中谷防衛大臣が記者会見 米国防長官の来日、装備品の輸出拡大、山林火災などについて回答(3月25日)
- 日本の防衛
2025-3-27 09:01
令和7(2025)年3月25日(火)10時33分~10時53分、中谷 元(なかたに・げん)防衛大臣は、防衛省A棟11階第1省議室で閣議後の記者会見を行った。
内容は、以下の通り。
大臣からの発表事項
ヘグセス米国防長官の来日について
ヘグセス米国防長官の来日についてお知らせがございます。今週前半から、アメリカのヘグセス国防長官がハワイ、グアム、フィリピン及び日本を歴訪する予定であります。そして、3月30日、日米防衛相会談を実施する予定でございます。
ヘグセス長官とは、長官の就任直後の1月末に、電話会談を行いました。長官と私は小銃小隊長という共通の経験並びに経歴がありまして、非常に良い雰囲気の中で会談を行うことができまして、可能な限り早期に対面での会談をしようということで合意していたところでございます。就任からさほど間を置かずにですね、ヘグセス長官がインド太平洋地域を歴訪し、我が国がその訪問先の一つに選ばれたということにつきましては、日本の防衛と、そして「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けて、非常に意義深いものであると考えております。ヘグセス長官の着任後初めてとなる訪日を心より歓迎をするとともに、日米同盟の抑止力・対処力の強化のための具体的な取組について、ヘグセス長官と直接議論ができるということを楽しみにいたしております。
また、ヘグセス長官は硫黄島を訪問をして、日米硫黄島戦没者合同慰霊追悼顕彰式に参加するということを承知をいたしております。私も、諸般の事情が許せば、同式典に参加したいと考えておりますが、現時点におきましては調整中でありますが、もしこれが実現すれば、日米の両国防大臣が硫黄島で対面をするということは初めてのことになります。戦後80年の節目にあって、非常に象徴的な機会になり得ると考えておりまして、この硫黄島での面会、また追悼を非常に私も、有意義なものだというふうに思います。
記者との質疑応答
ヘグセス米国防長官との防衛相会談と日米連携強化について
記者 :冒頭発表いただきました日米防衛相会談について伺います。会談は30日に実施するとのことですが、今回の会談について期待する成果を伺います。また、24日には統合作戦司令部も発足しましたが、会談を通じて指揮統制の議論なども含めてどのように日米の連携強化に臨むお考えかお聞かせください。
大臣 :先ほど冒頭でも話したとおり、3月30日に日米防衛相会談を実施する予定であります。ヘグセス国防長官との初となる対面の会談となります。
具体的な議題などにつきましては、詳細について現在調整中でありますが、会談では、第1に、地域情勢について認識をすり合わせるとともに、第2に、2月の日米首脳会談でも確認をされました、自衛隊と米軍それぞれの指揮・統制の枠組みの向上について、第3に、日本の南西諸島における二国間のプレゼンスの向上、より実践的な訓練及び演習を通じた即応性の向上を始めとする日米同盟の対処力・抑止力を更に強化をしていくための取組について、具体的な成果につなげられるように、議論を深めることができるように期待をいたしております。
また、日米それぞれの指揮・統制枠組みの向上につきましては、昨日24日、統合作戦司令部が創設されたことも踏まえて、自衛隊の統合作戦司令部と米軍のカウンターパート関係等も含めて、日米の調整要領や連携強化について、日米防衛相会談においても議論したいと考えております。
記者 :今しがた、日米防衛相会談を行われるということでしたけれども、今回のこの会談を巡ってですね、アメリカのトランプ政権は、同盟国等に対して防衛費を上げるようにというふうに、これまでそういった発言が相次いでいます。
会談ではですね、日本の防衛費や、同盟強靭化予算の負担の在り方について議題とするお考えはありますでしょうか。また、これらのですね、日本側が負担しているものについて、大臣としてどのような説明をするお考えでしょうか。
大臣 :先ほどもお話をしたとおり、日米防衛相会談の具体的な議題等の詳細は現在調整中でありますので、予断をもってお答えすることはいたしません。
その上で、まず防衛費について申し上げれば、これは国家安全保障戦略で、我が国の主体的な判断として、もう既に、2027年度において防衛力の抜本的強化とそれを補完する取組を合わせて、そのための予算水準がGDPの2%に達するように所要の措置を講ずるということといたしております。これは、金額や割合ありきではなくて、国民の命と平和な暮らしを守り抜くための必要な防衛力の内容を積み上げた上で導き出したものであります。
まずは国家安全保障戦略等に基づいて、防衛力の抜本的強化を着実に進めていきたいと考えております。また、同盟強靱化予算につきましては、日米両政府の合意に基づいて適切に分担をされていると考えております。現行の特別協定期間終了は、2027年3月31日でございます。それ以降の経費負担の在り方について予断すべきではないと考えますが、今後とも、日米におきまして、まずは日本側の適切な負担の在り方について不断に検討してまいります。その上で、政府としては、引き続き日米同盟の抑止力・対処力の一層の強化を図るための協力を進めていくべく、ヘグセス国防長官を含むトランプ政権関係者とも緊密に意思疎通をしていく考えであります。
記者 :確認ですが、会談は防衛省で行うという理解でよろしいでしょうか。
大臣 :防衛省で行います。
施行から9年を迎えた平和安全法制について
記者 :平和安全法制についてお尋ねします。29日で施行からまる9年となりますが、この平和安全法制を土台として、反撃能力の保有、JJOCなど、安保の在り方が大きく変化した9年間だったと思います。この節目を前に、大臣の御所感をまず伺いたいと思います。
大臣 :9年前と言いますと、2015年でありまして、その時私は2度目の防衛大臣、そして安保法制担当大臣として関わらせていただきました。
この平和安全法制につきましては、これはあらゆる事態に、切れ目のない対応が可能となるように、つまり、いかなる事態においても、国民の命や平和な暮らしを守り抜くということは、政府の最も重い責任でございまして、このためにこの法律を制定をし、そして日米同盟、これはかつてなく強固となり、抑止力・対処力が向上し、地域の平和と安定に寄与するとともに、国際社会の平和と安定に、より積極的に貢献ができるというふうになりました。
また、法律施行後もですね、令和4年、2022年12月に閣議決定をいたしました戦略3文書におきまして、反撃能力の保有を含む防衛力の抜本的強化などの方針が示されたように、我が国の防衛政策は、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面する中で、進化を遂げてまいりました。昨日には、統合作戦司令部が新設をされ、自衛隊の運用に関して、平素から部隊を一元的に指揮できるようになり、統合運用の実効性が向上したわけでございます。
引き続き、いかなる事態においても、国民の命と平和な暮らしを守るべく、緊張感をもって、対応に万全を期してまいりたいと考えております。
装備品の輸出拡大について今後の見通しと懸念
記者 :9年間で大きく変わったことの一つに装備品の輸出拡大があると思います。政府は次期戦闘機に続いて、豪州への艦艇の輸出も目指していますが、こちらが実現した場合、豪州だけではなく第三国にも輸出する可能性はあるのでしょうか。また、大型殺傷兵器の輸出の解禁が1年足らずの間に輸出が2件も認められていることになりますが、将来的な歯止めなき輸出の拡大につながる心配はないでしょうか。
大臣 :豪州フリゲートの第三国移転の可能性についてお尋ねがございましたが、これは防衛装備品の海外移転は、我が国にとって望ましい安全保障環境を創出するための重要な政策の手段であります。今や、どの国も1か国のみでは自国の平和と安全を確保することが困難な中で、オーストラリアとの次期汎用フリゲートの共同開発・生産は、オーストラリアとの相互運用性及び互換性の大幅な向上等に資するものでありまして、我が国の安全保障上、極めて高い意義があるものであります。本件の共同生産、共同開発に関しましては、昨年11月の国家安全保障会議におきまして、海外移転を認め得る案件に相当するということを確認をいたしましたが、これはパートナー国であるオーストラリアへの移転を認めたものでありまして、第三国への完成品の移転を認めたものではありません。なお、現時点では、オーストラリア以外の国への移転につきましては、具体的に決まっていることはありません。
そして、輸出拡大の歯止めにつきましては、防衛装備移転三原則において、移転を禁止する場合を明確化するとともに、防衛装備移転を認め得るケースを限定した上で、移転先の適切性、そして安全保障上の懸念等を考慮して個別の案件ごとに移転の可否を厳格に審査をし、さらに移転後の適正管理も確保するということといたしております。
このように、重要な政策手段として防衛装備品の海外移転を推進しつつも、国連憲章を遵守をするとの平和国家としての基本理念を、引き続き堅持をしていくということとしております。歯止めなき輸出拡大につながるという御指摘は当たらないと考えております。
岡山、愛媛の山林火災について受け止めと今後の対応
記者 :岡山、愛媛両県で23日に発生した山林火災の延焼が続いております。自衛隊の部隊も災害派遣されておりますが、大臣の今回の山林火災の受け止めと、今後の対応についてお考えを教えてください。
大臣 :現在も延焼中でありまして、この山林火災において被災された方々、また家や財産を失った方々に対しては、心からお見舞いを申し上げますと同時に、この火災の鎮火等につきましては、非常に今、乾燥や強風の影響を受けて、延焼をいたしております。
自衛隊は、この岡山県、愛媛県の両県知事から災害派遣要請を受けまして、まず自治体に連絡員を派遣をする、そして昨日から、消火能力の高い大型ヘリコプターCH-47、これを中心に各県の防災ヘリ、そして地上消防部隊と共に消火活動等を行っております。
昨日は、岡山県で約52回、延べ約215トン、愛媛県で約28回、延べ約140トンの散水を行いました。本日についても、昨日と同様に大型ヘリコプターCH-47及び中型ヘリコプターUH-1によりまして、空中消火及び映像伝送等の活動をしてまいります。
本日、自衛隊ヘリコプターの活動規模といたしまして、岡山県は、CH-47、4機、UH-1、3機の合計7機で、愛媛県は、CH-47の4機、そしてUH-1の3機の計7機により空中消火活動等を行っております。
防衛省・自衛隊とましては、一日でも早い鎮火に向けて、自治体と緊密に連携をして、皆様の不安を一刻でも早く解消できますように、全力で対応してまいりたいと考えております。
台湾行政院が岩崎元幕僚長を顧問に任命したことについて
記者 :台湾行政院が岩崎元幕僚長を顧問に任命しました。受け止めなど、お考えをお聞かせください。
大臣 :御指摘の報道は承知をいたしておりますけれども、公職から退いた私人の活動については、防衛省・政府としてはコメントする立場にはありません。
これまでも、台湾在住の日本人が行政院政務顧問に就任をしているということは承知を致しておりますけれども、その際も日本政府は何ら関与しておらず、そして、就任後も政府としての特段の連絡を取っていないと承知をしておりまして、これは岩崎氏にとっても同様でございます。
いずれにしましても、我が国は台湾に関する基本的立場については、1972年の日中共同声明を踏まえて、日台関係を非政府間の実務関係として維持をしていくというものでありまして、これについては、何ら変更はないということでございます。
米国の情報管理の在り方についての懸念と防衛相会談への影響について
記者 :アメリカに関することで伺わさせていただきます。イエメンの親イラン武装組織フーシへの攻撃に関する情報をバンス副大統領やヘグセス国防長官が、一般ユーザーも持ち得るメッセージアプリでやり取りし、外部に情報が漏えいしたことが分かりました。同盟国である米国の情報管理の在り方について懸念が生じた事態ですが、受け止めと、30日に開く防衛相会談への影響についてお考えを伺います。
大臣 :報道については承知しておりますけれども、現時点において、報道の内容については予断をもってお答えするということはいたしません。政府としまして、引き続き日米同盟の抑止力・対処力の一層の強化を図るための協力、これを進めていくべくですね、米側と密接に意思疎通していく考えでありまして、30日に行われる日米防衛相会談、これは予定通り行うということで、現時点において変更するということは考えておりません。また、影響があるとかですね、そういうことも考えません。
記者 :今のに関連してなんですけれども、防衛省あるいは政府内でですね、事務方や部隊との間、あるいは閣僚同士でこういったチャットアプリを使用しているようなことはあるのでしょうか。
大臣 :規則に基づいてですね、適切に実施をいたしております。
自衛隊統合作戦司令部と新設の米統合軍司令部との連携準備について
記者 :来日されるヘグセス米国防長官との会談に関連して伺います。ヘグセス長官とは、自衛隊の統合作戦司令部のカウンターパートナーとなる米側の統合軍司令部の設置に向けた準備状況について確認されるお考えがあるのか教えてください。
大臣 :その内容については、今、日米間でですね、調整をして協議をいたしております。当然、日米のですね、指揮・運用とか、また統合司令部との連携の仕方とか、こういうことは当然議題に入っておりますので、その点は引き続きですね、調整していきたいと考えております。
(以上)
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