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米ロッキード マーティンがイージス・システム搭載艦向けアンテナの重要試験を9月に開始

  • 日本の防衛

2025-10-3 10:45

 アメリカの防衛企業ロッキード マーティンは、令和7(2025)年10月1日(水)、イージス・システム搭載艦向けアンテナの重要試験を米国で9月から開始し、1番艦向けレーダーシステムの初回起動を予定どおり完了したことを公表した。なお、試験は防衛省およびアメリカミサイル防衛局(MDA)とのパートナーシップに基づき実施されており、各米国製装備品は試験後に日本へ輸送され、造船所にて船体に搭載される予定となっている。
 ロッキード マーティンの公表内容と防衛省の関連発表は以下のとおり。

ロッキード マーティン、イージス・システム搭載艦向けアンテナの重要試験を開始

 防衛省およびアメリカミサイル防衛局(MDA)とのパートナーシップに基づき、ロッキード マーティンは、イージス・システム搭載艦(ASEV)1番艦向けレーダーシステムの初回起動を予定通り完了しました。これには、ニュージャージー州モーレスタウンの生産試験センター(PCT)に設置されているAN/SPY-7(V)1のアンテナ(全4面)が含まれます。

 この初回起動をもって、包括的な試験が開始されます。これらの試験は、イージス・システムに統合された完全なSPY-7(V)1レーダーシステムの性能を検証し、最高水準の品質および能力を満たしていることを確実にするためのもので、造船・就役計画を予定通り進める上で極めて重要な意味を持ちます。

試験の詳細

 ロッキード マーティンの副社長兼ゼネラルマネージャー、シャンドラ・マーシャル(Chandra Marshall)は次のように述べています。
「陸上施設において完全なSPY-7レーダーシステムの試験を実施することで、SPY-7レーダーの弾道ミサイル防衛および統合防空ミサイル防衛の能力が運用者のニーズを満たすことを艦艇搭載前に検証することができ、プログラム配備リスクを大幅に低減することができます。この完全なSPY-7レーダーシステムは、日本のASEVに搭載され、日本の防衛を支える極めて重要な装備品として機能します。」

今後の予定

 1番艦用シップセットの試験が完了すると、ロッキード マーティンは防衛省およびMDAとともに、以下のマイルストーンに沿ってプログラムを進めていきます。

▪ 1番艦用シップセットは引き続き弾道ミサイル追尾演習を行い、年内に日本へ納入される予定です。

▪ 2番艦用シップセットは今後防衛省に引き渡され、試験および検証が開始されます。

SPY-7:世界での運用

 ロッキード マーティンは6月、大きなマイルストーンとして、ASEV向けの最初のシップセット用レーダー・アンテナAN/SPY-7(V)1全4面を、防衛省に正式に納入しました。アンテナは試験のため当社施設に留め置かれているものの、予定通りに納入できたことは、SPY-7レーダーの成熟度、生産能力を示すものであり、納期の遵守に対する当社の確固たる姿勢を際立たせるものとなりました。

写真:ロッキード マーティン

 世界に目を向けると、2024年12月の初のライブトラック(実目標追尾)試験の成功を受け、ナバンティア社が米ニュージャージー州モーレスタウンの「イージスSCOMBA統合センター」は、ロッキード マーティンのSPY-7(V)2レーダーとSCOMBAコンソールとのエンドツーエンド統合に成功しました。これにより、SCOMBA戦闘システムはイージス・システムおよびSPY-7と完全に統合され、目標追尾能力を用いた模擬交戦を実施できるようになりました。

 米国内においては、ロッキード マーティンとMDAが発射試験Flight Test Other-26a(FTX-26a)の実施に成功しました。この飛行試験においては、ロッキード マーティン製の長距離識別レーダー(LRDR)が、複雑な環境下において実際の弾道ミサイルの脅威を探知・追尾・識別し、本土防衛システムに重要なデータを提供できることを実証しました。

 2024年12月には、ロッキード マーティンのSPY-7レーダーの陸上配備型バージョンであるTPY-6が、イージス・グアム・システムの一環として、発射試験 Flight Experiment Mission-02で中距離弾道ミサイルの迎撃に成功しました。

現状と今後の展望について

 SPY-7は、進化を重ね、高い能力を備えています。優れた適応性と拡張性を有するこのレーダーは現在、カナダ海軍のリバー級駆逐艦のほか、スペイン海軍のF-110型マルチミッション・フリゲート艦やMDAによる地上配備型のグアム防衛システム(TPY-6)および長距離識別レーダーに向けて生産されています。

 こうした顧客との連携や数々のマイルストーンの達成は、SPY-7の汎用性と即応性を明確に示すものであり、現代のミサイル防衛におけるその中核的地位を揺るぎないものとしています。SPY-7レーダーは、その能力を実証し続ける中で、世界中で「21世紀の安全保障」の実現に貢献し、顧客が新たに出現する脅威に先んじることを支援してまいります。

(以上)

(防衛省発表)イージス・システム搭載艦1番艦用米国製装備品の陸上統合試験開始について

 イージス・システム搭載艦1番艦用米国製装備品の陸上統合試験について、令和7年9月から米国にて開始されましたのでお知らせします。

 本試験は、米国製装備品をイージス・システム搭載艦1番艦へ搭載した際の機能発揮を万全なものとするため、SPY-7やイージス武器システムを相互に連接し、実目標の捜索、探知、識別及び追尾を含むイージス武器システムでの処理が適切に行われることを確認するものです。

 今後、2番艦用米国製装備品についても同様の陸上統合試験が予定されており、それぞれの米国製装備品は試験後、日本へ輸送され、造船所において建造中の船体に搭載される予定です。

(以上)

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