木原防衛大臣、ロシア機の領空侵犯等に関する臨時記者会見(9月23日)
- 防衛省関連
2024-9-24 18:18
令和6(2024)年9月23日(月)19時14分~19時30分、木原 稔(きはら・みのる)防衛大臣は、防衛省A棟1階エントランスにおいてロシア機の領空侵犯等に関する臨時会見を行った。
内容は、以下のとおり。なお、大臣の発言の一部について会見後に訂正が発表されており、その訂正内容も以下に記載する。
大臣からの発表事項
ロシア機による領空侵犯事案について
大臣 :1件目は領空侵犯についてです。本日13時台から15時台にかけて、3度にわたりロシア軍のIL-38哨戒機1機が、北海道礼文島北方の我が国領海上空において領空侵犯していることを確認しました。具体的には12時50分頃に礼文島北方付近で飛行を開始し、13時03分頃から13時04分頃までの約1分間、そして2回目が15時31分頃から約30秒間、3回目は15時42分頃から15時43分頃にかけて約1分間、北海道礼文島北方の領空上空を侵犯した後、17時50分頃に同空域での飛行を終了し、大陸方面に向けて飛行したということになります。
これに対して自衛隊は、航空自衛隊北部航空方面隊のF-15戦闘機及びF-35戦闘機が緊急発進し、無線による通告及び警告に加え、フレアによる警告等を実施する等の対応を実施したところです。なお、フレアによる警告を実施したのは、対領空侵犯措置を開始してから初めてとなります。
今回の領空侵犯は極めて遺憾であり、本日ロシア政府に対して外交ルートで極めて厳重に抗議するとともに、再発防止を強く求めました。防衛省・自衛隊としては我が国周辺空域におけるロシアの軍事動向に対し、引き続き強い関心をもって注視するとともに、警戒監視に万全を期してまいります。
石川県での災害派遣について
大臣 :2件目は、災害派遣関連になります。防衛省・自衛隊は、石川県知事からの災害派遣要請を受けて、陸上自衛隊及び航空自衛隊の部隊が、人員約1,400名、航空機11機の態勢により、輪島市、珠洲市、能登町の各自治体ニーズを踏まえて、人命救助活動、情報収集、物資輸送、給水支援、道路啓開などを実施しております。今回の石川県の大雨の対応につきましては引き続き、各自治体や政府関係省庁と緊密に連携しつつ、全力を挙げて対応をしてまいります。
記者との質疑応答
過去の領空侵犯について
記者 :冒頭1点目にありました、ロシアによる領空侵犯ですが、いつぶりになりますか。
大臣 :ロシア軍機による領空侵犯を確認し、公表しましたのは2019年※6月にTU-95爆撃機が沖縄県南大東島北西部及び伊豆諸島八丈島北西部を領空侵犯した以来となります。
※大臣発言中、6月にTu-95爆撃機が沖縄県南大東島北西部及び伊豆諸島八丈島北西部(誤)を7月にA-50早期警戒管制機が島根県竹島の領海上空(正)に修正
中国の動向との関連等について
記者 :先月に中国による領空侵犯もあり、今月ロシアによる領空侵犯で、日本周辺領域での活動が活発化されておりますけれども、それについての受け止めをお願いします。
大臣 :今回の領空侵犯というのは、前回のは長崎県の領海上空の中国軍による領空侵犯でありました。今回はロシアであります。今回の領空侵犯も極めて遺憾であり、本日ロシア政府に対しては、我が国政府として外国ルートを通じて厳重に抗議をいたしました。そして再発防止を強く求めたところであります。
記者 :本日、中国とロシアが宗谷海峡を、艦艇が共同航行していたと防衛省から発表がありました。今回の領空侵犯事案との関連についてどのように見ていらっしゃいますでしょうか。
大臣 :ロシア軍機の飛行及び中露両国の艦艇の航行が関連している可能性も考えられます。また、中露は、今月、中露共同演習を実施するということを発表しており、今般確認した中露の海軍艦艇についても、本共同演習と関連している可能性も考えられるところです。
また、航空機の動きに関連しては、昨年10月にも根室半島沖で推定ロシア機による領空侵犯があったほか、昨年6月及び12月には中露両国の爆撃機が、我が国周辺において長距離にわたる共同飛行を行うなど、ウクライナ侵略後も、ロシア機は我が国周辺での活発な活動を継続をしております。防衛省・自衛隊としては、我が国周辺空域におけるロシアの軍事動向に対し、引き続き強い関心をもって注視するとともに、警戒監視に万全を期してまいります。
フレアによる警告について
記者 :フレアによる警告が初めてということですけれども、今までやっていなかったけれども、今回必要と判断したその根拠、理由を教えてください。
大臣 :自衛隊としましては、今回フレアによる警告を実施したものは、対領空侵犯措置として、それを開始してから初めてということになります。このフレアによる対処、あるいは、通告・警告、フレアというのは対領空侵犯措置としては、我々がやりうる手段でありますので、今回はその状況に鑑みて、そのような判断に至ったということであります。詳細については申し上げることができません。
ロシア軍機の行動と対処の詳細について
記者 :何かロシア軍機側に危険な行動があったとか、そういったことはあったのでしょうか。
大臣 :今回、哨戒機1機が領空侵犯をしたということになります。そして、先ほど申し上げたような、3回にわたって領海上空を侵犯したということになります。
記者 :今の関連でなんですけれども、3回入ったということで、例えばそのフレアを3回目の侵犯の際に打ったとかですね、その辺りもう少しその詳細を教えていただけますか。
大臣 :フレアを行ったのは、この3回目のですね、15時42分頃から15時43分頃にかけての、3回目のその一分間の領空侵犯の時であります。ただ、私ども3回目だからやったということではありません。
ロシアへの抗議について
記者 :ロシアへの外交ルートでの抗議、これ外務省に聞くべきことかも分からないのですが、もうしたという過去形なのか、これからする、なのか、その辺り表現が混同されてたというか、その辺り教えてください。
大臣 :これはもう外交ルートで極めて厳重に抗議したということになります。
記者 :外交ルートというのは、東京にいる大使を呼びつけて、どなたがどなたにとか、その辺りがもし分かれば。
大臣 :外務省にお尋ねください。
ロシア機の領空侵犯の意図について
記者 :今回3回ということですけれども。領空侵犯です。この3回領空侵犯してますので、意図的な行動というふうに今の時点で見ていらっしゃるのでしょうか。その辺りいかがでしょうか。意図的な領空侵犯だというふうに見ているということで良いのでしょうか。
大臣 :ロシア側の意図というのは、こちらは断定して言えるものではありませんが、領空侵犯1回目から、通告・警告などを行っております。我が航空自衛隊としても、スクランブル、緊急発進をしておりますので、しっかりその警告・通告というのは届いているものだというふうに思います。
フレアによる警告の詳細について
記者 :フレアの発射ですけれども、3回目の対応の時ということですが、この場合やったのはF-15ですか、F-35になりますか。
大臣 :それは運用に関わることで、ちょっと詳細なので、この場では控えたいと思います。
記者 :3回目ということで、要するに、通常の警告や、通告・警告をしたけれども、再度繰り返したので、フレアという対応をとったという理解でよろしいでしょうか。
大臣 :3回目のものに対してですか。
記者 :要するに、1回目、2回目、3回目と繰り返したので、段々と空自側の対応としてもより強い対応をした結果、フレアというのを選択してとったという理解でよろしいでしょうか。
大臣 :今回、3回目だからフレアをしたわけではございません。当然、いきなりフレアをするわけではなくて、通告あるいは警告をした後の、相手の動き、状況に応じてのフレアということになります。
記者 :ロシア軍機からの何か危険な行動というようなものはあったのでしょうか。
大臣 :先ほどと同じ質問だと思いますが、今回、IL-38哨戒機1機が、北海道礼文島の領海上空において領空侵犯をしております。ロシア機による特段危険な行為というのはありません。
航空自衛隊の対応について
記者 :航空自衛隊が緊急対応をする中で、三度にわたり領空侵犯が行われてしまったという見方もあるかと思いますが、航空自衛隊の対応についてはどのように受け止められていますでしょうか。
大臣 :1回目の領空侵犯に、1回目の段階から既に我が国のF-15及びF-35が緊急発進しております。そして1回目1分間、2回目30秒、3回目は約1分間ということになります。そういう中でですね、我が航空自衛隊、緊急発進としては速やかに対応できているものというふうに思っております。
ロシア機の領空侵犯の詳細について
記者 :領空侵犯したイリューシンそのものじゃなくて、ほかにロシア軍機が周辺にいたというような状況はあったのでしょうか。それとも、単独で完全に飛行していたのでしょうか。
大臣 :今回領空侵犯したのはIL-38哨戒機1機です。
記者 :その周りに編隊みたいな形で、領空侵犯していないけど、ほかの機体はいたのですか。
大臣 :その点は、この場で申し上げるのは控えたいと思います。
記者 :もう1点だけあって、フレアの使用で、詳細になるのかもしれないんですけれども、フレアの使用は領空侵犯中なのか、それとも、その前後なのかというのは。
大臣 :それは領空侵犯。
記者 :1分間の間に。
大臣 :最後の1分間の間ということになります。
過去の領空侵犯について
記者 :3回領空に入ったということの評価を教えていただきたいんですけれど、3回領空侵犯をされたのは、例えばこれまで初めてとか、そういうことは言えたりするのでしょうか。
大臣 :ちなみに、過去領空侵犯、過去にもありましたが、公表事例としては48件ございまして、ロシア、旧ソ連時代を含むものが今回を入れてですね44件、中国が3件、台湾が1件ということで、合計が48件ということになります。それぞれ詳細については、事務方にお尋ねください。
フレアによる警告の位置づけ、判断主体について
記者 :先ほどの質問と若干重複して恐縮ですけれども、警告射撃には種類が複数あると思いますが、その中でフレアを発射するというものの位置づけと、今回それを選ぶにあたった経緯を改めてお伺いできますか。
大臣 :フレアは警告射撃ではありません。フレアも対領空侵犯措置の一つの措置として我々は考えているところです。警告射撃というのも当然、対領空侵犯措置として我々が採り得る運用の一つであります。いずれにしても、我々は躊躇なく行ったということになります。
記者 :今回、フレアを行う判断については現場の戦闘機のパイロットの判断だったのか、それとも違うのか教えていただけますか。
大臣 :航空自衛隊の北部航空方面隊の判断ということになります。
記者 :現場ではなく、方面隊の判断ということですか。
大臣 :方面隊の判断であります。
対応した自衛隊機について
記者 :1点確認なんですけれども、先ほどスクランブルした機種についてF-35、F-15なんですが、それぞれ何機ずつ上がったのかというのを教えていただけますか。
大臣 :これも、正に、戦闘機の機種は申し上げておりますが、機数についてはですね、これは極めて秘匿性の高いものというふうになっております。運用に関わることですので、申し上げることは控えたいと思います。
(以上)
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