[国会答弁]無人戦技術と防衛予算配分に関する水野議員の質問と政府答弁
- 日本の防衛
2025-7-4 11:05
防衛省は令和7(2025)年7月1日(火)10時23分、第217回国会にかかわる閣議資料のうち「無人戦技術及び防衛予算の配分に関する質問主意書」を報道に公開した。
その質問主意書と答弁書を以下に転載する。
質問主意書
質問第240号
無人戦技術及び防衛予算の配分に関する質問主意書
右の質問主意書を国会法第74条によって提出する。
令和7年6月20日
水野 素子
議院議長 関口 昌一 殿
無人戦技術及び防衛予算の配分に関する質問主意書
令和6年版防衛白書は、無人機を活用した作戦能力の強化を「喫緊の課題」と明記し、米国や豪州といった主要国も、予算を有人装備から無人装備・自律型兵器へと大きく移行させている。しかし、我が国の令和6年度当初予算における無人装備関連の調達費は全体の約4.6パーセントにとどまっており、防衛装備予算の比率は依然として有人装備に偏重していると言わざるを得ない。国防戦略及び財政資源の配分の妥当性は、主権者たる国民の重大な関心事である。
1 政府の脅威認識
近年、中華人民共和国は、監視・攻撃一体型無人航空機や群集ドローンの整備を急いでいる。これらが我が国の安全保障に与える脅威の性質及び重大性について、政府の評価を示されたい。
2 能力ギャップに対する戦略
前記脅威認識を前提として、我が国が保持すべき無人戦技術の水準及びその実現に向けた基本戦略について、政府の見解を示されたい。
3 政策方針の根拠
政策の評価・戦略を策定する際、主にどのような国際情勢・技術動向を勘案したか示されたい。また、当該政策の評価・戦略について、今後どのようにアップデートしていく方針か示されたい。
4 有人装備・無人装備への予算配分
有人装備・無人装備への予算配分に関し、無人戦技術の研究開発の重要性が高まる中、中期防衛力整備計画等を踏まえ、有人装備から無人装備へ予算を段階的にシフトする必要があると考えるが、政府の認識を示されたい。
右質問する。
参議院議員水野素子君提出無人戦技術及び防衛予算の配分に関する質問に対する答弁書
1について
中華人民共和国は、多種多様な無人機の開発を進めているとみられ、我が国周辺における無人機の活動の活発化も確認されている。このような開発動向や活動を含め、同国の軍事動向等については、「国家防衛戦略」(令和4年12月16日閣議決定)に記載されているとおり、「我が国と国際社会の深刻な懸念事項」であると考えている。
2及び3について
お尋ねについて、「国家防衛戦略」においては、「これまでの航空侵攻・海上侵攻・着上陸侵攻といった伝統的なものに加えて…宇宙・サイバー・電磁波の領域や無人アセットを用いた非対称的な攻撃、核保有国が公然と行う核兵器による威嚇ともとれる言動等を組み合わせた新しい戦い方が顕在化している。」としている。また、同戦略において、「無人アセットは、有人装備と比べて、比較的安価であることが多く、人的損耗を局限し、長期連続運用ができるといった大きな利点がある。さらに、この無人アセットをAIや有人装備と組み合わせることにより、部隊の構造や戦い方を根本的に一変させるゲーム・チェンジャーとなり得ることから、空中・水上・水中等での非対称的な優勢を獲得することが可能である。」とし、「2027年度までに、無人アセットを早期装備化やリース等により導入し、幅広い任務での実践的な能力を獲得する。特に、水中優勢を獲得・維持するための無人潜水艇(UUV)の早期装備化を進める。」、「今後、おおむね10年後までに、無人アセットを用いた戦い方を更に具体化し、我が国の地理的特性等を踏まえた機種の開発・導入を加速し、本格運用を拡大する。さらに、AI等を用いて複数の無人アセットを同時制御する能力等を強化する。」としているところである。
4について
御指摘の「段階的にシフトする」の意味するところが必ずしも明らかではないが、令和6年4月2日の衆議院安全保障委員会において、木原防衛大臣(当時)が「防衛省・自衛隊としては、国家防衛戦略等にあるとおり、無人アセット防衛能力を強化することにより、隊員に対する危険や負担を局限しつつ、万一抑止が破られた場合に、空中、水上、海中等における非対称な優勢の確保に資する能力を獲得することとしており、令和5年度から令和9年度までの5年間で、合計約1兆円の経費を計上する計画であります。」と述べているとおり、政府としては、この「無人アセット防衛能力」に必要な予算を計上していく考えである。
(以上)
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