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《レポート》イタリア海軍フリゲート「アントニオ・マルチェリア」が横須賀来港

  • 日本の防衛

2025-3-29 13:33

2025年3月27日、イタリア海軍のフリゲート「アントニオ・マルチェリア」が海上自衛隊の横須賀基地に寄港した。大阪・関西万博での一般公開も予定されている同艦について、稲葉義泰がレポートする。稲葉義泰 INABA Yoshihiro

 2025年3月27日(木)、イタリア海軍のフリゲート「アントニオ・マルチェリア」(F 597 Antonio Marceglia)が神奈川県にある海上自衛隊横須賀基地に寄港した。同艦の横須賀寄港は初であり、また2025年に同基地へと入港したはじめての外国軍艦でもある。

海上自衛隊横須賀基地に入港する、イタリア海軍カルロ・ベルガミーニ級フリゲート「アントニオ・マルチェリア」(F597) 写真:Jシップス編集部

「アントニオ・マルチェリア」は、イタリア海軍の主力水上戦闘艦であるカルロ・ベルガミーニ級フリゲートの8番艦で、2019年に就役した。全長142m、全幅19.4m、満載排水量は5,950トンを誇る。武装としては、艦前方部に127mm単装砲、艦後部に76mm砲をそれぞれ装備しているほか、艦対空ミサイル「アスター15/30」を発射するための垂直発射装置(VLS)を16セル装備している。また、艦中央部には対艦ミサイル「テセオ」の発射筒が備え付けられている。

右舷側から見た「アントニオ・マルチェリア」。全長は142m。艦首の砲は127mm単装砲。写真:Jシップス編集部
艦尾からの眺め。艦後部にはヘリコプター格納庫があり、その上部には76mm砲が装備されている。写真:Jシップス編集部
「アントニオ・マルチェリア」の艦橋。上部のドームには回転型多機能フェイズド・アレイ・レーダーであるMM/SPY-790 EMPARが収められている。写真:Jシップス編集部
艦中央部にある対艦ミサイル「テセオ」の発射筒。最大で8発分のキャニスターを装備可能。写真:Jシップス編集部
16セルの垂直発射装置(VLS)。艦対空ミサイル「アスター15/30」を発射する 写真:Jシップス編集部
艦橋内の様子 写真:Jシップス編集部
「アントニオ・マルチェリア」は艦載機としてNH90ヘリコプターを搭載している。通常は1機を搭載し、最大2機の搭載が可能だ。写真:稲葉義泰

「アントニオ・マルチェリア」は、インド太平洋地域への長期展開を目的とする「プロジェクション」作戦を実施するため、2025年1月20日に母港であるラ・スペツィア海軍基地を出港した。インド太平洋地域に展開後は、インドネシア海軍主催の多国間演習「コモド2025」(2月15日~22日)といった各国との共同訓練や各地への寄港などを通じて、同地域におけるイタリアの存在感を示してきた。

 近年、イタリアはインド太平洋地域を戦略的に重視しており、2024年夏には空母「カヴ―ル」およびフリゲート「アルピーノ」(カルロ・ベルガミーニ級フリゲート5番艦)を展開させ、日本にも寄港させている。今回の「アントニオ・マルチェリア」による展開についても、こうしたイタリアによるインド太平洋地域への関与強化策の一環であるといえる。

「アントニオ・マルチェリア」は4月8日に横須賀基地を出港したのち大阪港へと入港し、大阪・関西万博のPR活動の一環として、艦内の一般公開も予定されている。なお、同艦の母港帰港は7月8日の予定とのことだ。

記念写真を撮影する「アントニオ・マルチェリア」の乗員と、ホストシップである海上自衛隊の護衛艦「いかづち」の乗員。中央にはジャンルイジ・ベネデッティ駐日イタリア大使の姿が。写真:稲葉義泰
稲葉義泰INABA Yoshihiro

軍事ライターとして自衛隊をはじめとする各国軍や防衛産業に携わる国内外企業を取材する傍ら、大学院において国際法を中心に防衛法制を研究。著者に『「戦争」は許されるのか 国際法で読み解く武力行使のルール』『“戦える”自衛隊へ 安全保障関連三文書で変化する自衛隊』(イカロス出版)などがある。

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