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中谷防衛大臣、ラオスのナショナル・コンベンションセンターでの臨時記者会見(11月21日)

  • 日本の防衛

2024-11-26 09:00

 令和6(2024)年11月21日(木)18時39分~18時55分(現地時間)、中谷元(なかたに・げん)防衛大臣は、ラオスのナショナル・コンベンションセンターにおいてADMMプラス会合、日米豪比韓、日韓、日中、日NZ及び日ラオス防衛相会談後の臨時会見を行った。
 内容は、以下のとおり。

大臣からの発表事項

ADMMプラス会合や日米豪比韓防衛相会談などの結果について

大臣 :本日はこれまで、午前中にADMMプラス、拡大ASEAN国防相会議に出席をし、その後、日米豪比韓防衛相会談、そして日韓防衛相会談、そして日中防衛相会談、並びに日ニュージーランド防衛相会談、そして日ラオス防衛相会談を実施をいたしました。
 先ほど申し上げました、日米豪比韓会談などにつきまして報告をさせていただきます。まず、ADMMプラスにおいては、参加各国の国防大臣との間で地域的、そして国際的な安全保障課題について意見交換を行いました。私からは、3点、まず法の支配に基づく国際秩序、次にASEANを中心とした防衛協力、そして東南アジアと太平洋島しょ地域との連結性の強化の重要性、これを指摘しつつ、我が国として地域の安定に引き続きしっかりと貢献をしていくという考えを述べました。
 また、この会合におきまして、「気候関連及びその他の自然災害に対する強靭性に関する共同声明」が発出をされました。様々な問題が山積をする中で、気候変動という各国共通の課題について一定の方向性で一致できたということは意義深いことであったと考えております。
 続きまして、日本、米国、豪州、フィリピン、韓国、この5か国で防衛相会談が開催をされました。そして、東シナ海及び南シナ海を含むインド太平洋、朝鮮半島、これを越えた地域をとりまく安全保障環境について認識を共有しつつ、日米豪比韓の連携の重要性は増しており、参加国間の具体的協力を強化していくということを改めて確認をいたしました。日本、米国、豪州、フィリピン、これに韓国を加えた5か国による防衛相会談は初めてのことでありまして、その意味でも非常に意義深い会合でございました。
 その後、一連のバイ会談を実施をいたしました。まず、日韓防衛相会談におきましては、北朝鮮による弾道ミサイルの発射、そしてロシアと北朝鮮との軍事協力の進展について、深刻な懸念を表明するとともに、日韓両国で引き続き緊密に連携していくということを確認をいたしました。また、私の韓国訪問につきましても、早期の実現に向けて調整を加速をするということで一致をいたしました。
 また、日中防衛相会談におきましては、8月に発生した中国軍機による領空侵犯について改めて厳重に抗議をするとともに、今般の事案に関する中国側からの説明を踏まえた上で、再発防止を強く求めました。また、尖閣諸島を含む東シナ海情勢、また我が国周辺海空域における軍事活動の活発化に対しまして、深刻な懸念を伝え、そして同時に、安全保障上の多くの懸念があるからこそ、率直な議論と意思疎通が重要であるということを指摘しつつ、部隊間交流の再開を含め、防衛当局間における対話、また交流の重要性で一致をいたしました。
 次に、ニュージーランドとの防衛相会談におきましては、今年、二国間の共同訓練が初めて実施をされたことに言及しつつ、両国間の防衛協力・交流が着実に進展をしているということを歓迎をするとともに、引き続き、このモメンタム、これを維持をして、共に「自由で開かれたインド太平洋」の実現のために取り組んでいくということを確認をいたしました。
 続きまして、日ラオス防衛相会談におきましては、本年ASEAN議長国を務めるラオスが一年にわたって主導的役割を果たしてきたことに敬意を表するとともに、来年には日ラオス外交樹立70周年を迎えるということも踏まえまして、二国間の関係を一層発展をしていくことを確認をいたしました。特に、ラオス軍に対する災害対応機材の提供については、両国で検討を開始をするということで一致をしました。
 本日の諸行事につきましては以上のとおりです。ADMMプラスに日本から防衛大臣が参加をしたのは3年ぶりであります。この機会を捉えて、多くのバイ会談を行うとともに、初の米国、豪州、フィリピンに加えて、韓国、それに日本ですね、この5か国で防衛相会談が開催できたことは、「自由で開かれたインド太平洋」を実現する上でも極めて有意義であったというふうに考えております。

記者との質疑応答

ASEAN各国との連携や中国の軍事動向などについて

記者 :今回はですね、ここラオス、東南アジアの地で会議が開かれましたけれども、中国は南シナ海をはじめですね、緊張を高める行動をここで続けています。地域の安定化に向けて、防衛省・自衛隊としてですね、東南アジアの国々とどのような連携や具体的な行動を取っていくというふうにお考えなのでしょうか。
 また、今回のですね、一連の会合の出席を通じてですね、中国の影響力というものについて大臣はどのように感じられましたでしょうか。

大臣 :やはり、日本とASEANは、法の支配に基づいて、平和、安定、繁栄、これを享受をするインド太平洋地域の将来像を共有をしているということであります。したがって、「自由で開かれたインド太平洋」を実現する上でですね、日本とASEAN各国との協力は極めて重要であると認識をいたしました。
 こうした中で、本日の拡大ASEAN国防相会議、ADMMプラスにおきまして、私から3つのことを申し上げました。1つは法の支配に基づく国際秩序、2つ目はASEANを中心とした防衛協力、3つ目は東南アジアと太平洋島しょ地域との連結性について強調をしつつですね、我が国として地域の安定に更に貢献をしていくという考えを発信をいたしました。
 防衛省としましては、「自由で開かれたインド太平洋」の実現のために、今後とも我が国の考え方をしっかり発信をしていくとともに、法の支配の貫徹や海洋安全保障の強化といった分野におきましても、ASEANをはじめとした各国、そして地域、そして二国間、多国間、これの防衛協力に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 そこで、本日の日中防衛相会談では、中国による一連の軍事動向について深刻な懸念を伝達をしました。本年8月の中国軍機による領空の侵犯につきましては、改めて厳重に抗議をいたしました。そして、その上で今般の事案に関する中国側の説明を聞きました。それを踏まえた上でですね、強く再発防止、これを求めたところであります。
 本日の二国間、多国間の防衛相会談におきまして、各国の防衛大臣との議論を深める中でも、安全保障環境が一層の厳しさを増しているということを実感をしたところでありまして、今後、同盟国・同志国と一層緊密に連携しながら、安全保障上の様々な課題に対応していきたいというふうに考えております。

日中防衛相会談について

記者 :日中防衛相会談についてお伺いします。領空侵犯のお話し言及ありましたけれども、領海侵入や接続水域の航行など、日本周辺での活動について懸念は示されたのでしょうか。また、そういったことを含めて懸念した場合、中国側はどのような反応、対応をされたのでしょうか。

大臣 :会談では、私から特にですね、本年8月の中国軍機による我が国領空侵犯について、改めて厳重に抗議をいたしました。そして、今般の事案に関する中国側の説明を踏まえた上でですね、その再発防止、これ強く求めました。
 また、尖閣諸島を含む東シナ海情勢、そして中国空母などによる我が国領海に近接した海域の航行、並びにロシアとの連携など、我が国周辺海空域における軍事活動の活発化に対しまして、深刻な懸念を改めて表明をし、そして我が国が有している危機感を率直に伝達をいたしました。
 これに加えて、南シナ海の情勢についても、深刻な懸念を改めて表明をしたほか、台湾海峡の平和と安定の重要性について強調いたしました。
 さらに、北朝鮮による度重なる弾道ミサイルの発射を強く非難をしたほか、ロシアと北朝鮮の軍事協力の進展に深刻な懸念を表明をしました。
 これらに関して中国側からは、中国の立場に関する発言がありました。中国側の発言の詳細につきましては、私から紹介をすることはいたしませんが、引き続き、中国との間では、主張すべきは主張し、率直な意思疎通を図ってまいりたいと思っております。

記者 :防衛協力・交流をめぐってですね、事務レベルであったり、部隊間での交流など具体的な協議はされましたでしょうか。また、2023年5月に始めた日中ホットラインの運用について、具体的な協議はされましたでしょうか。

大臣 :日中間の安全保障に係る多くの懸念が存在いたしております。だからこそ、主張すべきは主張し、そして諸懸案も含めて、対話をしっかり重ねて、建設的かつ安定的な関係を構築するということが重要であります。
 今日はこうした考え方の下で、会談では、董軍国防部長との間で、防衛交流についても意見交換を行いまして、2019年、これを最後に実施をされていない、部隊間交流の再開も含めて、防衛当局間における対話や交流の重要性、これで一致をいたしました。
 また、日中防衛当局間のホットラインについては、私から、信頼醸成に加えて、不測の事態や、そのエスカレートを未然に防止する観点からも重要な役割を担っている旨を伝達した上で、董軍国防部長との間で、引き続き、適切かつ確実に運用していくということを確認をいたしました。そこで、2019年までに実施されていた、艦艇の相互訪問、自衛隊と中国人民解放軍との交流の再開、これを念頭に置いていますけれども、具体的な再開の時期等については現時点で決まったものはないということでございます。

日米豪比韓の防衛相会談について

記者 :日米豪比韓の防衛相会談についてお伺いします。中国は今月、フィリピンと領有権を争うスカボロー礁で領海基線を一方的に発表するなど南シナ海で活動をエスカレートさせております。今日、初めて5か国の会談を実施したということですけれども、南シナ海への関与はどういった話し合いがされたのかというのと、防衛省・自衛隊として、南シナ海に今後どのように関与を深めていくお考えか教えてください。

大臣 :この点も本日、各国で議論をされた事項でございます。今日の協議におきましては、東シナ海、南シナ海をはじめとするインド太平洋地域を含む地域情勢について認識を共有するとともに、自由で開かれた、そして安全で繁栄したインド太平洋というビジョンを進めるための共通のコミットメントについて確認をいたしました。
 また、これまでに我が国として取り組んできた地域における多国間協力として、例えば、南シナ海における海上協同活動(MCA)、これを継続的に実施すると、この重要性などについて認識を共有をいたしました。
 防衛省としましては、引き続き、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けまして、同盟国・同志国との連携を強化をしていきたいと考えております。

(以上)

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