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中谷防衛大臣の定例会見 中国の東部戦区代表団の訪日、芦屋基地専用水道のPFOS暫定目標値超過など(1月17日)

  • 日本の防衛

2025-1-21 09:33

 令和7(2025)年1月17日(金)11時53分~12時17分、中谷元(なかたに・げん)防衛大臣は、防衛省内で閣議後の会見を行った。
 大臣からの発表事項はなく、以下のとおり記者との質疑応答が行われた。

記者との質疑応答

中国軍東部戦区の代表団の防衛省訪問について

記者 :中国軍東部戦区の代表団が14日、防衛省を訪問しました。訪問は6年ぶりですが、今回の訪問の意義とその経緯、規模、どのような話し合いが行われたかなど概要を教えてください。また、15日、16日、他の自衛隊施設も視察されたとのことですが、どのような議論をし、一致した点があるかなど、詳細について教えてください。

大臣 :今週月曜日の1月13日から、本日金曜日の17日までの間、中国人民解放軍の東部戦区代表団の6名が来日をしております。訪日中は、自衛隊の中央病院、また、海上自衛隊の舞鶴基地への訪問のほか、防衛省幹部と懇談を実施をいたしました。
 今回の訪日は、先日のラオスのADMMプラス、ビエンチャンで行われましたけれども、昨年11月の日中防衛相会談におきまして、部隊間交流の再開を含む防衛当局間における対話、交流の重要性で一致したことを踏まえて実施されたものでございます。
 この代表団との懇談におきましては、まず、日本側から、中国による我が国周辺海空域、これにおける軍事活動の活発化などに対する深刻な懸念を改めて明確に伝達をし、その上で、こうした懸念を含めまして、日中防衛当局間で率直な議論と意思疎通を重ねていくことの重要性につきまして、改めて確認をしました。
 防衛省としましては、日本側の深刻な懸念を含め、指揮官レベルで率直な対話と意思疎通を行っていくことには大変意義があることであると考えております。

記者 :今のに関連してお伺いしますけれども、まずはおっしゃった通りですね、日本周辺海空域で軍事活動を活発化させる中で、こうしたことをやる意義というのはどういうふうに感じていらっしゃるのか、意義・必要性についてもう少し深くお聞きしたいのと、それから、今回、東部戦区からこちらに来たということですけれども、自衛隊の方からですね、中国訪問ということを考えていらっしゃるのか、考えるとすると、いつ頃どういった時期をとらえて行いたいというふうにお考えでしょうか。

大臣 :今回の訪日は、先ほどもお話ししましたけれども、昨年11月の日中防衛相会談において話したことによってですね、その一環で、部隊間の交流の再開等を含む防衛当局間における対話、交流の重要性でも一致したことを踏まえたことで実施をされたと考えております。
 このような趣旨を踏まえますと、今後、こういった間に中国側がですね、認識を深めてくれるということを期待をいたしますけれども、今後適当な時期にですね、自衛隊の中国訪問についても検討されていくことになりますので、具体的な時期を含めてですね、現時点では何も決まってないということでございます。そして、今回の訪日におきましては、日本側からですね、中国による我が国の周辺海空域における軍事活動の活発化などに対する深刻な懸念を改めて伝達をいたしました。相当厳しくですね、言及をしたつもりでございます。
 その上で、こうした懸念を含めて、中国と当局間でですね、率直な議論と意思疎通を重ねていくということの重要性については改めて確認をいたしました。これは、日中間における「建設的かつ安定的な関係」の構築を双方の努力で進めていくという観点からも意義があったのではないかなというふうに考えております。

記者 :私も今の件に関連して伺います。来週にはアメリカでトランプ政権が誕生しまして、米中対立の激化ですとか、アメリカのインド太平洋地域への関与が薄れるとの懸念も指摘されております。その中で、6年ぶりの中国との部隊間交流となったわけですけれども、このタイミングでの交流再開が地域の安全保障情勢や、あるいは台湾有事等を見据えて構築してきた日本の防衛政策に与える影響をどう考えるか、もう少し詳しくお聞かせください。

大臣 :我が国の対中関係における一貫した方針といたしましては、中国との間では、「戦略的互恵関係」、これを包括的に推進するということとともに、主張すべきは主張し、責任ある行動を求めつつ、諸懸案も含めて対話をしっかりと重ね、そして、共通の課題については協力をする、つまり、「建設的かつ安定的な関係」の構築、これを双方の努力で進めていくというのが我が国の一貫した方針であります。
 今回の東部戦区代表団の訪日におきましては、まず日本側から、中国による我が国の周辺海空域における軍事活動の活発化などに対する深刻な懸念、これを改めて明確に伝達をいたしました。そして、その上で、こうした懸念を含めて、日中防衛当局間で率直な議論と意思疎通を重ねていくことの重要性について、改めて確認をいたしております。これは、日中間における「建設的かつ安定的な関係」の構築に寄与するものでありまして、地域の平和と安定に資するものであると考えております。
 そして、中国による我が国周辺における軍事活動の活発化につきましては、防衛省としても危機感をもって受け止めておりまして、中国の軍事的動向につきましては、引き続き我が国の総合的な国力と同盟国である米国や同志国との連携によって対応すべきものであるとの考えには何ら変更はありません。このような方針で臨んでまいります。

記者 :関連してですね、14日の面会では、防衛省・自衛隊側はどういった方が具体的に出席されたか、役職とかお名前伺えますか。まず、1点お願いします。

大臣 :先ほどお話をいたしましたが、今回の現場の方々との対面関係におきましては、 1月14日に大和防衛政策局長及び川村統合幕僚監部の運用部長と懇談をいたしております。それを含めまして、あとは現地の部隊視察をしたということです。

海底ケーブル防護への自衛隊の関与について

記者 :別件でもう1点、海底ケーブルについて伺います。NATOがですね、14日、バルト海での海底ケーブルなどの破損を受けて、海底ケーブル保護の取組を強化すると発表しました。バルト海や台湾周辺でですね、海底ケーブルの破損が起きていることへの、まず、大臣としての受け止め、そしてですね、日本においても、自衛隊が海底ケーブルの防護に関与すべきだとの指摘も一部であります。こうしたことへの大臣のお考え、2点伺います。

大臣 :海底ケーブルの事案におきましては、まず、バルト海、そして台湾周辺海域において、海底ケーブルが破損をする事案が生じているということ、そして、NATO、ここが海底重要インフラの保護に対する取組を強化をする旨を発表したことについては、承知をいたしております。
 そこで、 海底ケーブルというのは、正に我が国の国民生活や経済活動に欠くことのできないインフラでありまして、我が国としては、今後もですね、本件に関する状況を重大な関心をもって注視をしてまいります。防衛省としましては、平素から警戒監視活動で関連情報が得られれば、関係省庁と共有をするとともに、事態の推移に応じまして、まず、一般の警察力をもっては治安を維持することができない緊急事態等が発生した場合には、治安出動や海上警備行動の下令、さらに、有事における対応につきましては、防衛出動の下令によりまして、必要な措置を講じるということになります。その際は、警察、そして海上保安庁といった関係機関とも連携をしまして、この対応には万全を期してまいりたいと考えております。
 この海底ケーブルの報道については、承知をしております。いずれにしましてもですね、先ほども申し上げましたけれども、この海底ケーブルというのは、正に情報伝達の大切なツールでありまして、国民生活や経済活動に欠くことのできないインフラとして、我が国としても、今後本件に関する状況を重大な関心をもって注視をしてまいりたいと考えております。

在沖海兵隊のグアム移転に関する米海兵隊司令官の発言について

記者 :アメリカ海兵隊トップのエリック・スミス司令官がですね、今月米国内で開かれた会合で、在沖海兵隊のグアム移転について、我々を誤った方向に導くという旨発言しているということが、米軍の準機関紙などで報じられています。グアム移転に関しては、先日大臣が沖縄を訪れた際にですね、大変重要な取組だというふうに述べられていましたけれども、この司令官の発言をどのように受け止められるか教えてください。

大臣 :御指摘の発言の詳細についてはですね、まだ承知しておりません。在沖米海兵隊のグアム移転については、もう既に4,000名以上の海兵隊の要員が沖縄からグアムに移転することを、累次の機会に日米間で確認をしておりまして、先月正にその第一弾となる約100名の先遣隊が沖縄からグアムへ移転を開始していくことを発表いたしました。その後ターナー司令官とも会談をいたしましたが、その際に、その進捗もですね、確認をしたところでございます。
 防衛省としては、引き続き米側と協力しながら可能な限り早い時期にグアム移転が完了し、沖縄を始めとする地元の負担軽減が実現できるようですね、取り組んでまいりたいというふうに思います。

記者 :関連でお伺いします。累次の機会に確認されていることをですね、しっかり変わらないようにというか、着実に実行できるように、どういふうな働きかけが必要だというふうに大臣としてお考えでしょうか。

大臣 :まず、この発言についてのですね、事実関係、これを確認をしてみたいと思います。しかし、沖縄の海兵隊のグアム移転というのはしっかりと協議をした上でですね、アメリカも了解をし、そして発表をし、そして今現実に実施をしている段階でありますので、これを変更するとかですね、これに対して違う意見があるということは未だ全く承知しておりませんので、まず、この発言につきましては事実関係を確認してみたいというふうに思います。

防衛省で行われている市ヶ谷台ツアーについて

記者 :防衛省で行われている市ヶ谷台ツアーについてお伺いします。ツアー参加者50万人突破したことを記念する式典が行われて大臣も出席されましたが、改めて50万人突破についての受け止めをお願いします。あわせてですけれども、今後、より防衛省・自衛隊の活動や職務の理解を広めるためにどのように取り組んでいきたいかお考えをお聞かせください。

大臣 :先ほど、東浅草小学校6年生の皆さんが訪問に来られまして、50万人目の見学者になったということで、記念すべき行事を行いました。非常に皆さん喜んでいただいておりまして、その時には小学生の皆さんにですね、この市ヶ谷台の歴史、それから防衛省・自衛隊の活動、また、陸・海・空自衛隊の仕事の様子などをお話をさせていただき、また、見学施設の中でもですね、そのことを直接見ていただいたということで、こういった防衛省とか自衛隊の活動については、身近にですね、感じ取っていただいたのではないかなというふうに思っております。
 そういう意味におきましては、この日本の、平和で、そして安心して暮らすことができるようにするために、防衛省・自衛隊は日夜活動しているということを御理解をいただくということになってくれればですね、防衛大臣としても大変嬉しく思っておりますので、この市ヶ谷台ツアー、この歴史がですね、2000年6月から開始をされました。つまり、防衛省に移転した直後からですね、開始をして今年で25周年という歴史を迎えるということで、この記念をすべき年に50万人の見学者を迎えることができたということは、大変嬉しく思います。

芦屋基地の専用水道から国の暫定目標値の30倍のPFASが検出された件について

記者 :昨年12月に福岡県の航空自衛隊芦屋基地の専用水道から国の暫定目標値の30倍のPFASが検出されたことに関連して伺います。現時点で、原因としてどのようなものを考えていらっしゃるのかということと、今後、詳しい原因を調べるために防衛省として調査をするお考えがあるか。まず、教えてください。

大臣 :このPFOSにつきましては、もう日本国内でですね、これまでにも消防活動などですね、様々な用途に使用されてきたと承知をしておりまして、現時点において、御指摘の当該の自衛隊施設内におけるPFOS等の検出、そして自衛隊との因果関係については、確たることを申し上げることは困難であります。
 その上で申し上げれば、芦屋基地のPFOS等の含有泡消火薬剤などにつきましては、既に処分済みという報告を受けております。また、PFOSの含有泡消火薬剤については、国内で規制対象とされた以降は、芦屋基地での消火訓練、また消火作業での使用はなくて、部外での流出事案もないという報告を受けております。
 いずれにしましても、防衛省としましては、PFOS等をめぐる問題につきましては、地域の住民の皆様が不安を抱いているということは受け止めておりまして、関係自治体が実施する調査にできる限り協力をしていく考えであり、引き続き必要な対応を行ってまいりたいと考えております。

記者 :関連して、すみません。芦屋基地の検査というのは、今回初めて行われたということで、これまで米軍基地だったり他の自衛隊施設でも、PFASの関連というのは検出事例があったと思うんですけれども、対応が少し遅かったのではないかと感じるところもあるんですけれども、今回検出に至った対応について、どのように考えていらっしゃるかということと、他の自衛隊施設全般においても、調査だったりとかというのは、芦屋基地を踏まえてする考えというのはございますでしょうか。

大臣 :水道水中のですね、PFOS及びPFOAにつきましては、暫定目標値、これが定められているところでありますが、水道基準への引き上げ、また、現在、これについて議論が進められているものと承知をいたしております。
 その上で、防衛省としましては、こういった動向を踏まえながら、適切な水道管理の必要性から、芦屋基地において隊員の飲用に供する独自水源を対象に調査を実施をしたところでありまして、この昨年10月に実施をしておりますので、特段対応が遅いという御指摘には当たらないと考えております。
 また、他の自衛隊施設においても、隊員の飲用に供する独自水源を対象に、調査を今、順次進めているところでございます。その他の施設、現時点で調査終了の時期、これは予断をできませんが、早期に調査を終えられるようにですね、努めてまいりたいと考えております。

記者 :関連して最後にもう1点。基地に近い福岡県岡垣町のですね、水道水の水源として使用されている井戸からも暫定目標値を超えたPFASが検出されており、今月から町の方でですね、この井戸からの取水を中止したという発表がありました。基地との関連を指摘する声もあるんですけれども、そのことについても見解を伺います。

大臣 :福岡県の岡垣町が、今月より井戸の取水を中止しているということは承知をしております。その上で、先ほども申し上げた訳でありますが、日本国内において、PFOS等はこれまでも様々な用途に使用をされてきたと承知をしてきておりまして、現時点において、御指摘の自衛隊周辺におけるPFOS等の検出と自衛隊との因果関係につきましては、確たることを申し上げることは困難であります。
 いずれにしましても、防衛省としては、PFOS等をめぐる問題につきましては、地域住民の皆様が不安を抱いているということを受け止めまして、関係自治体が実施する調査にできる限り協力をしていくという考えでありますので、引き続き必要な対策を行ってまいります。すでにこれの使用はやめておりますので。

中国の東部戦区代表団の訪日について

記者 :中国の東部戦区代表団の訪日の件で2点お伺いします。日本での視察先は中央病院と舞鶴基地以外に、まず、あれば教えてください。

大臣 :私が聞いているところによりますと、自衛隊の中央病院及び海上自衛隊の舞鶴基地を訪問したということです。これ以外はございません。

記者 :もう1点お伺いします。今回の東部戦区代表団の来日は、トランプ次期米大統領が大統領に就任する前に実施されたことになりますが、今回の来日日程は日米関係への影響も配慮して組まれたのか、見解を教えてください。

大臣 :これは中国との関係においてですね、既に両国の防衛相会談を行いましたけれども、基本的には中国との間では「戦略的互恵関係」、これを包括的に推進するということでありまして、主張すべきは主張し、そして責任ある行動を求めつつ、そして諸懸案においてはしっかりと対話をしていくということで、この課題についての解決を図っていくことでございます。
 従いまして、部隊が、日本で色々と起きた上においては、正にこういった問題点もですね、しっかりと対話をいたして、認識をしてもらい、そして、その重要性についてですね、しっかりと認識をもってもらうということも兼ねて、それぞれの防衛省の幹部、また統幕の幹部との意見交換を行いましたので、そういった認識をですね、深めていただく、そしてそれを活かしていただく、そういうことを狙いとしたものでございます。

(以上)

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