木原防衛大臣、7月9日の記者会見 海自ヘリの墜落事故、海自の特定秘密漏洩などについて
- 防衛省関連
2024-7-10 11:55
令和6(2024)年7月9日(火)10時55分~11時36分の約41分間、木原稔(きはら・みのる)防衛大臣は、防衛省A棟11階第1省議室において閣議後会見を行った。
内容は、以下のとおり。
大臣からの発表事項
4月20日に発生した海上自衛隊ヘリコプターの墜落事故について
海上自衛隊ヘリコプターの墜落事故についてでございます。4月20日に発生した、海上自衛隊ヘリコプターのSH-60Kの墜落事故では、8名の隊員が任務中に不幸にしてその職に殉ぜられました。先日、葬送式に参列をいたしまして、御霊の前でも申し上げましたけれども、我が国の防衛のために尽くしてきた8名もの貴重な命が失われたということは痛恨の極みでございまして、改めて、謹んで哀悼の意を表するとともに、御家族の皆様に心よりのお悔やみを申し上げます。
事故発生直後から、海上幕僚監部に設置した事故調査委員会におきまして、事故原因の究明と再発防止策の策定に全力を挙げてまいりました。調査の結果、視認距離の把握が困難な夜間において、見張りの要領が不適切であったこと、複雑な作戦環境下における高度管理が不十分であったこと、それらが事故原因と判明しました。再発防止策としましては、見張り報告要領・対応の再徹底、いかなる状況においても、高度管理等に関する責任を海上戦闘指揮官に統一するなどの高度管理の厳格化などを講じてまいります。
なお、海上自衛隊のSH-60型機については、複数機での訓練を見合わせておりましたけれども、今般の調査結果を踏まえ、本日以降、見合わせを解除することとしました。当面は昼間の良好な視認環境下で単一の指揮系統の訓練から開始をし、具体的な再発防止策を講じて、安全性を確認したものから、夜間または複数の指揮系統での複数機による訓練を段階的に再開することといたします。
防衛省・自衛隊としては、8名もの命を失う結果となったこの事故の調査結果を重く受け止め、この先、一人の犠牲者も出さない覚悟、決意での事故の再発防止に全力を挙げてまいります。
記者との質疑応答
特定秘密漏えい事案について(海上幕僚長辞任の意向に関する報道など)
記者 :特定秘密の不適切な取扱い事案に関連しまして、一部報道で海幕長が辞任の意向を示し、大臣に伝えたと報じられています。事実関係について教えてください。また、海自以外にも統幕や陸自など不適切な取り扱いが他にもあったとも報じられております。こちらの事実関係についてもお願いいたします。
大臣 :まず、前段の海上幕僚長の辞任の意向に関する報道については承知しておりますが、正に人事に関する事柄でございますので、お答えすることは困難であることということは御理解をいただきたいと存じます。後段につきましては、防衛省においては、本年4月26日に公表しました2件の特定秘密漏えい事案を受けて、私が指示を出しまして、省全体として、類似の事案の有無について調査をするように指示をしました。現在、調査を行っているところでありまして、現段階で、その内容を申し上げるのは困難であります。調査結果を取りまとめ次第、適切な形で公表したいと考えているところです。
潜水艦製造メーカー2社体制の今後の必要性について
記者 :先日あったユーロサトリに関するお話をまず伺いたいんですけれども、その前に、先日伺った質問に明確に回答していただけなかったので、その件に関してお尋ねします。大臣、あの潜水艦メーカー2社体制というのは今後も必要でしょうか。それからもう一つ、現在の22隻体制の潜水艦の乗員の手当が今後も可能なのか、どういうふうにお考えでしょうか、まず、そちらを教えてください。
大臣 :まずは、いわゆる現在2社で製造している潜水艦について、1社にという御質問だったと思うんですが、私は答えたつもりでおりましたが、1社にするとなると、いろいろな方法が考えられると思います。よく言われているのは、日本のそういう装備品メーカーが複数あるものを、事業統合などもするべきじゃないかなどの話もでてきております。その点については、前回お答えしたとおり、事業統合などはどこの企業も組織の在り方、あくまで各社の経営判断によるものでありまして、そういった民間の企業の判断というのを、私ども防衛省としては尊重するということが必要であると、そういうお答えをしたと思います。今もそういう考えで変わりありません。
防衛力の抜本的強化というものを私どもは進めている中で、これまで以上に厳格に予算執行を行っていくことは当然でございます。万一にも国民の疑惑や不信を招くようなそういった行為があってはなりません。今後の予算要求、そして編制、そして実際の予算執行においても、国民の疑念を招くことがないように適切に行っていくということ、現段階では私からはそれに尽きると考えております。
今後の潜水艦22隻体制及び乗組員の確保について
記者 :人員の今後の潜水艦乗組員という非常に難しい人員の確保が今後も可能なのかと、最近は報道ありましたけれども、募集人員の半分しか取れてないという状態が続いている中、非常にそういう難しい潜水艦乗りを今後もずっと同じペースで採用できるのかというお話です。
大臣 :22隻体制というのが適切かどうかと、それに係る乗組員の在り方ということだと思いますが、我が国周辺海域の水中における情報収集であるとか警戒監視、あるいは哨戒及び防衛、こういったことを有効に行うためには、私ども防衛省としては、潜水艦の22隻体制が必要不可欠であるという、そういう結論に至っております。あらゆるものを総合的に考えた結果、22隻体制というのを、これを出したということになります。そしてその結果、防衛力整備計画においても引き続き、潜水艦22隻体制を維持するということを、これは明記をしたことになります。そういった中で、潜水艦乗組員でありますけれども、確かに厳しい任務に従事する隊員に対し、今も公表したように、これは潜水艦に限りませんが、陸・海・空自衛隊、大変募集状況厳しいということであります。そういった特に厳しい任務に従事する隊員については、適切な処遇を図る観点から、これまでも乗組員手当に引き上げ等を行うなど、処遇の改善に取り組んできたところではありますが、募集対象人口の減少、これは私ども自衛官だけでなくてあらゆる産業にこれ影響を与えているというところであります。それはやはり、少子化であったり、その結果としての高い有効求人倍率などが背景にあると思います。自衛官の採用について、自衛隊創設以来最低レベルの計画達成率というのが、実際に数値として出てきている中で、自衛官の任用制度や給与を含む処遇等を抜本的に改革する必要があるというふうに考えています。
人的基盤の抜本的強化に関する検討委員会、これ鬼木副大臣の下で先般行われましたけれども、自衛官という職業の魅力化というのが一つの課題に挙げております。魅力ある職業だということに繋がる施策というものを、これはもう待ったなし、スピード感をもって検討し、実行に移していくという、そういう考えであり、潜水艦乗組員もですね、含めた人的基盤の強化、これを取り組んでいく所存であります。
軍事機密の観点から見る装輪装甲車「ブッシュマスター」の防衛省仕様について
記者 :先ほどもお話ししたようにユーロサトリの件でですね、2点ほど質問がございます。まず、見ていただきたいんですけれども、ちょっと遠いんですが、これは2年前の危機管理産業展に防衛省が出したブッシュマスターという装甲車です。これ輸入品なんですけれども、フロントガラスとかですね、全部窓ガラス塞いでるんですね、ドアも空けていない。ところが先日のユーロサトリに行きますとですね、そういうことはメーカーの方でやってないんですよ。こういう風に、後ろのドアも空けてます。メーカーの方が以前からですね、こういうことをしているのに、あたかもこれを軍事機密のようにですね、隠すというのは、こう言ったら失礼ですけれども、間抜けな感じがします。問題はですね、更に悪く見ると、公開情報にもかかわらず、国民にこれを機密であるかのようにこう嘘をついているとも、意地悪く言うと見えると思うんですね。これが本来公開しているものを隠すから、特定秘密保護法のような本来の機密がどの程度重要なのかって、分かっていないんではないかと思うんですけれども、大臣どうお考えですか。
大臣 :今、ブッシュマスターの件でございまして、私、ブッシュマスター、確か宇都宮の駐屯地でですね、試乗もいたしました。最初の輸入装備品だったと思いますが、それは機能的な、実用的な装備品だというふうに認識をしております。ただその、今御質問いただいたような質問に対してお答えできる適切な情報というのは持ち合わせておりませんので、できましたら、事務方の方にお尋ねいただけたらと思います。
嘉手納基地での米軍によるパラシュート降下訓練について
記者 :米軍によるパラシュート降下訓練が、昨日、嘉手納基地で実施されています。大臣の受け止めを伺いたいのと、伊江島の補助飛行場の滑走路補修計画に関して、その完了時期を含めて、現時点でどの程度詳細な説明を米側から受けているか教えてください。
大臣 :まずは前段のパラシュート訓練の受け止めということですが、8日に行われた嘉手納飛行場でのパラシュート降下訓練につきましては、沖縄防衛局の目視情報によって確認をしております。現時点において、嘉手納飛行場外の敷地への降下であったり、周辺地域において何らかの被害が出ているとの情報には接しておりません。安全に訓練が行われたものという認識であります。パラシュート降下訓練につきましては、SACOの最終報告や、これまでの日米間の共通認識から、伊江島補助飛行場で実施することが基本であり、嘉手納の使用は、あくまでも例外的な場合に限られます。この点については、日米間で繰り返し確認をしてきているところです。その上で、今回の訓練に当たっては、米側からは、伊江島補助飛行場の滑走路は引き続き、大型固定翼機の安全な離発着が困難な状況にある中、本来は伊江島で実施すべき訓練のうち、その大半をできるだけ県外で実施し、国外で言うと、フロリダ州やオハイオ州、韓国などでも訓練を行っているが、即応態勢の維持などの観点から、県外では実施困難な必要最小限のものを嘉手納で行うこととしており、今回、その8日の訓練は、それに当たるとの説明を受けております。こうしたことも踏まえて、今回の訓練は、例外的な場合に該当し、嘉手納で行われたことは、やむを得ないものというふうに考えます。
後段の、滑走路の補修計画ということですが、嘉手納における基地負担の実情から、伊江島の滑走路が早期に使用再開されるよう、米側に対しては強く働きかけをしております。滑走路の修復工事のうち、米側からは、逐次、説明や情報提供を受けておりまして、速やかに工事を開始できるように、資材調達に着手したことを確認しております。また、米側においては、飛行場の安定的な利用のため、滑走路下の空洞など地質を調査しているところであり、その調査結果を踏まえて、早急に工事計画を完成させ、日本側に提示したいとの説明も受けています。具体的な工期などについては、日米間で所要の調整が終わり次第、こちらも適切にお示しをしたいと考えています。防衛省としては、伊江島の滑走路の早期使用再開に向けて、引き続き、米側とは緊密に連携しながら、可能な限りの支援や協力、これをしっかりとやってまいります。
普天間飛行場の名護市辺野古移設について(サンゴ類の移植など)
記者 :普天間飛行場の名護市辺野古移設について伺います。沖縄防衛局は昨日、杭打ち試験を実施されました。その作業船が先週、大型サンゴを損傷させたことも発覚しました。今後、護岸の本体工事に入ると、サンゴに与えるリスクが更に高まる可能性もあります。護岸工事と移植作業を並行して行うことによるサンゴへの悪影響について、防衛省の見解、今後の対応を教えてください。
大臣 :普天間飛行場代替施設建設事業に関しましては、7月の4日、大型サンゴ類1群体に、杭打ち試験に係る作業船のアンカーチェーンが接触した際に生じたと思われる傷が発見されました。これを受け、沖縄防衛局から本事業の全ての海上工事の受注者に対し、作業船のアンカー設置時の留意点について、改めて周知・徹底を行い、その上で、現在、杭打ち試験やサンゴ類の移植に係る作業を行っているところであります。なお、この傷について専門家に確認したところ、当該サンゴ類への影響は大きくなく、移築作業を進めて問題ないとのことでありました。防衛省としては、引き続き、サンゴ類への配慮も含め、環境の保全に配慮しながら、本事業を適切に進めてまいります。
記者 :今後も引き続き、サンゴ移植の作業と護岸工事を一部並行して行っていくという理解でよろしいでしょうか。
大臣 :傷が生じたサンゴ類については、沖縄県との間でやりとりを行っていると承知しています。引き続き、沖縄防衛局において、そのサンゴ類への配慮も含め環境の保全に配慮しながら、適切に対応してまいります。
潜水艦の救難に関わる乗組員・隊員による潜水手当の不正受給疑惑について
記者 :大きく2つ質問がございます。1点目、一部報道でですね、潜水艦の救難に関わる乗組員、隊員が潜水手当を不正に受給していたという疑惑が報じられておりますけれども、これにつきまして、お話できる部分がありましたらお願いいたします。
大臣 :報道については承知をしております。本件につきましては、現在、事実関係を調査中であります。現時点において、その内容について、今ここでお答えできる段階にはございません。国民の生命と財産を守るべき自衛隊においてですね、国民の疑念を招くことは、あってはならないということは、私も度々申し上げております。いずれにしましても、今回その件につきましては判明した事実に基づき、厳正に対処はいたします。
記者 :今の御説明ですと、その疑惑が出ているという、その疑惑自体は、存在しているという認識で、それを調査しているという御発言、主旨としてはそういうことでよろしいですか。
大臣 :報道がございました。したがって、事実関係を調査中ということで、まだあったなかった、有無については調査中ということです。
数々の疑惑報道が続く海上自衛隊に対する抜本的な出直し措置の必要性について
記者 :関連してお尋ねします。潜水救難手当の不正受給の疑惑、それから川崎重工との癒着の疑惑、あるいは海上自衛隊においては、特定秘密の取扱いの不手際などなど色々報じられておりますが、大臣は国民の疑惑を招くことがあってはならないとおっしゃられているわけですけれども、これだけ疑惑が続いておりますが、海上自衛隊の解体的な出直しというのでしょうか、抜本的な出直し措置というものが必要になっているのではないかと思うのですが、大臣の御見解をお尋ねします。
大臣 :まず、海上自衛隊における、本年4月の26日に公表した2件の特定秘密漏えい事案というのがございました。これに関しては、先ほども申し上げましたが、私が指示を出しまして、省全体として、類似の事案の有無について調査を行わせて、今おります。まだこれは調査中という段階でありますから、事案の発生、そしてそういった背景、海上自衛隊において、どんな背景があったのかなども含めて調査をしております。まだ内容を申し上げる段階ではないということは御理解ください。
そしてまた、潜水艦修理契約における御指摘の事案もございました。このような疑いが生じているということは、これは深刻に受け止め、私から7月5日にですね、防衛監察官に対して、潜水艦修理における隊員と、契約の相手方との関係及び契約の適正性に関する特別防衛監察を実施すること、これを指示をいたしました。今後、情報保全について、適切なタイミングで公表を行うとともに、潜水艦修理契約、これに関しては、特別防衛監察を早急に進め、判明した事実関係に基づき、厳正に対処してまいります。そういった御質問の根本には、海上自衛隊のそういった事案が続くのではないかということでございました。
私としても、それぞれの事案は、まったく別のものであるとはいえですね、海上自衛隊の中に、そういった事案の発生する背景が何かあるのではないかという、そういったことも含めてですね、調べていかなければならないと思っています。現段階で、申し上げるのは困難であります。
「ユーロサトリ2024」にて防衛省に特定商社のアテンドが付いていた件について
記者 :先ほどの、ユーロサトリに関してお伺いしたいんですけれども、何度も見たんですけれど、防衛省からのデリゲーションに商社のアテンドが付いていたんですね。商社のアテンドが付いて、商社のガイドツアーみたいな感じで回っていらしたというふうに見えたんですけれども、石破さんが長官の時に、その件について申し上げて、特定の商社にアテンドしてもらうというのは、大変問題があるのではないかと申し上げたら、その後中止になっていたんですがいつの間にか復活しているようです。それでまずその商社に対して、その何らかのアテンド料を払っているのか、もしくは払っていないのか、まずそこをお尋ねしたいのですが。
大臣 :商社に対して私どもがアテンドを。
記者 :例えばお金を払って、ガイド料を払って、そこを回っているんでしょうかというお話なんです。
大臣 :適切な情報を持ち合わせておりません。事実関係を確認の上で、必要があれば適切に対処すべき課題だというふうに思っております。
記者 :僕の知る限りは払っていないはずです。というのが、そういうお金を払わずにお仕事を依頼するということは、大変これは取引上、問題があるということだと思いますし、例えばその本来であれば、例えば通訳だけでも普通1日5万、10万円のお金がかかるわけですよね。ただでやってもらうということは、何らかのそこで見返りがないと商社も受けないわけですよね。例えば、その特定の自分たちの連れて行きたいところだけを回ってくるとか、そういうことがあるんではないかと。あと、そもそも防衛省に自分たちで見本市を回る能力がないんではないか。私もこの2、30年海外の見本市をずっと見ていますけれども、初めて行った時はもう舞い上がっちゃうんですよね。どれも目新しいと。ですからよく分からない。何度も行っていると分かってくる。ですからそういう人間を本来は防衛省の中で養成しなきゃいけないんじゃないか。そういう人間がいないから商社に頼っているのではないかと思うんですけれども、大臣こういうところでですね、防衛省の情報収集能力という面でも、大変これ問題かと思うんですけれども、そういうところ強化されていこうとか、そういうことをお考えになりませんか。
大臣 :御質問の主旨についてはわかりました。確かにそういう目利きができる人間であるとかですね、そういうのを養成しなければいけないというのは、私も同感であります。しかし、現時点でそういったガイドをしているとかしていないとかっていう、ある意味ガイドに対する適切な支払いとかですね、そういったこと、仮定の質問だと思いますから、現時点で予断をもってお答えすることは差し控えたいと思いますが、問題意識はよく分かります。事実関係、今、現時点でどうなっているということは大臣でしっかりと把握をしたいというふうに思っております。
特定秘密漏えい事案に関連し国会で防衛省から説明するとの方向で調整が進んでいるのか
記者 :特定秘密の関連なんですけれども、国会の方で衆議院、参議院の情報監視審査会を開いて、防衛省から説明を受ける方向で調整しているという話があるんですけれども、国会で防衛省から説明を受ける方向ということについて、大臣の受け止めをお願いいたします。
大臣 :国会の動きについては、私、防衛省としてはお答えする立場にはございませんが、防衛省としては、4月26日に公表した2件の特定秘密漏えい事案を受けまして、省全体として類似の事案の有無について調査を行っているところでありますので、結果を取りまとめ次第、適切な形で公表したいと、その上で、国会の動きがあればそれに対応するということになります。
冒頭の海上自衛隊ヘリコプターの墜落事故に関する処分等の大臣の見解について
記者 :冒頭で発表がございました、海上自衛隊のヘリコプター墜落事故についてお尋ねします。調査の中では、護衛隊群司令と「すずなみ」の艦長の情報共有が不十分だったということが書かれていますが、関係者を何か処分するとか、そういった今後のことについて何か考えがございますでしょうか。
大臣 :今後のことということで申し上げると、防衛省・自衛隊は引き続き、まだ御遺体の収容ができておりませんので、御遺体及び機体の捜索に当たるということになります。具体的に申し上げると、文部科学省が所管する国立研究開発法人海洋研究開発機構JAMSTECの保有する、深海えい航調査システム「ディープ・トウ」が、所要の整備等を終えましたので、本日9日の午後に、現場海域に向けて久里浜港を出港する、そういう予定になっております。ですからこの一連の事業というのは、まだ今継続中であります。葬送式は終わりましたし、訓練の再開もですね、一定のスケジュールが出ましたが、この問題というのはまだ解決をしていないという状況です。そして、また今般、事故調査委員会における調査結果等もございます。そういったことを踏まえて事実関係に基づいてですね、対応できるものは適切に対応していくということになります。
統合作戦司令部の設置により起こりうる、米軍による自衛隊の利益利用への懸念について
記者 :7月3日に防衛省は、事務次官及び統合幕僚長を議長とする統合作戦司令部創設会議などを設置し、統合作戦司令部の年末までの創設に向けた調整をすると公表されました。統合作戦司令部は統合幕僚長に代わって、総理大臣、防衛大臣と米軍との調整をし、自衛隊を指揮すると位置付けられています。統合作戦司令部の設置によって、指揮権が米軍に移り、自衛隊が米軍の指揮下に編入され、自衛隊が米軍の利益のために都合よく利用されてしまうのではないかと懸念しますが、大臣の御見解を御教授ください。
大臣 :米側のカウンターパートを含みます日米の調整要領の詳細につきましては、統合作戦司令部の任務や役割を踏まえ、米側と現在議論を進めているところでございまして、その点、予断をもってお答えするということはまだ差し控えます。その上で、先の国会でもたくさんの御質問をいただいたところでございますが、自衛隊による全ての活動というものは、米軍との共同対処というのも含めまして、我が国の主体的な判断の下で、日本国憲法や、また国内法令にしたがって行われるということになっております。自衛隊及び米軍は、各々が独立した指揮系統にしたがって行動することとしておりまして、この点は日米ガイドラインにも明記されているところであります。そして、そういったことは日米で認識を共有しているということであります。このために、今、御質問いただいたような、例えば米側の指揮官が統合作戦司令官を指揮するといった、そういったことにはならないということは申し上げておきます。
特定秘密漏えい事案の調査結果公表の見通しについて
記者 :特定秘密の調査の関係なんですけれども、大臣は現在調査中で、取りまとめ次第、適切な段階で公表しますという御説明なんですけれども、調査の進捗状況とですね、あとその公表に向けたスケジュール感、見通しなどを教えてください。
大臣 :先ほども申し上げましたが、4月26日に公表したもの、それ以外のものについては、省全体として、類似の事案の有無について、今調査を行っているというところであります。進捗状況と言いますか、現段階で内容をですね、今はまだ申し上げる段階にはないということです。結果は、取りまとめ次第、適切な形で公表はいたします。まだ今はその段階ではないということでございます。
特定秘密漏えい事案で海上幕僚長が辞任した場合における米軍へのイエスマン的人事への懸念について
記者 :海上自衛隊での特定秘密の漏えいに関して、酒井良海上幕僚長が辞任の意向を固めたと報じられています。自衛内の規律意識を高めるという意味合いがあるんだと思いますが、このタイミングで再編改組前の旧トップである海上幕僚長が辞任するということは、新たなトップが米国に都合の良い、米軍に対してイエスマン的な人事で固められ、指揮系統上明瞭な地位がなくなる幕僚長陣が、自衛隊・日本国の国益を守るためのカウンター・ウエイトとしての機能を弱めていくことにはならないでしょうか。大臣のお考えをお聞かせください。
大臣 :海上幕僚長の辞任の意向というのは報道で承知しておりますが、これは正に人事に関する事項ですので、お答えは私からは差し控えます。
冒頭の海上自衛隊ヘリコプターの墜落事故の事故調査においてソノブイの使用を調査したか否かについて
記者 :先ほど大臣もお話していた、海上自衛隊のヘリコプターの事故に関してお伺いします。事故調査において、ソノブイを適切に使ってたかどうかを、これは調査をしたのかどうかということをまず知りたいです。というのはですね、普通、哨戒ヘリというのはソノブイを使ってあたりをつけるんですね。それから、ディッピングソナーをして敵の潜水艦を探知するという手法を使うんですが、海上自衛隊の場合、沖電気とNECの作っているソノブイの性能が非常に悪いせいか、ほぼ使っていない。不思議なことに、調達はするけど使っていない。それで、そのディッピングソナーばかり使っているという話を取材すると聞こえてくるわけですよね。ソノブイじゃなくてディッピングソナーを使うと非常にこれは神経を使いますよね。特に夜間は低空でディッピングソナーを使うと危険だと思うんですけれども、もし本来ソノブイを使うべきところを使わずにずっとこうディッピングソナーを使っていることによって乗員が疲労した、もしくは使う必要がなかったところでディッピングソナーを使っているのであれば、これある意味、人災ということにもなるかと思うんですが、そういう調査されたんでしょうか。
大臣 :我が自衛隊のですね、訓練に関わる内容であります。特に潜水艦という機微な装備品の訓練に関わる内容、正に我が方の情報収集能力であるとか運用能力を明らかにするということにも繋がりかねない内容にも触れなければいけないと思いますので、ですので、お答えというのは困難であるということを御理解願います。
防衛省における特定秘密の指定件数の多さや相当性を欠くとの指摘について
記者 :特定秘密の関係で一つお伺いします。防衛省の場合、各省庁の中でも特定秘密の指定件数というのは最も多いわけですが、指定件数が多すぎるや、特定秘密の相当性がないようなものまで指定されているのではないかという指摘があるのですが、大臣の考えを教えてください。
大臣 :法律で決まったことですので、私どもとしてはそれにしっかりと対応していくということになります。とりわけ、特定秘密、防衛省のみならず、外務省もあるいは官邸の様々な情報、当然そういったある意味危機管理省庁と言われるところはですね、特定秘密というのは多くなるというのは、これは各国も同じような状況ではないかと思いますので、私どもとしては、そういった特定秘密に指定されたものについては、法令に則ってしっかりと管理をしていくということに尽きるわけでございます。
海上自衛隊の艦艇乗組員の充足率について
記者 :先ほどもお話に出ました、海上自衛隊の艦艇乗組員の充足率についてお尋ねしたいんですが、まず第一に護衛艦・潜水艦、これ定員に医官が入っているんですけれども、基本的に乗っておりません。唯一例外は、海外任務に行く時だけということになっております。つまりその、医官がいない状態でこれ本当に戦争できるんですかというのがまず大きな疑問です。これ歴代の大臣にお尋ねしてるんですけれども、依然改善しているようには思えておりません。もう一つ、「もがみ」級フリゲートに関していうと、3隻に対して4組のクルーを、いわゆるクルー制を導入して、乗員の負担を減らすというふうに当初説明されていたんですけども、これ、実行されていないようです。本来、その乗員の負担を減らして、その衣食とか、募集の低いレートを改善したいというお話があるはずなんですけれども、なんでこういう実効性のあることをしないんでしょうか。その辺、いかがでしょう。
大臣 :潜水艦に関わることでございます。その乗組員の職種等の問題について、これもある意味非常に秘匿性の高い情報になるかと思います。適切に運用されるように、あるいはその訓練であったり、あるいは通常の任務の期間であったり、あるいはその訓練の地域であったり、そういったところによって、運用は変わってくると思いますので、私どもとしては現有の装備、あるいは人員の中で最適な形を目指していくということになります。「もがみ」型の話もございました。大変今、自衛官の募集も厳しくなっていく中で、私どもとしては、最近の装備品の性能なども踏まえて、省人化であるとか、場合によっては無人化、あるいは省力化などによってですね、効率よく運用していくということになるかと思います。そういう中で、人にかかる負担というのも極力配慮しながら、一般的には働き方改革なども言われている中でですね、自衛官の日常の勤務、そして任務遂行、着実に任務を遂行しながら、それぞれの自衛官の働き方というものを改善していくということ、これも最適解を求めるべくですね、日々これは検討していく事項になっております。
以上
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