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《レポート》米国など11か国が参加 陸自第1空挺団の「降下訓練始め」(1月12日、習志野演習場)

  • 日本の防衛

2025-1-20 11:50

 2025年1月12日(日)、千葉県習志野演習場において陸上自衛隊第1空挺団の「降下訓練始め」(NYJIP25)が行われた。※「降下訓練始め」は今年から英語表記の訓練名が追加された。「New Year Jump in Indo Pacific 25」の頭文字から「NYJIP25」(えぬわいじっぷ25)と呼ばれている。

 第1空挺団は陸自唯一のパラシュート降下部隊で、高い機動力・戦闘力・即応能力を備えている。

 その降下訓練始めは、1年間の降下訓練の安全を祈願する部内行事として始まり、近年は同盟国・同志国との連携をアピールする場を兼ねるようになった。今回は11か国(アメリカ・イギリス・カナダ・ドイツ・フランス・イタリア・オランダ・オーストラリア・ポーランド・シンガポール・フィリピン)もの空挺部隊が集まり、10日(金)開催の国際空挺指揮官会議や降下訓練に参加した。

島嶼防衛を想定した模擬戦 上陸侵攻した敵部隊を撃破

 訓練は主に指揮官降下と訓練展示に分けられる。第1空挺団長の若松純也(わかまつ・じゅんや)陸将補が先陣を切ってCH-47JA輸送ヘリから落下傘降下し、第1空挺団隷下の各部隊や参加国の空挺部隊の指揮官・最先任上級曹長らも続いて降下していく。各指揮官が見学席につき、中谷元(なかたに・げん)防衛大臣を出迎えると、訓練展示が始まる。

 訓練展示は島嶼防衛の模擬戦で、上陸侵攻した敵部隊を第1空挺団が中心となって撃破する想定。ヘリコプターや輸送機で空挺隊員や火砲等を輸送し、敵の戦力を削っていく。輸送艦(想定)で揚陸した戦車や装甲車で増強すると、反撃態勢を整える。さらに同盟国・同志国の空挺部隊が来援し、空自のC-130H、米空軍のC-130J-30輸送機から落下傘降下し、敵を追撃する。

空自C-130H輸送機から落下傘降下する参加国の空挺部隊。陸自の13式空挺傘、米軍のT-11落下傘、MC-6落下傘を使用していた。今回は輸送機は空自がC-130H×3機、米空軍がC-130J-30×3機が参加し、すべてC-130系列で統一されていた。写真:鈴崎利治
CH-47JA輸送ヘリからファストロープ降下する空挺隊員。120mm迫撃砲のスリング輸送(写真後方)や負傷者の搬送など、CH-47JAはの支援は欠かせない。他にAH-1S対戦車ヘリやUH-1J多用途ヘリも参加している。写真:鈴崎利治
災害用ドローン(ANAFI USA)で偵察する空挺隊員。写真:鈴崎利治
16式機動戦闘車が敵装甲車を撃破し、空挺部隊とともに反撃していく。他に90式戦車や96式装輪装甲車等も参加した。写真:鈴崎利治

 ラストは、CH-47JA輸送ヘリから降りた各国部隊が演習場にずらりと国旗を掲げ、同盟国・同志国の連携強化をアピールした。

来援した11か国部隊の国旗が並ぶラストシーン。写真には入らなかったが、右側には日本の国旗も翻っている。参加国は実銃ではなく、陸自89式小銃の電動ガンを携行していた。写真:鈴崎利治

 訓練展示後は空挺徽章の交換、中谷大臣の訓示が行われ、NYJIP25は無事に終了した。当日は曇天の寒い一日だったが、強風のため落下傘降下を断念した10日の予行とは異なり、ほぼ予定通りに落下傘降下やヘリボーンが実施された。訓練は一般公開され、約1万人が見学した。

降下訓練前に習志野駐屯地を視察した中谷防衛大臣。儀仗隊を巡閲する。訓練用の跳び出し塔(高さ11m)からの降下訓練も体験している。写真:鈴崎利治

(以上)

※「降下訓練始め」は、月刊『Jウイング』4月号(2月21日発売号)でも、詳しくレポートする予定です。

鈴崎利治SUZUSAKI Toshiharu

地域密着と遠征取材を両立する職業カメラマン。陸上自衛隊と航空自衛隊について造詣が深く、自衛隊の訓練や演習、駐屯地記念行事、航空祭などのレポーターとして四半世紀以上の経験を持つ。月刊『Jウイング』、不定期刊『JグランドEX』、月刊『軍事研究』などに寄稿多数。表の顔は、埼玉県飯能駅前のスズサキ写真店 店主。キャッチフレーズは「幼稚園児から戦車まで」「卒業アルバムから戦闘機まで」。

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