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中谷防衛大臣が就任会見を実施、広範な話題に言及(10月2日)

  • 日本の防衛

2024-10-7 12:05

 令和6(2024)年10月2日(火)15時49~16時39分、中谷元(なかたに・げん)防衛大臣は、就任会見を行った。
 最初の記者会見だけに話の内容は、石破茂(いしば・しげる)総理大臣の構想から、自衛官の処遇改善まで非常に広範に及んだ。
 内容は、以下のとおり。

大臣からの発表事項

大臣 :この度2016年以来、8年ぶりではありますけれども、防衛大臣を拝命することになりました。非常に、この指名に基づきまして、光栄に感じるとともに自らの職責の重さを感じるところでございます。

 まず私の方からですね、就任に当たりまして、石破総理から9つのですね、御指示をいただいております。1つ目は、この国民の命や暮らしを断固として守り抜くために、国家安全保障会議の下に、各関係大臣と協力をして、国家安全保障政策を一層戦略的・体系的なものにしてもらいたいと。その中で、やはりまず第1に、防衛力の抜本的強化、これに取り組む。第2に、防衛生産・技術基盤、これを強化をする。そして第3に、自衛官の処遇、勤務環境の改善につきまして、将来の戦い方を見据えて自衛隊の人的基盤の強化に取り組むということでございます。

 そして4点目、これは日米の共同の抑止力・対処力を一層強化をする。その際、我が国の反撃能力、これをより効果的に発揮するための日米の協力態勢、これを構築するとともに、それぞれの指揮・統制、これの枠組みの向上と連携の強化に取り組んでほしいということでございます。次に、「自由で開かれたインド太平洋」の実現のために、日米同盟、これを基軸としつつ、共同訓練、装備・技術協力を含む二国間・多国間の防衛協力の交流を推進するとともに、関係大臣と協力をして、地域の安全と安定、これを一層確保するための取組を主導をするということ。

 5つ目は、沖縄の問題です。基地負担軽減担当大臣と協力をしてですね、普天間飛行場の移設を含む在日米軍再編、これを進める中で、抑止力の維持を図るとともに、沖縄をはじめとする地元の負担軽減、これを実現をするということ。次に、我が国の領土・領海・領空、これの警戒監視について、これも緊張感をもって、情報収集を行うとともに、事態に応じて我が国の法令に基づき適切に対処するということ。

 次に、防衛省・自衛隊の信頼関係、これに全力を挙げるとともに、平和安全法制に基づくものも含め、自衛隊の任務の着実な遂行に万全を期す。そして、相次ぐ自然災害に対応して、人命救助や被災者支援に取り組むということでございます。そして8つ目にですね、官房長官に協力をして、安全保障に関する法整備を含めて、抑止力、これの基盤整備に向けた検討を行うということ。そして、最後に、平和安全法制に関する業務を担当させると。

 以上、総理の指示に基づいて、防衛省、そして防衛大臣といたしまして、25万人の隊員とともに、国民の皆様の負託に応えるためにですね、我が国と世界の平和と安全、安定のために全力を尽くしてまいりたいと思いますのでどうぞよろしくお願い申し上げます。

記者との質疑応答

記者 :大臣、就任まずおめでとうございます。石破新内閣が発足し、新たな防衛大臣として任命されました。現在の日本を取り巻く安全保障の状況をどのように受け止め、分析されているのか伺います。また、東アジアやウクライナ情勢をはじめとして混沌とする国際情勢続いていますが、そうした中で、先ほど9つの指示にも触れられていましたけれども、日本の国防で大臣が特に力を入れていきたい部分というのはどこにあるのかお伺いします。

大臣 :我が国周辺にはですね、強力な軍事力を有する国家等、これが集中をしておりまして、軍事力の更なる強化、そして軍事技術の進展、そして軍事活動の活発化、これの傾向が顕著と今なっております。中国は、非常に透明性を欠いております。国防費を継続的に高い水準で増加をさせており、軍事力を広範、幅広く、そして急速に強化をさせるとともに、我が国周辺における軍事活動等、これを益々拡大、活発化させておりまして、このような中国の軍事動向は、我が国と国際社会の深刻な懸念事項になっております。北朝鮮は御承知のとおり、近年かつてない頻度で弾道ミサイル等の発射を繰り返しておりまして、ミサイル関連技術・運用能力、これの急速な向上によりまして、この北朝鮮の軍事動向は、我が国の安全保障にとって、従来よりも一層重大かつ差し迫った脅威になっております。ロシア、これは、ウクライナの侵略を継続をしておりますが、極東地域においてもですね、活発な軍事活動を継続しておりまして、中国との戦略的な連携、これと相まって防衛上の強い懸念となっております。
 このように安全保障環境に対峙していく中で、国民の命と暮らしを守り抜くという政府の最も重大な責務を果たすべく、引き続き、これらの軍事動向に強い関心をもって注視をしながら冷静かつ毅然と対応するとともに、人的基盤の強化を含む防衛力の抜本的強化、これをはじめとする各種取組にしっかりと取り組んでまいりたいというふうに考えております。

記者 :御就任おめでとうございます。私から2点お尋ねいたします。1点目がですね、石破総理がおっしゃっているアジア版NATOについてですけれども、石破さんの主張を実現しようとしますと、現行の憲法や集団的自衛権の考え方では実現が難しいという指摘がございますけれども、大臣としては実現の可能性、あるいはその必要性についてどのようにお考えでしょうか、というのが1点目でして、2点目がですね、訓示で言及されておりました安全保障に関する法整備の検討についてですが、これは内閣全体の話かと思いますけれども、省内に検討チームを作るですとか、どれくらいのスケジュール感でやっていくのか、その辺りのお考えをお聞かせください。よろしくお願いします。

大臣 :昨日、総理の指示の中では、このアジア版NATOについての言及はございませんでした。しかし、一般論としてですね、非常に戦後激しくそして複雑で安全保障環境は変化をしている中でですね、やはり各国とも同志国や同盟国のネットワーク、これを有機的・重層的に構築をしておりまして、それを拡大してですね、抑止力を強化をしていくということは重要です。例えば、NATOとかね、QUADとか様々なそういう組織がありますけれども、防衛省としては、現在ですね、同盟国である米国に加えて、様々な同志国等との間で、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた様々な防衛協力・交流の取組を推進しておりまして、それによって、地域の平和と安定に貢献をしてきているのではないかと考えております。こうした観点及び総理の考えを踏まえまして、私としても、アジアにおける各国との連携、これに率先してですね、取り組んでいく考えであります。法制につきましては、石破総理からですね、官房長官に協力をして安全保障に関する法整備を含め抑止力の基盤・整備に向けた検討を行うという指示がございました。我が国の領土・領海・領空を保持して地域の平和と安定、そして国民の生命と財産を断固として守り抜くということは、政府のですね、最も重要な責務でございますので、私もこれまで、8年前になりますけれども平成15年(2003年)にですね、平成15年は、1回目の長官の頃でした。事態対処法ですね、平成15年成立をさせ、そして平成25年(2013年)、国家安全保障会議を設置をして、平成27年(2015年)に平和安全法制を成立をいたしましたけれども、我が国も安全保障政策を確実に実施をしてきておりまして、着実にですね、積み上げてきております。そして、日米同盟、これも深化と呼ばれますけれども、かつてないほど強固となり、抑止力・対処力、これを向上してきておりまして、その上で安全保障にとって更に何が必要なのかという点につきまして、石破総理の御指示を受けまして、検討していくものであると、政府全体としてですね、取り組んでいくものであるというふうに考えております。

記者 :関連で追加の質問です。そうしますと、安全保障に関する法整備の検討と言いますのは、アジア版NATOを将来的に見据えたものということで、そういう理解でよろしいんでしょうか。

大臣 :これにつきましては、何が必要なのかですね、検討をこれからしてまいりたいと考えております。平和安保法制 というのは、あらゆる事態に切れ目のない自衛隊の対応を作った法律でありますが、自衛隊のみならずですね、各国と相互連携作業をしながら、安全を確立していくということも必要でありますので、そういう中で、日本が果たすべき役割の範囲とか、また、対象国はどうなのか、そういう見地でですね、政府全体で何が必要なのかということをこれから検討していくというふうに思います。

※下線部:「平和協力法案」(誤)を「平和安保法制」(正)に修正

記者 :石破総理が提唱する安全保障政策に関連して、アジア版NATO以外にも日米安保条約や日米地位協定の見直し、また核共有などを就任前から訴えてこられました。まず、このことについての受け止めと、あと、石破政権の防衛政策を担う大臣として、この地位協定、核共有などについては、どのように取り組むお考えかまず教えてください。

大臣 :石破総理がですね、おっしゃった核抑止とかの点につきましては、非常にこの核の在り方につきまして、例えば現在の安全保障を考えてみますと、同盟国・同志国とのネットワーク、これを有機的にですね、重層的に構築をするということで、それを抑止力として拡大して考えていくということでありますので、例えば日米同盟の強化といたしまして、抑止力・対処力を強化をして、その強靱性と持続性を高めていく。この核抑止も米国のですね、拡大抑止という中での信頼性、これを維持強化していくということでありまして、このことは、私極めて重要であると考えております。こうした観点とか、総理のお考えを踏まえまして、今後、防衛政策の推進に努めてまいりたいと考えております。

記者 :関連で、昨日の石破総理の会見では、在米自衛隊基地、訓練でアメリカの方に自衛隊の基地を置くのにあたって、日米地位協定の改定が必要だと訴えていらっしゃいましたが、防衛省としては、仮に実際に米国に自衛隊の基地を置く場合、地位協定の改定は必要なものと整理されているのか、現行の政府見解というものを教えていただければと思います。

大臣 :現在でも自衛隊の長距離の射撃訓練ですね、高射とか航空機からの爆撃訓練などは、米国とかオーストラリアで実施をしているわけでございますが、実際に米国に自衛隊の基地、施設を設置をするということについては、正にこれは、日米同盟の在り方、また、自衛隊の能力、練度向上のための必要な訓練基盤の確保などの観点から、幅広いオプションの中で検討が必要であると考えております。その上で、日米同盟の抑止力・対処力を強化するとともに、その強靱性とか持続性、これを高めていくという観点から政府としての対応を考えていきたいと考えております。

記者 :現行の防衛力整備計画についてお伺いします。現行の計画ですと、令和9年度までの5年間で防衛費の総額は43兆円とされていますけれども、現在、円安や物価高の影響で装備品の価格が高騰し、計画通りに装備が調達できない懸念があります。有識者の間では、増額も視野に43兆円の見直しに言及する声もありますが、43兆円という額も含めて、防衛力整備計画の見直しについて大臣の御見解を教えてください。

大臣 :これまでも中期防とか大綱などでですね、5年ないし中長期的な予算の枠というものをはめて、毎年の防衛予算を確保しておりました。今回の防衛力整備計画は、43兆円程度という規模になっておりまして、令和9年度までの5年間で防衛力の抜本的強化が達成をし、防衛省・自衛隊として役割をしっかり果たすことができる水準として閣議決定をされております。その金額です。この円安を伴う為替レートの変動、また国内外の全般的な物価上昇、こういった状況に対してもですね、防衛力の整備の一層の効率化、また合理化、これを徹底をするということによりまして、見積もった経費の範囲内におきまして、所要経費を収めるようにですね、努力を現時点ではしていくということでございます。

記者 :普天間飛行場名護市辺野古移設について伺います。辺野古移設を巡って大臣は、2020年に玉城デニー知事と面談され、軍民共用の案や自衛隊との共同使用案を提案されていたと思います。大臣に就いた今、大臣としても今後これらの案の検討に取り組むんでしょうか。それとも、閣僚として、現行計画以外はいったん収める考えでしょうか。また、就任後玉城知事と改めて面会する機会を設けたいと考えているのかも、あわせて教えてください。

大臣 :今から20年前になりますが、2001年の時、私は防衛庁長官でありまして、その時に普天間飛行場を辺野古の海域に移転をするという話においては沖縄県と名護市と、そして国の三者がですね、協議会を作りまして、合意をして、それから移設を始めました。それから20年経ちますが、まだいまだにですね、建設が続いているわけでございますが、今考えますと、やはり最も早くですね、この移設が実現するということにつきましては、現状のですね、案に基づいてですね、埋め立てを続けていくということがベストのシナリオというか、過程であるというふうに思っておりますので、一刻も早く移転が進むということにつきましては、現状の計画どおりですね、進めていく方がいいんじゃないかなと今思ってます。

記者 :そうすると、現在の計画にプラスアルファして、その共同使用案ですとか、軍民共用案というのは、ひとまずは出てこないというふうに理解してよろしいでしょうか。

大臣 :そういうことも問題提起をしてですね、知事と面会をしたり、また名護市長にも当時のですね、話をいたしたわけでございますが、いずれにしても、私の考えではなくてですね、現状のやり方がですね、地元としてはベストであるということもありますし、軍民共同の空港の案もですね、既にこれはやめるということを決定をしているようでございますので、混乱なくですね、進めていくためにもですね、現状の計画に従って辺野古の移設に向けた工事を着実に進めていくということが、現時点においてはベストなんだと思います。

記者 :知事との面会についてはいかがでしょうか。

大臣 :最も大事なことは、国とやっぱり沖縄がですね、話し合いをしながら、沖縄の気持ちを理解をしてですね、そして、ともに納得をしていただくようにですね、進めていくということだと思います。したがいまして、やはり直接会ってお話をしたり、現状についてどうすべきかということにつきましては、早急にですね、知事さんとも、お話に行ってですね、理解と納得と共感、これが得られるように私なりに努力していきたいというふうに思います。

記者 :自衛隊の処遇改善について伺います。石破総理大臣は、昨夜の記者会見で、自衛官の処遇や勤務環境を改善するため、自らをトップとする関係閣僚会議を設置すると表明しました。なぜ、今こうした議論が必要だとお考えでしょうか。また、現下の国民一般の賃金や、経済の状況に鑑みて、自衛隊の所管大臣として、どのようなことを議題に、いつまでに、どのような結論を得るのが望ましいとお考えでしょうか。よろしくお願いいたします。

大臣 :あの私も、昭和55年に陸上自衛隊に入隊をいたしまして、現地の陸上自衛隊の小銃小隊長としてですね、隊員さんと一緒に居住をしたり、訓練をしたり、生活をいたしましたが、非常に自衛隊の管理施設は老朽化をしていたり、非常に他の公共施設、宿舎等に比べましてですね、非常に立ち遅れた部分が多いわけです。例えばトイレにしてもですね、今公衆トイレでさえですね、ウォシュレットのようなですね、非常に清潔な施設が完備されていますが、いまだに自衛隊の部隊に行きますとですね、そういったものがないところも散見をされております。したがいまして、日本の社会の生活水準も相当向上してきてまいっておりますので、自衛隊の関連の隊舎、宿舎、施設、こういうことは近代化をしていく必要がございます。それから、自衛隊は人間集団でありまして、やはり優秀な隊員の方々がですね、そこに入って、戦力を保持するためには訓練をし、そして所属していただかなければなりませんが、最近の募集の状況を見ますと、非常に厳しい状況になってきておりますので、少しでも隊員さんが入って、気持ちよく生活をし、そして将来設計ももってですね、非常に働きやすいという職場環境を作っていく必要がございますので、そういう中で処遇の改善、それから給与面もですね、非常に公務員としての水準もございますけれども、安心して生活設計を立てられるようなレベルにですね、なることも目指して今回政府全体で、関係閣僚会議で自衛隊の処遇改善についてですね、検討が行われるわけでありますので、この際あらゆる段階においてですね、処遇面も含む、自衛隊という職業の魅力化、こういうことに検討をされるということで非常に意義のある検討会になるんじゃないかなというふうに期待しております。

記者 :いつまでにそういった結論を得ると、もし決まっていらっしゃいましたら、教えていただけたらと思うんですけども。

大臣 :現時点においては、防衛省の独自でですね、この処遇改善についての検討会をしておりまして、8月30日に公表した人的基盤の抜本強化に関する検討委員会の中間報告、これに基づいてですね、例えば採用段階の取組の強化とか、自衛官の処遇改善、人材育成、退職再就職に至るまでの生活のあらゆる段階においての施策を講じてですね、処遇面を含む自衛官という職業の魅力化を進めてきてまいっております。そういうことで、今度は政府の官邸の方でですね、石破総理から「早急に成案を得る」という御発言があったということを踏まえますので、こういう場でですね、積極的に取り組んで、推進をしていきたいなと考えております。いつまでというのはまだこれから検討してまいりたいと思います。

記者 :攻撃型無人機を配備する必要性についてお尋ねいたします。防衛省は来年度の予算の概算要求に攻撃型ドローンの取得費を初めて計上しました。今後、ドローンにとどまらない大型の攻撃型無人機などの導入も視野に入れているのでしょうか。また、殺傷能力を持つ無人アセットの調達や配備には倫理的な問題はないとお考えでしょうか。以上、お願いいたします。

大臣 :これはもう既に防衛力整備計画に書かれていることでありまして、それに基づいて攻撃型無人機ですね、UAVと申しますけれども、それを整備をするということを決定いたしております。令和7年度の概算要求におきまして、小型攻撃用のUAVの取得に必要な経費を初めて計上したところでありますが、今後、どのような攻撃用のUAVを取得するかにつきましては、今後実施する実証試験の結果も踏まえつつですね、検討を進めてまいりたいというふうに思います。なお、我が国としましては、人間の関与が及ばない完全自律型の致死性を有する兵器の開発を行うという意図は有しておりません。その立場を明確にした上でですね、これは攻撃用のUAVの取得についても同様に考えてまいりますし、また、今年度 の予算につきましても、実証実験の段階でありますので、必要な経費を計上してですね、現在契約に向けた手続きを進めているというところでございます。

※下線部:「来年度」(誤)を「今年度」(正)に修正

記者 :2点聞かせてください。1点目なんですけれども、人的基盤の強化に関して、大臣先ほどの訓示の中で、官邸の中にも防衛省の処遇改善を進めるために各省の閣僚が入って複数の会議ができましたというふうに述べられていたと思うんですけれども、これはその人的基盤の強化に関する関係閣僚会議が既に設置されたという認識でよろしいのでしょうか。

大臣 :これから立ち上げることにはなると思います。石破総理がですね、官邸の中にそのような関係会議を設けるというようなですね、発言を、これは総裁選の時かもしれませんが、既にされておりますので、それを踏まえて、私なりに考えたところでございます。

記者 :分かりました。すみません、もう1点だけ。総理の指示の中にあります、官房長官に協力をして安全保障に関する法整備を含めて抑止力の基盤整備に向けた検討を行うという項目なんですけれども、石破首相は総裁選の公約で、国家安全保障基本法の制定等を据えておられておりましたが、これは国家安全基本法が念頭にあるというふうに考えてよろしいでしょうか。

大臣 :それについてはまだ、総理になった以降ですね、何の言及もしておりません。とりあえず、現在は平和安全法の法的整備ができておりますので、それをもって相当地域とか国際社会のですね、平和と安全にですね、非常に機能しうるものだと考えておりますので、その上で我が国の安全保障にとって更に何が必要なのかですね、不断に検討していくことが必要でありますので、従来の総理が言われておりました、その安全保障基本法なるものについては、現時点においてはまだ検討がされていないということでございます。

記者 :日米地位協定の改定に関連してお伺いしたいと思います。石破総理の政策である日米地位協定の改定について伺いたいのですが、先ほど米国に自衛隊の訓練場を作るというような質疑がありましたけれども、昨晩の石破総理の会見では、自衛隊が国内でフルスケールの訓練を行えていないので、十分な環境を整備するために米国に訓練場が必要であるというような御発言がありました。現在、先ほど中谷大臣からもありましたように、米国に部隊を派遣して既に実射訓練を行っていると思うんですけれども、現状でどのような課題があると考えているのか、まず教えてください。

大臣 :日米の安保条約においては、我が国においてですね、米軍が訓練したり、活動するということは約束をしたことでございますが、米国に対しては、そういう義務も約束もしておりません。現時点において、米国に自衛隊基地を設置することについては、正にこの日米同盟の在り方、それから、自衛隊の能力・練度の向上のために必要な訓練基盤の確保などの観点からですね、幅広いオプションとして検討をしてるということでありますので、まだ実際にそれを設置しようというところには至っておりません。その上で、日米同盟の抑止力と対処力、これを強化をするということで、そういう観点からですね、政府としての対応を考えていきたいと思っているところでありますので、現時点につきましては、明確にですね、お答えをできる、それを設置するという段階にはないということでございます。

記者 :そうしますと、現時点で自衛隊が国内でフルスケールの訓練を行えていないというのが石破総理の御認識のようですけれども、そのことによる具体的な弊害であるとか課題というものの洗い出しもこれからということなんでしょうか。

大臣 :そのとおりです。現時点においては国内でね、そういう訓練ができていない、米国で実施をしているというのが現状でありますが、どのような形で実施できるかどうかにつきまして、これは外務省とかですね、内閣官房とかですね、そういうのも含めたですね、検討と米側においての要請とか議論とかこういうことも必要でありますので、現時点でおきましてはまだそれを具体的に求めるという段階には来てないというところでございます。

記者 :もう1点、昨日大臣、官邸でぶら下がりを受けていただいて、「石破総理とは長年安全保障について検討や議論を進めてきた。考えに違いはない。」という御発言もありました。この日米地位協定の改定に関しては、今日石破総理がバイデン大統領と会談をされて、この議題については出なかったということなんですけれども、この点に関する石破総理の本気度と言いますか、これについて長年石破総理とやり取りをされてきた身としてどう見ているか、また感じていることがあれば、教えてください。

大臣 :これは総理の考えを踏まえてですね、関係省庁とも連携してよく検討してまいらなければならない問題でございます。地位協定に言及されたのは、総裁選の最中にですね、マスコミの皆さんからですね、沖縄における地位協定の改定について検討するかどうかというお尋ねでありましたが、石破総理としては、地位協定に関していうならば、それ以前の問題として、アメリカでですね、自衛隊が訓練している際にそういう地位協定がないままですね、やってもいいのかなということでお答えされたと思いますので、その点についてもまだ政府で具体的に検討はされておりませんので、これからの話だということでございます。

記者 :大臣が前回ですね、防衛大臣を務めておられた2016年にですね、沖縄県内で米軍属による女性暴行殺人事件が発生しました。大臣の記憶にもあるかと思います。昨年から今年にかけてもですね、最近も米軍関係者による沖縄県内での性的暴行事件というものが相次いでおりまして、未成年の少女に対する暴行事件もありました。こういった米軍関係者による事件が頻発してしまうと、防衛省としても重視している地元の理解であったりとか、共感というものもですね、得られず、関係悪化というものにもつながると思いますけれども、そういった意味で、今後、防衛省の大臣として事件事故を防ぐためにどのように対処をしていくお考えか、お伺いしたいと思います。

大臣 :これは、私が在任中の2016年に起こった米軍属による殺人事件がありました。非常に凶悪でですね、言語道断で絶対許さないという思いで、その後検討いたしまして、補足協定という形で日米間で協議をしてですね、軍属といえども、同じ対応を米軍人と一緒にですね、していこうということで、そこは特別に改定はされましたが、そのほか色んなことにつきまして、現時点で何が必要なのかですね、そういうこともよく精査した上でですね、運用でできるものは運用でやってきましたけれども、それでもどうしようもないような場合があるかどうかですね、それはよく、もう一度ですね、交流をしてですね、必要に応じて対応していく必要があるというふうに思います。

記者 :今の御答弁に関連して、軍属による殺人事件の対応策として軍属補足協定のことを言及されたわけなんですけれども、それがどのように再発防止策として効果を発揮している、意義があったとお考えなんでしょうか。

大臣 :これについては、日本で軍属が起こした犯罪につきましては、日本人と同様にですね、取り調べをしたりするということになります。そのために、軍属という定義をしっかり決めましたので、その点において、それは該当できるんだというふうに改めたというふうに認識しています。軍属の適用がされるという意味でございます。

記者 :軍属の取り扱いに関しては、変わってないと思うんですけれどいかがでしょうか。

大臣 :もう一度答えさせていただきます。その際、軍属の定義を決めたわけでございますが、日米地位協定には一般的な規定しかない軍属については、その合意においてですね、具体的な手続きや基準を規定をしまして、日本側の役割を強化をして基準に合致しないものは軍属の地位を与えないということで、問題があればですね、新たな作業部会において、日本側はいつでも問題提起をして協議することが可能になっております。したがいまして、この補足協定の着実な実施を通じてですね、日米間の協力が促進されて、在日米軍の軍属に対する管理が徹底をされるということが期待をされるということでございます。

記者 :防衛生産技術基盤管理でですね、ゲームチェンジャー化が進む中で民間企業の技術を防衛装備品に取り入れたり、あるいは民間のベンチャー企業とですね、いろいろと協力関係の必要性が叫ばれていますけれども、そういったことに関する大臣御自身の見方と言いますか、考え方をお聞かせください。

大臣 :非常に防衛技術というのは各国ですね、凌ぎを削って民間から軍に転用したり、軍からスピンアウトしたりですね、そういうことでそれぞれの国々が、いわゆる防衛生産とか技術基盤というものは向上させておりまして、我が国においても、言わば、防衛力のそのものであるというふうに認識をいたしております。これについては、防衛省は昨年10月にですね、防衛生産基盤強化法に基づいて、装備品の開発・生産の基盤を強化する基本方針を策定をしました。この基本方針においては、防衛産業の国内基盤の維持・強化、そして、我が国の持つ科学技術やイノベーション、これを結集をして技術優位性を確保すること、そして、官民が一体となった装備移転を推進をするなどの方針を示してまいっておりまして、この方針の下に防衛産業における各種取組を促進をする措置を講じまして、我が国の防衛生産、そして技術基盤の強化に努めているということでございますので、先ほど申した3つの方針についてですね、今、推進しているということでございます。

記者 :南西地域の防衛体制強化についてお尋ねいたします。10年ほど前から、奄美大島などで駐屯地開設や部隊配置は進んでおりますが、今後も目に見える形で防衛体制の強化は進んでいくんでしょうか。また、地元に不安が根強くある中で、必要性をどのように説明され、どのように理解を得ていくお考えか、お尋ねいたします。

大臣 :戦後最も厳しい防衛環境を踏まえますと、南西地域の防衛体制の強化、これは喫緊の課題でありまして、これまで奄美、宮古、与那国、石垣等の部隊配置を行ってまいりました。今後、引き続き、第15旅団の師団への改編、そして補給処支処の新編など、南西地域における防衛体制を強化するための取組を今進めていくことにいたしております。このような防衛体制の強化は、力による一方的な現状変更の試みを決して容認しないと、許容しないとの我が国の意思を示すとともに、我が国の抑止力、そして対処力を高めるということで、我が国の武力攻撃そのものの可能性を低下をさせていくということでございます。その際、防衛施設の安定的な運用、部隊活動の円滑な実施にあたっては、何と言っても地元の皆様方の御協力が必要でございまして、今後とも、地元の皆様に対する、丁寧な説明、適切な情報提供、これを募って行ってまいります。今後とも住民の方にですね、よく説明をして、理解を頂きたいというふうに思います。

記者 :日米地位協定の関連で御質問します。石破総理は昨日の記者会見で、日米地位協定を改定する手法として、米国に自衛隊訓練基地を造ることは軍事的合理性があると述べられましたが、大臣も合理性があるとお考えなのか教えてください。

大臣 :これは先ほどお答えをした内容でありますけれども、この基地を設置するということは、非常に大きな話でありまして、正に日米同盟の在り方とか、自衛隊能力、そして練度の向上のために必要な訓練基盤の育成という観点からですね、幅広いオプションをもってですね、考えるべきでございますので、そういった観点からですね、政府としての対応を考えていきたいなというふうに思っております。したがいまして、お尋ねの点につきましては、現在お答えするような段階には至ってないというところでございます。

記者 :もう1点、地位協定に関連しましてお伺いします。日米地位協定は米国に在日米軍基地の運営・管理権を認めていますが、はたして米国に自衛隊の訓練基地を造ることが可能だとしても、地位協定を結び、米国領土における基地の運営・管理権を、米国政府が日本側に認める可能性はあるとお考えなのか教えてください。

大臣 :これについては、先ほどもお答えしたとおりでありますが、現時点においては幅広いオプションの中での検討の段階でございますが、その上で、日米同盟を抑止力と、そして対処力という形で強化をしていく中でですね、その強靱性とか持続性とか、そういう高めるという観点から政府としての対応を考えていきたいと考えておりまして、先ほどお答えしましたけれども、現時点において予断をもってですね、お答えをするような段階ではないと、検討はいたしますが、現時点においてはお答えできるような段階ではないということです。

記者 :先ほど中国やロシアの我が国周辺での動きに対して、危機感をもって毅然と対応するという話がございましたが、ここのところ、侵犯したロシア機にフレアを射出したり、報道ベースでは護衛艦が台湾海峡を通過するなど、日本、自衛隊としてこれまでにない対応をとっていますが、そうした対応を大臣として続けていく必要があるとお考えなのかどうか、それとですね、石破総理が総裁選の議論の中では、危害射撃に関するオーソリティーを検討する必要があるなどとお話しされていましたが、そのあたりの制度見直し等の必要性についてもお考えがあればお聞かせください。

大臣 :まず危害射撃につきましては、自衛隊法第84条にですね、領空侵犯機に対して無線、信号射撃、フレア等による警告からの武器使用に至るまでですね、あらゆる手段を用いて必要な処置を講じると、実施するということにしておりまして、必要な手順を定めているというところでございます。こうした手順によってですね、厳正かつ必要な対応を実施しているところでありますので、対領空侵犯措置の在り方については、引き続き検討してまいります。そして、この84条につきまして、対領空侵犯措置ということについてはですね、正当防衛または緊急避難に該当する場合には同条に規定する必要な処置として武器を使用することができると解してきておりますが、それ以上のことにつきましては、申し上げるようなことではございませんので、いずれにしても対領空侵犯措置の在り方については、政府としてはいろんなことを想定しながらですね、対応を考えているというところでございます。それから最初の質問でございますが、この各国の動きにつきましては非常に今急速にですね、変化をしておりまして、ウクライナ戦争を見ても分かるように、ドローンとかですね、サイバーとかですね、無人機とかですね、あらゆる新しいものが出てきてまいっております。従来の戦い方では通用しないわけでありますが、非常にこういった一国と一国の争いもしっかりした対応が必要でありますが、我が国の場合は四周をいろんな国に囲まれておりまして、どういう対応をしてくるのか、最悪の場合にはですね、同時多発型のですね、脅威も考え得るわけでございますので、そういった点におきまして、あらゆる事態にしっかり対応できるように、そして新しい化学兵器等につきましても、サイバーも含めてですね、しっかり対応できるように、対応をいろいろ検討しなければならないと思っております。

(以上)

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