中谷防衛大臣が記者会見 石川県災害派遣部隊の視察予定、自衛官の処遇改善についての質問などに回答(10月4日)
- 日本の防衛
2024-10-8 11:05
令和6(2024)年10月4日(金)11時00分~11時24分、中谷 元(なかたに・げん)防衛大臣は、防衛省A棟11階第1省議室において閣議後会見を行った。
大臣からの発表事項
能登半島地震、奥能登豪雨で活動中の災害派遣部隊の視察予定について
今日は、国会で所信表明演説がございますが、演説の中でも、防衛省や外交・安全保障、また災害等、かなりボリュームの部分で言及いただいております。そして、今回の演説が終わった後ですね、私は本日は石川県の方の自衛隊の災害派遣の部隊視察ということで出張させていただきます。冒頭ですね、石川県において発生した大雨の災害においてお亡くなりになった方の御冥福をお祈りを申し上げますとともに、被災された方々に心からお見舞いを申し上げます。石川県における自衛隊の活動状況でありますが、これまでヘリ、そして地上部隊によりまして、148名の救助を実施をいたしましたことに加えて、輪島市、珠洲(すず)市における道路の啓開、そして輪島市、珠洲市及び能登町における約490トンの給水支援、そして水と食料といった生活物資約20トンの輸送を実施をいたしました。本日、自衛隊員は約1,100名、航空機13機の態勢によりまして、人命救助、道路啓開及び物資輸送などの活動を行っておりますが、明日は珠洲市におきまして入浴支援をする予定で、その準備もいたしております。私といたしましては、本日、石川県を訪問いたしまして、馳知事と今般の災害対応に係る意見交換を実施するとともに、明日は航空自衛隊の輪島分屯地及び珠洲市における活動場所におきまして、部隊の活動状況を把握をし、隊員さんを激励をするということにいたしております。
記者との質疑応答
9月23日に発生したロシア軍機の3度にわたる礼文島(北海道)北方の領空侵犯について
記者 :ロシア軍機の領空侵犯について伺います。先月23日にロシア軍哨戒機が北海道礼文島付近の領空を3度にわたって侵犯したと政府の発表に対し、ロシアの外務省は2日、日本側の抗議の正当性を確認する情報がないとして抗議を退けたと明らかにしています。ロシア側の主張に対する受け止めをお願いします。
大臣 :防衛省・自衛隊は、先月8月の23日に、ロシア軍のIL-38哨戒機が北海道礼文島の北方、我が国の領海上空におきまして、3度にわたって領空侵犯をしたということを確認をいたしております。ロシア軍機による我が国の領空侵犯は、我が国の主権の重大な侵害であるだけではなくて、安全を脅かすものであり、全く受け入れをすることはできません。同日中にロシア政府に対して、外交ルートで極めて遺憾ということで抗議をするとともに、再発防止を強く求めたところでございます。こうした中での御指摘のロシアの外務省報道官の発言につきましては、ロシア側として日本側の抗議を真摯に受け止めているというものではありません。そういうものであるとは言えません。極めて遺憾であります。今般の発言を受けて、改めてロシア政府に対して、今回の領空侵犯に関する日本側の立場を伝達をするとともに、再発防止を強く求めたところでございます。いずれにしましても、防衛省・自衛隊としましては、我が国の領土・領海・領空を断固として守るとの決意の下に、引き続き、状況に応じた厳正かつ必要な対応を実施をいたしまして、対領空侵犯措置に万全を期してまいります。先月8月23日と言いましたが、9月23日でございます。訂正いたします
10月3日に日本を出発した空自輸送機による在レバノン邦人等輸送実施の見通しについて
記者 :レバノンからの邦人退避に関してお尋ねします。実際に邦人を乗せて退避行動をする時には、大臣から改めて行動の命令を出すというふうに伺っているのですが、現状、命令の必要性や時期的なめど、また実施する際の現地の安全性の確保についてどのようにお考えでしょうか。
大臣 :現下のレバノン情勢を受けまして、9月の27日、外務大臣から現地に滞在する邦人等の輸送に向けた準備開始の依頼を受けまして、自衛隊輸送機をヨルダン及びギリシャまで移動をさせ、待機することを命じております。この命令を受けて、防衛省・自衛隊は各種調整が整ったことから、10月の3日午前に航空自衛隊のC-2輸送機を2機本邦から出発をさせ、本日4日早朝(日本時間)にヨルダンに到着をしたところでございます。その上で、実際の邦人等の輸送を実施する行動命令の発出を含む今後の自衛隊機による輸送の見通しにつきましては、これは自衛隊の運用に関わることでありますので、そして邦人等の安全確保に影響を及ぼすおそれがあることから、お答えすることは差し控えさせていただきます。いずれにしましても、防衛省・自衛隊としては、予断を許さない現地の情勢の中で、輸送を実施する場合に適切な対応ができますように必要な情報を収集をいたしますとともに、関係省庁と緊密に連携をし、現地邦人、そして自衛隊員の安全確保に万全を期してまいりたいと考えております。
記者 :今の御発言の関連でですね、今、C-2は2機ともヨルダンに着いたということでよろしかったでしょうか。
大臣 :そのように報告を受けています。
記者 :当初、ギリシャとヨルダンということだったと思うんですけれども、これを2機ともヨルダンにしたというのは、どういった理由でしょうか。
大臣 :本日、C-2、2機はヨルダンに到着しておりますが、このうちC-2輸送機1機については、今後、ギリシャで待機をさせる予定でございます。その他の自衛隊のアセットにつきましては、自衛隊の運用に関することでございますので、お答えすることは差し控えさせていただきたいということでございますが、いずれにしましても、関係省庁と連携して、まず現地邦人の安全確保ができるようにですね、万全に行動してまりたいと思っております。
リバティー制度の見直し・強化発表後に実施されたラップ在日米軍司令官の表敬訪問について
記者 :在日米軍が1日にリバティ制度の見直しについて発効して、示しているのですけれども、大臣、昨日、ラップ司令官から表敬訪問を受けられて、リバティ制度の見直しについては、話題に上がったのかどうかを教えてください。
大臣 :昨日、ラップ司令官が防衛省を訪問されましたが、これは離任に伴うですね、挨拶ということで面会をさせていただきました。その中で、離任表敬を受けた際には、時間も限られたところでございますが、リバティ制度に関するやり取りは行っておりません。その上で、私からは、部隊運用、また訓練における安全管理の徹底、そして、地元への配慮と防衛省との緊密な調整の重要性につきまして、次期在日米軍司令官にも伝達をしていただくようにお願いをしたところでございます。そして、10月1日からですね、在日米軍では新たなリバティ制度の運用が開始をされたと承知をいたしております。この新たな制度につきましては、在日米軍の全軍種の軍人に対しまして、午前1時から午前5時までの間に、基地の外で、飲酒や酒類を提供する飲食店への入店を禁止をしているということのほか、指揮官の役割として、性犯罪防止などの教育を完了していない米軍人の基地外への外出、これを許可しないなど、その指揮官の監督責任が強化をされたということであります。また、在日米軍における隊員の教育については、交通ルール、銃等の規制を含む法令の遵守や、地域社会の歴史・文化等の尊重などについて教育をしているというふうに承知をしております。この新たな制度は、事件・事故の再発防止に向けて取り組む米側の姿勢が反映されたということで承知をしております。この米側の事件・事故につきましては、昨年末以来ですね、非常に数多くですね、起こっていたということで、今回の措置は、こういった事件・事故の再発防止に向けてですね、米側が採った措置だと認識をしておりますが、大事なことは、米側がですね、このような措置が着実にこれ実行をされているということ、そして、それが再発防止につながるということでありまして、防衛省といたしましても、このリバティ制度が着実に実施をされますよう、引き続き米側に働きかけてまいりたいと考えております。
記者 :関連しまして、今の内容なのですけれども、午前1時から5時まで自宅やホテルを除く外での飲酒や酒類を提供する飲食店に入ることを禁止されていますが、これについては海兵隊は元々、この措置を取り入れていたと承知しています。それでも事件や飲酒運転による逮捕が発生しておりますが、今回在日米軍が示した規制で十分だとお考えでしょうか。また、先ほど大臣から言及ありました、性犯罪防止などの教育というものはどのような内容なのか、把握されていればもう少し詳しく教えてください。
大臣 :今回は、全軍種のですね、軍人に対する措置ということで、新たに強化をされたということ、そして、新たにですね、性犯罪防止などの教育を完了していない米軍人が基地外への外出を許可しないなど、その指揮官の監督責任が強化をされているわけでございます。従いまして、この取組につきましては、非常に重いルールを改正をし、また、より監督を強化するということでありますので、これが着実に実行されてですね、再発防止につながるということを注視をしてまいりたいというふうに思っております。内容等につきましては、米側がしっかりとですね、対応をされているというふうに思いますが、内容的には交通事故の防止とか、飲酒運転の撲滅とかですね、あと銃の規制を含む法令の遵守とか、それから、沖縄の歴史とか文化、この尊重などについても、教育をしているというふうに聞いております。
冒頭のロシア軍機の領空侵犯に対する日本の抗議を退けたロシア外務省報道官発言への対応について
Q:冒頭のロシアの件で、確認で質問なんですけれども、ロシア外務省報道官の発言を受けた、日本の立場だと再発防止の申し入れというのはもう行ったという理解で良いかということと、どういったルートで行ったか教えてください。
A:昨日、官房長官が会見をいたしたとおりでございますので、全くこの発言についても受け入れられないとはっきり抗議をいたしておりますし、同日中、10月3日でありますが、ロシア政府に対して、外交ルートで極めて厳重に抗議をするとともにですね、再発防止を強く申し入れたということでございます。10月3日につきましては、外交ルートで申し入れをしたということでありまして、在京のですね、ロシアの大使館の参事官に申し入れをしたということです。
ロシア・中国の領空侵犯に対する日本の追加処置について
記者 :私もロシアの領空侵犯の関連でお尋ねいたします。ロシアの領空侵犯の折に中国側も中国軍機による領空侵犯がありましたけれども、中国軍機の領空侵犯の場合には、中国側が侵犯する意図はないですとか、あるいは状況を確認するといった主張をしておりましたが、ロシアはこれに対してですね、3回も領空侵犯をしたにもかかわらず事実を否定しておりまして、両国の反応を比べますと、ロシア側の強硬さが際立っているようにも思えるのですけれども、今後、北方の警戒監視態勢を強化するなどの何か追加の処置を採る予定、あるいは既に採っているなどありますでしょうか。
大臣 :やはり我が国としては、主権を守るということで、領土・領海・領空というのはしっかりですね、守られるものでありまして、防衛省も24時間常時ですね、警戒監視を務めているわけでありますが、非常に頻度というか、回数がですね、増えてまいりまして、非常に厳しい安全保障環境が生じているということで、これに対峙をしていく中で、これらの動向にですね、より一層関心を示しつつですね、注視をしながら、そして同時に冷静かつ毅然と対応をするということにしておりまして、定められたですね、ルールに従ってしっかり対応しております。今回もフレアなどを発出をしてですね、この行動に対して侵入を許さないという姿勢を示しておりますので、いろいろとこういった取組についてはしっかりと取り組んでいると認識しております。また日付についてですね、10月3日抗議の日付でありますが、抗議したのは9月の23日ということでございます。抗議をしたさっきの質問ですね、発言について抗議をしたのは10月3日ということです。
石破内閣が進める自衛官の処遇改善への具体的な課題や取組について
記者 :石破内閣が進めるという自衛官の処遇改善について改めてお伺いしたいのですが、防衛省でも近年、厳しい募集環境などを踏まえてですね、手当の拡充ですとか、職場環境の改善に取り組んでいるところです。有識者会議からの意見等もまだ取り切れていないところも多々ある状況でございますが、石破内閣としては防衛省自身の取組のですね、具体的にどのような部分に課題ですとか、もっとやった方が良い部分がある、あるいは改善すべき点があると考えて、今回自衛官の処遇改善に取り組もうとされているのでしょうか。教えてください。
記者 :何が必要なのかというところからですね、検討していただいていると認識しております。とりあえず防衛省におきましてはですね、現状の募集が非常に厳しいという状況を受けまして、既に防衛省の中で、検討会議を立ち上げておりまして、今、中間報告まで来ているわけでありますが、これはやはり、防衛省の抜本強化、防衛力の強化の一環でありまして、何のためにやるかというと、それはやっぱり優秀な人材を確保するということで、装備の整備だけを意味するものではなくて、やはり防衛力の中核というのは、自衛隊員でありまして、自衛隊が人の集団だからこそですね、自衛官が定員割れとなっている現状において優秀な人材を確保するという必要があるということで、今、検討しているわけでございます。何を検討するかということにつきましては、例えば、手当、それから給与面の処遇改善、そして勤務環境の改善、そして若くして定年を迎えるというですね、自衛官の新たな生涯設計の確立、つまり、退職後の就職とか雇用の確保とかですね、そういう面もテーマでございますが、私はこのテーマに入れていただきたいということで、やはり、自衛隊の名誉、それから地位の向上、やはり自衛官というのは生涯ですね、事に臨んでは命を懸けながらですね、国防という任務を全うしているわけでございますので、そういうことがですね、一般の方々からも評価をされてですね、認められているという、こういったことが総じて名誉とか地位、処遇の改善につながっていくと思いますので、こういった名誉を保たれるようにですね、検討していただければというふうに思っております。
大臣 :今、大臣がおっしゃられた手当ですとか、給与面の処遇改善ですね、あるいは勤務環境の改善ですとか、生涯設計の在り方だとか、これらはその防衛省の正に検討会議の中でも議論されているものだと承知しているのですが、そうするとそれは、内閣の方で作る会議においては、防衛省の議論とはまた別立てでこれは議論されていくということになるんですか。
記者 :はい。これから立上げていただくということで、閣僚会議ですから関係省庁も入って検討いただけるということで、防衛省だけではできない問題もですね、政府全体の対応となりますので、そういうことは含まれて来ると思います。そこで防衛省は既にですね、検討会議で中間報告までしてきているわけでありますが、そういったものを基にですね、今後の政府の会議においてはそれが活かされていくようにですね、していきたいと思いますし、それ以上のテーマ、内容もぜひ検討していただきたいというふうに思います。要するに政府内でやっていただいて石破総理からですね、「早急に成案を得る」という御発言もございましたことを踏まえますと、防衛省といたしましても、危機感とスピード感、これをもって積極的にですね、取り組んでいきたいと考えています。
記者 :給与ですとか、例えば手当、もちろん拡充した方がいいと思うのですけれども、その原資となるお金というのは43兆円とは別立てになってくるのでしょうか。
大臣 :これは、財務大臣もですね、メンバーで入っておられますので、当然、財源のことについて、中でですね、検討をされるかどうか、これからのことでありますが、そういった給与面におきましては、当然財源のことも考慮しなければならないというふうに思います。
記者 :今の処遇改善の関係で幕僚会議で、財務大臣がメンバーに入りました、と今御説明いただいたのですけれども、他のメンバーは今どなたが入られたんでしょうか。
大臣 :検討中でございます。財務大臣につきましては、私の個人的な思いの発言でございますので、また構成につきましては正式に決定されたものではございません。
(以上)
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