木原防衛大臣、日豪防衛相会談後の臨時記者会見(9月4日、オーストラリア)
- 防衛省関連
2024-9-9 10:10
令和6(2024)年9月4日(水)20時44分~20時54分(現地時間)、木原 稔(きはら・みのる)防衛大臣は、オーストラリアのウェリビー・パーク・マンションホテルにおいて日豪防衛相会談後の臨時会見を行った。
内容は、以下のとおり。
大臣からの発表事項
日豪防衛相会談の実施について
大臣 :日豪防衛相会談の実施について冒頭申し上げます。
本日(9月4日)、先ほどですけど、午後5時40分から約1時間、リチャード・マールズオーストラリア副首相兼国防大臣と防衛相会談を行いました。今回、私自身としては、防衛大臣として初の豪州訪問となります。マールズ大臣とは、これまで東京で、そしてハワイで、またシンガポールで3回にわたり会談を重ねており、今回そういう意味で言うと今回4回目の会談となりました。
今回の会談でも、日本と豪州が地域における同志国連携の中核であり、同盟国である米国を含めて抑止力・対処力を強化する取組の一層の強化が何より重要との点で一致しています。その上で、日本のスタンド・オフ防衛能力を活用した反撃能力と豪州の長距離打撃力の協力の推進や、運用協力・共同訓練をはじめ自衛隊と豪軍の相互運用性を向上させる取組など各種協力について協議をいたしました。加えて、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けて、インド太平洋地域の同志国との連携を一層強化することでも一致をしております。
また、私から、我が国周辺での中国の軍事活動の活発化、特に先月26日の中国軍機による領空侵犯について強い懸念を表明し、マールズ大臣との間で、力または威圧による一方的な現状変更の試みに対して一層連携を強化していくことで一致をしました。
明日行われる日豪「2+2」も踏まえ、日豪防衛当局間ではあらゆるレベルで緊密に連携し、自衛隊と豪軍の実効的な連携の強化をはじめ日豪防衛協力の更なる進展を図ってまいります。
記者との質疑応答
対中国という観点から見るオーストラリアとの連携強化の意義について
記者 :中国の軍事活動の活発化や領空侵犯、領海侵入が続いていますが、会談の中で、マールズ国防相から具体的な言及はありましたでしょうか。また、対中国という観点で、オーストラリアとの連携を強化することの意義を改めてお聞かせください。
大臣 :先ほど冒頭の発言で申し上げましたが、マールズ副首相兼国防大臣に対して、先月26日の中国空軍情報収集機による我が国の領空侵犯に加えて、31日の中国海軍測量艦による我が国の領海内の航行について説明をしました。その上で、マールズ大臣との間では、中国の地域の緊張を一層高める軍事活動に対する懸念と関心を強く共有をし、また、中国の一方的な現状変更の試みに対して、一層、連携を強化していくことで一致をしたところです。
インド太平洋地域の平和と安定を維持する上で、同盟国・同志国間のネットワークを重層的に構築し、そして拡大することが極めて重要です。こうした中で、豪州は、我が国と価値観と戦略目標を完全に共有しており、同志国連携の中核であります。明日の「2+2」でも、日豪防衛協力の実効性を更に向上させる方向性について、引き続き議論したいと思っております。
オーストラリアが新型艦導入計画で関心を寄せる「もがみ」型護衛艦について
記者 :会談の中でですね、オーストラリアの新型艦の導入計画について、日本が提案する「もがみ」型の護衛艦、これに対するオーストラリア側からの反応はありましたでしょうか。またですね、過去に潜水艦の受注が実らなかったということを踏まえて、日本として今後、プロジェクトに参画するに向けてですね、他国とどのように差別化をはかり、働きかけていくおつもりかお考えをお聞かせください。
大臣 :御指摘の点についてでありますけれども、これはオーストラリア側がですね、公式に表明していることは、私どもの「もがみ」型に対して関心があるということをオーストラリア側がすでに表明をしております。それに対して、私たちは情報提供という形で行っております。それ以上の詳しい先方とのやり取り、あるいはその後の反応等、個別具体的な詳細についてはですね、オーストラリア側との関係もあることから、この場ではお答えは差し控えたいと思います。なお、次期フリゲート艦に係るオーストラリアの計画に関して、現時点で私ども政府として決定しているという方針というのはありません。
記者 :お話は出ましたでしょうか。
大臣 :先ほど申し上げたとおり、向こう側は公式に関心があるということでしたので、必要な情報提供という形で行っておりますが、それ以上は個別具体的なやり取りになってしまいますので、その点は控えたいと思います。ただ、関心があると向こうが言っていることはそこだけは、公式な見解であります。
仮に「もがみ」型護衛艦が選定された場合における日本のかかわり方について
記者 :「もがみ」型に関して関連なんですけれども、もし「もがみ」型が選定された場合、製造はオーストラリアと日本の両方で行うのでしょうか。オーストラリアのパートナー企業との協業というものが含まれる場合、日本からの知的財産や技術の移転はどのような形で行われるのか、また、豪州における雇用創出への影響についてどうお考えかお聞かせください。
大臣 :先ほどと同様の答えになりますけれども、必要に応じて、向こうの要望に対して必要な情報提供というのは行ってきております。しかし、今おっしゃったということは個別具体的なことと言いますか、かなり具体性のあることで、いわば仮定の質問になってしまいますので、その仮定の質問についてお答えすることは差し控えたいと思いますし、むしろ困難であるということであります。オーストラリアの計画に対して、今この時点でですね、日本政府として何か決定しているということはないということだけは申し上げたいと思います。非常に今の時点では、こう申し上げるのが精いっぱいでありますので、御理解いただきたいと思います。
日本のスタンド・オフ防衛能力等を活用した反撃能力と豪州の長距離打撃力の協力策について
記者 :大臣からの言及のありました、日本のスタンド・オフ防衛能力を活用した反撃能力と豪州の長距離打撃力の協力を推進するということなんですけれども、私ども、ここには日本の長射程ミサイルのオーストラリア国内での訓練なども含まれ得ることは理解しているんですけれども、今日の会談でこの協力というのは具体的にどのようなことをするかというアイディアのようなものは話し合われたのでしょうか。あるいは、大臣御自身が何か声を高めておられるのか、ありましたらお聞かせください。
大臣 :我が国はですね、いわゆる戦略3文書の中で、スタンド・オフ防衛能力等を活用した反撃能力の整備というのを、進めるということ、我が国の方針として打ち出しておりますが、オーストラリアもですね、同様に今年4月だったと思いますが、NⅮSを発表しています、初の国家防衛戦略でありますけれども、そこでも、表現は違いますけれども、長距離打撃力の取得を重視というふうになっているわけであります。ということは、そういうたまたまお互いにそういった基本的な方針というのをですね、同じ方向性にあるということは言えると思います。日豪間では、そのいわゆる共通の能力というのを整備し、相互運用性を高める取組が重要だというふうに考えておりまして、我が国の反撃能力、そしてオーストラリアの長距離打撃力につきましては、これも米国製のトマホークを取得・運用、これをお互いにそれぞれがですね、やることでもありますし、能力整備のタイミングなども非常に類似している、近接した時期にトマホークの取得・運用をやるということ、そういったことを踏まえると、具体的な協力について検討しましょうということはですね、当然の成り行きとしてなってくるんだろうというふうに思っております。
(以上)
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