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DSEI Japan 2025 短報──ダイナマイト・ノーベル・ディフェンス

  • 日本の防衛

2025-5-28 22:55

2025年5月21日から23日まで、千葉県の幕張メッセで開催された、日本で唯一の統合型防衛・セキュリティ展示会「DSEI Japan 2025」。主要な出展ブースの展示内容を、個別にお届けしよう。竹内 修 TAKEUCHI Osamu

 ドイツの兵器メーカーであるダイナマイト・ノーベル・ディフェンスは、その名が示す通り、ダイナマイトの発明者として知られるスウェーデン人化学者のアルフレッド・ノーベルが創業に携わった老舗企業だ。日本での知名度はそれほど高くないが、同社の開発した携帯対戦車兵器「パンツァーファウスト3」は、陸上自衛隊に「110mm個人携帯対戦車弾」として採用されている。

 今回のDSEI JAPANに出展された携帯対戦車兵器「RGW」シリーズは、パンツァーファウスト3を後継または補完する無反動砲だ。市街戦での運用を想定し、反動を極力抑えるため、発射時にカウンターマスを後方に吹き飛ばす、古典的な「デイビス式」をあえて採用している。

口径90㎜の「RGW90」。ドイツからウクライナへ供与され、ロシアとの戦いで少なからぬ戦果を上げたと伝えられている 写真:竹内 修
口径60㎜の「RGW60」。使用する弾薬や用途によって異なるが、最も重い陣地や建造物の破壊に用いる「RGW60 ASM」でも重量は6.7kgに抑えられている 写真:竹内 修

 ダイナマイト・ノーベル・ディフェンスは現在、RGWシリーズの製造に注力しており、近い将来パンツァーファウスト3の製造を終了するとの話もある。110m個人携帯対戦車弾はIHIエアロスペースがライセンス生産権を取得しており、仮にダイナマイト・ノーベル・ディフェンスが製造を終了しても陸上自衛隊は110m個人携帯対戦車弾を取得することは可能であると考えられるが、製造終了に伴い弾薬の改良なども終了する可能性が高く、陸上自衛隊が今後もこの種の携帯対戦車兵器を使用し続けていくのであれば、将来的にRGWシリーズの導入も検討すべきなのかもしれない。

竹内 修TAKEUCHI Osamu

軍事ジャーナリスト。海外の防衛装備展示会やメーカーなどへの取材に基づいた記事を、軍事専門誌のほか一般誌でも執筆。著書に『最先端未来兵器完全ファイル』、『軍用ドローン年鑑』、『全161か国 これが世界の陸軍力だ!』など。

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