荒井陸幕長が定例会見 陸自部隊の新・改編、スタンド・オフ・ミサイルの配備など(3月17日)
- 日本の防衛
2026-3-23 10:05
防衛省 陸上幕僚監部は令和8(2026)年3月17日(火)、公式サイトにおいて、同日に実施された荒井正芳(あらい・まさよし)陸上幕僚長による定例記者会見の内容を公表した。
陸幕長からの発表事項と記者との質疑応答は以下のとおり。
陸幕長からの発表事項
本日は私から1点、今年度末の陸上自衛隊の主要な部隊等の新・改編について、お知らせします。
陸上自衛隊は、3月23日、情報戦の対応能力の強化を図るため、陸上総隊隷下へ情報作戦隊を新編するとともに、後方支援機能の強化を図るため、後方支援学校の新編及び補給統制本部の補給本部への改編を実施します。
陸上自衛隊は、いかなる事態においても国民の皆様の命や暮らしを守り抜くことができるよう、引き続き、必要な能力の強化を図り、陸上防衛力の変革を推進してまいります。
記者との質疑応答
主要部隊等の新・改編の目的と意義について
記者 :
今、冒頭にございました新・改編の目的・意義について、もう少し詳しく聞かせください。
陸幕長 :
3つありますので、まず情報作戦隊からお話をいたします。 国際社会においては、紛争が生起していない段階から、偽情報等の流布、戦略的な情報発信等により、他国の世論・意思決定に影響を及ぼすとともに、自らの意思決定を防護することで、自らに有利な安全保障環境の構築を企図、あるいは作戦をしっかりと守るというような情報戦に重点が置かれています。このため、陸上自衛隊においては、これまでは今お話をしましたような偽情報等の分析、あるいは自分たちの意思決定の防護を各部隊等が個別に実施してきたところですが、陸上自衛隊として一貫して情報戦に対応し得る体制を構築することが必要と考え、情報作戦隊を新編することといたしました。
2つ目に、後方支援学校の件です。陸上自衛隊として、作戦における持続性あるいは強靭性を強化していくためには、後方支援の機能、補給・整備・輸送等の後方支援に係る機能をより一層充実させていくことが不可欠という判断です。このため、後方支援機能の強化の一環として、この後方支援に係る教育、それから運用に関する研究、この2つの機能を強化することを目的に、現在の武器学校、需品学校及び輸送学校を廃止し、後方支援学校を新編することといたしました。これにより、後方支援学校長の下、武器科・需品科・輸送科等の職種を横断した教育及び運用に係る研究を行うことが可能となります。
3つ目、最後ですが、補給本部の件です。同じく陸上自衛隊として持続性・強靭性を抜本的に強化する必要があるという問題認識のもと、弾薬・燃料・需品などの補給機能を中央で一元的に運用・管理する体制とすることを目的として、補給統制本部を補給本部に改編することといたしました。具体的には、防衛力整備計画等を踏まえ、補給統制本部を改編いたしまして、各方面隊隷下にあります各補給処を一元的に運用し、より柔軟かつ効率的に後方支援を実施できる体制にいたします。これにより、各種事態の状況に応じた迅速かつ柔軟な運用が可能になり、陸上自衛隊の活動における持続性・強靭性が向上するものと考えております。
スタンド・オフ・ミサイル配備、地元住民の不安の声について
記者 :
スタンド・オフ・ミサイルの関係で質問します。健軍駐屯地及び富士駐屯地への配備まで、半月を切りました。一方で、両駐屯地の地元住民の方々の間では、配備に伴い、有事には攻撃を受けるのではないかといった不安や懸念の声があがっております。こうした状況、また心配の声について、陸幕長としてはどのように受け止めていらっしゃるのか、お聞かせください。
陸幕長 :
地域住民の方々から様々なご意見、今ご指摘がありましたような不安あるいは懸念、そういうものがあるということは、我々は承知しているところであります。現在の戦後最も厳しく、複雑な安全保障環境に直面する中、スタンド・オフ・ミサイルの配備は、島嶼部を含む我が国に侵攻してくる艦艇、あるいは上陸部隊などに対し、早期かつ遠方から対処するものであり、こうした能力を保有することで、相手に攻撃を思いとどまらせる抑止力、これを得ることができ、我が国に対する武力攻撃そのものの可能性を低下させることができると考えております。 その上で、やはり今ご質問のありましたような不安の声があるからこそ、我々はこのスタンド・オフ・ミサイル配備の趣旨、こういうものや、元々の我々自衛隊の使命ですね、住民の皆様の命と平和な暮らしを守り抜くという原点、これを決して忘れてはならないと思います。このような考え方のもと、陸上自衛隊としては、配備の必要性などについて、関係機関と連携を取りながら、丁寧なご説明、それから適切な情報提供を実施しつつ、防衛力強化に係る取り組みを進めていく所存です。繰り返しになりますが、丁寧な説明と適切な情報提供、これを地道に、粘り強く、このような努力をすることに尽きると思っております。
一般に向けた長射程ミサイル配備に関する装備品展示について
記者 :
今の質問の関連ですけれど、今日、九州防衛局は知事や熊本市長らを対象として、長射程ミサイル配備に関する装備品の展示会を開いています。一般向けの展示会に対しては、記者会見で今日、小泉防衛大臣は「検討するが、具体的な実施時期は適切に判断する」との発言をされました。今月29日に健軍駐屯地での春祭りで装備品の展示がありますが、そこに長射程ミサイルの装備品が含まれるのでしょうか。含まれる場合、これが一般向けの展示となるのでしょうか。
陸幕長 :
今ご質問のありました通り、本日、熊本県知事、それから熊本市長等からいただいているご要望を踏まえて、本日の午前中から午後にかけて、装備品展示を行っております。住民の皆様、それから地域の代表である県知事・市長、それから議会の要職の方、それから自治会の皆様がご理解を深めていただく機会を設けて、知事・市長からは今回の装備品展示については、引き続き一般住民に対する丁寧な説明を行うよう、自衛隊・九州防衛局等に対してご要望があったと承知しています。 防衛省としては、これを真摯に受け止めまして、先ほどありました春祭りをどうするかとか、今後の住民説明をどうするかということについて、検討をしていくというふうに思っています。丁寧なご説明、適切な情報提供に努めていくものでありますが、陸上自衛隊としてもこの現地の部隊として、しっかりとこれに必要な協力をしていく所存であります。
健軍駐屯地のスタンド・オフ・ミサイル配備、説明状況と今後の住民説明会について
記者 :
健軍のミサイル配備について、これまでも、大臣、統幕長含めて住民説明会等で丁寧な説明をということで質問が出ましたし、ご回答もいただいているかと思います。先ほどの質問の関連なのですが、今後、丁寧な説明・適切な情報提供を実施するというところで、もう配備まで残り少ない日数なわけですけれども、これまでの説明状況は十分だったかどうかという点についてはどのように受け止めていらっしゃるか、お聞かせいただければと思います。
陸幕長 :
健軍駐屯地に関してですが、スタンド・オフ・ミサイルの配備について、経緯としては8月29日に九州防衛局長から熊本県知事、熊本市長にご説明をし、その際、昨年8月の段階から、知事・市長からは住民に対する丁寧な説明を求められていたものと承知をしております。こうした地元自治体からのご意見を踏まえまして、九州防衛局において問い合わせ窓口を設置すること、それから質問に順次お答えするなど対応しているものと承知しています。また、九州防衛局のウェブサイトにQ&Aを掲載することにより、九州防衛局については、積極的な情報発信に努めているという認識であります。 これに加えまして、3月31日の部隊配備に先立ち、配備に係るご理解を深めていただくため、先ほどからご質問等いただいている本日、地元の自治体の長等を招待の上、地対艦誘導弾能力向上型の地上装置を展示させていただいています。こうした取り組みを行っている中で、現時点において住民説明会を実施する予定はないものと承知をしておりますが、引き続き、繰り返しになりますが、本日もさまざまな説明等に対するご要望を受けているところでありまして、丁寧な説明、適切な情報提供に努めていきたいというふうに思っております。
記者 :
説明状況を説明いただき、ありがとうございました。私もQ&Aとか防衛局のサイト、それから熊本県などのウェブサイトにもこういったものが並んでいますし、例えばXなんかも、スタンド・オフ・ミサイルとはどういうものかみたいな動画も流れていると思いますが、基本的にこういうのは、自分からアクセスしようと、それからインターネットにある程度親しんでいる方でないとアクセスできない説明であるかなというふうにも思います。やはり住民説明会はなかなか開くのが難しく、これに関しては個別に判断するというこれまでのご回答ですが、インターネットにアクセスしにくい方にも、丁寧に説明していくという部分は大事かなと思うのですが、今後の住民説明会について検討していくという話がありましたが、前向きに検討されるということなのか、その点についてお聞かせください。
陸幕長 :
住民説明会を実施する予定はないというものについては、私はそのように承知をしておりますが、住民の皆様に対するその説明の要領・方法というものについては真摯に検討していくものと承知をしております。防衛省の統一した方針に従って、陸上自衛隊でもその方針のもと情報発信、あるいは丁寧な説明というのができるようであれば、それはしっかりと検討していきたいというふうに思います。
無人アセットの操縦者育成と課題について
記者 :
話題が変わりまして、無人アセットに関してのご質問がございます。中東、今時点でもそうですけれど、ウクライナではドローンが大量に投入されまして、戦闘の主役になりつつある状況だと思います。新しい戦い方への対応として、今後、陸自でもシールド構想で大量のドローンが投入されるということになると思いますけれども、その分多くの操縦者を育成しなければいけないという課題もあると認識しています。育成に関して、現在想定されている取り組みや、考えられる課題などあれば教えてください。
陸幕長 :
今後導入を予定している無人機については、シールド構想等も含めまして、その種類それから用途については多岐に渡っており、これらを的確に運用するための教育要領・運用要領の具体化というのは、陸上自衛隊にとって重要な課題であるというのはご指摘の通りです。特にその教育に焦点を当てますと、やはり「人」の問題、教官とか教える側の問題。それから「物」の問題ということで、入ってきた装備品をどういうふうに教育に振り分けるか。それから「場所」について、これもご質問いただいており、なかなか日本国内の演習場では制約がある部分があるということはかねてお話をしておりますが、場所の問題。それから「その他」として、このUAVに関する訓練機材があるかどうかなども含めて、この教育要領の具体化というのは大きな課題です。 この件については、細部について、できるだけ急いで具体化を図っているところですが、大きな内容としては、無人機の単純な操作技術のみならず、これから入ってくる多種多様な無人機ごとの機体の特性の理解、それから安全管理、関係法令、こういう教育を含め、しっかりと導入した無人機を運用できるように、教育要領等を含めて、早急に具体化をしたいと思っています。
記者 :
関連して、今お答えの中で、場所、特に日本国内で制約があるというお話をされたと思うのですけれど、例えばドローンはそもそも海外の技術が先行しているようなイメージがあるんですが、海外で隊員を学ばせたりとか、例えば留学みたいな形を取るような取り組みというのは考えられたりするんでしょうか。
陸幕長 :
ご指摘のありました通り、やはり海外、あるいは軍事の世界ではこの無人機というのは、大きな焦点になっていることであります。その中で、今ご指摘のありましたような、海外での研修とか留学とか、そういうものが必要かどうかというものも含めて、今検討しているところでありますが、手段としては排除するものではありませんので、できるだけ我が国の中での運用等に資するような方策というのは考えていきたいというふうに思っています。いずれにしても、同盟国・同志国とは、この無人機の運用に関する情報共有というのは、やはり大きな1つのテーマとなっておりますので、必要な連携を行っていく中で、今お話があったような方策、こういうものを取っていく可能性があるというふうに認識をしています。今現時点で具体的にどうするかというのはまさしく検討中です。
(以上)
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