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2025シャングリラ会合──日米豪の防衛相が初のTDC会談、共同声明を発表(5月31日)

  • 日本の防衛

2025-6-4 10:25

 防衛省は令和7(2025)年5月31日22時10分、第22回IISSアジア安全保障会議(シャングリラ会合)出席のためシンガポールを訪問中の中谷 元(なかたに・げん)防衛大臣が、ヘグセス米国防長官、マールズ豪副首相兼国防大臣との会談を行い、共同声明を発表したことを公表した。

 防衛省・自衛隊公式Xで公表された内容は以下の通り。

写真:防衛省・自衛隊 公式X

日米豪防衛相会談

 5月31日、シャングリラ会合にて、中谷防衛大臣はヘグセス米国防長官、マールズ豪副首相兼国防大臣と日米豪防衛相会談を行い、昨年11月に設立した日米豪防衛協議体(TDC)の下での日米豪協力の更なる進展を確認しました。

日米豪防衛協力深化のための取組に関する日米豪防衛協議体閣僚級会談共同声明(仮訳)

 2025年5月31日、シンガポールにおいて、第22回アジア安全保障会議(2025年シャングリラ会合)の機会に、リチャード・マールズ豪州副首相兼国防大臣、中谷元日本国防衛大臣及びピート・ヘグセス米国国防長官は、第15回三か国防衛大臣会談(TDMM)を開催した。

 本会談は、2024年11月に公表された日米豪防衛協議体(TDC)の初の閣僚級会合である。我々は、共同の抑止力及び相互に対する共通のコミットメントにより団結し、三か国の相互運用性及び運用調整を進展させるための我々三か国による目覚ましい進展を認識する。2024年の2回の防衛大臣会談における議論及び共同声明を基に、我々は、実践的な協力を深化させ、意欲的なアジェンダを実行するための取組を再確認する。三か国のパートナーシップは、我々がインド太平洋地域における最も重大な挑戦に対処する準備が整っていることを確保するものである。

 我々は、インド太平洋地域の厳しく複雑な安全保障環境を認識し、自由で開かれたインド太平洋の維持・強化のための日米豪のパートナーシップの重要性を認識する。我々は、各国の防衛能力及び抑止力を強化するため、パートナーと協働すること及び強いリーダーシップを示すことへのコミットメントを強化する。

戦略的整合及び運用協力
 我々は、三か国の政策上及び運用上の目標の整合を支援するためのTDCの下での実践的な進展を歓迎する。我々は、日本周辺地域における活動の強化及び豪米戦力態勢協力活動への増大する日本の参加を含め、インド太平洋地域における協力を強化している。TDCの下、我々は、既存の地域の活動を調整し、戦略的コミュニケーションを整合させ、地域の緊急事態への対応に関する机上演習を含むイニシアティブを通じた効果的な協力について議論することへのコミットメントを改めて表明する。優先事項として、三か国の政策上及び運用上の調整を支援するため、我々はシステムの強化を更に追求することをそれぞれの防衛当局に指示する。

 豪州及び米国は、2025年3月の自衛隊の統合作戦司令部(JJOC)の新設を歓迎する。我々は、アップグレードされた在日米軍やJJOCと豪州統合作戦本部間の連絡官相互派遣を含め、三か国の司令部間の運用調整の継続的な向上を期待している。

 我々は、以下を通じて、二か国及び三か国の共同の能力を増強することへのコミットメントを改めて表明する。

◯日本周辺における抑止力及び対処力の強化を目的とし、自衛隊とのより実践的な活動のための、豪国防軍及びその他のパートナーの軍隊による日本へのアクセスの更なる促進。
◯豪州北部での共同訓練「サザン・クロス」における、豪州で初の三か国のF-35による活動(2026年7月)。
◯初の三か国のF-35訓練「コープ・ノース2025」(2月)及び「武士道ガーディアン2025」(9月)を含む、三か国のF-35による訓練に関する進展の継続。
◯F-35及び輸送機を含めた、三か国の航空アセットの相互派遣。
◯2024年11月のTDMMで公表された、三か国による水陸両用訓練を含む、米豪主催多国間訓練「タリスマン・セイバー2025」への自衛隊の過去最大規模の参加。
◯三か国の情報収集・警戒監視・偵察(ISR)協力の増加。
◯相互の武器等防護に関する協力。
◯フィリピンにおける豪州及び米国とのハイエンド演習への日本の参加を通じたものを含め、フィリピン及び三か国の間のより緊密な運用協力。
◯地域の海洋安全保障を支え、国際法を堅持するための定期的な海上協同活動を通じたものを含め、南シナ海における日米豪比の防衛協力の継続。

防衛先進能力及び産業強靭化

 我々は、実射訓練の機会の追求を含め、トマホーク対地攻撃ミサイル(TLAM)に関する三か国協力を追求することを歓迎する。我々は、三か国の抑止力及び対処力向上のため、豪州の長距離打撃能力、日本のスタンド・オフ防衛能力及び米国のシステムに関するそれぞれの強みの活用を目指す。

 我々は、地域の経空脅威に対抗するためのネットワーク化された防空ミサイル防衛アーキテクチャ構築に係る着実な進展を称賛する。我々は、三か国のアーキテクチャを更に発展させるため、技術的な実務者級協議を通じた情報共有メカニズムの確立に向けた加速した取組を歓迎する。我々は、2027年に「タリスマン・セイバー」において実射訓練を実施することを期待する。

 我々は、三か国の研究、開発、試験及び評価(RDT&E)取決めの下で、共同プロジェクトの進展を認識し、2026年半ばまでに、航空機複合材に関する計画を完成させ、共同研究を開始することを意図する。我々は、連携無人機及び自律システムに関する目的に向けた着実な進展として、それぞれの空軍種間による「航空領域における三か国のHMT(Human Machine Teaming)コンセプト」の完成を称賛し、この三か国のコンセプトの実現を喜ばしく思う。

 豪州及び米国は、DSEI Japan 2025の成功を祝した。また、我々は、PIPIR(インド太平洋における産業基盤強靭化パートナーシップ)の各分科会の取組を含め、生産、維持整備及びサプライチェーン協力の機会の観点から、各国の官民セクターが参加する形で、インド太平洋における多国間の防衛産業協力を推進する意図を確認する。我々は、それぞれの防衛産業基盤全般にわたる協力の機会の探求などにより、防衛産業パートナーシップを深化させることを期待する。

 我々は、必要な防衛力の獲得のため、重要鉱物の強靭な供給の重要性を認識し、各国の関係省庁や産業セクターによる重要鉱物の安定供給の実現に向けた取組を歓迎する。

地域のパートナーとの協力
 我々は、インド太平洋における抑止及び安定の強化のため、インド、フィリピン及び韓国といったインド太平洋地域のパートナーとの協力を一層拡大することへの共通の意欲を確認する。我々は、2025年の「プクプク」及び「レンダー・セーフ」への日本の参加に例示されるとおり、太平洋島嶼国への三か国の継続的な関与を歓迎する。

(以上)

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