの海軍についても言及がありましたが、2027年までに全ての掃海艦艇をアメリカ海軍は退役をさせて、掃海機能については、水上戦闘機能等を備えた沿海域戦闘艦(LCS)が担う計画であると承知しています。
例えば、令和8年度予算案に計上している掃海艦からは、AIによる自動探知機能を装備することと、日本はしています。我が国が先端的な技術を用いて、得意とする掃海能力を更に向上させることは、掃海艦艇の機雷掃海の分野で、同盟国であるアメリカにとっての我が国の不可欠性を向上させるものです。また、有事等における米軍艦艇の航行の安全の確保にも資するものであり、日米同盟の抑止力・対処力を強化する観点からも重要です。
防衛省・自衛隊としては、引き続き、掃海艦等の能力向上を図ると同時に、海上自衛隊単独での機雷戦訓練及びアメリカ海軍と共同での掃海訓練を通じて、海上自衛隊の機雷戦能力及び米海軍との相互運用性の向上を図ってまいりたいと思います。
反撃能力保有の意義
記者:
冒頭言及ありました、トマホークについて伺います。
「ちょうかい」がアメリカでの改修を終えたことで、日本が反撃能力を保有するという転換点になったと思いますけれども、これについて、改めて大臣の御所感と、この反撃能力を日本が保有する意義、狙いについて教えていただければと思います。
大臣:
スタンド・オフ防衛能力は、我が国のいかなる地域に向けたものであれ、我が国に侵攻しようとする相手に対して、艦艇や上陸部隊等による侵攻が確実に阻止されることを認識させるものです。また、近年、我が国周辺で、質・量ともにミサイル戦力が著しく増強される中、今後この脅威に対し、既存のミサイル防衛網だけで完全に対応することは難しくなりつつあります。このため、ミサイル防衛網により飛来するミサイルを防ぎつつ、更なる武力攻撃を防ぐために、我が国から有効な反撃を相手に加える能力すなわち、反撃能力の保有が必要です。スタンド・オフ・ミサイルは、この反撃能力にも活用し得るものです。
今般、護衛艦「ちょうかい」がトマホーク発射能力を獲得したことは、こうした能力の獲得を通じ、我が国の抑止力・対処力の強化の早期実現につながるものであり、我が国への武力攻撃そのものの可能性を低下させる上で、大きな意義があると考えています。
米中央軍司令部への連絡官追加派遣
記者:
防衛省・自衛隊は、アメリカの中央軍司令部に連絡官2人を追加派遣すると明らかにしました。想定する担当業務と意義・狙いについてお伺いします。
大臣:
防衛省・自衛隊は、アメリカ中央軍司令部、これはフロリダ州タンパにありますが、そちらにおいて、国際情勢の情報収集やオーストラリア、韓国、イギリス等の約40か国の連絡官との連絡調整を行うため、平成14年以降、同司令部に派遣されている自衛官1名に加え、この度、2名を追加派遣をします。
アメリカ中央軍司令部に対しては、平成14年8月以降、アメリカ中央軍司令部における連絡調整業務及び中央軍担任地域内の安全保障に係る情勢に関する調査研究を目的任務として、自衛官1名を連絡官として派遣していますが、今般の追加派遣をする2名は、既に派遣している連絡官とともに、同様の任務に当たる予定です。防衛省・自衛隊としても引き続き、国際情勢について重大な関心をもって、鋭意、情報収集を行うとともに、アメリカを含む関係国とも、よく意思疎通をしながら、現下の情勢をよく踏まえつつ、必要な対応を検討していく考えです。
なお、昨日はイギリスのヒーリー国防大臣ともビデオ会談を行いましたが、私からはこの2名の追加派遣、このことも先方にお伝えをした上で、イギリスもこのCENTCOMに派遣をしてますから、こういったところでも、ともに連携、また、情報交換なども含めてやっていこうと。そういったことについても、お話をさせていただきました。
平和安全法制10年と国会への説明責任
記者:
施行からまもなく10年を迎える安全保障関連法、いわゆる平和安全法制の関係でお尋ねいたします。
政府は法案を可決した2015年の9月19日にですね、いわゆる与野党5党合意の趣旨を尊重し、適切に対処するという閣議決定をしております。この5党合意について振り返りますと、例えば、事態認定などについて国会の承認を求めるに当たっては、適切に説明をするよう政府に求めております。もちろん、機密情報ですとか、自衛隊の部隊運用との兼ね合いもあるかと思うのですけれども、どのようにこの国会に対してですね、提供する情報の質と量を確保し、この説明責任を十分に果たしていこうとお考えでしょうか。お聞かせください。
大臣:
政府としては平和安全法制の施行に当たっては、御指摘のいわゆる5党合意の趣旨を尊重し、適切に対処することとしています。一般論として、平和安全法制に基づく自衛隊の活動について、国会承認を得るに当たっては、国会に適切に情報公開を行い、その御理解を得ていきたいと考えており、また、国会に御承認いただくために必要な情報を可能な限り開示することは当然であると考えています。
他方で、説明責任を果たすに当たり、自衛隊の能力や運用に係る詳細が露見し、相手方に対抗措置を講じられるなどにより、我が国の防衛を全うできなくなるような事態は避けなければなりません。こうした認識のもとで、開示する情報の具体的内容については、個別の状況に応じて適切に判断していきたいと思います。
(以上)
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