日本の防衛と安全保障の今を伝える
[Jディフェンスニュース]

site search

menu

Jディフェンスニュース

中谷防衛大臣、日比防衛相会談、マルコス大統領表敬及び海自艦艇視察後の臨時会見(2月24日)

  • 日本の防衛

2025-2-27 09:30

 令和7(2025)年2月24日(月)16時17分~16時31分(現地時間)、中谷 元(なかたに・げん)防衛大臣は、マニラ港 サウスボートピア15において日比防衛相会談、マルコス大統領表敬及び海自艦艇視察後の臨時会見を行った。
 内容は、以下のとおり。

大臣からの発表事項

大臣 :この度フィリピンを3日間訪問をさせていただきました。先ほどテオドロ国防大臣とともに、マルコス大統領に表敬訪問をしてまいりました。マルコス大統領には、先ほど実施した日本フィリピン防衛相会談について報告をするとともに、日本とフィリピンが戦略的パートナーとして、さらに緊密に協力をし、そして地域と国際社会の平和と安定に貢献をしていくというためには、更に防衛面での協力と連携、これを強化をしていくということで一致をいたしました。また、今、正に御覧をいただきましたように、フィリピン国防省の参加も得まして、本日からマニラに寄港している海上自衛隊の護衛艦「ありあけ」と「はまぎり」を視察をし、将来の海上自衛隊を背負って立つ実習幹部に激励をいたしました。本寄港は、海洋安全保障に関する二国間の協力関係の強化に資するものでありまして、エスピノ次官、そしてエスペレタ海軍司令官にも視察いただき大変嬉しく思いました。今回のフィリピン訪問を通じまして、フィリピン側との間では、第1に、我々を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増しているということ、第2に、インド太平洋地域の平和と安定を維持していくためには戦略的パートナーである日本とフィリピンが防衛面での協力と連携を更なる高みに引き上げていく必要があるということ、そうした基本的な認識に立ちまして、特に運用面における連携強化、そして人的交流の強化、そして装備・技術協力の更なる推進という3点においてスピード感をもって連携を深めていくということにおいて一致をしたことは、大変大きな意義がありました。防衛大臣として引き続き、フィリピンとの防衛協力を深化をさせ、地域の平和と安定を確保するために尽力をしていきたいと考えております。

記者との質疑応答

日比防衛相会談の成果・意義、日米比などの多国間連携について

記者 :日本とフィリピンでのこのタイミングで防衛相会談を行った狙いと、会談の成果・意義について教えて下さい。また先日の日米首脳会談の共同声明では、日米にフィリピンを加えた3か国での協力推進が盛り込まれました。一方でトランプ氏は予測不可能な言動で知られ、安保分野でも不透明感が続くとの見方もありますが、日米比などの多国間連携をどのように進めていくかお伺いします。

大臣 :フィリピンは、我が国のシーレーンの要衝でありまして、戦略的に重要な地域に位置をしております。また、フィリピンは米国の同盟国でもありまして、我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中で、日本も米国との同盟国でありまして、このフィリピンとの間で、様々な分野で防衛協力を強化をするということが重要であります。今回の会談では、本年1月の日米比首脳テレビ会議、また私も出席しました、昨年11月の日米豪比韓、5か国によります防衛相会談等も踏まえながら「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の実現に向けまして、二国間・多国間の安全保障・防衛協力の一層の強化について、テオドロ大臣との間でしっかりと議論できたということは、本当に有意義であったと考えております。今回の防衛相会談におきまして、具体的に得られた成果は4点あります。まず、第1点は、二国間の協力を高みに引き上げるために、運用面の戦略的連携について協議をするハイレベルの枠組み、これを新設をすることで一致をいたしました。第2に、軍事情報保護の在り方について、防衛当局間で議論を開始するということで一致をいたしました。第3に、長期的な防衛装備・技術協力について、協議をするための防衛装備当局間のハイレベルの枠組み、これは次官級でありますが、どんなニーズがあるかこれからですけれども、ハイレベルの枠組みの新設及びフィリピンへの官民ミッション、これの派遣について一致をいたしました。第4に、二国間のほかに、ADMMプラスの枠組みや、日比を含む日米比、日米豪比などの多国間での防衛協力・交流を今後更に強化をしていくということで一致をいたしました。以上4点でございます。この4点をもちまして、今申し上げました日米比、日米豪比など、同盟国・同志国による連携の重要性については、先般の日米防衛相電話会談においても、ヘグセス長官との間で「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」を実現するために、地域のパートナーが引き続き緊密に連携をするということを確認をいたしました。そして、昨年11月には日米豪比韓、5か国防衛相会談を実現をしたほか、今月には日米豪比で海上協同活動(MCA)ですね、これを実施をしました。 引き続き地域のパートナーとの間でこうした協力を一層深化させてまいります。

フィリピンとの情報保護協定締結について

記者 :フィリピンとの情報保護協定締結についてお伺いします。先ほど、大臣からも言及がありましたけれども、テオドロ大臣との会談でどのようなやり取りがありましたでしょうか。また、今後の協定締結に向けた見通しをお伺いします。

大臣 :フィリピンとは、より高度な運用面での連携、これを進めていくためには、機微な防衛関連の情報も含めて情報共有を行っていくということが必要となります。今回の防衛相会談におきましては、フィリピン側との間で軍事情報保護の重要性、これを改めて確認をし、その在り方について防衛当局間で議論を開始するということで一致をいたしました。具体的な軍事情報の保護の在り方につきましては、今後、フィリピンとの間で議論を深めていく考えでございます。

防衛装備品の移転など日比防衛装備・技術協力のさらなる推進や連携強化について

記者 :防衛装備品の移転に向けた新たな協議体に関して伺います。日比防衛相会談では、防衛装備品の移転に向けた新たな枠組みの詳細についてどのような議論が行われ、合意したのか。この枠組みの詳細、創設の意義とあわせてお聞かせください。また、管制システムなど、新たな枠組みで議論を目指している装備品や、艦艇や車両など、将来想定されている装備品にはどのようなものがあるか教えてください。加えて、フィリピン側のニーズを把握するため、防衛省と防衛関連企業によるフィリピンの訪問時期はいつ頃を想定していますでしょうか。狙いや意義を含めてお答えください。

大臣 :先ほど御紹介しましたとおり、今回、テオドロ大臣との間で、防衛装備・技術協力に係る装備当局間のハイレベルの枠組みの新設に合意をいたしました。今後、然るべき時期に第1回協議を実施させたいと思っております。 詳細につきましては、今後調整してまいりますが、これまでフィリピンとの間では、警戒管制レーダー移転等の装備・技術協力、これを進めてきたところ、新たに立ち上げられるこの枠組みは、日比防衛装備・技術協力の更なる推進に向けて両国の連携を一層強化をしていくということで意義があるものと考えております。個別具体の装備品の移転につきましては、新たに立ち上げられるハイレベルの枠組みの中で議論をしていくことになります。そして、この防衛装備・技術協力に係るフィリピンへの官民ミッションの派遣、これにつきましては、調整が整った段階で適切にお知らせをしてまいります。本ミッションの派遣によりまして、日比間の交流が促進をされるということで、日比防衛装備・技術協力の具体的な案件の成立につながっていくということに期待をいたしております。

記者 :今回のフィリピンの訪問では、輸出した警戒管制レーダーの視察など、装備品移転が主要なテーマの1つとなりました。防衛省として、次期レーダーや、レーダーを結節する警戒管制システムなど、更なる装備品輸出を図るのか、また、防衛相会談で将来的な移転をめぐって、どのようなやり取りをされたのかについてお聞かせください。また、フィリピンは中国が主張する第1列島線の南端に位置し、スカボロー礁などで激しく対立しています。フィリピンとの連携強化が、軍事活動を活発化させる中国に対する日本の向き合い方にどのように資するのか、お聞かせください。

大臣 :今回の防衛相会談におきましては、これまでの防衛装備・技術協力に関する両国の取組の成果について確認をした上で、警戒管制レーダーの納入等の日フィリピン防衛装備・技術協力の着実な進展を歓迎をいたしました。その上で、個別の装備品に関することを含む今後の協力の内容につきましては、今回新たに合意した防衛装備当局間のハイレベルの枠組み、それにフィリピンへの官民ミッションの派遣などを通じて、積極的に推進をしてまいります。日比の連携につきましては、南シナ海においては、力による一方的な現状変更の試みが継続をしており、我が国としては地域の緊張を高めるこうした行為を深刻に懸念をいたしております。南シナ海をめぐる問題は、地域の平和と安定に直結をし、我が国を含む国際社会の正当な関心事項でありまして、我が国は、南シナ海における力による一方的な現状変更の試みや緊張を高めるいかなる行為にも強く反対をいたします。このような安全保障環境を考えますと、我が国のシーレーンの要衝を占めるなど戦略的に重要な地域に位置をしておりまして、我が国と基本的な価値を共有をし、ともに米国の同盟国であるフィリピンと連携をして、地域の平和と安定を確保していくということは、我が国の安全保障にとっても死活的に重要であると考えております。今回の訪問を通じて、フィリピンとの連携を一層強化をできたということは、「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」というビジョンの下で、地域の平和と安定を確保するために、大きな意義を有するものであると考えた次第でございます。

(以上)

Ranking読まれている記事
  • 24時間
  • 1週間
  • 1ヶ月
bnrname
bnrname

pagetop