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木原防衛大臣、会見で能登半島地震の災害派遣終了などを報告(9月3日)

  • 防衛省関連

2024-9-5 08:15

 令和6(2024)年9月3日(火)11時04分~11時24分、木原稔(きはら・みのる)防衛大臣は、防衛省A棟11階第1省議室において閣議後会見を行った。
 内容は、以下のとおり。

大臣からの発表事項

令和6年能登半島地震に係る災害派遣の終了について

 令和6年能登半島地震に係る災害派遣の終了についてでございます。本年1月1日に発生した能登半島地震への自衛隊の災害派遣活動に関しまして、8月31日土曜日に珠洲市における入浴支援活動を終了し、昨日2日、部隊は原隊へ帰還しました。これをもって、能登半島地震における全ての災害派遣活動を終了いたしました。
 道路網が寸断された半島部という陸上からのアクセスが非常に困難な被災地の状況の下、防衛省・自衛隊は人命救出を第一義とした捜索・救助活動や生活支援活動など、地震対応での災害派遣としては過去最長となる8か月にわたり、延べ114万人の隊員が災害派遣活動に従事いたしました。現場で被災者に寄り添い、誠実に、ひたむきに、全力を尽くしてくれた隊員達を大変頼もしく、また、心強く感じるとともに、隊員、あるいはその御家族に対して感謝の意を表したいと思います。なお、自衛隊の災害派遣活動は終了しましたが、被災地の復旧・復興のため、防衛省・自衛隊としても、引き続き、政府の取組にはしっかりと協力をしてまいります。

日ノルウェー防衛相会談について

 日ノルウェー防衛相会談の実施について、本日9月3日火曜日ですが、ノルウェーのグラム国防大臣を防衛省にお迎えし、日ノルウェー防衛相会談を実施いたします。ノルウェー国防大臣の訪日は約40年ぶりとなります。我が国とノルウェーは、地理的に離れているものの、共に海洋国家であり、それぞれロシアの東側と西側に位置していることから、情勢認識や戦略的利益の点で多くの共通点があります。こうした観点から、防衛当局間で本日のようなハイレベルの対話の機会を持つことは非常に有意義です。
 また、今回のグラム国防大臣の訪日の機会を捉えまして、先ほど、日本ノルウェーの防衛当局間において、今後の協力の強化を目的として、防衛装備・技術協力に関する覚書に署名しました。今回の会談では、こうした進展も踏まえ、地域情勢について両国の認識を共有するとともに、防衛装備・技術協力を含む、日ノルウェー間の安全保障・防衛協力の更なる進展に向けて、具体的な議論を行う予定となっております。

記者との質疑応答

普天間飛行場の名護市辺野古移設の支出額について

記者 :普天間飛行場の名護市辺野古移設で防衛省が支出した額が2023年度末までで約5319億円となっています。総事業費として防衛省が示している9300億円の57%に当たります。埋め立て土砂量は全体の15%、大浦湾側の工事はまだ始まったばかりです。支出済み額が膨らんでいる主な要因をどう考えているのでしょうか。また、このペースで事業を続けて完成までに9300億円に収まると考えていらっしゃるのでしょうか。お願いします。

大臣 :普天間飛行場代替施設建設事業等の経費の概略についてでございますが、令和元年、2019年の12月、沖縄防衛局が、地盤改良工事の追加に伴う工事計画の見直し結果や、当時の工事の状況などを踏まえ、約9300億円とお示しをしたところであります。公表した当時も御説明申し上げているとおり、経費の概略につきましては、その時点での検討を踏まえたものであり、今後の検討等によっては変更があり得るものであります。その上で、当該経費の概略については、工事の進捗等を踏まえつつ検討する必要があることから、現時点では具体的に見直す段階にはなく、今後の大浦湾側の工事の進捗等を踏まえて検討してまいります。
 辺野古移設に係る経費は、普天間飛行場の一日も早い全面返還、そして、地元の基地負担の軽減を図るために不可欠な経費であると考えております。防衛省としては、引き続き、経費の抑制に努めながら、辺野古移設に向けた工事を着実に進めてまいります。

無人アセットによる防衛力の強化について

記者 :無人アセットによる防衛力の強化についてお尋ねします。日本政府は完全自律型の致死兵器システム(LAWS)の開発は行う意図がないという公式見解だと思いますが、アセット全般への将来的なAIの搭載も排除しておられないと思います。
 その上で2点お尋ねします。AIを搭載した無人機に攻撃能力を持たせる際、LAWSのようにはならないために、具体的にどのような制約を設けるお考えでしょうか。また日本は、完全自律型致死兵器システムの開発だけでなく、購入・研究・保持のいずれも否定しているという認識でよろしいでしょうか。以上2点お願いいたします。

大臣 :自律型致死兵器システム、いわゆるLAWSについての御質問でございますが、その定義について、国際的なコンセンサスが得られていないという、そういうふうに認識をしているところです。前提として、そういうことがあると。その上で申し上げると、我が国としては人間の関与が及ばない完全自律型の致死性兵器の開発を行う意図は有していないという立場を明確にしてきておりまして、防衛省としても、装備品の取得や研究開発を行っていくにあたり、この方針に従って適切に対応してまいります。
 他方で、AIですが、科学技術の急速な進展による安全保障の在り方の根本的な変化や、人口減少と少子高齢化という我が国が直面する課題を克服する技術の一つとなる可能性を有しておりまして、防衛省として研究開発を含め、積極的に技術基盤の向上に努めていく必要があると考えています。そのため、AIを使った装備品の研究開発については、防衛省・自衛隊のガイドラインを策定すること等の取組を通じ、人間がコントロールできる制御可能性を備えたAIの研究開発を進めてまいります。

記者 :人の関与がしっかりと保証されているのであれば、攻撃力を備えた兵器にAIを搭載するということも、現時点では排除しておられないという理解でよろしいでしょうか。

大臣 :最初に申し上げたとおり、前提としてですね、LAWSについて国際的な議論が行われているところでありまして、どのような兵器がLAWSというものに該当し得るかについて、これは議論が行われているところであり、現時点で確たることを申し上げるということは困難であります。いずれにしても、我が国としては引き続き、人道という問題と、安全保障の視点というのを勘案した、バランスのとれた議論を通じ、広く国際社会において共通の認識が得られるよう、LAWSに関する国際的なルール作りにも積極的に、また建設的に参加していくという、そういう考えの下でですね、この議論をしっかりと注視していこうというふうに思っております。

防衛装備庁の契約公表をめぐる一部報道について

記者 :防衛装備庁の契約公表をめぐる一部報道についてお伺いします。装備庁が財務省の通達に反して、2023年度から24年度の契約結果の公表をしていなかったとの一部報道があります。事実関係をお願いします。

大臣 :国の支出の原因となる契約でありますが、契約実績の情報を適宜ホームページ等で公表するということとされておりまして、防衛省・自衛隊においても、契約機関ごとに公表をしております。防衛装備庁で実施する中央調達につきましても、契約情報をホームページで掲載をしておりますが、本年4月に最終版でないファイルを一旦誤って掲載してしまい、再掲載に際し改めて確認を要したことによって、令和6年2月から5月までの契約情報の掲載が遅延をしてしまいました。誤った掲載への対応及び再発防止の検討をする中で、官側の掲載・確認の作業効率化及び閲覧のしやすさの観点を踏まえ、掲載方法等の見直しを行うこととし、ホームページに掲載していた令和5年4月から令和6年1月分までの契約情報についても、一旦掲載を取りやめ、閲覧しやすい形式により、再度掲載を行っており、令和6年6月分からは適切なタイミングで公表しております。
 防衛力を抜本的に強化するため、必要な経費の確保に努めている中で、透明性の確保に向けて契約情報の公表は大事であると、そのように考えておりまして、今後の契約情報の掲載については、各種規則にのっとって、適切なタイミングでの公表に努めてまいります。

記者 :その記事の中ではですね、防衛費の増額に伴って契約件数が増えて、作業量が膨大になったために公表ができなくなったという担当者の説明があるんですけれども、防衛費の増額との関係についてはどうお考えでしょうか。

大臣 :確かに防衛費が増えたということ、そしてそれに伴って契約数も多くなるということはあるかと思います。従来よりも取りまとめ作業に時間を要するということは、物理的にこれはあり得ることでありますが、しかし、それは理由ということにはなりませんので、我々としては、しっかりと適切に公表するということに努めていかなければいけない、そのように思っております。

来年度予算の概算要求について

記者 :来年度予算の概算要求に関してお伺いしたいんですけれども、南西地域での自衛隊の運用基盤の拡充に向けた調査費用というものが新たに計上されていると思います。この運用基盤というものはどういったものを想定しておられるのかという具体的なところとですね、あと、いつ頃までに整備したいのか、それからその運用基盤の拡充というものがなぜ必要なのかという必要性の部分について、御見解をお伺いします。

大臣 :3つの関連した質問、まとめてお答えしますが、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境を踏まえると南西地域の防衛体制の強化というものは喫緊の課題であり、これまでに御承知の通り、奄美大島、そして宮古島、与那国島、そして石垣島におきまして駐屯地を開設してきたところですが、引き続き、南西島嶼部の現地部隊等が活用する訓練基盤や補給基盤、そういった運用基盤の拡充を進め、さらに抑止力・対処力を高めていくことが重要であるというふうに考えております。こうした運用基盤の拡充に当たりましては、周辺地域への影響等の検討をしっかりと行う必要があると考えておりまして、今般、令和7年度概算要求において、基盤整備を行う上で適切な場所を検討するための事前調査に係る経費を計上をしているところです。
 この調査ですが、各島における運用基盤の必要性を踏まえて行うものですが、特定の候補地が想定されているというものではなくて、各島において幅広く調査を行うと、そういった考えです。施設整備の具体的な内容、あるいは、御質問いただいた、いつ頃までにというそういう時期については、これは調査をこれからやっていきます。その結果を踏まえて検討していくため、現時点ではお答えはできません。

記者 :概算要求に関連してもう1点なんですけれども、対空電子戦部隊を新たに陸上自衛隊の那覇駐屯地に配備するための予算というものも含まれていると思います。この沖縄というか那覇に対空電子線部隊、新たな部隊になりますけれども、これを配備することの意義についてお伺いします。それから、地元の那覇市や県など関係自治体へどういった説明をしているかという現状についても併せてお伺いします。

大臣 :対空電子線部隊に関する御質問ですが、いわゆる電磁波のそういった活用範囲、あるいは用途というものが拡大している中で、電磁波領域は現在の戦闘様相における攻防の最前線となっておりまして、電磁波領域における優勢の確保というのは喫緊の課題であるというふうに認識しています。
 そのため、防衛力整備計画では、電磁波領域における能力を強化するため、対空電子戦部隊を新編するとともに、島嶼部の電子戦部隊を強化することとしており、令和7年度概算要求では、24式対空電子戦装置2式の取得に必要な経費として、約63億円を計上したところです。
 対空電子戦装置ですが、有事においては、相手の早期警戒管制機等に対しまして陸上から電波妨害を実施し、そのレーダーを無力化することで各種戦闘を有利に進めるということに寄与いたします。令和9年度に当該装置を運用する対空電子戦部隊を那覇駐屯地に配備する予定であり、本年8月30日に、沖縄県及び陸上自衛隊那覇駐屯地が所在する那覇市に対しまして御説明をしております。防衛省としては、引き続き、関係自治体に対し丁寧な説明や適切な情報提供に努めてまいります。

中国軍の領海侵入、領空侵犯について

記者 :先月の31日の中国軍の測量艦が鹿児島県沖の日本の領海内に一時侵入した件に関しましてですけれども、それに先立つ先月26日には領空侵犯もございましたけれども、これらに対する大臣の受け止めと、政府としてこうした中国の行動への対応についてお聞かせいただけたらと思います。

大臣 :8月31日午前6時ちょうど頃から午前7時53分頃にかけて、中国海軍の測量艦1隻が、口永良部島及び屋久島周辺の我が国領海内を航行したことを確認し、海上自衛隊の艦艇等により継続的に警戒監視・情報収集を行いました。政府としましては、中国海軍艦艇が高い頻度で我が国領海内の航行を行っていることを含む、我が国周辺における中国海軍艦艇等のこれまでの動向や、また先般の中国軍機による我が国領空の侵犯事案を踏まえまして、同日中に、中国政府に対して外交ルートを通じ、本件事案についての我が国の強い懸念を伝え、抗議をいたしました。
御指摘の中国軍機の領空侵犯事案との関連性を含め、今回の中国海軍艦艇の航行の目的や意図、そういったものについて確たることを申し上げることは困難ですが、中国は近年、我が国周辺における軍事活動をますます拡大・活発化させています。
 防衛省・自衛隊としては、引き続き、こうした中国海軍艦艇等の動向について強い懸念を持って注視していくとともに、我が国周辺海空域における警戒監視活動等に万全を期してまいります。

南西地域の運用基盤の拡充に向けた調査について

記者 :先ほどの南西地域の運用基盤の拡充に向けた調査について関連で伺いたいのですが、この調査について沖縄本島も調査対象から排除されていないと考えてよろしいでしょうか。

大臣 :先ほど申し上げたとおり、これまで奄美、宮古、与那国、石垣において駐屯地を開設し、その後も引き続きですね、南西島嶼部の現地部隊等が活用するための訓練基盤であったり、あるいは補給基盤、そういった運用基盤の拡充を進め、そうすることによってさらにその抑止力や対処力を高めていくということが重要であるという、そういう視点から言うと、正に南西地域の防衛態勢の強化という点からは、当然排除されるものではないとそういう考えであります。

(以上)

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