石破総理大臣がマレーシア、インドネシア訪問について報告(1月11日)
- 日本の防衛
2025-1-15 11:04
令和7(2025)年1月9日(水)ら11日(金)にかけて、石破茂(いしば・しげる)内閣総理大臣はマレーシアとインドネシアを歴訪し、マレーシアのアンワル・イブラヒム首相、インドネシアのプラボウォ・スビアント大統領と首脳会談を行った。
帰国した11日に行った記者会見で、安全保障に触れた話があったので、こちらに掲載する。
マレーシア及びインドネシア訪問等についての会見(1月11日)
(記者:マレーシア及びインドネシア訪問を終えての所感及び対中国という観点で今回得られた成果と今後の課題について。また、対米外交について、トランプ次期大統領は、東南アジアへの関心が薄いという指摘もあり、地域の安全保障に不透明感が出ている中で、アメリカとこの地域との関係及びトランプ氏との会談の調整状況について)
石破総理 :我が国の外交にとって、ASEAN(東南アジア諸国連合)との関係というのは極めて重要なものであります。不透明さを増している国際情勢の中にあって、我が国が今後外交を展開するにおきまして、東南アジアとの関係を強化をする、信頼関係を強化をする、これは極めて重要なことであるというふうに私は認識をいたしておるところであります。このような問題意識から、ASEANあるいはAPEC(アジア太平洋経済協力)等々国際会議を除きまして、それぞれの国を個別に訪問するということで、相手国を選定するに当たりまして、この発展著しいマレーシア、そしてまた、発展著しく、なお人口におきましても、経済規模におきましても、世界有数であるインドネシア、この2か国を訪問するということにいたしました。共に経済が著しく成長しているということ、そして、両方ともイスラム(教)国であるということ、これ非常に重要なことだというふうに思っております。マレーシアにおきましてアンワル首相、インドネシアにおきましてはプラボウォ大統領と、かなり長時間、一対一、あるいは少人数、あるいは拡大会合というところで、各般にわたりまして意見交換をいたしたところであります。
まず、安全保障の分野でありますが、OSA(政府安全保障能力強化支援)あるいは海洋安全保障協力、そういうようなことで具体的な協力を進めていくということで一致をみたところであります。このインドネシアあるいはマレーシアとの協力ということは、すなわちこの地域の平和と安定をもたらすものであり、そのことは畢竟(ひっきょう)、我が国の平和と安全にも大きく資するものであるという、いわゆる安全保障、防衛面におきましての安全保障ということが第1。
- (参考記事)インドネシアへの高速警備艇供与に関わる書簡の署名・交換を実施
- https://j-defense.ikaros.jp/docs/mod/002472.html
第2は、我が国にとって極めて重要でありますエネルギーの安全保障ということであります。両国とは長い間LNG(液化天然ガス)を始めとして、エネルギーの供給ということで互恵的な関係を築いてきたものであります。これからも、こういうことを続けていくということで合意を得たところであります。あるいは今回の訪問を契機といたしまして、AZEC(アジア・ゼロエミッション共同体)を軸として、水素、アンモニア、CCUS(二酸化炭素回収・有効利用・貯留)、地熱、鉱物資源などの利活用により、脱炭素化というものを、いろんなやり方によって図ってまいりたいということにつきましても確認をいたしたところであります。あるいは食料安全保障、農林水産分野における協力、これについても相当に意見交換を行ったところであります。
両首脳とは、アメリカとの関係、中国との関係、あるいは現状の評価など懸念事項、東シナ海、南シナ海の情勢などにつきましてもやりとりを行いました。両国と緊密な意思疎通ということを継続しなければいけないということで一致をみたところであります。自由で開かれた国際秩序を維持するために協力を図ってまいりたいと存じます。これ、私も両国を訪問するのは、34年ぶりということでありまして、当選2回の時に、自由民主党青年局の海外視察ということで、当時同じく当選2回でありました渡海紀三朗・(自由民主党)政治改革本部長、あるいは当選1回でありました鈴木俊一・現(自由民主党)総務会長、青年局の仲間と、34年前に訪問をいたしましたが、それ以来であります。両国の著しい発展ぶりというものには、驚愕、そして感動を覚えたところであります。これから先、我が国が両国との関係強化ということを一層図っていかねばなりませんし、それはエネルギーであり、あるいは防衛面での安全保障であり、食料の安全保障であり、ということであります。
我が国が両国に対してできること、これはたくさんあります。両国からいろんな支援を受けたい分野、たくさんございます。単に経済的な問題だけではなく、信頼関係というのは非常に重要でありますし、皆様方もお感じになったことかもしれませんが、両国が日本を思ってくれるほど、日本は両国を思っているだろうかということであります。本当に、日本に対する期待、そういうものは非常に強い。経済発展も著しいものがありますが、我が日本国に対する期待、そういうものは非常に強い。で、私どもは、どれほど両国のことを認識をし、大切に思っているかということは、改めて考えるべき点が多々あるなというふうに痛感をいたしたところであります。
合衆国との関係についての御質問であります。間もなく、次期大統領、トランプ氏が就任をするわけであります。アメリカとの関係は我が国にとって非常に重要でありますので、双方の日程を踏まえまして、できるだけ早期に会談を実現したいというふうに思っております。トランプ氏が、この地域に対する関心をどれぐらい持っているかということは、実際に会談をしてみなければわかりません。しかしながら今回、本当に両国の著しい発展ぶりというものを見るにつけですね、この地域において、外交的関与をしていくのは日本とって極めて重要であると同時に、アメリカにとっても非常に重要であるというふうに考えておるところでございます。日米両国がこの地域の平和と安定のために、共に手を携えて努力をしていくということが、インド太平洋地域の平和と安定、あるいは全世界の平和と安定にも大きく寄与するものであるということについて、トランプ氏と認識の一致をみたいと、このように考えておるところでございます。以上です。
(以上。これ以降は安全保障に関する話ではないため省略)
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