齋藤海幕長が定例会見 豪州訪問、中東での情報収集活動、海自の部隊再編など(3月17日)
- 日本の防衛
2026-3-23 09:45
令和8(2026)年3月17日(火)15時00分~15時22分、齋藤 聡(さいとう・あきら)海上幕僚長は、防衛省A棟10階会見室において定例記者会見を行った。
海幕長からの発表事項と記者との質疑応答の要旨は以下のとおり。
海幕長定例記者会見要旨
海幕長 :
本日、私から1件ございます。オーストラリア公式訪問について発表します。オーストラリア海軍からの公式招待を受けまして、3月21日に実施されるオーストラリア海軍創設125周年を記念した国際観艦式に参加するため、3月19日から23日までの間、オーストラリアを訪問します。オーストラリア訪問期間中に、オーストラリア海軍高官、国際観艦式参加国海軍参謀長等との懇談を調整しております。また、令和8年豪州方面派遣訓練のため今月4日に出国した護衛艦「くまの」もこのイベントに参加予定ですので、今回の訪問に合わせて「くまの」を視察する予定です。私から以上です。
オーストラリア公式訪問の意義とねらいについて
記者 :
オーストラリア出張についてお伺いします。この出張の意義とねらいをもう少し詳しくお聞かせください。
海幕長 :
今回の訪問の目的は、この観艦式に参加しまして、オーストラリア海軍を始め、その他の参加国の参謀長等との懇談等を通じて、関係強化を図るものであります。また、本年は、オーストラリア海軍創設125周年、そして日豪友好協力基本条約署名50周年という節目でもあります。こういった節目の年において、「特別な戦略的パートナー」であるオーストラリア海軍と、より強固な関係を構築することは、この地域における平和と安定に貢献すると思っております。訪問中に、オーストラリア海軍のみならず、先ほど申しましたとおり、各国海軍高官との懇談を通じて、様々な意見交換を実施したいと思っております。以上です。
イラン情勢で見られる大量ドローンとの戦い、今後の新しい戦いと対処について
記者 :
イラン情勢の関係でお尋ねいたします。現在イランの大量の無人機に対して、米軍がPAC3を始めとした迎撃ミサイルを使って対応している状況があります。ドローンと迎撃ミサイルとで値段が全く不釣り合いな非対称の戦いを強いられていると言えるわけですけれども、こういった大量のドローンとの戦いについてですね、新しい戦い方の一つになってくるのかと思うのですが、海上自衛隊としてはこれからどのように備えていこうというふうにお考えでしょうか。
海幕長 :
今回の戦いの中においては、非対照的な対応が見られるということは私も承知しております。翻って海上自衛隊の水上艦艇の兵力を見ますと、ミサイル、主砲、CIWSとか機関砲、それと銃座に備える機関銃も持っております。それと合わせて小銃も持っております。あるいはドローンに対しては、ドローン対処器材というものも持っております。そういったもので対応することになると思います。飛んでくる兵器に一番見合った形で兵器を使用するということになりますので、今言った幅広い物の中で対処するというのが通常のやり方だと思いますけども、対象兵器がなるべく近くに来る前に対処するとなるとミサイルになってしまう。そうなると先ほど言われた通り、コストが見合わないような戦い方になるということですので、そういうのを総合的に判断して、その艦の艦長あるいは哨戒長という者が対応しますけども、なかなか厳しい対応を求められるというふうに認識しております。従って、今言われたような安い兵器に対しては、安いもので対応できるような事を今後もしっかりと考えないといけないし、ウクライナ戦争を見ますと2、3週間のうちに兵器をアップグレードしてるということもありますので、そういったものをしっかりスタディしてですね、今後の新しい戦いに我々も臨むべきだと考えております。
記者 :
例えば偵察型のものですとか、自爆型のものですとか、あるいはミサイルを積んでいるものもあると聞いたことがあるんですけれども、遠方から接近して来ないとドローン自体の性能を見分けにくいというところもやっぱり対応の難しさに繋がっているのでしょうか。
海幕長 :
おっしゃるとおりだと思います。遠くにいて同じ型でもその型でそれは妨害するだけ、偵察するだけ、あるいは兵器も積んでるというふうにいろいろなパターンがありますので、ただ現場の人間としてはそこがわからない時には、やっぱり一番脅威が高いものとして対処する必要がありますので、本当に対応が難しいところだと思います。
イラン情勢におけるホルムズ海峡での海賊対処と情報収集活動について
記者 :
一部報道でトランプ大統領からの護衛艦ホルムズ海峡への派遣要請を踏まえて、政府の方で情報収集目的で中東派遣を検討しているという報道がありました。ただし、この場合はホルムズ海峡は除外されて、アデン湾の方だと聞いてますけども、今現在、海賊対処でソマリア沖とかアデン湾とか行かれてますよね。その部隊は、私の認識だと一時情報収集活動も兼ねてやっていた部隊もあると思いますが、今その辺りの海賊対処と情報収集活動水上部隊の境目はきっちりわかれているのでしょうか。
海幕長 :
今言われているとおり、現場の方では水上艦艇、それとジブチを拠点としてP-3C航空機が展開しておりまして、海賊対処行動及び情報収集活動を行っております。その任務については大臣からご指示がありました「隊員の安全確保」ということを念頭に置きつつ、この二つのミッションを継続して実施しているということであります。
記者 :
そうすると、今政府が検討しているこの情報収集目的で、ホルムズ海峡とかペルシャ湾を除いてアデン湾とかオマーン沖とか、今でも海賊対処も同時に情報収集もやってるから、既にやってるんじゃないかなっていうふうに思うんですけど。
海幕長 :
現在の法律の建付けでは、エリアが私の認識でありますと、アデン湾になっておりますので、より広い海域では対応できないという法律の建付けだと思っております。現在の区域は、ソマリア沖アデン湾とされておりますので、先ほど言われた海域については外れているということですね ※1 。
中東派遣が決定した場合の人繰り、船繰りの余力について
記者 :
わかりました。正式に情報収集かどうかとか海上警備とかいろいろ決まってないですが、今現在、安倍政権が2019年に決めて、2020年の4月「たかなみ」を皮切りに、ローテーションで情報収集目的で派遣して行ったと思うんですが、その時と比べてイランと実際に戦闘が起きている。なおかつ、この6、7年間、海上自衛隊さんも共同訓練とかいろいろあって人繰り、船繰りが逼迫していると。今、いかなる形でも中東派遣をやった時に、余力っていうのはあるんでしょうか。観艦式をスキップしたりですね、いろいろ大変そうだと国民多く思っているんですけど、実際いざ派遣するっていうときに、「いや、できます」っていうくらい余力があるものかちょっと教えてください。
海幕長 :
質問については、中東に派遣された場合にその余力があるのかということであり、仮定に基づくお話ですので、なかなかお答えするのは難しいところであることはご理解いただきたいと思っております。それで、今現在も、我が国周辺海域では警戒監視をしっかり行っております。それについては、自衛艦隊司令官が全ての我々のアセットを総合的に日々の情勢判断により然るべきところに然るべきビークルを展開しているということをしっかりと判断を行っております。そういった中で、今後の活動についても同じような判断をして行くと思っております。
記者 :
安倍政権のときに、情報収集、調査研究目的で派遣した時は、「たかなみ」型とか「むらさめ」型とか中心だったんですね。今、イランの方ではドローンなりミサイルなり、実際戦闘が起きてて、より防空能力の高い、例えば「あきづき」型とかを送る場合ですね、「あきづき」型も4隻しかない。だからいろいろ考えると、上の方が決めても実際ビークルがあるのかなといろいろ考えてしまうのですがいかがでしょうか。
海幕長 :
様々な情勢に応じて対応できるように備えておくのが私達の仕事ですし、そういったいろんな能力を持ってる艦がそれぞれの型ごとにありますので、その場に見合った、その情勢に応じたビークルをしっかりと派遣するというのが仕事ですし、自衛艦隊司令官が日々情勢変化を踏まえて情勢判断をして、その辺の配備について考えていると思っております。
ホルムズ海峡を含めた中東の情勢認識について
記者 :
イランの関係で、中東情勢に関して何点かお伺いします。まず、ホルムズ海峡を含めた現在の中東の情勢認識について教えて下さい。
海幕長 :
ホルムズ海峡の状況については、日々報告を受けております。商船がどの程度通っているかということも報告を受けておりますし、AISの状況もモニターしております。ホルムズ海峡が事実上封鎖しているとイランの方からあるように、船舶量が極めて少ないという状況を認識しております。一方で、湾内、それと湾外にはなかなか通りづらいということで、多くの船が滞留してるという状況を把握しております。
トランプ米大統領が各国に求めるホルムズ海峡の安全確保への協力について
記者 :
関連しまして、トランプ大統領が、ホルムズ海峡の安全確保の協力を各国に求めていますが、これについて受け止めがあれば教えてください。
海幕長 :
ご指摘のとおり、そういった発信があったと私も認識しています。一方で、大臣も先ほど国会で答弁されているとおり、我が国に対して具体的な派遣要請があるわけではないということを言われておりますし、私もそのように認識しております。
記者 :
もう一点、イランの理解を得ないで、自衛隊が中東で新たな任務に関与した場合に、安全を確保できるのか、海幕長はどのようにお考えでしょうか。
海幕長 :
仮定の質問ですので、お答えしづらいということをご理解いただきたいと思います。そして、そのレベルの話は、私が答えるのも適当な立場ではないと認識しておりますので、ご勘弁願いたいと思います。
中東に派遣されている護衛艦と哨戒機の安全確保について
記者 :
あともう一点、現在護衛艦と哨戒機が中東に派遣されていますが、現状の安全確保についてはどのような状況か教えて下さい。
海幕長 :
大臣の方から、展開している隊員の安全確保については指示を受けておりますので、自衛艦隊司令官のリーダーシップのもと、安全を確保しつつ、先ほど言ったような任務を遂行しているという状況であります。
3月23日、史上最大規模の部隊再編の日を目前に控えて
記者 :
来週3月23日ですね、水上艦隊創設などの史上最大規模の部隊再編の日を迎えますけれども、改めてその意義と、再編の目指すところを教えて下さい。
海幕長 :記者さんが言われましたとおり、水上艦隊を新編し、情報作戦集団の新編を行います。非常に厳しい安全保障環境の中、いかに有効な体制をとっていくかということを検討した結果が、この水上艦隊の新編、あるいは情報作戦集団の新編であります。日々厳しくなる情勢にしっかりと対応できるように、今年度まずこういったものを立ち上げて、そして時間をかけて機能するように訓練等を積み重ねていきたいと思っております。
記者 :
関連して、省力化・省人化といったことも大きなテーマだと思うんですけども、そのあたりの認識についても教えて下さい。
海幕長 :
おっしゃるとおり、人繰りについては日々厳しくなるような状況であります。我々としては、募集環境が非常に厳しい中、将来的には、一定程度の人員が削減された状態で、活動を続けなければならないということに頭を悩ませております。その中で、どう人繰りをやっていくかということは、今後引き続き検討していきたいと思っております。今回の新編で、すぐ人が出てくるという状況ではありませんけども、他の取り組み、例えば無人機を導入すること、あるいは従来の護衛艦、非常にたくさんの人間で運用していた護衛艦から、比較的少ない規模での運用ができるような護衛艦の導入等も踏まえてですね、全体的に人の有効的な活用を追求していきたいと思っております。
海自とパプアニューギニア国防軍との親善訓練(3回目)、関係強化について
記者 :
先日発表がありました、日パプア共同訓練についてお尋ねします。パプアニューギニアはですね、昨年、オーストラリアと相互防衛条約を進めておりまして、今回の共同訓練も3回目というふうにお聞きしました。現在の安全保障環境ですね、中国軍は拡大していますけれども、その中で、パプアニューギニアとこのような訓練をすることの意義、受け止めについてお聞かせください。
海幕長 :記者さんが言われたとおり、3月14日に外洋練習航海の部内に従事している護衛艦「しらぬい」と練習艦「やまぎり」が、パプアニューギニア国防軍と親善訓練を実施しました。
訓練の内容については、通信訓練と報告を受けております。おっしゃったとおり、今回で3回目の訓練であります。私どもが取り組んでおります「自由で開かれたインド太平洋」の実現のためには、同盟国はもとより、同志国との連携を深めることが極めて重要だと思っております。パプアニューギニアを始めとした太平洋島しょ国は、我が国と同様に、海洋国家であります。海洋の安定利用という観点から、多くの共通点を持っていると考えています。また、先日行われましたJPIDD ※2 でも、このような観点から様々な議論がなされ、私もその一部に参加させていただいたところです。また、各種国際シンポジウム等がある場合には、パプアニューギニアから参加されている海軍の代表の方と必ず懇談をするように努めているところであります。こういった取り組みを行うことによってですね、引き続き連携の強化を図っていきたいと思っております。そして、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に貢献したいと思っております。
記者 :
先ほど申しましたオーストラリアとの関係が相互防衛条約ということであり、日本もオーストラリアの同志国としての連携が非常に進んでると思います。その中で、そういった関係強化の中で、パプアニューギニアとの関係強化というのは、さらに進めていく意義があるとお考えですか。
海幕長 :
先日、幕僚ともいろいろと議論したところですけれども、オーストラリアとパプアニューギニアについては先程も言われたように、関係構築の相当前から、オーストラリア海軍からパプアニューギニアの方に軍事的なアドバイザー、海軍のアドバイザーが派遣されたと承知しておりますし、非常に関係が密だというふうに思っております。我々がやる以上に、オーストラリア海軍とパプアニューギニア海軍については訓練等を行っていると思います。我々も、オーストラリアやその近辺で訓練をやる機会がありますので、そういったものを捉えて、例えば3カ国の訓練を追求していきたい、というのが今後出てくるのではないかなと思っております。そういったものに声をかけられた場合には、積極的に対応したいと思っております。
※1 後日、以下のとおり補足説明
海賊対処行動の区域 :ソマリア沖、アデン湾
中東情報収集活動の区域:オマーン湾、アデン湾、アラビア海(他国の領海を除く。)
※2 JPIDD: Japan Pacific Islands Defense Dialogue 第3回日・太平洋島しょ国国防大臣会合
(以上)
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