中谷防衛大臣が臨時会見 シャングリラ会合での米・豪・比防衛相との3か国/4か国会談を終えて(5月31日)
- 日本の防衛
2025-6-4 11:24
令和7(2025)年5月31日(土)18時52分~19時03分(現地時間※)、中谷 元(なかたに・げん)防衛大臣はシンガポールのシャングリラホテルにおいて、日米豪及び日米豪比防衛相会談後の臨時会見を行った。※日本との時差は1時間。
大臣からの発表事項と記者との質疑応答は以下のとおり。
大臣からの発表事項
大臣 :
本日、午後3時半から約70分間、米国のピート・ヘグセス国防長官及びオーストラリアのリチャード・マールズ副首相兼国防大臣と日米豪防衛相会談を実施をいたしました。今般の会談は、昨年11月の日米豪防衛相会談で私が提案をいたしました日米豪防衛協議体(TDC)の下で、初の閣僚級会合となります。TDCというのは、Trilateral Defense Consultationsのことです。
会議では日米豪の連携が、本日のスピーチで申し上げた「OCEAN(オーシャン)」、これの精神を体現する要であるという認識を共有をいたしました。その上で、政策面・運用面での連携を強化をするTDCの下で、この協力の進展を確認をし、戦略的なメッセージの調整など更なる協力強化で一致をいたしました。また、日本の統合作戦司令部を含め、日米豪司令部間の運用調整の強化、並びに日豪が調達する米国製巡航ミサイル「トマホーク」に関して、実射訓練の機会を含め、3か国協力を行っていくということで合意をいたしました。防衛省としましては、地域の抑止力・対処力の強化をするために、自衛隊・米軍・オーストラリア軍があらゆる状況で実効的に連携ができるよう、引き続きTDCを活用して、日米豪防衛協力を強化していく考えでございます。
この後、今申し上げましたことを共同声明として出すことにいたしております。今、事務的に準備をしているところであります。
続きまして、日米豪比、これの防衛相会談について申し上げます。本日、午後5時から約50分間にわたりまして、米国のピート・ヘグセス国防長官、オーストラリアのリチャード・マールズ副首相兼国防大臣、そしてフィリピンのギルベルト・テオドロ国防大臣との日米豪比防衛相会談を実施をいたしました。会談では、これまでの各国の取り組みについて共有をするとともに、地域における共通の課題や協力の拡大について議論しまして、共同声明を発出することとなりました。現在の安全保障環境を踏まえて、日米豪比の4か国が共通の課題について連携を深めるということは極めて重要であります。今般、4か国の防衛当局による定期的な閣僚級会合等の必要性について一致をしたことも踏まえまして、引き続き、協力の機会を追求をし、共通の課題について連携を深めることにいたしました。
記者との質疑応答
日米豪、日米豪比の枠組みが果たしていく役割などについて
記者 :
大臣、今日、日米豪、日米豪比防衛相会談に出席されました。トランプ政権誕生後、初めてミニラテラルな枠組みで開催することになりましたが、こうした枠組みのもつ意義や今後の展望について伺います。また、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けて、今回の会談が地域の安全保障にどう資するとお考えでしょうか。あわせて、米政権の関税措置や自国第一主義で、東南アジアにおける中国の存在感が増しています。今後、インド太平洋地域において、日本が果たしていくべき役割や、そのためにどのような取組をされていくのか、お考えを伺います。よろしくお願いします。
大臣 :
ミニラテラルの意義、そして展望につきましては、本年3月の日米防衛相会談において、ヘグセス国防長官との間で、「自由で開かれたインド太平洋」を実現するために、日米を中核として、地域のパートナーとの協力を進展させていくということで一致をしております。そして、日を置かずに本日、日米豪防衛相会談、そして日米豪比防衛相会談を実現できたことは、大変意義があることであると考えております。その中で、本日の日米豪防衛相会談が、私が提案した日米豪防衛協議体(TDC)の下に、初の閣僚級会合として行われたということ、そして、日米豪比防衛相会談で共同声明を発出をし、今後の協力の方向性を示したということは、正に「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けて、地域に対して前向きなメッセージを示すことができたのではないかと思います。またこの後、日米豪共同声明も出すことといたしております。
我が国が戦後厳しく、そして最も複雑な安全保障環境に直面をしている中で、日米同盟を基軸として、同盟国・同志国間のネットワークを重層的に構築をするとともに、それを拡大をし、抑止力を強化をしていくということは大変重要なことであり、防衛省としては、率先して地域の平和と安定に貢献をしていく考えでございます。また我が国としては、日米同盟の抑止力・対処力、これを一層強化をするとともに、「自由で開かれたインド太平洋」を実現するため、地域のパートナーをはじめとする同志国等との間で、防衛協力・交流の取組を推進していく考えであります。この際、本日のスピーチでも申し上げました「OCEAN(オーシャン)」の精神を踏まえて、防衛分野における多層的な取組、これを強化をしながら、共通の価値と利益を共有する各国と共に、インド太平洋地域の平和と繁栄のために新たな価値と利益を生み出し続けていきたいと考えております。
ヘグセス米国防長官の演説について
記者 :
米国のヘグセス長官は、中国が台湾に侵攻すれば、インド太平洋地域に壊滅的な結果をもたらすと中国を牽制した上で、米国は同盟国、パートナー国と共に、世界と地域の平和を守るとも述べました。ヘグセス氏の演説をどのように受け止めましたか。米国と共に有事を抑止するため、日本はどのように対応するお考えでしょうか。また、ヘグセス氏はNATO加盟国の5%を参照しながら、アジアの同盟国にさらなる防衛費の増額を促しました。5%という数字を例示したことへの受け止めと、防衛費の増額要求にどのように対応するかも、あわせて伺います。
大臣 :
これはヘグセス長官らしい力強いメッセージであったと思います。今日の演説におきまして、インド太平洋地域の安全保障情勢が厳しさを増している中、力又は威圧による一方的な現状変更の試みや望まない紛争を抑止するため、米国を含む地域の各国が当事者意識をもって主体的に防衛力強化に取組むことの必要性を強く訴えるとともに、米国と同盟国、そしてパートナー国が連携をして地域における平和と安全を維持をしていくとの決意が示されました。
特に長官のアメリカ・ファーストというのは、アメリカ・アローンではないとの発言を、大変心強く受け止めました。つまり、アメリカ一人でですね、なんでもやることはないんだよと、同盟国と共にやろうとしているんだよというような発言であったというふうに理解をいたしております。私と長官との間では、変化する安全保障環境がもたらす課題に対応するために、日米同盟の抑止力・対処力を一層強化をする様々な取組について、切迫感を持って推進していくということで一致をしているところでございます。
また、地域の同盟国に対して、防衛費の増額を促す発言があったことは承知をいたしておりますが、防衛力の抜本的強化については、大事なのは防衛力の中身でありまして、我が国自身の判断と責任で、我が国が主体的に進めるということが重要であるということにつきましては、ヘグセス長官との間でもやり取りをしてきております。このような考え方に基づいて、我が国としては、国家安全保障戦略等に基づく防衛力の抜本的強化に取り組むとともに、日米同盟の抑止力・対処力の一層の強化に向けて、ヘグセス長官と引き続き緊密に協力をしてまいります。
(以上)
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