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高高度をマッハ5で飛来するミサイルを迎撃する──技術シンポジウム2024速報

  • 日本の防衛

2024-11-13 13:26

今年も開かれた、防衛装備庁が主催する「技術シンポジウム2024」。注目の展示を紹介しよう。稲葉義泰 INABA Yoshihiro

 防衛装備庁が主催する「技術シンポジウム2024」において、航空装備研究所は「HGVに対処するための新たな誘導弾システム」というタイトルでパネル展示を行った。

写真:編集部(以下同じ)

 現在、北朝鮮や中国が開発・配備を進める兵器の中に「極超音速滑空兵器」(HGV)というものがある。
 極超音速とはマッハ5以上のことである。その速度で、通常のミサイルよりもずっと高く、かつ弾道ミサイルよりも低い高度を、変則的な軌道で飛翔することができる兵器だ。
 既存の地対空ミサイル(SAM)や弾道ミサイル防衛システム(BMDシステム)での対処が、困難とされている。

 このHGV対処誘導弾システムでは、弾頭部に操舵翼とスラスターを備えることで、HGVが飛翔する空気が薄い(動翼の効きが悪い)高高度での機動を可能にし、シーカーにより目標を捕捉して迎撃するための技術を確立することを目指すという。
 具体的には、
①さまざなシステムと連携して目標を捉えるネットワーク交戦能力
②高高度での迎撃を可能とする高高度領域高応答飛しょう能力
③大型ロケットモーターによる高速・長射程飛しょう能力
 について、研究を進めるという。

 ちなみに現在、同様の迎撃装備として、GPI(滑空段階迎撃用誘導弾)の日米共同開発が決定しているが、これとHGV対処用誘導弾システムとは別のプログラムとなる。

稲葉義泰INABA Yoshihiro

軍事ライターとして自衛隊をはじめとする各国軍や防衛産業に携わる国内外企業を取材する傍ら、大学院において国際法を中心に防衛法制を研究。著者に『「戦争」は許されるのか 国際法で読み解く武力行使のルール』『“戦える”自衛隊へ 安全保障関連三文書で変化する自衛隊』(イカロス出版)などがある。

https://x.com/japanesepatrio6

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