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[国会答弁]弾道ミサイルの脅威に関する質問と答弁(第216回国会)

  • 日本の防衛

2024-12-31 13:05

 防衛省は令和6(2024)年12月27日(金)、衆議院議員 松原仁(まつばら・じん)氏が第216回国会に提出した質問「弾道ミサイルの脅威に関する質問主意書」とそれに対する答弁書を、閣議資料として報道に公開した。

 内容はこちらの通り。

弾道ミサイルの脅威に関する質問主意書

令和6年12月17日提出 質問第99号
提出者 松原 仁

 今年11月、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)は、北朝鮮西岸付近から北東方向に向けて複数の短距離弾道ミサイルを発射し、少なくとも7発は、最高高度約100km程度で、約400km程度飛翔したものと推定されている。同ミサイル発射を含め、北朝鮮は、今年に入りこれまで、11回の弾道ミサイルを発射している。
 北朝鮮は、昨年も、少なくとも18回の弾道ミサイル発射を行い、合計で25発以上を発射している。
 北朝鮮は、弾道ミサイル発射実験を重ねることで、保有する弾道ミサイルの射程や性能を多様化・高度化させている。特に固体燃料の採用や迎撃困難な多弾頭技術の進展は、日本を含む極東アジア地域のみならず国際社会にとって深刻な脅威となっている。
 このように、北朝鮮の弾道ミサイルの保有は、日本を含む国際社会全体の平和と安定に深刻な脅威を及ぼしている。
 政府に対して、国民の安心・安全を確保するために、北朝鮮が保有する弾道ミサイルの脅威に対し、迅速かつ効果的な対応をすることが求められていることから、次のとおり質問する。

一 北朝鮮が保有する弾道ミサイルに対する認識について

1 政府として、北朝鮮が保有する弾道ミサイルに関し、日本国民の生命や財産の安全に対する脅威と認識しているか明らかにされたい。

2 前項の脅威に対し、我が国が保有する現状のミサイル防衛システムで対処可能か。また、北朝鮮によるミサイル技術の進展をも踏まえて、現状の弾道ミサイルへの対応能力は十分と認識しているか。

二 北朝鮮による弾道ミサイル発射の認識体制について

1 北朝鮮が弾道ミサイルを発射したとの情報を、政府機関独自で1次情報として把握しているか明らかにされたい。

2 地球上空約60~1000kmの範囲に存在し、電波を反射または屈折させる性質を持っているとされる電離層は、弾道ミサイルの発射時に生じる音波や圧力波による影響を受けるとされている。前項において、独自把握が行えていない場合、電離層を継続的にモニタリングし、電離層の変化から弾道ミサイル発射を予測するシステムを整備すべきと考えるが、政府の見解如何。

三 弾道ミサイルの被害軽減策について

1 北朝鮮による弾道ミサイル発射から日本に着弾するまで最短でも7分は要するとされている。前条のとおり、北朝鮮による弾道ミサイル発射を我が国独自に早期認識するシステムが確立できれば、7分という時間は、国民が避難するために非常に重要な時間といえる。政府が進めている特定臨時避難施設の新築建築物の地階での整備を早期に進めるべきと考えるが、そのための施策として具体的に検討している施策があれば明らかにされたい。

2 前項において、人口が密集している首都圏での新築建築物の地階での特定臨時避難施設の増設のためには、民間による設置を促すことも必要ではないかと考えるが、政府として民間と協力した施策につき、具体的に検討している施策があれば明らかにされたい。

 右質問する。

衆議院議員 松原仁君提出 弾道ミサイルの脅威に関する質問に対する答弁書

一の1について
 お尋ねについては、令和6年十2月5日の衆議院安全保障委員会において、中谷防衛大臣が、「北朝鮮は、体制を維持するため、大量破壊兵器や弾道ミサイルなどの増強に集中的に取り組んでおり、近年は、低空を変則的な軌道で飛翔する弾道ミサイルの実用化を追求するとともに、ICBM級弾道ミサイルの発射を繰り返し強行しております。・・・このような北朝鮮の軍事動向は、我が国の安全保障にとって、従前よりも1層重大かつ差し迫った脅威となっております。」と答弁しているとおりである。

一の2について
 我が国の弾道ミサイル防衛システムの個別具体の撃破能力については、自衛隊の能力等が明らかになることにつながることから、お答えを差し控えたいが、政府としては、「国家防衛戦略」(令和4年十2月十6日閣議決定)に記載されているとおり「探知・追尾能力や迎撃能力を抜本的に強化するとともに(中略)有効な反撃を加える能力を持つことにより、相手のミサイル発射を制約し、ミサイル防衛による迎撃を行い易くすることで、ミサイル防衛と相まってミサイル攻撃そのものを抑止していく」考えである。

二について
 お尋ねの「政府機関独自で一次情報として把握している」及び「独自把握が行えていない場合」の意味するところが必ずしも明らかではないが、一般論として申し上げれば、政府としては、北朝鮮が弾道ミサイル等を発射した場合には、我が国に飛来する当該弾道ミサイル等について米国が短時間で解析した情報を受領するほか、自衛隊のレーダー等により情報収集を行うこととしている。

三の1について
 お尋ねの「特定臨時避難施設」については、「武力攻撃を想定した避難施設(シェルター)の確保に係る基本的考え方」(令和6年3月29日付け閣副事態第159号内閣官房副長官補(事態対処・危機管理担当)付内閣審議官通知別添。以下「基本的考え方」という。)において、「特定臨時避難施設」の「確保に係る具体的取組」等を定めたところである。具体的には、「武力攻撃より十分に先立って、住民等の広域避難を開始し、完了することが住民等の安全を確保する上で最も重要である」ことを前提としつつ、「例えば、悪天候時に、航空機又は船舶が使用できず広域避難が困難となり、広域避難の完了までの一定期間、避難誘導に従事する行政職員等及び避難に遅れる住民等が、要避難地域に留まらざるを得ないことも想定される」ため、「輸送手段に大きな制約があり、かつ、避難先地域が遠距離にあるといった避難の困難性」等がある「先島諸島の5市町村(与那国町、竹富町、石垣市、多良間村及び宮古島市)」において整備することとしている。
 現在、政府においては、これらの市町村とともに、「特定臨時避難施設」の具体的な整備について検討を進めているところである。

三の2について
 お尋ねについて、基本的考え方においては、「特定臨時避難施設」は「市町村が……公共・公用施設の地下……に整備する」こととしており、御指摘の「民間による設置」を想定したものではない。
 なお、基本的考え方においては、「弾道ミサイル等の単体による攻撃といった短時間の攻撃等の間、住民等の安全を一時的に確保するため」の「緊急一時避難施設」については、「政治経済の中枢を含む都市部及び重点取組分野の施設(地下施設(地下駅舎、地下街)等)における指定を促進」することとしており、この「指定」の「促進」に当たっては、特に大規模な地下施設において、施設管理者が民間事業者であることが多く、その理解及び協力を得ることが不可欠であることから、令和5年度に、関係省庁が連携し、特定の民間事業者等に対して、「緊急一時避難施設」の「指定」の「促進」に係る協力依頼を行ったところである。

(以上)

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