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中谷防衛大臣が記者会見 選挙後の安全保障政策、オスプレイ事故などの質問に回答(10月29日)

  • 日本の防衛

2024-10-31 11:05

 令和6(2024)年10月29日(火)11時16分~11時38分、中谷 元(なかたに・げん)防衛大臣は、防衛省A棟第1省議室において閣議後の会見を行った。
 内容は、以下の通り。

記者との質疑応答

選挙後の安全保障政策について

記者 :27日に投開票がありました、総選挙で与党は過半数を割る結果になりました。石破総裁は28日の記者会見で、「厳しい安全保障環境の中にあって国政は一時たりとも停滞が許されない」と述べましたが、今後の政権運営に当たっては安全保障政策含めて議論が停滞する可能性があります。
 党内議論にはなりますけれども、選挙後に首相が進めると表明していたアジア版NATOや地位協定の見直しを含む、アジアにおける安全保障の在り方についての今後の安保政策について、どのように進めていくか考えをお聞かせください。

大臣 :我が国が戦後最も厳しく、そして複雑な安全保障環境の中でですね、防衛省・自衛隊の取組が遅滞をするということは許されないと考えております。
 まず、第一に、周辺国の活動が拡大をする中で、警戒監視、これに万全を期すること、第二に、我が国の抑止力・対処力、これを強化するために、人的基盤の強化を含めた防衛力の抜本的強化、そして日米同盟の強化を適切に推進をしていく、そして、これらのことはいずれも待ったなしのことでありますので、このような状況の中で、防衛省・自衛隊としては、引き続き、国の安全を確保していくということで、国民の皆様からの負託に応えるべくですね、丁寧な説明を尽くしながら、防衛政策の推進に万全を尽くしていくという所存であります。

記者 :今の質問に関連して、選挙結果自体の受け止め、お考えをお願いいたします。

大臣 :選挙の結果やその要因につきましては、政府の立場でコメントすることは差し控えたいと思いますが、その上で、やはり民主主義の根幹であります選挙というのは、国民の皆様の御意見を聞く貴重な機会でありまして、今回の結果を謙虚に受け止め、そして政権運営に当たるということが重要ではないかというふうに考えております。

オスプレイの与那国駐屯地での機体損傷事故について

記者 :日米共同統合演習キーン・ソードに参加した陸上自衛隊のオスプレイが、与那国駐屯地で機体の一部を損傷させましたが、本件に対する大臣の受け止めと、今後の調査や機体撤収の予定、事故と判断しているかどうか、その理由もあわせて教えてください。

大臣 :本件の事故の発生によりまして、地元の皆様に御不安を与えたということは誠に遺憾であると考えます。27日に陸上幕僚監部に事故調査委員会を設置をしまして、本件の事故の詳細について調査中であります。また与那国駐屯地に駐機をしている機体の撤収につきましては、当該機体の状況等に応じて判断をしていくということになります。
 また、本件の事故については、自衛隊における航空事故に該当いたします。したがいまして、飛行の安全を確保し、航空機を運用するということは当然の大前提でありますので、早急に原因究明を図るということとともに、地元の方々への御不安や御懸念を払しょくできるように、引き続き、地元の皆様方に丁寧に説明をし、そして適切な情報提供、これを行っていきたいと考えています。

アジア版NATOや日米地位協定への影響

記者 :先ほど、幹事社さんの質問への御回答で安保をめぐる議論全般について、遅滞は許されないということをおっしゃいましたが、アジア版NATOや日米地位協定の議論そのものへの影響はないと見通されているという御認識でよろしいでしょうか。

大臣 :アジア版NATO等につきましては、石破総理大臣が自らですね、一朝一夕に実現するとは思っておらず、まずは喫緊のですね、外交安全保障の課題に取り組んでいく必要があると発言をしております。したがいまして、まずは日米同盟の抑止力・対処力、これを強化をする。そして、同盟国・同志国のネットワーク、これを有機的・重層的に構築をして、抑止力を強化をするという観点から検討し、対応していくべきであります。
 そして、アジアにおける安全保障の在り方につきましては、総理がですね、自由民主党に指示をされたというところでございますので、防衛省といたしましては、このような総理のお考えを踏まえまして、適切に対応してまいりたいと考えております。

記者 :日米地位協定の議論についても同様の御認識ですか。

大臣 :そういうことも含めて、総理は、まずは自由民主党の中で検討をするようにという指示をされておりますので、防衛省としましては、このような総理の考え方を踏まえまして、適切に対応してまいりたいと考えています。

オスプレイの事故に関して、またオスプレイそのものについて

記者 :オスプレイの事故に関連しての質問なんですけれども、昨年11月に屋久島沖で米空軍オスプレイの事故があったと思います。それを踏まえて点検整備の増加ですとか、陸上自衛隊としても安全対策をとっている中で、今回の事故が起きたということになりますけれども、安全対策をとっていても事故が起きてしまったということについて、大臣はどうお考えかというのを伺います。

大臣 :今回の事故については、現在、調査中でありますけれども、昨年11月に屋久島沖で米空軍のオスプレイの事故との関係については、現時点において予断をもってお答えするということは困難でございます。
 しかし、いずれにしましても、防衛省としましては、オスプレイを含む航空機の運用に当たっては、飛行の安全確保、これが最優先でありまして、本訓練においても確実な飛行前の点検、これを実施をしているところでございます。
 本事故によりまして、地元の皆様に不安を与えてしまったということについては誠に遺憾に思いますが、早急に原因究明を図るとともに、地元の方々に御不安や御懸念を払しょくできるようにですね、引き続き、地元の皆様に丁寧な説明を行うと同時に、適切な情報提供を行っていきたいと考えています。

記者 :関連でなんですけれども、現時点で機体の安全性というところについては、従来と御見解は変わらないということでしょうか。その確認をさせてください。

大臣 :現在ですね、事故原因については、調査中でございますが、防衛省といたしましては、オスプレイの安全性については、問題ないと考えております。そして、飛行の安全を確保して航空機を運用するということは、当然の大前提と考えておりまして、この事故を踏まえてですね、現在、V-22オスプレイによる飛行は、任務飛行を除く飛行を見合わせております。
 本件の事故の詳細につきましては、現在、陸上自衛隊に設置をしました事故調査委員会において調査中でありまして、陸上自衛隊のV-22オスプレイによる飛行は、飛行の安全が確認をされてから行うという考えであります。

記者 :先ほど、本訓練においても確実な飛行前の点検を行ったという説明がありましたが、それでもこうした事故が起きたことについて、どうお考えかという点と、任務飛行を除くすべての飛行を見合わせていて、安全確保されれば再開するということなんですけれども、具体的にはどういった段階をクリアすれば再開するということなのでしょうか。

大臣 :事故については、現在調査中でありますが、いずれにしても飛行の安全確保が最優先ということでございまして、この安全確保して運用するということの原因究明をですね、更に解明をしていきます。そして、災害などの発生等が起こった場合はですね、活用するかどうかは判断をしていきますが、基本的には飛行はしないということで、今、原因究明を急いでいきたいという考えであります。

記者 :追加で伺いたいんですけれども、まだこの事故については調査中ということなんですけれども、それでもその安全性について問題ないと言えるとおっしゃるのは何でなのか、教えていただけますでしょうか。また、この事故時の様子など動画でも報道されていますけれども、大臣御覧になっていましたら、見てどう思われたか教えてください。

大臣 :事故の状況につきましては、27日の午前11時38分頃ですね、自衛隊の第1ヘリコプター団の所属のV-22オスプレイが与那国駐屯地で患者搬送、それから当該避難訓練のため離陸をしようとしたところ、機体が左右に揺れた。不安定な状況になって、左翼の下部、これが地面と接触をして機体の1部が損傷したということで、この飛行を中止をして、着陸をしたということでございますが、人的被害とか、駐屯地外への影響はなかったということでございます。
 この事故につきましては、現在、陸幕の事故調査委員会で調査中であるということで、現時点でですね、予断をもって申し上げることは困難でありますが、防衛省としてはこれまでオスプレイの安全性については、累次の機会に確認をしたところでございます。
 一般論として申し上げますと、航空機については事故の発生に関係するような部品の不具合が判明した場合は、製造企業また、政府のプログラムオフィスから不具合等について連絡がくるわけでありますが、現時点において不具合等に関する情報、これはきておりません。いずれにせよ、オスプレイの安全性については必要な情報を発信することが重要と考えておりまして、引き続きお示しできる情報については提供してまいりたいと考えています。

記者 :オスプレイに関連しましてお尋ねいたします。オスプレイにつきましては、大臣おっしゃられたとおり、昨年の11月に米軍機が堕ちまして、その後数か月間オスプレイ運用停止になったんですけれども、今回また運用停止ということで、一年のうち、二度もですね、運用が停止されるような状況になっております。オスプレイの航続距離ですとか、速度に関する性能については理解できるんですけれども、そもそもこういう事態を引き起こすものが装備品として有用といえるのかどうか、その辺り考えはお変わりないのでしょうか。

大臣 :オスプレイ導入につきましては、様々な角度で点検・確認をした上でですね、現在運航しているわけでございますが、安全性・信頼性等につきましては、米軍自身がですね、まず開発段階において、安全性・信頼性を確認しているということ、そして、日本の配備については、日本政府としても独自に安全性を確認をいたしております。そして、この導入過程のみならずですね、決定された後においても、各種の技術情報を収集・分析をして、安全な機体であるということは確認をいたしておりますが、さらに、陸上要員が実際の機体を用いて操作・整備を行い、そして、オスプレイが安定した操縦・整備が可能であり信頼できる機体であるということを改めて確認はいたしております。
 屋久島で発生をしました米軍機の事故につきましては、プロップローターギアボックスが不具合、また操縦士の意思決定が先般の事故原因とされておりまして、原因に対応した各種の安全対策を講じるということで、安全に運航を行うことが可能と位置付けております。米側からはですね、この不具合につきましては、機体自体の設計を変更することなどの必要性はないと、そして、機体自体の安全性についても問題はない、また、飛行の安全に関わる構造上の欠陥がないということにも変わりはないという旨の説明を受けておりまして、防衛省といたしましても、米国の評価は妥当なものだと考えております。

記者 :そうしますと、依然として装備品としては極めて有用だという考えに変わりはないということでしょうか。

大臣 :そういう認識です。原因につきましては、調査をいたしておりますので、更なる情報等につきましては、判明次第また発表したいと思います。

記者 :オスプレイの事故に関連してお伺いします。事故機は離陸時に左右に大きく揺れて、バランスを崩し、一歩間違えば横転などの大事故になっていた可能性もあったと考えられています。大臣は今回の事故の深刻さをどのように受け止めておられるのか教えてください。

大臣 :防衛省としましても、オスプレイを含む航空機の運用に当たっては、飛行の安全確保、これが最優先であるということで考えておりまして、この訓練を実施するにおいても、飛行前の点検は実施した上で訓練を参加しておりました。
 そのような中で、事故が発生したわけでありますけれども、この原因については現在調査中でありますので、分かり次第、またお話をいたしますが、当然のことながら、安全を確保して航空機を運用するということは、当然の大前提でございますので、飛行の運用については一時見合わせをしておりますけれども、この原因をしっかり解明をしてですね、今後、また引き続き安全な運航に対して対応していきたいと考えております。

記者 :オスプレイについては、過去に米軍のオスプレイがダウンウォッシュ、オスプレイ自体の吹きおろしが原因で揚陸艦への着艦に失敗し、死傷者を出す重大な事故を起こしています。オスプレイの構造や機体の安全性に問題はないのか大臣の御認識を教えてください。

大臣 :事故事例を申し上げますと、平成29年8月にオーストラリア東海岸沖で発生をしましたMV-22オスプレイの事故についてでありますが、この事故は機体の欠陥によって発生したものではないと承知をしており、更に調べまして、既に有効な再発防止策、これがとられているということを承知をいたしております。
 10月27日に与那国駐屯地で発生した事故につきましては、現在、陸幕の事故調査委員会において調査中でありますので、予断をもって申し上げることは困難でありますが、防衛省としましては、これまで、オスプレイの安全性については累次の機会にですね、確認をしてきたところでございます。
 いずれにしましても、オスプレイの安全性につきましては、必要な情報を今後発信をしますことは大事なことでありますので、お示しできる情報については随時提供していきたいと思っています。

記者 :オスプレイの関係で何点かお尋ねします。今回の事故が午前11時38分に発生し、事故の概要が公表されたのが、20時30分になります。事故発生から8時間以上経過しているわけですけれども、大臣、先ほどから適切な情報提供に努めるというのを繰り返しおっしゃられているわけですが、これだけ時間がかかり過ぎているように思えるんですけれども、これはその日の総選挙の投票箱が閉まるのを待って発表されたのでしょうか。

大臣 :そういうことは私はないと考えております。いろいろ情報の確認とか、事務的な調整をした上でですね、間違いのない事実発表に至ったと思いますので、できるだけ、事実につきましては、迅速に発表されたものであるというふうに考えております。

記者 :先ほど、大臣の御説明の中で、自衛隊における航空事故に該当するという御説明あったんですけれども、いつの時点で航空事故に該当すると判断されたんでしょうか。教えてください。

大臣 :27日の当日、状況を報告を受けて判断したということであります。

記者 :それは事故調査委員会が判断したんでしょうか。それとも、防衛省として判断したんでしょうか。

大臣 :これは、先ほども申し上げましたが、陸幕の事故調査委員会、ここで判断して発表したということです。

(以上)

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