中谷防衛大臣がラオスで臨時会見 各国との防衛相会談などについて(11月22日)
- 日本の防衛
2024-11-27 10:01
令和6年11月22日(金)14時55分~15時10分(現地時間)、第11回拡大ASEAN国防相会議(ADMMプラス)に出席するためラオス人民民主共和国・ビエンチャンを訪問中の中谷 元(なかたに・げん)防衛大臣は、日フィリピン、日印及び日ブルネイ防衛相会談後の臨時会見を行った。
内容は、以下の通り。
大臣からの発表事項
本日はこれまで、日本とフィリピン防衛相会談、日本とインド防衛相会談、並びに日本とブルネイ防衛相会談を実施をいたしました。
まず、日本・フィリピン防衛相会談におきましては、私からテオドロ大臣のリーダーシップの下、日本・フィリピン防衛協力・交流が大きく進展をしているということを歓迎をした上で、本年7月に署名をいたしました日比円滑化協定、これを踏まえて、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化に向けて、日比防衛協力・交流を引き続き強化をしていくということを確認をいたしました。
続きまして、日印防衛相会談におきましては、私とシン大臣の下、日印間の防衛協力・交流を更に発展をさせていくことを確認をした上で、艦艇用アンテナ「ユニコーン」、これの移転に関する細目取極(MOI)、これが署名に至ったことを歓迎をいたしました。また、力による一方的な現状変更は断じて許してはならないとのメッセージを共に発信をしていくということで一致をいたしました。
続きまして、日本・ブルネイ防衛相会談におきましては、昨年結んだ防衛交流覚書に基づいて、二国間で交流が行われていることを歓迎し、我が国のシーレーンの要衝を占めるなど、戦略的に重要な地域に位置するブルネイとの防衛協力・交流を一層進展させることの重要性について確認をいたしました。
そして、ADMMプラス(拡大ASEAN国防相会議)の参加の機会を捉えまして、この二日間で、米豪比韓、韓国、中国、ニュージーランド、ラオス、フィリピン、インド及びブルネイの国防大臣と二国間、多国間の会談を実施をしまして、地域における安全保障上の課題について、各国と率直な意見交換を行うとともに、同盟国や同志国との間で防衛協力・交流の更なる強化に向けて一致するなど、意義深い会合を重ねることができました。
防衛省・自衛隊といたしましては、ASEAN主導の枠組みや、この地域の同志国との連携、これを一層強化をして、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けまして、引き続き積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
記者との質疑応答
フィリピンへの今後の支援、協力態勢、中国の影響力など
記者 :先ほどですね、フィリピンとの防衛相会談が行われました。フィリピンは、南シナ海で領有権をめぐって中国と対立していて、激しくですね、船舶の衝突等厳しい状況続いておりまして、一部では今日の南シナ海は明日の東シナ海という指摘もあります。
これからですね、今日、正にフィリピン側の主張に100パーセント同意するとおっしゃった大臣御自身として、これから防衛省・自衛隊として、フィリピン政府に対してですね、あるいはフィリピン軍に対して、どういった具体的な支援や協力をしていくお考えでしょうか。また、フィリピンとのですね、会談を通じて中国の影響力というものをどういうふうに感じられたでしょうか。
大臣 :日本とフィリピンとの防衛相会談におきましては、この南シナ海における状況などを含むですね、地域情勢について意見交換をいたしました。フィリピン側の発言の詳細につきまして私から紹介をすることはいたしませんが、今回の会談で議論を深める中で、南シナ海のみならず、東シナ海においても安全保障環境がますます厳しさを増しているということを強く実感をしたところです。
フィリピンとは、我が国とは基本的価値観を共有をし、シーレーンの要衝を占めるなど戦略的に重要な地域に位置しておりまして、フィリピンとの防衛協力・交流を進展させることは大変重要なことであります。
これまでにフィリピンとの二国間では、人道支援・災害救援、また艦船整備に関する能力構築支援、そして日本製警戒管制レーダーの移転、また日比円滑化協定(RAA)の署名など、様々な分野で防衛協力を強化をしてまいりました。また、昨日は日米豪比韓、この5か国による防衛相会談を初めて実施をしたほか、本年9月には日米豪比ニュージーランドで、我が国として4回目となる海上協同活動を実施するなど、フィリピンを含めた地域のパートナーとの間で多国間協力も深化をしてきております。
防衛省・自衛隊といたしましては、今後ともですね、フィリピンとの防衛協力・交流をより強化をするとともに、米国を含めた多国間での防衛協力等を継続・強化をしてまいりたいと思います。
記者 :中国の影響力はどういうふうに感じられたでしょうか。
大臣 :先ほど情勢の中で申し上げましたとおり、この南シナ海の情勢は非常に厳しさを増しているということでありますが、その会談の中で、やはり東シナ海においても同様にですね、安全保障環境がますます厳しさを増しているなというふうに思いました。
記者 :フィリピンと会談することによって、南シナの状況が分かるというのは分かるんですけれども、それによって東シナ海の厳しさが増していることも分かったというのは、そこはどうしてなんでしょうか。
大臣 :我が国に緊迫する度数とかですね、また、状況は例年ともですね、回数が増しておりまして、その緊張は以前より高くなっているということです。
各国防衛相会談における成果、ASEANへの協力について
記者 :大臣、冒頭もおっしゃいましたけれども、この2日間でADMMプラスですとか、各国バイ会談に臨まれましたけれども、一連の成果を改めてお聞かせください。またですね、アメリカではトランプ次期政権がこのアジアですとか、東・南シナ海にどの程度関与するのかというのは不透明ですけれども、日本として、防衛省・自衛隊として、ASEAN各国とどう働いていくか、改めてそれもお聞かせください。
大臣 :昨日申し上げたとおりですね、今回、ADMMプラス本会合におきましては、地域情勢に関する意見交換を行いまして、あわせて7カ国との二国間会談、並びに今回初めてとなります、日米豪比韓での会談を実施をいたしました。
この会談において、私から国際社会の平和及び安定に向けた我が国の取組、またメッセージを防衛大臣として3年ぶりに発信をいたしました。そして、二国間、多国間の会談におきましては、各国のカウンターパートの対面で率直な意見交換ができたということは、地域における安全保障上の課題への対処、また防衛協力・交流の更なる推進につながるものでありまして、今回のラオス訪問における大きな成果であったと考えております。
今後、ASEAN各国とはですね、ASEANの中心性、そして一体性の原則、これを我が国は尊重しておりまして、地域の協力を主導するADMMプラスの枠組みの下でですね、展開をする多国間での取組に対しまして、今後とも積極的に協力をしていく考えでございます。
また、様々な問題が山積をする中でですね、今回の会合で「気候関連及びその他の自然災害に対する強靭性に関する共同声明」、これが採択をされて、気候変動という各国共通の課題について、一定の方向性で一致できたことには大きな意義があると考えております。また、ASEANとの間では、「防衛協力強化のための日ASEANイニシアティヴ(ジャスミン)」、この下で、能力構築支援等の日ASEANおよび二国間の協力を推進しておりまして、我が国の有する災害対処分野を含めた幅広い知見、これを活かして、地域の平和と安定に向けて、引き続き、貢献をしてまいりたいと思っております。
今後、インドとどのように関係を発展させていくのか
記者 :8月の日印「2+2」で、2008年に署名した安全保障分野での協力を進めるための共同宣言を見直すことで合意しましたが、今回の会談の中で進展はありましたでしょうか。また、今後インドとどのように関係を発展させていくのかお考えをお聞かせください。
大臣 :確かに2008年の日印のですね、「安全保障協力に関する共同宣言」については、8月の日印「2+2」において見直すということで一致をいたしております。現在、飛躍的に今、強化をされてきた日印間の安全保障・防衛協力、これをしっかり反映をすべくですね、この改定に向けて取り組んでいるところであります。
今回の会談でもですね、シン国防大臣との間で改定の重要性を改めて確認をいたしました。そして、これからですね、共に協力をしていく所存でございます。特に日印間の防衛協力・交流については、ハイレベル交流、また全軍種間での二国間共同訓練の継続的な実施など、ハイレベルから部隊レベルに至る様々なレベルで協力が進展しておりまして、引き続きこうした具体的な協力を推進をし、また検討していくということにいたしております。そして、防衛装備・技術協力につきましては、先日、艦艇用のアンテナの「ユニコーン」、これの移転に関する細目取極(MOI)が署名をされましたが、防衛省といたしましては、更なる日印防衛装備・技術協力を進めてまいりたいと考えております。このような内容で今検討をしております。
ロシアの中距離弾道ミサイルの発射、プーチン大統領発言への対応
記者 :ロシアのプーチン大統領はですね、日本時間の今日早くにですね、中距離弾道ミサイルを発射したということを明らかにしました。さらにプーチン大統領は、ロシア国境を越えて攻撃してくる武器を供与するいかなる国に対しても武力攻撃を辞さないという構えを示しています。
今回の中距離弾道ミサイルの発射並びにプーチン大統領の発言について、どう考えてらっしゃるのか、また、こうした発言に対してですね、同盟国・同志国と日本として、どういうふうに対応していくお考えでしょうか。
大臣 :ロシアのプーチン大統領の発表の内容については承知をいたしております。これまで述べてきているとおりですね、ロシアによるウクライナの侵略、これは国際秩序の根幹を揺るがす暴挙であると思います。今回の攻撃を含むロシア側による一連の攻撃を改めて非難をいたします。
そして政府といたしまして、戦況について、引き続き、緊張感を持って注視をしてまいります。我が国といたしましては、ロシアの侵略を止め、そして一日も早く公正かつ永続的な平和をウクライナに実現をすべく、引き続き、国際社会と緊密に連携をしてまいりたいと考えております。
(以上)
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