荒井陸上幕僚長が定例会見 令和7年度の防衛協力・交流に関する取組や成果など(3月24日)
- 日本の防衛
2026-3-30 13:01
防衛省 陸上幕僚監部は令和8(2026)年3月24日(火)、公式サイトにおいて、同日に実施された荒井正芳(あらい・まさよし)陸上幕僚長による定例記者会見の内容を公表した。
陸幕長からの発表事項と記者との質疑応答は以下のとおり。
陸幕長からの発表事項
本日は私から1点、年度末にあたり、令和7年度に実施した陸上自衛隊の防衛協力・交流に関する取組等について、総括してお知らせします。
陸上自衛隊は、今年度、ハイレベル交流を20か国と73回、共同訓練を21か国と16回、能力構築支援事業を9か国1機関に対して17個事業をそれぞれ実施するなど、日米同盟の抑止力・対処力の強化及び同志国などとの連携強化のため、多層的な防衛協力・交流を積極的に推進してまいりました。
陸上自衛隊は、今年度の防衛協力・交流の成果を踏まえ、引き続き日米同盟を基軸とした重層的なランドパワー・ネットワークを構築して抑止力を強化するとともに、わが国にとって望ましい安全保障環境の創出に寄与していく所存です。
記者との質疑応答
令和7年度の防衛協力・交流の成果について
記者 :
今、ご発言がありました各国との防衛協力・交流についてですが、成果について、もう少し詳しくお聞かせいただけますでしょうか。
陸幕長 :
防衛協力・交流全般の成果ということですが、全般としては、年度を通じて同盟国・同志国とのハイレベル交流等をはじめとした、防衛協力・交流事業を推進し、各国陸軍種との関係を強化することができたと思います。
具体的にそれぞれ簡潔に述べますが、まずハイレベル交流については、昨年5月の太平洋地上軍シンポジウム(LANPAC)、9月のインド太平洋陸軍参謀総長等会議(IPACC)、12月のランドフォーシーズ・サミット(LFS)など多国間会議の場を活用して、ランドパワー・ネットワークの構築を図り、同盟国・同志国との関係強化を図りました。また、二国間ハイレベル交流を通じて、戦略環境認識を共有するとともに、今後の二国間協力の方向性について意見交換し、陸軍種トップ間の個人的信頼関係の構築を図ってまいりました。共同訓練です。特に、オリエント・シールドにオーストラリア陸軍が初めて参加するとともに、国内外において多国間空挺演習を実施したことが挙げられ、これらにより、同志国との連携をより一層強化することができたと認識をしています。
能力構築支援事業については、陸上自衛隊として平成24年に東ティモールへ2名派遣して以来、今年度で13年目となりました。施設分野、人道支援・災害救援分野、衛生分野、軍楽隊育成分野と様々な分野において、陸上自衛隊がこれまで蓄積してきた知見を有効に活用し、地域の平和と安定に着実な貢献ができているものと認識をしております。
最後ですが、国連三角パートナーシッププログラム(TPP)の枠組みにおいては、陸上自衛隊として平成27年にケニアに11名を派遣して以来、今年度で10年目となりました。施設分野及び衛生分野において陸上自衛隊がこれまで蓄積してきた知見を有効に活用し、国際安全保障環境の改善に寄与することができていると認識をしています。いずれにしましても、今年度の成果、これをしっかりと分析をして来年度以降の防衛協力・交流等を着実に進めてまいりたいと思っています。
記者 :
先ほど令和7年度の防衛協力・交流実績をお知らせいただきましたが、例えば前年と比べてどれくらい増えているのか、また、何を意図して増やしたのか、そのあたりについて教えていただければと思います。
陸幕長 :
何か国、例えば何人、あるいはどういう数が増えたかという細かい数字をご所望でしたら、広報室担当から後ほどご連絡いたします。全般的に増加しているかということについては、令和6年度と比較して増加をしています。
この増加した特色については、令和7年度は特に各国との幕僚協議、また専門家交流等の人による協力・交流が増加しています。この増加の理由ですが、様々な観点から分析ができるのですが、令和6年度以前に実施されたハイレベル交流でのトップ同士の話し合いの中での方向性、あるいは実務者協議、二国間の陸軍種間で合意した内容、これが逐次、成果がでてきていて、数が増えている方向にあると認識をしています。
記者 :
新規の取り組みや、強化したい点などお考えはありますでしょうか。
陸幕長 :
いくつかありますが、特に私が着任してから印象的であったものを大きく2つ申し上げます。1つは共同訓練ですが、オリエント・シールドに国内に米陸軍の野戦病院が初めて展開し、日米豪で共同訓練を行いました。もう1つは多国間空挺演習ということで、第1空挺団がイタリアに行って空挺演習を実施したこと、また今年1月の降下訓練始めに連接をして、多国間空挺演習を実施しました。
このように、オブザーバー参加国も含め、広がりができており、この場でもご質問いただいたことがありましたが、例えば空挺部隊の相互の技量を信頼してもらえたり、そういう面では成果が出てきていると思います。
記者 :
これだけ多層的に広がった防衛協力・交流を、具体的にどのような成果に結びつけていきたいのでしょうか。
陸幕長 :
訓練を例に挙げると分かりやすいと思いますが、それぞれの訓練には目的があり、お互いの技術について学んだりすることを通じて、我々の作戦運用能力、あるいは戦術能力を向上させる際の参考にするといった部分が大きいと思います。
記者 :
ハイレベル交流についてはいかがですか。
陸幕長 :
大きく2つあると思っています。1つは、トップ間の戦略環境認識として、お互いの周辺情勢がどういう状況にあるか、考え方を披露し合う。そういう認識のもとに各国それぞれ、あるいはランドパワー・ネットワークを作っていく際にどういう方向で進めるか、土台となる認識を合わせることが非常に重要であると思っています。
もう1つは、具体的に幕僚レベルでどういう事項を具体化させるかについて話し合える関係、個人的な信頼関係や、連絡を取り合える態勢になるといった効果があります。
12式地対艦誘導弾能力向上型の必要性や意義などについて
記者 :
12式地対艦誘導弾能力向上型の配備が今月31日から始まります。改めて、この装備の必要性について教えてください。また、配備後は健軍に入れる装備数を増やしていくかと思いますが、運用に向けてのスケジュールについてお聞かせいただけますでしょうか。
陸幕長 :
改めて、12式地対艦誘導弾能力向上型を配備する必要性・意義についてですが、我が国周辺海域において、周辺国の海軍艦艇の活動が年々拡大・活発化を続けていること、あるいは我が国領海・近接した海域での航行も相次いでいる現在の状況を踏まえますと、早期に、遠方から対処できるスタンド・オフ防衛能力を活用して、周辺海域での活発化する事象も含め、自衛隊の抑止力・対処力を強化することが必要だと思っております。
その上で、12式地対艦誘導弾能力向上型については、その性能を踏まえ、我が国を守り抜くという強固な意思と能力を示すことができること、これにより抑止力の強化ができること、そして艦艇や上陸部隊の脅威を早期かつ遠方で阻止・排除が可能な対処力の強化ができることを踏まえて配備を進めております。
配備については、訓練環境、装備品を整備する基盤の観点から総合的に検討し、令和7年度末から健軍駐屯地に配備することとしました。
今後の運用に向けてのスケジュールですが、装備品を導入して部隊に配備し、運用する能力の獲得に向けて段階的に進めていく必要があると思っています。このスケジュールについては、我が国として初めて保有する能力でありますので、今後明らかとなる課題を認識しながらしっかりとクリアしていきたいと思います。
一例としては、統合作戦司令部との連携要領、統合演習で練成する等、実効性の向上を図って課題を解決していきたいと思っています。運用の細部についてのスケジュールの詳細はお話しすることを差し控えさせていただきますが、装備品の導入については順調に進捗しておりますので、着実に進めていきたいと思っています。
記者 :
火薬庫の整備が進んでいなかったり、国内での長射程ミサイルの訓練場所の確保の難しさがあると思うのですが、そのあたりの陸幕長がご認識されている課題はありますでしょうか。
陸幕長 :
項目としては、誘導弾を格納する火薬庫をどうするか、長い射程で活用できるような射場についてはご指摘の通りだと思います。細部、火薬庫の運用、整備をどうするかについてはお答えを差し控えさせていただきます。
訓練場については、今後の検討課題ではありますが、国内で整備できるところがあるか、あるいは国外を活用する場合はどうするかも含め、まさに今検討しているところですので、お伝えできる段階になりましたら、公開・公表していくことになると思います。課題としては、先ほどご指摘あった点については、十分認識しながらやっていきたいと思います。
米軍によるハイマースの射撃訓練について
記者 :
東富士演習場での米軍によるハイマースの射撃についてです。米軍が5月に射撃を希望しているとのことで、東富士演習場では、陸自も昨年秋に、MLRSの射撃訓練を実施し、地元の方からは今回限りということで認められたという経緯があったのですが、米軍のハイマースの射撃訓練の更なる実施ということを踏まえますと、陸自においてもMLRSの東富士演習場での訓練の必要性というのは高いものがあると思うのですが、その辺り、陸幕長はどのようにお考えでしょうか。
陸幕長 :
日米共に射程の長い装備品の訓練、あるいは実弾射撃の機会についてどうするかというのは先ほどのご質問とも関係があり、大きな課題となっています。米軍が5月に東富士演習場での射撃訓練を実施したいということについて、防衛省と地元の方でやり取りをしているということを承知しています。陸上自衛隊のMLRS、これをどうするかという点ですが、現時点において東富士演習場におけるMLRSによる射撃訓練計画はありません。
軍楽隊の能力構築支援について
記者 :
パプアニューギニアに続いて、ジブチにおいても軍楽隊の育成というのがあります。軍楽隊というと、部隊の士気を鼓舞したり、式典に彩りを与えたり、色々な役割が期待されていると思いますが、途上国における、自衛隊に対するニーズや、途上国がこういうことをしたいといった熱意はあるのでしょうか。
陸幕長 :
軍楽隊の能力構築支援については、パプアニューギニア、ジブチで実施しています。熱意というものがあるかについて、パプアニューギニアについては、自らの軍楽隊が行事などにおいて国歌を演奏したい、といったニーズがあったと承知しています。そのようなニーズに対して、能力構築支援を行ったと認識をしています。
ジブチも基本的に同じで、軍楽隊の地位・役割というものは、各国その意義を捉えておりまして、その能力を上げたいというニーズに応えていると認識をしています。
記者 :
やはり士気を高めるというところが一番なのですか。
陸幕長 :
軍楽隊においては自らの部隊の士気を高めるということが大事な任務でありますので、そういう部分は共通であると私は捉えております。それ以外にも住民の方々への広報活動なども当然付随的にはありますが、元々の軍楽隊の役割として期待されることは、自分たちの士気を高めること、また式典等でしっかりと演奏したり、そういうものを自前で持つことと認識をしています。
(以上)
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