令和6(2024)年12月2日(月)と3日(火)、東京・市ヶ谷のグランドヒル市ヶ谷において「防衛産業参入促進展 2024 in TOKYO」が開催された。
この展示会は、これまで防衛産業に直接かかわりのなかった製造・研究系の中小企業が、防衛省・自衛隊や防衛関連企業に向けてその技術を展示し、新たなビジネス・マッチングの機会を得るためのものだ。防衛装備庁 装備政策課の主催で開かれている。
11月末に名古屋で開催された「防衛産業参入促進展 2024 in NAGOYA」に続く、今年2回目の開催で、出展企業は40社。約半数は首都圏から、残り半数は北海道から九州まで日本各地からの参加であった。
パンフレットに示された出展各社の技術分野(区分名は防衛装備庁による)と社名は、こちらのとおり。
分野 | 企業名 |
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無人化・自立化 | アイベックステクノロジー株式会社、株式会社AileLinX、株式会社セック、株式会社マーストーケンソリューション、大栄工業株式会社、ダブル技研株式会社 |
プラットフォーム | スカイゲートテクノロジズ株式会社、丸隆工業株式会社 |
エネルギー | 株式会社システム技研、テレサイト・テック株式会社 |
素材・材料・製造手法 | 株式会社岩谷技研、株式会社川邑研究所、株式会社東京アールアンドデー、株式会社東京チタニウム、株式会社HATO、株式会社村上開明堂、サワダ精密株式会社、シチズンファインデバイス株式会社、高島産業株式会社、長瀬産業株式会社、日本タングステン株式会社、能勢鋼材株式会社、双葉電子工業株式会社、安井株式会社、ユースエンジニアリング株式会社 |
センシング | エレックス工業株式会社、株式会社イー・アイ・ソル株式会社、株式会社ミュートロン、日本コントロールシステム株式会社、ユアサ商事株式会社 |
ビッグデータ集約・分析 | サイバネットシステム株式会社、RESTAR株式会社 |
情報ネットワーク | 株式会社アドバンスド・データ・コントロールズ、株式会社アルチザネットワークス、通信興業株式会社 |
認知領域 | エースポイントシステムズ株式会社 |
その他 | IDEC株式会社、株式会社赤城商会、株式会社シーテック、株式会社ロジック・アンド・デザイン |
デジタル未来予測 | 株式会社IDAJ |
取材できたいくつかの展示を、アピールポイントとともに、こちらにご紹介させていただく。
現場にある石ころを詰めて、悪路踏破のための足がかりや防御壁などを作れる針金芯のネット「ストーンバッグ」。立方体形状になる「ストーンキューブ」(右上)や、プラスチックごみが出ない全針金製もある。防災用に地方自治体での導入が進んでいるとのこと。(シーテック、愛知県) シカやイノシシなど蹄のある野生動物の侵入防止に有効な、ハニカム状の敷板「わたれません」(商品名)。道路上や出入り口の側溝上に設置し、門を開きっぱなしでも大丈夫とのこと。大型車の通行も可能な金属製と、人力運搬できる樹脂製がある。(赤城商会、群馬県) 緊急時用の止血パッド「J・PAD」。原材料に甲殻類の殻を使用していないためアレルギー・フリーで、止血原理はエコノミー症候群と同じ。およそB5とおよそB6の大小2サイズ。NATO軍などの止血パッドに比べて値段が安く、韓国など海外6か国で採用実績あり。(HATO、東京都) 夜間、逆光、霧中、濁った水中の映像などを、画像処理だけでリアルタイムに可視化するプログラム「LISr」の展示。右が処理前の夜間の映像で左が処理後。ピクセルごとに処理するため白とびがなく、非AI技術なので「AIによる創作」もない。皇宮警察、医療分野などで導入実績あり。(ロジック・アンド・デザイン、東京都) 風速2メートルの風で発電できる、小型風力発電機。従来型の発電用モーターに比べて圧倒的に軽く回転し、独自開発したSG 3Dコイルの発電効率は従来品の2倍。羽直径2メートル型の風車で1日充電すれば、電気毛布が3時間使え、携帯電話は20台充電できる。(システム技研、宮崎県) リチウムイオンバッテリーの熱暴走を事前に察知して火災を防ぐ、早期警戒センサーと電子設備に無害な消化ガスのセット。充電池を使用したコンテナ式の通信設備や指揮所などへの導入が考えられるという。(テレサイト・テック、東京都) チタン合金での鋳造、鍛造、切削加工、板金溶接、熱処理、表面処理など、加工技術の精度の高さで見学者を驚かせていたチタン加工品の展示。国内では、なかなかここまでの技術を有する企業はないとのこと。(東京チタニウム、埼玉県) アルミやステンレスなどの材料(SUS304、SS400、A5052等)を充実した設備で切削、旋削、研削、放電加工した各種加工品の展示。医療機器の製造から、治具設計製作までさまざまな要望に対応可能。(サワダ精密、兵庫県) 作業中に飛び散る1600℃の溶融金属がかかると、シリコンゴム中の水分が一瞬で蒸発し、溶湯を水滴のようにはじく「LFゴム」(ライデンフロストゴム)シートの展示。滲み込まずに流れ落ちるためシートの裏側まで熱が移らず、機器、配管、配線などに掛けて設備を守ることができる(高島産業、長野県) カメラや拡声器などのアタッチメントを持つマルチコプタードローン「スカイバディ」。バッテリーでは約30分、有線接続すれば1週間の連続飛行を実証済み。平時は広報放送、災害時には避難誘導に使うために導入した自治体もあるとのこと。(双葉電子工業、千葉県) 最大1トンの重量を懸架でき、無人で高度40km、有人では高度20kmへ、のべ400回以上の試験実績があるガス気球。宇宙ビジネス、気象ビジネスとして事業展開中で、防衛用途でも対応可能。(岩谷技研、北海道) (以上)