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齋藤海上幕僚長が定例会見 護衛艦「ちょうかい」のトマホーク獲得や2025年度の振り返りなど(3月31日)

  • 日本の防衛

2026-4-3 11:00

 防衛省 海上幕僚監部は令和8(2026)年3月31日(火)、同日13時30分~13時46分に防衛省A棟10階会見室において行われた齋藤聡(さいとう・あきら)海上幕僚長の記者会見の要旨を以下のように発表した。

海幕長定例記者会見要旨

海幕長
 本日私から2件、発表します。1件目は、P-1接触事故の調査結果についてです。昨年11月16日に米空軍アンダーセン基地において発生した、第1航空群所属P-1哨戒機と防風壁との接触事故に関して、事故調査委員会による調査が終了しましたので、お知らせします。事故調査の結果、駐機に当たり、当該条件下においてP-1の駐機には適していない部隊作成の車輪止めを使用したこと及び整備取扱説明書の規定どおりに車輪止めを設置していなかったことから、駐機位置の傾斜に伴う機体からの荷重と風雨の影響により、車輪止めが外れ、機体が後方へ移動したことが原因と推定しました。再発防止策として、「適切な規格の車輪止めの使用」、「整備取扱説明書の規定に即した車輪止めの設置の徹底」の2点について、部隊に指示しています。今回の事故により、貴重な航空機を損傷させたことについて、大変申し訳なく思っております。事故調査の原因を踏まえ、再発防止策を徹底するとともに、損傷した航空機の早期復旧に努めてまいります。
 2件目は、護衛艦「ちょうかい」のトマホーク発射能力の獲得についてです。先週3月26日(現地時間)、護衛艦「ちょうかい」は、昨年10月以降、米海軍の支援の下、トマホーク発射機能付加に必要な改修と乗員に対する教育・訓練を実施してきたところ、今般、海上自衛隊として初めてトマホークの発射能力を獲得しました。本年夏頃までに乗員の練度を含め、実際の任務に従事できることを確認するため、実射試験を実施する予定です。

護衛艦「ちょうかい」のトマホーク獲得について

記者
 今回、護衛艦「ちょうかい」がトマホーク発射能力を獲得したことについて、海幕長としての受け止め及び今後のスタンド・オフ・ミサイルの配備計画について教えてください。

海幕長
 スタンド・オフ防衛能力は、我が国に侵攻しようとする 相手に対して、艦艇や上陸部隊等による侵攻が阻止されることを認識させるものです。その上で、我が国として早期に所要量のスタンド・オフ・ミサイルを整備するため、既に量産が行われているトマホークを取得することとしたところです。今回、米海軍の支援の下、トマホーク発射能力を獲得したことによって、日米同盟全体の抑止力、対処力の強化につながるものと認識しています。厳しく複雑な安全保障環境の中、海上自衛隊として、「より精強」となるべく、取り組んでいきます。また今後は、その他のイージス艦の改修について計画あるいは予定をしています。

2025年度の振り返りや新編された情報作戦集団について

記者
 二点伺います。一点目は、2025年度の海上自衛隊としての重要施策について、とりわけ部隊改編というものがありましたが、海幕長としての受け止めや認識、評価についてお伺いしたいと思います。
 もう一点は、新しく情報作戦集団として、これまでにない情報戦を重視した組織が編成されました。新しく情報戦の部隊を作ったということに関して、海上防衛と情報戦という観点を含め、情報戦の位置付けや考え方、また海上自衛隊として今後どのように取り組んでいくかについてお答えいただければと思います。

海幕長
 一点目の2025年度の振り返りについて、2025年度は様々な活動やイベントがありました。その中でとりわけ注目し、インパクトが強かったものは、我が国周辺海域の情勢が極めて厳しい状況になっていること、特に中国海軍の活動が活発化していることです。これに対して、我々は警戒監視をしっかり行ってきましたし、引き続き、この状況が続くと認識しています。装備についてはオーストラリアが新型艦艇として「もがみ」型能力向上型を採用するとの決定に至ったことやトマホークの発射能力を獲得できたという点が大きなインパクトがありました。
 また、多くの海外から来訪した艦艇、とりわけイギリスのプリンスオブウェールズ等のCSG25についてはとても印象に残っておりますし、日米の両首脳が米空母に乗艦されて、コメントを発表されたこととか、石破総理が「かが」に乗艦されたこと等については、大きなイベントとして印象に残っております。そして今、言われましたとおり、部隊の大きな再編が行われたことも強く印象に残っております。これらを、次年度はより機能できるようにやっていくのが私の務めだと思っておりますので、先頭に立って取り組んでいきたいと思っております。
 二点目の情報作戦集団についてですが、水上艦隊と情報作戦集団の新編というのが、年度末の大きな部隊改編でありました。先日23日に部隊改編が行われ、その翌々日の25日に改編行事を行いまして、副大臣に出席いただきました。その後、私も早速、部隊を視察したところであります。海上自衛隊は普段から様々な情勢に応じて組織の改編等を取り組んできたところですけども、その流れで今回も大きな改編を行ったところです。今後も必要がある場合には、しっかりと分析して、大胆に改革等を断行していきたいと思います。
 その中で、今回のIWC(情報作戦集団)の新編についてですけども、海上自衛隊は平素から有事に至るあらゆる段階において、正確かつ迅速な意思決定を行うため、従来領域に加えまして、サイバーや宇宙、電磁波、認知領域における横断的な情報の把握に努めておりますとともに、サイバー空間における妨害活動や相手国からの偽情報の発信に対応すべく、多様な情報を融合して部隊運用を行っております。そして、認知領域を含む情報戦対応能力を強化し、正確かつ迅速な意思決定が可能な体制を整備するために、これまで様々なところに所属し、バラバラにあった情報に関する諸機能や能力を一つに整理集約して、今回、情報作戦集団も新編したところであります。
 元々の部隊はいろいろなところに所属していたものがありました。したがってそこは所属先が変わっただけでその部隊そのものは概ねそのまま残っておりますので、しっかりと継続した活動をやってもらいたいと思います。今回、それらを束ねて、その上に情報作戦集団司令部というものを作ったところです。そこは大きな違いだと思っております。そこがいかに機能するかということが我が国の防衛に直結していると思いますので、いち早く司令部が機能できるように、しっかりと見ていきたいと思っておりますし、情報作戦集団司令官の吉岡海将にはリーダーシップをしっかりと発揮してもらいたいと思っています。

イージス艦「ちょうかい」の米国製の武器について

記者
 イージス艦「ちょうかい」に関連しまして、トマホーク、イージスウェポン・システムいずれも米国製の武器ですが、日米が同じアセットを使うことの運用上のメリットがあれば教えてください。

海幕長
 同じものを使うということで、不具合が生じた場合の部品の取り回し等については、日米でしっかりと行えると思っております。また、その発射に係る運用に関わる部分につきましては、意思決定はあくまでもそれぞれ別々ですので、自衛隊は自衛隊でしっかりと行う必要があるといますが、情報収集も含めて様々な場面で日米が協力してやるということは、様々な面で出てくると思いますので、そういったものは、今後の訓練等で期待できると思っています。

記者
 関連して、それは抑止力の面でも資するというふうにお考えでしょうか。

海幕長
 はい。そのように考えております。抑止力、対処力の向上だと思っております。

新年度に海幕長が重視する取り組みについて

記者
 明日から26年度がスタートします。新年度、特に海幕長が重視されようとされている取り組みについてお聞かせください。また、精強・誠実、よりS2の活動について、新年度どのように取り組まれるのかあわせて教えてください。

海幕長
 先ほどの質問に対する回答と重なりますけども、部隊が新編しました。水上艦隊と情報作戦集団です。これらがしっかりと機能できるように頑張ってやっていきたいというのが、一丁目一番地と思っております。その活動がしっかりできることによって、抑止力、対処力の向上に、先ほどのトマホークの能力向上も併せて繋がっていくものと思っております。
 そしてよりS2についての取り組みですが、先日、硫黄島で日米共同の慰霊祭が行われ、その際に父島に行きました。父島にも隊員が存在して、しっかりと活動を行っております。そこでも懇談を行い、よりS2の取り組みがしっかりと根付いているなと感じました。年度が変わるからといって、このよりS2の取り組みを変化させるつもりは全くありませんので、引き続きより精強で誠実な組織のための取り組みについては、緩めることなく推し進めていきたいと思っております。

イージス艦のトマホーク発射能力獲得について

記者
 イージス艦「ちょうかい」のトマホーク発射能力の獲得について、他のイージス艦も今後、トマホーク発射能力の獲得をしていくと思うのですが、今回のような米国派遣をするプロセスを辿って同じような形でやっていかれる方針なのでしょうか。

海幕長
 現在「ちょうかい」が発射能力を備えたばかりであります。「ちょうかい」の実発射については、夏頃を予定しております。そういうところを全て踏まえた上で、今後どうしていくか、派遣した方がいいのか、国内での改修等で十分なのかということは見極めたいと思います。

太平洋防衛強化の必要性について

記者
 別件なんですけれども、先週末、小泉大臣が硫黄島で太平洋防衛強化の必要性について語られました。硫黄島とは別に、南鳥島にも海自基地があると思うんですが、陸自が、先日ミサイル訓練の拠点化を図ったりといった報道もあったと思うんですけども、この南鳥島が今後、日本の我が国防衛のために果たすべき役割というか計画などあれば教えてください。

海幕長
 現時点で具体的に南鳥島について太平洋防衛の中でどうやっていくかということが具体的にあるわけではないと承知しております。そして今後、南鳥島で陸上自衛隊のミサイルについて、配備ではなく発射試験(※)を行うというスケジュールがあるというふうに認識しております。
 冒頭に戻りますけども、太平洋防衛戦略の中でどういった位置づけになるかは今後、しっかりと議論されると思いますし、南鳥島に海上自衛隊を常駐させておりますので、私どもは今までの知見もありますので、しっかりと議論に参画したいと思っております。

※「発射試験」を「発射訓練」に訂正

(以上)

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