《ニュース解説》警戒監視の海自P-3Cに中国海軍J-15戦闘機が「特異な接近」 その危険性と意図
- 日本の防衛
2025-6-19 17:30
防衛省は6月11日、太平洋上の公海上空で、中国軍J-15戦闘機が海自P-3C哨戒機に長時間追従し、最短で45mの距離まで異常接近したことを発表しました。翌12日に開かれた記者会見を踏まえて、月刊『Jウイング』編集部が解説します。
海自哨戒機に中国軍戦闘機が特異接近、その詳細
防衛省は6月11日(水)23時30分、「中国軍機による自衛隊機への特異な接近について」と題するリリースを発表した。
その内容は、6月7日(土)の昼前と翌8日(日)の昼過ぎ、太平洋上の公海上空において、警戒監視中の海上自衛隊P-3C哨戒機に対し中国軍の空母「山東」搭載のJ-15戦闘機が長時間にわたって追従飛行したというもの。7日は約40分、8日は約80分としている。そして両日とも、J-15はP-3Cと高度差のない状態で水平距離約45メートルまで接近しており、8日にはJ-15がP-3Cの進路前方約900メートルを横切る飛行もあったという。
中国軍戦闘機による自衛隊機への特異な接近は、2014年5月および6月に東シナ海上空で警戒監視を行っていた海上自衛隊のOP-3C多用機に対して実施したとき以来だ。
今回、中国軍戦闘機から特異な接近を受けたP-3Cは第5航空群(那覇)所属で、西太平洋で航行中の空母「山東」を中心とした艦隊に対して、護衛艦「いかずち」とともに警戒監視・情報収集任務を行っていた。
統幕長「偶発衝突誘発の可能性」と懸念を表明 中国側は日本の偵察活動が原因と反論
中国軍戦闘機が行った「特異な接近」について、統合幕僚長の吉田圭秀(よしだ・よしひで)陸将は6月12日(木)の記者会見で「このような中国軍機の特異な接近は、偶発的な衝突を誘発する可能性がある。深刻な懸念を表明し、再発防止を厳重に申し入れた。」と発言した。
記者団から「中国軍機パイロットの操縦ミスという可能性はないか」との質問を受け、「特異な接近をする以前に、7日は40分、8日は80分もの間追従していたので、パイロットの操縦ミスが原因ではないと考えている。この接近は何らかの意図があって実施されたものと考えている」と返答した。
また、航空幕僚長の内倉浩昭(うちくら・ひろあき)空将は、同日の記者会見において、中国軍機が高度差なしの状態で自衛隊機に接近したことについて「あえて高度差なしにする必要はない」とし、その理由を「編隊を形成するとき、高度差を確保することで安全を保つことができる」と説明した。
中国側は今回の事案について、「日本の航空機が接近して偵察活動を行ったことが、リスクの根本原因だ」と中国外務省の林剣(リン・ジエン)副報道局長が記者会見で日本に対して反論している。
目的は空母「山東」への接近阻止か? 過剰な接近の意図は不明
接近してきたJ-15戦闘機に目を向けると、今回公開された2枚の写真はいずれも8日に撮影されたもので、同じ機番号(機首にグレーで60)が記された同一機体である。左側からの写真で、主翼の下に短距離空対空ミサイルPL-8を1発、胴体中心線下に中距離空対空ミサイルPL-11を1発搭載しているのが確認できる。右側からの写真ではミサイルが確認できないが、上記以外にも搭載している可能性はある。
その行動を考察すると、おそらくP-3Cが空母「山東」の警戒エリアに近づいたことに対する、いわゆるスクランブル発進であると考えられる。中国側の視点から見れば、P-3Cに対して「山東」を中心とした空母艦隊から離れさせるために出撃したこと自体は自然だ。
ただし、事故の発生リスクを増大させるほど過度にプレッシャーをかける必要はなく、過剰に接近した意図は不明だ。日本側が国際的なルールや関係規則を逸脱して警戒監視などを行うことはないので、今回の事案に対して自衛隊が何かを変える必要もない。毅然とこれまで通りの対応を行えば、むしろ有益な情報収集を行うチャンスであった、という言い方もできるだろう。
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