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海上幕僚長が記者会見 豪州方面派遣訓練、イラン情勢悪化の中での中東派遣関連、P-1の那覇配備、海自の改編など(3月4日)

  • 日本の防衛

2026-3-6 11:24

 防衛省 海上幕僚監部は令和8(2026)年3月4日(水)、同日13時30分~13時57分に防衛省A棟10階会見室において行われた齋藤聡(さいとう・あきら)海上幕僚長の記者会見の要旨を以下のように発表した。

海幕長定例記者会見要旨

海幕長
 本日、私から1件、令和8年豪州方面派遣訓練について発表します。3月4日から6月4日までの間、護衛艦「くまの」が、戦術技量の向上並びに各国海軍等との相互理解の増進、信頼関係及び連携の強化を目的として、令和8年豪州方面派遣訓練を実施します。本派遣では、オーストラリア、ニュージーランド及び米国をそれぞれ訪問予定であり、日本からこれら各国に至るインド太平洋の海域を行動します。訓練期間中、オーストラリア海軍主催の多国間共同訓練及び国際観艦式に参加予定です。詳細については、配布した資料のとおりです。以上です。

豪州方面への派遣の意義、訓練の特徴

記者
 冒頭の豪州派遣について伺います。海自は例年豪州方面に護衛艦を派遣し訓練などを実施していますけれども、豪州方面に部隊を派遣する意義であったりとか、今回の派遣訓練の特徴を教えて下さい。

海幕長
 インド太平洋地域の重要な同志国であるオーストラリア及びニュージーランドとより強固な関係を構築することは、この地域の平和と安定に貢献するため、大変意義があるものと理解しております。このため、海上自衛隊は、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けて、年間を通じて様々な部隊を海外に展開しております。オーストラリア海軍、ニュージーランド海軍を始めとする同志国海軍等との防衛協力・交流の更なる推進を図っていきたいと思っております。
 なお、今年派遣する護衛艦「くまの」は、オーストラリア海軍主催国際観艦式への参加を予定しており、これによってオーストラリア海軍との強固な連携を示すことができるものと考えております。さらには、派遣中、オーストラリア海軍の隊員の乗艦研修も予定しております。こういったことにより相互理解の促進・連携強化を図っていきたいと思っております。以上です。

イランがバーレーンの米海軍第5艦隊司令部をミサイル攻撃したが横須賀は大丈夫か

記者
 2月28日にアメリカとイスラエルがイランを攻撃して、それを受けてイラン側がバーレーンのマナマにある米海軍第5艦隊司令部をミサイル攻撃しました。そこで着弾して、大きな煙が立ち上る映像がインターネット上に出てまして、私はこれを見てすごく背筋が凍ったんですけども、このバーレーンにある第5艦隊司令部は戦略的にすごい重要なのでイランが狙ったと思うんですよね。もし同じように日本、米軍が絡んだ事態が起きたときに、多分、横須賀の第7艦隊司令部が同じように標的にされる可能性があると思うんですね。その際に、バーレーンでも第5艦隊司令部が着弾を許してしまったんですけど、日本の第7艦隊司令部は、果たして飽和攻撃を受けた時に大丈夫なのか心配なんですよね。海幕長この辺りですね、「日本は大丈夫」というアシュアランスが欲しくてですね、伺いたいと思います。

海幕長
 こういった事象が起こったということは、私も報道等で見て承知しております。そういったことがないように、第7艦隊とともにあそこには我々の海上自衛隊の重要な拠点もありますので、そういったものを普段から守るためにはどうすれば良いかということを日々検討しておりますし、日々訓練も行っておりますので、そういったものでそういった事態にはしっかりと備えたいと思っています。

記者
 イラン側はバーレーンだけじゃなくていろんな国にやったじゃないですか。リビアとかサウジとか、その連携も含めてきっちり大丈夫だということですね。

海幕長
 その連携といいますと。

記者
 米軍とです。

海幕長
 はい。米軍と日々訓練を行っております。意思の疎通も図っております。

記者
 バーレーンの第5艦隊司令部と違って横須賀は、日本とアメリカのネイビーの心臓部が二つ揃ってるとこだから、着弾を許したらバーレーンのように本当にいけないと思うので。

海幕長
 ご指摘のとおりだと思いますし、首都にも近いところですのでしっかりと連携を図っていきたいと思います。

護衛艦「くまの」の豪州方面への派遣でのメリット、もがみ型アップデート型について

記者
 先ほどの発表の護衛艦「くまの」は、確か「もがみ」型の1隻だと思います。「もがみ」型の方ですと、オーストラリアは、「改もがみ」型を将来的に発注していくことかと思いますけれども、今回この「もがみ」型の護衛艦「くまの」が実際に観艦式もそうですけれども、共同訓練をやるっていうことは、例えばオーストラリア海軍の今のフリゲート艦なり軍艦と一緒に行動することで、そういう将来に備えたいろんな航行データですとか、訓練データが積めるとか、そういったメリットっていうのはどうでしょうか。

海幕長
 先ほど少し話しましたけれども、「くまの」を派遣している間、オーストラリア海軍の乗員との交流も図る予定にしております。それは停泊期間のみならず、航海中のシップライダープログラムのメニューも考えております。そういったものによってオーストラリア海軍が導入するのは、このアップデート型でありますけども、ほぼ似たようなところもあるので、そういった意味での交流を図って、関係を深めるということもできますし、それがひいては、オーストラリア海軍にとってのプラスになるのではないかなと思っております。

記者
 もがみ型のアップデート型に関してはニュージーランドも関心を示しているようですが、今回ニュージーランドも訪問するということで、もがみ型を研修する機会などは考えられているのでしょうか。

海幕長
 現在、寄港するということは報告を受けておりますが、ニュージーランドでどういったメニューがあるのか、どういった交流を図るのかについては調整中だと思っておりますので、公表できる段階になりましたらお知らせしたいと思います。

ホルムズ海峡の封鎖による安全保障に与える影響

記者
 イラン情勢の関係ですが、イラン革命防衛隊は、ホルムズ海峡を封鎖しており、運航しようとする船舶は攻撃されると宣言しています。日本のエネルギー輸送の要衝であると思いますが、安全保障に与える影響などについてどのようにお考えでしょうか。

海幕長
 多くの資源を海外に、中東に依存する度合いが非常に大きいことは紛れもない事実であると思いますので、そこの海域の安全をしっかりと担保するというのは、日本国のみならず国際社会の重要なことだと思っております。

海賊対処など中東派遣の護衛艦の防空能力は安全確保できる態勢か

記者
 中東情勢に関してお伺いします。現在、海自の護衛艦が中東のシーレーンに派遣されていますが、情勢は緊迫化する中で、護衛艦の防空能力を含め十分に安全を確保できる態勢なのか教えてください。

海幕長
 海賊対処で行っている護衛艦、現在は「ゆうだち」が展開しております。「ゆうだち」は防空能力として、ミサイル、あるいはCIWS、そして主砲を持っております。そういったもので対応することになると思いますけども、今の緊迫した情勢を受けて「中東地域で活動する部隊の安全確保に努めること」ということを大臣からご指示いただいておりますので、安全を確保できるところで任務を継続していくところです。

記者
 現在派遣されている護衛艦は汎用型の護衛艦ですが、経空脅威を考えた場合、より防空能力が優れたビークルを派遣する必要性についてはいかがでしょうか。

海幕長
 おそらく具体的なイメージでは、イージス艦かどうかということですよね。それは情勢に応じて適切なビークルを配備することが必要であると思っております。現時点においては、現状のビークルで対応できると思っております。

那覇基地へ配備されるP-1について、その完了時期や意義など

記者
 海上自衛隊は、既存のP-3C哨戒機をP-1へ更新していますが、今回那覇基地への配備が決まったと思いますが、那覇基地へは計何機の配備を予定していますか。また、配備完了時期も合わせてお伺いしたいと思います。合わせて配備の意義などもお願いしたいと思います。

海幕長
 今おっしゃったように、3月5日に第5航空群にP-1哨戒機を配備して運用を開始する予定であります。このP-1については、平成24年に厚木基地、令和元年に鹿屋、令和5年に下総航空基地へ配備をしてきたところです。今般、第5航空群にP-1が配備されたことによって、引き続きしっかりとした防衛態勢を敷くことができると思っております。今後何機にするか、あるいはいつまでにどういった線表で行うかというものについては、手持ちに資料がありませんので、後ほど担当の方から回答させて頂きます※1

記者
 防衛態勢というのは具体的にお話しいただくことはできますか。

海幕長
 P-1哨戒機に関してはP-3Cに比べて格段に能力が優れておりますので、今までP-3Cで行ってきた任務が、P-1に置き換わるということで、その能力の高い哨戒機でオペレーションを行うこと自体が防衛力を高めることになると思っております。

記者
 先ほどの質問に関連しまして、P-1哨戒機を巡っては昨年、会計検査院の方から可動率の低さについて指摘があったと思います。指摘された課題も含めて、改善状況についてお伺いさせてください。

海幕長
 可動率についてのご質問ですけれども、可動率を上げるためにはなるべく故障しないのが一番ですけれども、ある一定程度の故障とか不具合が生じた場合には、速やかにその部分の部品を入れ替えて、可動率を高めに維持する措置が必要であると思っています。部品がなかなか入ってこないというのが可動率低下の大きな要因であったんですけれども、防衛予算、たくさんの予算を付けていただいたことによってその部品の確保が徐々に改善されております。そういった影響を受けて、可動率についても少しずつ向上してきております。今後もその傾向が続くと認識しております。

護衛艦「てるづき」の派米訓練について

記者
 護衛艦「てるづき」の派米訓練についてお伺いします。護衛艦「てるづき」がハワイ諸島近海において、米軍の支援を得て、ASM対艦ミサイルの射撃を実施したということが既に護衛艦隊のXアカウントにおいて公表されているのですが、この射撃訓練の中で発射した対艦ミサイルの種類についてお伺いしたいのと、「てるづき」は長射程の対艦ミサイルの搭載が既に決まっている、予定されている艦だと思うんですけれども、今回「てるづき」が既にそういったいわゆるスタンド・オフ兵装の対応能力を既に持っていて射撃試験を行ったのか、それとも、今はそういった能力に関しては、システム面も含めて対応しているのか、対応していないのかそれについてお答えをお願いします。

海幕長
すいません、その点については後ほど回答させていただきます※2

国際女性デーに関連して、女性の活躍やWPSへの取り組み

記者
 今月8日の国際女性デーに関連してお伺いします。海上自衛隊として女性の活躍やWPSについてどのように取り組んでいくつもりか、お考えと今後の課題について教えてください。また取材していると潜水艦など、これまで女性があまり配置されてこなかった部隊も含め、女性活躍が進み多様な人材が活かされることで、精強な部隊につながるという声が聞かれました。女性活躍と部隊の精強性について、海幕長はどのようにお考えでしょうか。

海幕長
 3月8日国際女性デー、それに関連するWPSの質問と認識しました。
 私ども海上自衛隊としては、省の方針のもと、教育・訓練、運用、防衛協力・交流といった平素実施している取り組みに、その視点を取り入れる取り組みを行っています。最近の実績としては、昨年の夏、イギリスの空母のグループ、CSG25が来日しました。その際に、WPSに係るシンポジウムを開催しまして、日本、イギリス、ノルウェーの参謀長級の会議も設けまして、共同声明に署名したところであります。
 私ども海上自衛隊において女性が活躍していくためには、出産・育児等により一時的に職を離れる女性自衛官が、能力や経験を活かし続けられる環境を整えていくことが非常に重要であると認識しております。このため、私どもは柔軟な勤務制度の運用、育児休業からの円滑な復帰を支援する講習、さらには育児等により不在となる隊員を補完する代替要員制度の活用を通じて、女性自衛官がライフイベントを経ても能力や経験を活かし続けられる環境整備を進めていきたいと思っております。
 先ほどから環境整備、環境整備と言いましたけれども、そういった仕組みが、環境整備をするということも重要でありますし、最近はほぼこういったメニューについては出そろったのではないかなと思っております。まだこれから詰めていくこともあると思いますが、様々な制度が生み出されてそれが活用されていると思います。一方でそれをしっかりと隊員が認識しているかというのは、まだ若干不安なところではあります。こういった制度があるということを、しっかりと隊員に教育してその活用を図っていきたいと思っております。そういった意味では、ジェンダーアドバイザーというのを設けてWPSの取組についての推進を図っている隊員がおりますけれども、そういった隊員をより増やして、そして、よりこの施策が浸透できるような取り組みを今後も進めていきたいなと思っております。

IPDの枠組みではない豪州方面派遣について、またFOIP10年を迎えた所感

記者
 冒頭の豪州方面派遣訓練の関係でお尋ねします。これまで、海上自衛隊の長期航海と言えば、いわゆるIPDを通じて、各方面に部隊を派遣されていたと認識しているのですが、今回の豪州派遣というのは、もちろん時期的にも重ならなかったこともあるのかと思うのですけれども、IPDの枠組みではございません。今後、こういった地域を絞ったような形で長期派遣というのを行っていくようになるのでしょうか。
 また自由で開かれたインド太平洋(FOIP)の構想を安倍元首相が提唱されてからちょうど10年になります。この間、FOIPの取り組みを海上自衛隊でも様々されてきたと思うのですけれども、10年を迎えるにあたって、できたこと、できなかったこと、海上幕僚長としてはどのようにお考えでしょうか。

海幕長
 毎年IPDを実施している中、今回の豪州方面に部隊を派遣することについての質問が最初のご質問だったかと思います。FOIPは10年になりますけれども、この自由で開かれたインド太平洋の実現に向けて、様々な部隊をこれまでも派遣しております。今回、特別な戦略的パートナーであるオーストラリア、ニュージーランドとより強固な関係を構築する必要があると判断し、この地域の平和と安定のために今回派遣したということであります。したがって、IPD、あるいは個別の派遣については、その時々の各国との調整の結果を踏まえて、実施していきたいと思っております。
 また、FOIPは10年になりすけれども、その具体化のために様々な取り組みを行ってきたと思っております。安倍元総理の強力なイニシアチブの元、このFOIPは出されて、これが各国の海軍の関係者にも周知の事実と言いますか、皆さんこう言っていたらこういったことだということを認識されましたので、それに基づく活動ということで、非常に理解していただくことが容易でしたし、交流も進めやすかったと思っております。今後も引き続きこういった取り組みについては継続していきたいと思っております。

記者
 確認ですが、IPDがなくなるわけではないという理解でよろしいですか。

海幕長
 はい、(なくなるわけでは)ありません。

記者
 今年もIPDはやるのですか。

海幕長
 今年も別の形態を取ってIPDを行います。

3月に予定されている海上自衛隊の改編について

記者
 事務的なお話を伺いたいのですけれども、海自の改編が今月予定されていて、その発足式というのは、横須賀だけでまとめて今月やる予定なのですか。それとも、第1、第2、第3水上戦群のそれぞれでやるのか教えて下さい。

海幕長
 日にちについては今のところ調整中ということで、公表できる段階になったら速やかにお伝えしたいと思っております。そして、イベントについても、大きく改編する部隊、あるいは新編する部隊は、新編行事を行いますし、それは新編された日でないかもしれませんが、新編するときには様々な業務が忙しいので、イベント自体をずらしてやったりとか7ですね、部隊によっては淡々とやるだけで、指揮官の訓示だけで終わったりとか、色々差がありますので、そこはまとめて、みなさんに、取材しやすいようにお知らせしたいと思っております。

記者
海幕長は全て行かれる感じなのですか。

海幕長
私も身体一つですので、全てに出るわけにはいきませんので、一部には参加します。

イラン情勢が長期化する場合、中東方面の派遣艦艇を増やすか、また現在任務にあたる乗務員たちについて

記者
 先ほどイラン情勢の質問に関して、イージス艦については現状、派遣するような情勢ではなかろうというお話だったんですけれど、海賊対処、それから情報収集のための艦艇が1隻になっております。この戦闘がですね、長期するようになってくれば、やはり海賊対処と情報収集のための艦艇というのは、別々にもう1隻出した方が良いとお考えでしょうか。運用に関わるのでお答えが難しいと思うのですが、聞かせていただけますか。

海幕長
 運用に関わること、かつ仮定のご質問ですので、中々回答するのが難しいと思いますが、今までもその時の情勢に応じて、情勢判断を行って、部隊運用を行ってきましたので、しかるべき判断がなされるものと思っています。

記者
 類似した話になるのですが、今中東方面に対して艦艇1隻派遣されているという状態で、例えばその緊張が高まる状態において、海幕長として乗員に、実際に任務に現場であたっている乗員たちにどのような心構えと言うとあれですけれども、自衛官としてどういうことを求められるのかということについてお伺いしたいと思います。

海幕長
 派遣されている隊員については、情勢如何に関わらず、しっかりと使命感をもって、責任感をもって取り組んでいると思います。また、そういった指揮の高揚については、部隊の長、艦で言うと艦長、あるいは派遣元の自衛艦隊司令官等々がですね、しっかりと隊員の士気について高揚する施策をしっかりと行っていると思います。特段そこに私が踏み込んで物事を喋るとか、そういう状況ではないと思っています。各隊員が司司でしっかりと取り組んでくれていると思っています。

※1:令和9年度までに約10機を配備する旨、会見後に回答
※2:弾種については「AGM-114」でありSH-60Kから発射、スタンドオフ防衛能力については、「12式地対艦誘導弾能力向上型(艦発型)」を令和9年度から「てるづき」で運用予定であり、未改修である旨、会見後に回答

(以上)

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